07/13/2019

2019年上半期のおすすめ

2019年も半分が過ぎたので、この上半期に私が知るに至った楽曲で特に気に入った曲を紹介していくことにします。

The Peggiesの「スタンドバイミー」

テレビアニメ「さらざんまい」のエンディングテーマですが、10年代の最後を飾るにふさわしい名曲です。「きみ」と「ぼく」との微妙な関係(恋人同士とも取れるし友人同士ともとれますが)を歌い上げた歌詞も見事ですし、北澤さんのボーカルと石渡さんのベースとの関係も秀逸です。もちろん、ドラムの大貫さんはいつも通り最高の仕事をしています。

上半期のThe Peggiesのナンバーでは、「する」も超絶です。

日本のガールズバンドでこの歌詞が書けるのは、The Peggiesだけ(というか、北澤さんだけ)だと思いますし、ここまでハードに演奏できるのもThe Peggiesだけだろうなと思います。

歌詞に関して言えば、ヨルシカの「だから僕は音楽を辞めた」に注目をすべきです。

いたるところに引っかかるフレーズをちりばめつつ、最後まで聞くと全体のストーリーがきちんと見えてくる。若い子たちの歌は何いっているのかわからないとか、やっぱり日本人の心は演歌だよねとかいっているおじさんたちはこの歌詞を10回ぐらい熟読して欲しいところです。

ボーカルの凄さという点では、majikoの「狂おしいほど僕には美しい」がやばいです。

The Peggiesの対バン相手だったので、偶然ライブで見たのですが、ボーカルのエネルギーが半端でなかったです。この感覚は、やはりThe Peggiesの対バンで大森靖子の「音楽を捨てよ、そして音楽へ」を聞いた時以来です。

 

PVの勝利だと思ったのは、黃明志の「Behind Me(在我背後)」です。

黃明志ことNameweeはマレーシアのアーティストです。台湾の銘伝大学コミュニケーション学部卒なので、普通に中国語で歌いますが。彼は、< a href = "https://www.nst.com.my/news/crime-courts/2018/02/338071/namewee-arrested-over-controversial-cny-video">そのミュージックビデオが人種的な対立を煽るものとして逮捕された</a >ばかりなので、それを踏まえてみると、グッとくるものがあります。

熊仔 Presents BOWZ CHOOSE WISELYの 「禁愛令(Antilove)」も現代的なセンスを感じます。

素材としての凄さを感じるのが、みきなつみの「ぼくにとってのヒーロー」です。2013年にZara Larssonを「発見」したときの感覚に似ています。

タイトルの勝利だと思ったのは、スガシカオの「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」です。

今年は、改元が行われたので、これに乗じた作品がいくつも出てきましたが、そのなかでは、sasukeの「平成終わるってよ」が秀逸です。

Posted by 小倉秀夫 at 11:40 AM | | Commentaires (0)

01/04/2019

平成最後のパブコメ

A:リーチサイト等を通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応

権利侵害情報を含むWebページへのリンクの提供行為自体を違法な行為と規定するか否か、規定する場合どのような条件を課すか、リンク先のWebページに権利侵害情報が含まれている場合にリンクの削除義務を課す規定を置くか否か、置くとした場合どのような条件を課すか、その場合、検索エンジンについて特別の規定をおくか否かという問題については、そのWebページにおいて侵害されている権利が著作権や著作隣接権であるか否かによって対応を変える必要があるとは思えない。したがって、この問題は、著作権法の改正により著作権等が侵害された場合に限定した問題として立法的な解決を図るべき問題ではなく、プロバイダ責任制限法の改正等により、汎用的に立法的な解決が図られるべきものである。

