12/09/2018

2018年私的ベスト10

 今年も年末になりましたので、昨年末から今日までにかけて私が新たに認識した楽曲の中で私的におすすめのものを列挙していきたいと思います。

The Peggies 「ハートビート」


Apple Musicではこちら、spotifyではこちら

 今年は、The Peggiesが精力的に新曲を出し続けた年でした。「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のオープニングテーマに「君のせい」が使用されたことで、アニメ愛好家の認知も得たようです。


 ただ、今年公開されたThe Peggiesの楽曲の中では、「ハートビート」が一番質が高かったかなと個人的には思います。大貫さんのドラムも、石渡さんのベースも創造性にあふれているし、北澤さんも紡ぎ出す歌詞も完璧です。

Scandal「プラットホームシンドローム」



 Scandalが今年発売したアルバム「HONEY」は傑作です。Scandalは四人全員容姿端麗だし、デビュー当初はギャルっぽさを売りにしていた部分があるので誤解されがちですが、現在は結構ハードなロックバンドです。ドラムもベースもギターも、全てが疾走感を醸し出しています。プラットホームシンドロームでは、イントロのリードギターのリフから全力で駆け抜ける感じが極めて気持ちが良いのです。そして、現在の彼女たちはこれをライブでも再現する能力を持っています。

泉まくら 『いのち feat. ラブリーサマーちゃん』



 The Peggiesの3人と中学・高校の同級生であるラブリーサマーちゃんが泉まくらさんと組んで発表したのがこの楽曲です。この楽曲の良さは、圧倒的な歌詞の強さですね。曲がおしゃれだから、歌詞の強さが余計引き立ちます。

みきなつみ「ボクらの叫び」



 歌詞の力強さという点では、みきなつみ「ボクらの叫び」も負けていません。こんな真っ直ぐの歌詞をかける若さと才能に、大人たちはもっと気付くべきだと思います。

SUNNY CAR WASH「ムーンスキップ」



 ボーイズバンドによるストレートなラブソングですが、冒頭で「賛否両論です」と歌い上げることでまず聞き手を惹き付けるあたりが、荒削りにみえてよく練られています。

時速36km「七月七日通り」



 ボーズバンドで今年新たな発見と言えば、この時速36kmですね。リードボーカルの声質が良く、滑舌も良いので、この難解な歌を普通にこなせています(ライブを観ていないので、生音でどうなるのかまでは分からないのですが。)。

FINLANDS「yellowboost」



 リードボーカルの声質という点では、Finlandsも未だ健在です。このバンドは、サポートメンバーの男性二人(ギターとドラム)が超絶的に上手いのもあり、塩入さんの特殊な歌い方が、疾走感に哀愁を付加します。

ZAZ「Qué vendrá」



声質の良さという点で言えば、フランスのZAZも健在です。この歌も、この声質で歌われるからこそ、この伴奏で成立するんだといえそうです。

熊仔×Julia Wu 吳卓源×RGRY「買榜」



 これとは大局的に、曲もPVもおしゃれに仕上がっているのが、「買榜」です。まあ、見ての通りメンバーが凄いので、できがいいのは当然なのですが。

ずっと真夜中でいいのに。「脳裏上のクラッカー



 最後に、なぞのユニット「ずっと真夜中でいいのに。」の作品。メンバーの芸名は公開されていますが、PVがオールアニメーションですから、どんな人が演奏しているのかが今のところ全く分からなかったりします。華やかな歌詞と派手なメロディが続く当たり、ボカロ楽曲の影響が強そうです。

Posted by 小倉秀夫 at 08:53 AM dans musique | | Commentaires (0)

10/04/2018

シラバス変更

明治で担当している法情報社会Bの授業、ちょっとシラバスを変更することにしました。まあ、ブロッキング問題に言及する回を設定するだけですが。

回  テーマ 
第1回 IT社会の発展史
第2回 フェアユース
第3回 利用規約
第4回 CLOUD
第5回 フリーソフトウェア
第6回 大学と情報法
第7回 ヴォーカロイド
第8回 ポイント・仮想通貨
第9回 ブロッキング問題
第10回 政治と選挙と情報法
第11回 AIと法律
第12回 風評被害
第13回 IT犯罪
第14回 発信者情報開示をめぐる最前線

