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01/28/2004

「知財」狂想曲

 昨年、裁判官が技術に疎いために訴訟の進行が遅延したという事例を探しているけどなんかありませんかという照会がありました。でも、そういう事件って実際にはほとんどないんですよね。だから、知財訴訟を多く扱っている弁護士にしても、そういう実例を挙げられた人はほとんどいなかったのではないかと思うんですよね。っていうか、知財訴訟の場合、科学的・技術的な見地から真偽が争われるということはほとんどないから、そういう意味では科学論争・技術論争にはなりにくいんですよね。少なくとも、医療過誤訴訟に代表される不法行為訴訟と比べたら、全然科学論争なんかやらないですね。
 知財訴訟の場合、侵害の有無を争う場合はもちろん、登録の成否を争う場合にしても、事実を認定して、それを法規範に当てはめる、その際、法規範自体が不確定な領域が多いので法規範自体を筋道立てて定立する、そういう作業が多いので、どちらかっていうと、法規範を定立したり、事実を法規範に当てはめたりするのがだめな人にあたってしまうとどうしようもなかったりします。つまり、法律家としての資質に欠ける裁判官が知財訴訟を担当するのはいい迷惑というのが実際です。
 
 とはいえ、物を深く考えたり、事実をしっかり観察したりする習慣がない人々は、「知財」→特許やプログラム等の著作権→技術に詳しい理系出身者ならたちどころに解決!!なんて幻想を抱いてしまったりするのかもしれません。
 知財高裁構想や、技術判事構想って、思慮の浅い人々の思いつきをそのまま政策として実現してしまうという最近日本で流行の政策立案スタイルの一環なので、驚きはしないのですが、知財訴訟の一翼を担う立場からいわせて頂くと、堪忍してもらいたいなというのが正直な話です。

Posted by 小倉秀夫 at 01:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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» 技術系裁判官は必要か? de marinesはチャンネル?
久しぶりに、東大の勉強会に行ってきました。 Lire la suite

Notifié: 18 juil. 2004, 16:59:46

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