なお、検索エンジンの大半は外国企業によって運営されているから、日本にいる被害者が外国企業たる検索エンジン提供事業者に対し安価かつ迅速に侵害情報へのリンク等の削除を求める仮処分等を申し立てることができる仕組みを構築しなければ、著作権法改正により上記削除義務を法定しても実効性を持たないことが予想される(例えば、Google Incは、日本在住者をもターゲットとして検索エンジンサービス等の提供を業として行なっているにも関わらず、外国法人としての登記を日本において行なっておらず、日本における代表者も定めていない。このため、Google Incに対し、違法サイトへのリンクの削除を求めて仮処分を申し立てまたは訴訟を提起しようとしても、Goole Incの代表者を証した公文書を取り寄せることが求められるとともに、主著書面および書証を英訳することが求められ、さらに仮処分であれば決定書が領事送達の方法によりGoole Incに送達されなければ効力が生じず、訴訟であれば訴状等が領事送達の方法で送達されなければ第一回口頭弁論期日さえ行えない。Google合同会社に対して仮処分を申し立てたり訴訟を提起したりしたところで、自分たちには権限がないと主張されて終わるだけである。)。したがって、外国の事業者に対する訴訟ないし民事保全に関する法整備を行うことなくただ漫然と検索エンジンサービス提供事業者に違法サイトへのリンクの削除義務を負わせる立法をしたところで、日本国発の新たな検索エンジンサービス事業の創設を阻害する以上の機能を持たないことは容易に予想される。

B:ダウンロード違法化の対象範囲の見直し

 違法にアップロードされたコンテンツの私的使用目的のダウンロード行為を不法行為としまたは犯罪行為とした場合、特定の人物(以下、「被疑者等」という。)がそのようなダウンロードをしたことを権利者がその権利者が民事訴訟または保全手続において立証し、もしくは検察が刑事裁判の中で立証するためには、被疑者等が使用している端末を物理的に押さえ、専門家による調査を行わせることが必要である。そのためには、訴えや保全申立て前の証拠保全や、捜査段階での捜索差押が用いられることにならざるを得ない。このようにして被疑者が使用するコンピュータ等の端末が押さえられ調査された場合、証拠保全を申し立てた「権利者」や捜索差押を実施した捜査機関は、その「被疑者」がいつどこにアクセスしてどのようなコンテンツをダウンロードしたのかを包括的に知ることになる。それはプライバシー権や思想・良心の自由を大いに侵害することになる。
 インターネットに接続しコンテンツをダウンロードする機能を有する端末機器を保有しているほとんどの市民には違法にアップロードされたコンテンツを私的にダウンロードしている可能性がある反面、そのようなダンロードにはそれ以上に特別な機器等を必要としない。このため、裁判所としては、被疑者等がそのような端末を保有している蓋然性が高いことだけチェックして令状の発布等を行うか、その他に違法ダウンロードをしている蓋然性が高いことを示す資料の提出を求めて事実上令状等の発布等を行わないこととするかの二者択一を迫られることとなる。前者の場合、別件の捜査のために、私的ダウンロード罪を被疑事実としてパソコン等の捜索差押がなされたり、マスメディア等が著名人に関する醜聞を追いかけるためにその著名人等のパソコン等について証拠保全の申立てをしたりする危険性がある。後者の場合、改正法はほぼ実効性を有しないこととなる。
 