Posted by 小倉秀夫 at 12:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0)

07/11/2018

2018年上半期ベスト5

 この次の関ジャムで「今年の上半期おすすめの5曲」コーナーをやるみたいなので、私的におすすめの5曲を披露していこうと思います。

 まずは、あいみょん/尾崎世界観(クリープハイプ)/片岡健太(sumika)/GEN(04 Limited Sazabys)/斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)/スガ シカオがシンガーとして参加する「栞」ですね。

 案外このクラスのアーティストがこのくらい集まって1つの曲をやるって珍しいし、楽曲自体もできがすこぶるよいです。

 次に、大森靖子の「死神」。ライブではアコースティックギター一本の弾き語りで演じられることが多いですが、こちらのPVのアレンジの方がなお良いように思います。子どもを育てていく決意をこのように表現した、力強い楽曲って、類例が乏しい気がします。

 次に、緑黄色社会の「真夜中ドライブ」

 緑黄色社会は、なまじリードボーカルが美人なだけに、ここのところそれを活かそうとしすぎて失敗してきた感があったのですが、ようやく閃光ライオネットのころの輝きを取り戻した感があります。

 そして、Hump Backの「拝啓、少年よ」。

 従前、男性ボーカルユニットが扱ってきたようなストレートなメッセージソングをガールズバンドが扱う時代になったのだなあと。チャットモンチーが活動を終える年にこういうバンドが出てくるんだなあ(まあ、去年「星丘公園」で知る人は知る存在にはなっていましたが。)。

 最後にThe Peggiesの「ハートビート」。

 PVはないようですが、iTunesだとこちら。The Peggiesは、若手ガールズバンドの中ではドラムとベースがピカイチであることを証明してくれる楽曲です。もちろん、北澤さんのソングライティング能力と卓越した声質があっての話ですが。

 昨年12月まで範囲を広げると、とけた電球の「心が忘れない」やLucie, Tooの「Lucky」なども入ってきますね。

Posted by 小倉秀夫 at 02:24 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/15/2018

政府解釈の意味

 慶應義塾大学の中村伊知哉先生によると、海賊版サイトブロッキング問題について、知財本部・犯罪対策閣僚会議は、下記の方針を決めたとのことです。

1.法制度を整備する。次期通常国会を目指しブロッキングの法的根拠となる制度を整備する。リーチサイト対策も進める。

2.それまでの緊急避難としてのブロッキングについて、政府は「違法性が阻却される」との解釈を示す。

3.これを受けてISP+コンテンツら民間の対応を進めるタスクフォースを作る。

 この中で一番分からないのは2.です。

 緊急避難という制度は古くから刑法に組み込まれているものであり、その解釈については学説・判例が既に積み重なっています。司法部門は通常、既存の最高裁判例や下級審裁判例、そして通説的理解に沿って、認定事実に法を当てはめて結論を導きます。したがって、ISPが海賊版サイトへのアクセスをブロッキングすることについて刑法上の「緊急避難」が成立するかどうかは、緊急避難に関する判例・通説に従って判断されるわけです。

 では、政府がISPが海賊版サイトへのアクセスをブロッキングすることについて刑法上の「緊急避難」が成立するので「違法性が阻却される」との解釈を示すことに何の意味があるのでしょうか。

 緊急避難制度を創設する際の起草者の意思や国会での議論であれば、立法者意思が示されたという意味で、解釈論上の重要な参考資料となります。しかし、緊急避難制度は遥か昔に創設された制度ですので、今更政府が緊急避難についての法解釈を示したところで、それが立法者意思を示したものでないことは明らかです。

 日本国憲法は三権分立制度を採用しており、裁判所は、法令を解釈して、これを認定事実に当てはめる過程において、行政機関の指示や解釈に従う義務を負いません。したがって、海賊版サイトへのアクセスのブロッキングについては違法性が阻却されるという解釈を政府が示したとしても、その解釈を採用する必要が裁判所にはないのです。