 また、違法アップロードコンテンツのダウンロードの違法化・犯罪化は、その捜査等の過程で広く市民のプライバシー権や思想・良心の自由を制約することとなるので、これによりコンテンツの売上が飛躍的に向上する見込みが立たないのであれば実施すべきではない。それゆえ、上記立法が先行的になされた音楽・映像コンテンツについて、法改正の結果正規の音楽コンテンツおよび映像コンテンツの売上額の向上に繋がったのかをまず検証すべきである。
 なお、音楽コンテンツについては、違法にアップロードされたコンテンツの私的使用目的でのダウンロードを違法化しても音楽CDの売り上げの減少傾向に歯止めはかかっておらず、ダウンロード配信の伸びも、人気アーティストのデジタル配信への参加が広まっていったにも関わらず、ダウンロード行為を犯罪化した2012年以降、有料配信回数は着実に減少している(日本レコード協会が公開しているデータをもとにシングルトラックとアルバムの音楽配信売上額の推移を見てみると、ピークである2009年を1とした場合に、2010年が0.97、2011年が0.83、2012年が0.66、2013年が0.50、2014年が0.49、2015年が0.48。2016年が0.46である。)。反対に、違法にアップロードしたものであってもその視聴等が違法化されていないストリーム配信の売上額は2009年度のそれと比べて2016年度のそれは約20倍となっている。これをみる限り、ダウンロードの違法化、犯罪化は、コンテンツのうる上げを増大させるという目的との関係では、むしろ逆効果となっている可能性が高い。

 著作権等の制限に関する規定やこれに関する判例は国ごとに大きく異なっており、有償で正規にコンテンツ配信を行う事業者において自国法に基づいて必要な権利処理を行ったとしても、日本法を前提とした場合には権利処理が不十分とされる場合がありうる(例えば、著名な有償著作物に関するパロディ作品など。)。この場合、日本在住者または日本国外にいる日本国民は、その事業者の本国において適切に権利処理されている作品をダウンロード購入したのになお、日本で処罰される危険を負うことになる(理論的には、ダウンロード購入をする前に、日本法を前提とした場合には配信者がしなければならない権利処理を購入者側で行うことでこのリスクを回避することが可能であるが、現実的ではない。)。
 これは、日本在住者等のみが、特定の情報を知ること自体許されなくなるという事態を招来させるものであり、国民の知る権利をないがしろにするものである。したがって、配信事業者の本国法において必要な権利処理がなされたコンテンツについては、日本法のもとで必要とされる権利処理に不備があったとしても、そこからのダウンロードを不法行為ないし犯罪行為とするべきではない。

Posted by 小倉秀夫 at 12:55 PM dans D'autre problème de droite | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/19/2018

ライブ鑑賞結果報告 IN 2018

 今年私が行ったライブはおおむね下記の通りです。
























































日付会場アーティスト
02/07千葉LOOKteto/Czecho No Republic
03/04下北沢SHELTERLuca / Hump Back
03/10仙台ennThe Peggies
03/25赤坂BLITZThe Peggies
03/26下北沢 BASEMENT BARFinlands
04/23下北沢CLUB251The Peggies
05/11中野サンプラザホールSCANDAL
05/18静岡市清水文化会館SCANDAL
05/19岐阜市民会館SCANDAL
07/01KYOTO MUSEThe Peggies
07/05WWW XThe Peggies
07/21下北沢 BASEMENT BARLucie, too / the wisely brothers
08/27下北沢SHELTERThe Peggies
09/02下北沢CLUB Queそれでも世界が続くなら
09/16WWW XShiggy Jr./ The Peggies
09/19EX THEATER ROPPONGポルカドットスティングレイ / Official髭男dism
10/16渋谷CLUB QUATTROFinlands
10/18TSUTAYA O-nestKOTORI/SUNNY CAR WASH
10/20東京ビッグサイトThe Peggies
11/12DaikanyamaLOOPハルカトミユキ / リーガルリリー
11/20Zepp TokyoScandal
11/26福岡DRUM Be-1The Peggies
12/02TSUTAYA O-EASTThe Peggies
12/14WWW Xtricot
12/16shibuya eggmanみきなつみ

 あとは12月24日のScandalのライブを観ておしまいです。

Posted by 小倉秀夫 at 10:26 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/09/2018

2018年私的ベスト10

 今年も年末になりましたので、昨年末から今日までにかけて私が新たに認識した楽曲の中で私的におすすめのものを列挙していきたいと思います。

The Peggies 「ハートビート」


Apple Musicではこちら、spotifyではこちら

 今年は、The Peggiesが精力的に新曲を出し続けた年でした。「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のオープニングテーマに「君のせい」が使用されたことで、アニメ愛好家の認知も得たようです。