 「過去の判例・裁判例や学説を検討した結果、海賊版サイトへのアクセスのブロッキングについては、緊急避難が成立し違法性が阻却されるという判断を裁判所が下す可能性が高い」という分析を政府機関がしてみせるというのはありかも知れません。ただ、知財本部・犯罪対策閣僚会議の構成メンバーを見る限り、そのような分析を行うには力不足の感が否めません。刑法学者や刑事部回り中心のベテラン裁判官、刑事弁護で定評のある弁護士などがメンバーに含まれていないからです。

 あるいは、電気通信事業法違反(通信の秘密違反)の罪については、警察に捜査をさせず、検察に起訴をさせないという、政府としての態度表明なのかもしれません。ただ、警察も検察も行政機関の1つとは言え、準司法機関たる性質を有するので、従前の判例通説に従えば犯罪となるべき行為について捜査・起訴をしないように政府が介入してみせることが適切なのかという問題を生じます。

 中村先生は、上記指針をもって、「ブロッキングについて政府は法的リスクを負い、ゴーサインを出す。」と評価するのですが、ブロッキングを許せないとする市民からの刑事告発に応じて警察が捜査を開始し、検察がこれを起訴しようとした場合に、政府として指揮権発動などの強硬手段を採用する覚悟まであるのかがよくわかりません。実際に起訴されてしまえば、ブロッキングに関与したISPの担当者は、「政府解釈を信じたのだ」という主張をしても無意味です。法令の解釈を間違って、自己の行為は適法であると信じていたとしても、裁判所がその行為を違法だと判断したら、故意責任は阻却されないからです。その場合に、政府はどのように責任をとるのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 12:01 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/24/2017

私的Best7 in 2017

もう2017年も終わりを迎えますので、2017年になって私が初めて知った曲でこれはというものをいくつか紹介してみることとしましょう。


teto「暖かい都会から」



 駆け抜ける疾走感、まだ青臭さの抜けない歌詞。まさにロックの王道と言ったところです。

忘れらんねえよ「花火」



 非モテ男性の心情を歌わせたら今一番ではないかと私が思っている「忘れらんねえよ」のバラードです。この歌詞とこのメロディラインで、どうして売れなかったのか不思議なくらいです。

ヤバイTシャツ屋さん「ハッピーウェディング前ソング」



 これまで結婚や恋愛や出会いに関する歌はたくさん作られてきましたが、ここまではじけた歌詞の歌はなかったと思います。それでいて、リズム隊の演奏も、ツインボーカルのハーモニーも完璧なのですから、異能の集団と呼ぶしかありません。

The Peggies「ちゅるりらサマフィッシュ」


 The Peggiesのライブにおいて、コール&レスポンスに用いられる楽曲です。メジャーデビューシングル「ドリーミージャーニー」のカップリング曲になっています。PVがアップロードされていないのが残念。

大森靖子「サイレントマジョリティ」



 言わずとしれた欅坂46のヒット曲のカバーです。でも、この歌詞は、欅坂には重すぎたのか、歌わされている感が否めませんでしたが、大森靖子だと、心の奥底からの叫びとしてすっと入ってきます。なお、大森靖子のライブでもこの歌を聴いたのですが、そちらの方が情念が5割増に感じました。

李權哲 Jerry Li feat. 熊仔 Poetek「Hide & Seek」



 普通におしゃれで格好良い仕上がりです。最近は、愛国者系を中心に「台湾好き」を公言する人たちが多いのに、何で熊仔が評価されないのか不思議でなりません。

Jain「Makeba」



製作・公表はもっと昔のようですが、私が知ったのは年が明けてからなので。サブサハラの音楽を取り入れるのが1つのトレンドになっていくのでしょうか。なお、ここでいう「Makeba」とは、南ア出身の国際的女性シンガーで、反アパルトヘイト活動で国外追放されたミリアム・マケバのことをいいます。

Posted by 小倉秀夫 at 01:03 PM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/15/2017

2017年のライブ観戦

 私が2017年に自腹で行ったライブは、下記の通りです。特徴としては、平日の夜に行くことを躊躇しなくなったことと、東京周辺に拘らなくなったことです。多分、The Peggiesのライブに今年だけで8回行った弁護士は私だけでしょう。

日付 会場 Artist
1/29EX THEATER ROPPONGI神聖かまってちゃん
3/3 TSUTAYA O-WEST The Peggies
3/15新宿SAMURAIペロペロしてやりたいわズ。
4/1新潟lotsSCANDAL
4/9 渋谷CLUB QUATTROThe peggies / ポルカドットスティングレイ / ビッケブランカ
6/3LIVE HOUSE enn 3rd The Peggies
6/17LIQUIDROOMThe Peggies
7/2東京キネマ倶楽部神聖かまってちゃん
7/17shibuya eggmanHeavenstamp/緑黄色社会
8/9高崎 club FLEEZtricot/リーガル・リリー
9/9タワーレコードThe Peggies
9/15渋谷WWWThe Peggies
9/23WWW宇宙人(Cosmos People)
9/29TSUTAYA O-nestThe Wisely Brothers
10/11赤坂BLITZゲスの極み乙女。
10/29LIVE HOUSE FEVERFINLANDS
11/23梅田Shangri-LaThe Peggies
12/2赤坂BLITZThe Peggies / ねごと / パスピエ / tricot
12/14恵比寿ザ・ガーデンホール大森靖子/TK from 凛として時雨

Posted by 小倉秀夫 at 09:19 AM dans musique | | Commentaires (0)

11/02/2017

リーチサイトと違法私的ダウンロード

 リーチサイトが行っていることって、既に送信可能化が行われているコンテンツについて、公衆が送信要求をする機会を増やすことでしかありません。したがって、送信可能化を客観的に容易にしたといえないことは明らかです。では、公衆が送信要求をする機会を増やし、その結果、自動公衆送信がなされる機会を増大させた(あるいは、実際に自動公衆送信がなされる回数を増大させた)ことは、自動公衆送信を幇助したことにあたるでしょうか。

 自動公衆送信の回数を増大させる行為のうち、自らがダウンローダーとして送信要求を行う行為については、自動公衆送信の教唆又は幇助して扱うのではなく、送信されてきたデータをユーザー側の記録媒体に複製する行為の一部を複製権侵害(私的証目的がない場合)ないし違法コンテンツ私的ダウンロード罪(119条3項)として取り扱うというのが、現行の著作権法の基本的な枠組みです。

 そうだとすると、リーチサイトを運営することによって違法コンテンツについて公衆が送信要求する機会を増やしたことをもって自動公衆送信の幇助とするのは、上記基本枠組みとの関係で唐突という感が否めません。

 どうしてもリーチサイトを刑事罰の対象としたいのであれば、むしろ、公衆が違法コンテンツ私的ダウンロード罪を犯すことを客観的に容易にしたということで、違法コンテンツ私的ダウンロード罪の幇助とする方がまだいいのではないかと思います。この場合、当該リーチサイトを経由して私的ダウンロードをした人(正犯)が119条3項の要件を具備していること並びにそのことについてリーチサイトの運営者に故意があることが必要となるので、要件が大分絞られるからです。

 とはいえ、違法コンテンツの私的ダウンロードは、民事的にも違法とされているのですから、権利者たちは、まず民事訴訟を提起することにより、違法コンテンツにリンクを貼ることが違法私的ダウンロードの幇助になるのか否かについて、知財部の判断を仰ぐべきだったのではないかと思うのです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/01/2017

リーチサイトについての取材(ロングバージョン)

 リーチサイト問題について、一昨日共同通信から取材があり、一昨日から昨日にかけてこれに応じていました。その結果を盛り込んだ記事が共同通信から各メディアに送られているとは思います。

 もっとも、紙面の都合上、非常に圧縮された形で私の見解が掲載されたに留まりますので、備忘録的な意味もかねて、ロングバージョンをこちらに記載しておこうと思います(Qについては、適宜要約しています。)。

【Q】リーチサイトそのものを規制するべきかどうか。

【A】現行法においても、他人の犯罪行為を違法に幇助した者は従犯として処罰の対象となっており、著作権侵害罪を幇助したものについても同様である。著作権侵害罪の従犯とならないリーチサイトについてまで新規立法で規制することは、バランスを欠くこととなる。