 ただ、今年公開されたThe Peggiesの楽曲の中では、「ハートビート」が一番質が高かったかなと個人的には思います。大貫さんのドラムも、石渡さんのベースも創造性にあふれているし、北澤さんも紡ぎ出す歌詞も完璧です。

Scandal「プラットホームシンドローム」



 Scandalが今年発売したアルバム「HONEY」は傑作です。Scandalは四人全員容姿端麗だし、デビュー当初はギャルっぽさを売りにしていた部分があるので誤解されがちですが、現在は結構ハードなロックバンドです。ドラムもベースもギターも、全てが疾走感を醸し出しています。プラットホームシンドロームでは、イントロのリードギターのリフから全力で駆け抜ける感じが極めて気持ちが良いのです。そして、現在の彼女たちはこれをライブでも再現する能力を持っています。

泉まくら 『いのち feat. ラブリーサマーちゃん』



 The Peggiesの3人と中学・高校の同級生であるラブリーサマーちゃんが泉まくらさんと組んで発表したのがこの楽曲です。この楽曲の良さは、圧倒的な歌詞の強さですね。曲がおしゃれだから、歌詞の強さが余計引き立ちます。

みきなつみ「ボクらの叫び」



 歌詞の力強さという点では、みきなつみ「ボクらの叫び」も負けていません。こんな真っ直ぐの歌詞をかける若さと才能に、大人たちはもっと気付くべきだと思います。

SUNNY CAR WASH「ムーンスキップ」



 ボーイズバンドによるストレートなラブソングですが、冒頭で「賛否両論です」と歌い上げることでまず聞き手を惹き付けるあたりが、荒削りにみえてよく練られています。

時速36km「七月七日通り」



 ボーズバンドで今年新たな発見と言えば、この時速36kmですね。リードボーカルの声質が良く、滑舌も良いので、この難解な歌を普通にこなせています(ライブを観ていないので、生音でどうなるのかまでは分からないのですが。)。

FINLANDS「yellowboost」



 リードボーカルの声質という点では、Finlandsも未だ健在です。このバンドは、サポートメンバーの男性二人(ギターとドラム)が超絶的に上手いのもあり、塩入さんの特殊な歌い方が、疾走感に哀愁を付加します。

ZAZ「Qué vendrá」



声質の良さという点で言えば、フランスのZAZも健在です。この歌も、この声質で歌われるからこそ、この伴奏で成立するんだといえそうです。

熊仔×Julia Wu 吳卓源×RGRY「買榜」



 これとは大局的に、曲もPVもおしゃれに仕上がっているのが、「買榜」です。まあ、見ての通りメンバーが凄いので、できがいいのは当然なのですが。

ずっと真夜中でいいのに。「脳裏上のクラッカー



 最後に、なぞのユニット「ずっと真夜中でいいのに。」の作品。メンバーの芸名は公開されていますが、PVがオールアニメーションですから、どんな人が演奏しているのかが今のところ全く分からなかったりします。華やかな歌詞と派手なメロディが続く当たり、ボカロ楽曲の影響が強そうです。

Posted by 小倉秀夫 at 08:53 AM dans musique | | Commentaires (0)

10/04/2018

シラバス変更

明治で担当している法情報社会Bの授業、ちょっとシラバスを変更することにしました。まあ、ブロッキング問題に言及する回を設定するだけですが。
































































回  テーマ 
第1回 IT社会の発展史
第2回 フェアユース
第3回 利用規約
第4回 CLOUD
第5回 フリーソフトウェア
第6回 大学と情報法
第7回 ヴォーカロイド
第8回 ポイント・仮想通貨
第9回 ブロッキング問題
第10回 政治と選挙と情報法
第11回 AIと法律
第12回 風評被害
第13回 IT犯罪
第14回 発信者情報開示をめぐる最前線

Posted by 小倉秀夫 at 12:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0)

07/11/2018

2018年上半期ベスト5

 この次の関ジャムで「今年の上半期おすすめの5曲」コーナーをやるみたいなので、私的におすすめの5曲を披露していこうと思います。

 まずは、あいみょん/尾崎世界観(クリープハイプ)/片岡健太(sumika)/GEN(04 Limited Sazabys)/斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)/スガ シカオがシンガーとして参加する「栞」ですね。

 案外このクラスのアーティストがこのくらい集まって1つの曲をやるって珍しいし、楽曲自体もできがすこぶるよいです。

 次に、大森靖子の「死神」。ライブではアコースティックギター一本の弾き語りで演じられることが多いですが、こちらのPVのアレンジの方がなお良いように思います。子どもを育てていく決意をこのように表現した、力強い楽曲って、類例が乏しい気がします。

 次に、緑黄色社会の「真夜中ドライブ」

 緑黄色社会は、なまじリードボーカルが美人なだけに、ここのところそれを活かそうとしすぎて失敗してきた感があったのですが、ようやく閃光ライオネットのころの輝きを取り戻した感があります。

 そして、Hump Backの「拝啓、少年よ」。

 従前、男性ボーカルユニットが扱ってきたようなストレートなメッセージソングをガールズバンドが扱う時代になったのだなあと。チャットモンチーが活動を終える年にこういうバンドが出てくるんだなあ(まあ、去年「星丘公園」で知る人は知る存在にはなっていましたが。)。

 最後にThe Peggiesの「ハートビート」。

 PVはないようですが、iTunesだとこちら。The Peggiesは、若手ガールズバンドの中ではドラムとベースがピカイチであることを証明してくれる楽曲です。もちろん、北澤さんのソングライティング能力と卓越した声質があっての話ですが。

 昨年12月まで範囲を広げると、とけた電球の「心が忘れない」やLucie, Tooの「Lucky」なども入ってきますね。

Posted by 小倉秀夫 at 02:24 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/15/2018

政府解釈の意味

 慶應義塾大学の中村伊知哉先生によると、海賊版サイトブロッキング問題について、知財本部・犯罪対策閣僚会議は、下記の方針を決めたとのことです。


1.法制度を整備する。次期通常国会を目指しブロッキングの法的根拠となる制度を整備する。リーチサイト対策も進める。

2.それまでの緊急避難としてのブロッキングについて、政府は「違法性が阻却される」との解釈を示す。

3.これを受けてISP+コンテンツら民間の対応を進めるタスクフォースを作る。


 この中で一番分からないのは2.です。

 緊急避難という制度は古くから刑法に組み込まれているものであり、その解釈については学説・判例が既に積み重なっています。司法部門は通常、既存の最高裁判例や下級審裁判例、そして通説的理解に沿って、認定事実に法を当てはめて結論を導きます。したがって、ISPが海賊版サイトへのアクセスをブロッキングすることについて刑法上の「緊急避難」が成立するかどうかは、緊急避難に関する判例・通説に従って判断されるわけです。

 では、政府がISPが海賊版サイトへのアクセスをブロッキングすることについて刑法上の「緊急避難」が成立するので「違法性が阻却される」との解釈を示すことに何の意味があるのでしょうか。

 緊急避難制度を創設する際の起草者の意思や国会での議論であれば、立法者意思が示されたという意味で、解釈論上の重要な参考資料となります。しかし、緊急避難制度は遥か昔に創設された制度ですので、今更政府が緊急避難についての法解釈を示したところで、それが立法者意思を示したものでないことは明らかです。

 日本国憲法は三権分立制度を採用しており、裁判所は、法令を解釈して、これを認定事実に当てはめる過程において、行政機関の指示や解釈に従う義務を負いません。したがって、海賊版サイトへのアクセスのブロッキングについては違法性が阻却されるという解釈を政府が示したとしても、その解釈を採用する必要が裁判所にはないのです。