【Q】規制するならどういう形がふさわしいか。

【A】仮にリーチサイトを規制する新規立法を行う場合、国内在住者の知る権利を不当に害しないように、無償でまたは所定の対価を支払えば誰でも正規に提示・提供を受けることができる著作物等をアップロードしているサイトにリンクしている場合等に限定するべきであろう。また、リンク先が違法アップロードサイトであることについて確定的故意を要することにことも必要である(リンクを貼るにあたって、権利処理の有無についてリンク先に照会する義務を負わせることは適切でないからである。)。また、サーバ所在国において著作物等の無許諾アップロードが不可罰又は微罪である場合に、そこに国内からリンクを貼る行為に重い刑を科すことができるようにすることは、主犯と従犯との刑罰のバランスという観点からして不適切である。

【Q】日本人向けリーチサイトが多数存在する現状についてどう思うか。

【A】元来遵法精神の高い日本人のうちそれほど多くの人がリーチサイトを利用して違法アップロードされたデータにアクセスしているとすれば、それは、コンテンツを正規に提供するビジネスの側が様々なニーズに応えられていないということだと思う。また、動画については、違法にアップロードされたものをダウンロードする行為自体を刑事罰の対象とする立法が権利者団体のロビー活動の成果としてなされたが、それが全く無意味であったことを意味すると思う。

【Q】今回、大阪府警などの合同捜査本部が著作権法違反容疑でリーチサイトの運営者らを捜査している件について、どう考えるか。

【A】他人の著作物を違法にアップロードしているサイトにリンクを貼ることが著作権侵害行為の違法な幇助となるか否かについては法律解釈の争いがある状況下において、刑事事件として処理をすることは適切さを欠いている。刑事裁判の場合、訴追側と弁護側とで法律論争をする局面が極めて限られている上、これを裁くのが、知的財産権専門部の裁判官ではなく、(知的財産権については素人である)刑事部の裁判官だからである。

Posted by 小倉秀夫 at 11:07 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

09/04/2017

CM出演契約における結婚禁止特約と公序良俗

 武井咲さんが、いわゆるデキ婚をしたことを発表したことに伴い、スポーツ紙などでは、所属プロダクションが巨額の違約金を支払わされるのではないかということが話題となっています。これに対して、そもそも結婚や妊娠をしたら違約金を支払わせる旨の条項は公序良俗に反し無効なのではないかとの見解も発表されています。

 もっとも、民法90条自体が「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」という抽象的な条文であり、何をもって「公の秩序」とし、何をもって「善良の風俗」に反するとするのかは不明です。このため、民法学では、公序良俗違反となる行為を類型化することで、無効となる行為の予測可能性を高めようとしています。

 公序良俗違反の類型論として著名なのは我妻栄先生のものなのですが、さすがに初出が大正12年ということで古いので、ここでは山本敬三先生の類型論を参考にしてみましょう(ただし、新版注釈民法からの孫引きです。)。  山本先生は、公序良俗を、A:秩序の維持、B:権利・自由の保障、C:暴利行為の規制とに区分しています。ここでは、とりあえずBが問題になりそうです。憲法第24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と定めているからです。

 もっとも、憲法上保障された権利や自由を制限する条項だから直ちに公序良俗に違反するとは言えません。憲法は、個人に保障された権利等を行使することを特定の個人に強いるものではなく、一定の反対給付と引き替えに、自己の有する憲法上の権利の行使を制限する義務を負うこともまた、契約自由の原則の一環として認められるべきだからです(最高裁は、雇用契約中に政治活動をしないことを条件とする特約の有効性を認めています(最判昭和27年2月22日民集6巻2号258頁))。

 当該商品・役務等を広告するのに相応しいイメージに合致すること、並びに、その氏名・肖像等が高い顧客吸引力を有しているが故に、広告主から広告代理店経由で所属プロダクションに広告のオファーが来ます。広告主としては、一定期間その肖像等を広告として使用する対価として相当の広告出演料をプロダクションに支払う以上、そのタレントに広告をオファーする際に重視した「イメージ」が広告契約期間中維持されることを求めるのは合理的です。したがって、上記イメージを損なうような行為を当該所属タレントに行わせないようにする義務を課す条項を広告出演契約の中の特約として含めるのは、広告主としては経済的に合理的であり、通常、反対給付(広告出演料)とバランスがとれています。  プロダクションとしては、そのような特約を含むオファーを受け入れた以上は、所属タレントがこれに反する行為をし、広告主が求めていたイメージを損なうことをしてしまった以上は、債務不履行責任を負うのはやむを得ないように思います。広告出演契約においては、そのタレントが有するイメージを含めて対価が支払われているのであり、かつ、そのタレントが有する「イメージ」は必ずしも「役柄」によって形成されるものに限らず、そのタレントについて公的に知られている私的な事項も含まれているからです(おしどり夫婦として知られているタレントに、仲の良い夫婦をターゲットとした商品等に関するオファーが来ることを想像してください。)。したがって、「清純」というイメージを売りにしているタレントについて広告出演契約をオファーするに当たって、「清純」というイメージを損なう行為の禁止する特約を織り込むことも対価性のバランスがとれており、公序良俗に反するものとまでは言えないように思います。