 「過去の判例・裁判例や学説を検討した結果、海賊版サイトへのアクセスのブロッキングについては、緊急避難が成立し違法性が阻却されるという判断を裁判所が下す可能性が高い」という分析を政府機関がしてみせるというのはありかも知れません。ただ、知財本部・犯罪対策閣僚会議の構成メンバーを見る限り、そのような分析を行うには力不足の感が否めません。刑法学者や刑事部回り中心のベテラン裁判官、刑事弁護で定評のある弁護士などがメンバーに含まれていないからです。

 あるいは、電気通信事業法違反(通信の秘密違反)の罪については、警察に捜査をさせず、検察に起訴をさせないという、政府としての態度表明なのかもしれません。ただ、警察も検察も行政機関の1つとは言え、準司法機関たる性質を有するので、従前の判例通説に従えば犯罪となるべき行為について捜査・起訴をしないように政府が介入してみせることが適切なのかという問題を生じます。

 中村先生は、上記指針をもって、「ブロッキングについて政府は法的リスクを負い、ゴーサインを出す。」と評価するのですが、ブロッキングを許せないとする市民からの刑事告発に応じて警察が捜査を開始し、検察がこれを起訴しようとした場合に、政府として指揮権発動などの強硬手段を採用する覚悟まであるのかがよくわかりません。実際に起訴されてしまえば、ブロッキングに関与したISPの担当者は、「政府解釈を信じたのだ」という主張をしても無意味です。法令の解釈を間違って、自己の行為は適法であると信じていたとしても、裁判所がその行為を違法だと判断したら、故意責任は阻却されないからです。その場合に、政府はどのように責任をとるのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 12:01 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/24/2017

私的Best7 in 2017

もう2017年も終わりを迎えますので、2017年になって私が初めて知った曲でこれはというものをいくつか紹介してみることとしましょう。


teto「暖かい都会から」



 駆け抜ける疾走感、まだ青臭さの抜けない歌詞。まさにロックの王道と言ったところです。

忘れらんねえよ「花火」



 非モテ男性の心情を歌わせたら今一番ではないかと私が思っている「忘れらんねえよ」のバラードです。この歌詞とこのメロディラインで、どうして売れなかったのか不思議なくらいです。

ヤバイTシャツ屋さん「ハッピーウェディング前ソング」



 これまで結婚や恋愛や出会いに関する歌はたくさん作られてきましたが、ここまではじけた歌詞の歌はなかったと思います。それでいて、リズム隊の演奏も、ツインボーカルのハーモニーも完璧なのですから、異能の集団と呼ぶしかありません。

The Peggies「ちゅるりらサマフィッシュ」


 The Peggiesのライブにおいて、コール&レスポンスに用いられる楽曲です。メジャーデビューシングル「ドリーミージャーニー」のカップリング曲になっています。PVがアップロードされていないのが残念。

大森靖子「サイレントマジョリティ」



 言わずとしれた欅坂46のヒット曲のカバーです。でも、この歌詞は、欅坂には重すぎたのか、歌わされている感が否めませんでしたが、大森靖子だと、心の奥底からの叫びとしてすっと入ってきます。なお、大森靖子のライブでもこの歌を聴いたのですが、そちらの方が情念が5割増に感じました。

李權哲 Jerry Li feat. 熊仔 Poetek「Hide & Seek」



 普通におしゃれで格好良い仕上がりです。最近は、愛国者系を中心に「台湾好き」を公言する人たちが多いのに、何で熊仔が評価されないのか不思議でなりません。

Jain「Makeba」



製作・公表はもっと昔のようですが、私が知ったのは年が明けてからなので。サブサハラの音楽を取り入れるのが1つのトレンドになっていくのでしょうか。なお、ここでいう「Makeba」とは、南ア出身の国際的女性シンガーで、反アパルトヘイト活動で国外追放されたミリアム・マケバのことをいいます。