 したがって、所属タレントが特約に反する行為を行ったために当該CMを放送しないことにしたり、急遽別のタレントを使用したCMを作成するなどして被った損害について、広告主が所属プロダクションに賠償請求することは問題が無いように思われます。その特約に反する行為が、妊娠、結婚など、憲法上自由に行うことが可能な行為であったとしてもです。

 その結果、プロダクションが弁済を余儀なくされた賠償額を当該タレントに求償しうるかというのは、また別の問題です。ただし、そのような損害を求償できる旨の条項が専属実演家契約に含まれており、かつ、当該タレント自身、当該特約が含まれていることを知りつつ、当該CMのオファーを受けることを社内的に承諾している場合には、プロダクションによる求償権の行使を制約する理由がないように思います。

 もっとも、その場合であっても、所属プロダクションは、CM出演契約に特約として定められている違約金全額を支払わなければいけないかは別問題です。損害賠償額の予定ないし違約金条項が、想定される損害に比して過大である場合には、超過部分について公序良俗に反し無効とされる可能性があるからです。所属タレントが特約に反した行為を行い、その広告に利用しようとしていたイメージが損なわれたとして、通常は、そのCMを継続して使用しなければ良いだけの話ですから、特段の事情がない限り、新たなCMを急遽作成するのに要する費用を大きく上回る額を違約金として定めていたとすれば、超過分は無効となるのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 10:22 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

06/14/2017

2017年上半期

 次週の関ジャムが、2017年上半期ベスト10を発表するようなので、私も先に上半期気になった曲を紹介することにします。

 まずは、それでも世界が続くならの「消える世界のイヴ」

 こんな純粋な歌を作り、歌える人たちが未だに社会に受け容れられていないのが信じがたいです。この歌を聴いて心を動かされないような大人にだけはなりたくありません。

 次に、サビが耳に残るチリヌルヲワカの「ドルチェ」。

 メロディラインは何とも古風なんだけど、歌謡曲ではなく、バンド楽曲として演奏しきったのが勝因のような気がします。

 スチャダラパーとEGO-WRAPPIN' の「ミクロボーイとマクロガール」は、PVが8割と言ったところでしょうか。能年玲奈の勝利です。

 PVと楽曲とで合わせ技一本というべきなのは、Christophe Maéの「Marcel」。この格好よさとおしゃれ感がそうして日本で受け容れられないのか不思議です。

 メランコリック写楽の「ヨーロッパ返して」は、もうタイトルの勝利です。

 凡人が100年考えたって、「ヨーロッパ返して」なんてタイトルは思い浮かびません。

 大森靖子「ドグマ・マグマ」は、設定の勝利ですね。

 神様目線の楽曲なんて、なかなか作れるものではありません。

 ウォルピス・カーターの「晴天前夜」。

 男性ボーカルの歌とは信じがたい出来。

 復活したゲスの極み乙女の楽曲の中では「Darumasan」が最高です。

 楽曲の格好よさと歌詞のくだらなさのバランスが、これぞゲスの極みというか。メジャーデビューで失われかけていたものが戻ってきたというか。

 ColdplayがチャリティイベントOne Love Manchesterで演じた「Viva la Vida」。

 この歌は、こうやればライブでできるんだという驚き。ティンパニー凄いとしか言いようがありません。というか、こういう悲劇のあとのチャリティイベントでちゃんと歌うべき歌を持っているって、みんなさすが。

Posted by 小倉秀夫 at 02:07 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)