Posted by 小倉秀夫 at 01:03 PM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/15/2017

2017年のライブ観戦

 私が2017年に自腹で行ったライブは、下記の通りです。特徴としては、平日の夜に行くことを躊躇しなくなったことと、東京周辺に拘らなくなったことです。多分、The Peggiesのライブに今年だけで8回行った弁護士は私だけでしょう。

































































日付 会場 Artist
1/29EX THEATER ROPPONGI神聖かまってちゃん
3/3 TSUTAYA O-WEST
The Peggies

3/15
新宿SAMURAIペロペロしてやりたいわズ。

4/1
新潟lotsSCANDAL

4/9

渋谷CLUB QUATTRO
The peggies / ポルカドットスティングレイ / ビッケブランカ

6/3
LIVE HOUSE enn 3rd The Peggies

6/17
LIQUIDROOMThe Peggies

7/2
東京キネマ倶楽部神聖かまってちゃん

7/17
shibuya eggmanHeavenstamp/緑黄色社会

8/9
高崎 club FLEEZtricot/リーガル・リリー

9/9
タワーレコードThe Peggies

9/15
渋谷WWWThe Peggies

9/23
WWW宇宙人(Cosmos People)

9/29
TSUTAYA O-nestThe Wisely Brothers

10/11
赤坂BLITZゲスの極み乙女。

10/29
LIVE HOUSE FEVERFINLANDS

11/23
梅田Shangri-LaThe Peggies

12/2
赤坂BLITZThe Peggies / ねごと / パスピエ / tricot

12/14
恵比寿ザ・ガーデンホール大森靖子/TK from 凛として時雨

Posted by 小倉秀夫 at 09:19 AM dans musique | | Commentaires (0)

11/02/2017

リーチサイトと違法私的ダウンロード

 リーチサイトが行っていることって、既に送信可能化が行われているコンテンツについて、公衆が送信要求をする機会を増やすことでしかありません。したがって、送信可能化を客観的に容易にしたといえないことは明らかです。では、公衆が送信要求をする機会を増やし、その結果、自動公衆送信がなされる機会を増大させた(あるいは、実際に自動公衆送信がなされる回数を増大させた)ことは、自動公衆送信を幇助したことにあたるでしょうか。

 自動公衆送信の回数を増大させる行為のうち、自らがダウンローダーとして送信要求を行う行為については、自動公衆送信の教唆又は幇助して扱うのではなく、送信されてきたデータをユーザー側の記録媒体に複製する行為の一部を複製権侵害(私的証目的がない場合)ないし違法コンテンツ私的ダウンロード罪(119条3項)として取り扱うというのが、現行の著作権法の基本的な枠組みです。

 そうだとすると、リーチサイトを運営することによって違法コンテンツについて公衆が送信要求する機会を増やしたことをもって自動公衆送信の幇助とするのは、上記基本枠組みとの関係で唐突という感が否めません。

 どうしてもリーチサイトを刑事罰の対象としたいのであれば、むしろ、公衆が違法コンテンツ私的ダウンロード罪を犯すことを客観的に容易にしたということで、違法コンテンツ私的ダウンロード罪の幇助とする方がまだいいのではないかと思います。この場合、当該リーチサイトを経由して私的ダウンロードをした人(正犯)が119条3項の要件を具備していること並びにそのことについてリーチサイトの運営者に故意があることが必要となるので、要件が大分絞られるからです。

 とはいえ、違法コンテンツの私的ダウンロードは、民事的にも違法とされているのですから、権利者たちは、まず民事訴訟を提起することにより、違法コンテンツにリンクを貼ることが違法私的ダウンロードの幇助になるのか否かについて、知財部の判断を仰ぐべきだったのではないかと思うのです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)