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03/18/2004

川端議員へのメール

川端達夫議員に下記のようなメールを送信しました。

川端達夫先生へ

先生が会長を務める「民主党知的財産制度改革推進議員連盟」総会が開催され、音楽CD輸入権、書籍・雑誌貸与権の立法化に向けた活動を行うことが決議されたとのニュースを聞きました。

レコード輸入権を創設する著作権法改正案の条項が既にいろいろなところで流布されています。

その条項案を見る限り、例えばビートルズの「Let It Be Naked」のように英米のメジャーレーベルが日本のレコード会社に日本国内向け商品をライセンス生産しているような場合、英米国内向けの音楽CDを並行輸入することは著作隣接権侵害行為として差止められる他、巨額の損害賠償を支払わされたり、懲役刑に処せられることになりそうです。

しかも、販売目的で輸入すると犯罪とされてしまう「国外頒布目的商業用レコード」は単に、「専ら国外において頒布することを目的とするもの」であって、国外において著作隣接権者自ら発行し、又は他の者に発行させていれば足り、「専ら国外において頒布することを目的とするもの」であることをレコード盤その他に表示することすら要しないので、前掲「Let It Be Naked」のように市場ごとにプレスする工場を峻別している場合には、米国向け商品としてプレスされたものは「専ら国外において頒布することを目的とするもの」とされることになろうかと思います。

 何を以て「不当に害される」と見るのかという点についても、この法改正の趣旨が、「日本国内の音楽CDの小売価格を外国のそれよりも顕著に高い価格に維持することによりレコード会社に超過利潤を保障する」ことにあるわけですから、「国外頒布目的商業用レコード」が国際標準価格で頒布されることにより、それが国際標準価格よりも顕著に高い価格にて販売されている「国内頒布目的商業用レコード」の代替となっている場合には「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害され」ているとみるのでしょう。そうすると、「Let It Be Naked」の米国盤の並行輸入品なんて、まさに日本盤をかなり代替していたわけで、まさに「利益が不当に害され」る場合にあたると認定されそうです。
 
 このように、レコード輸入権が創設された場合、レコードショップとしては、投獄される覚悟がなければ、洋楽CDの並行輸入は行えないということになります。すなわち、日本の消費者は、アメリカの消費者の2倍以上のお金をだしても、手持ちのCDプレイヤーで再生できるかどうかやってみなければわからないCCCD規格の商品しか購入できないということになります。日本の国会議員も官僚も、そんなに日本の消費者が憎いのか、どこまで日本の消費者を馬鹿にしたら気が済むのかと、音楽愛好者たちはほとんど呆れ気味の状況です。「政官業の癒着と腐敗、政治家の倫理観の低下」、「中央官庁による民への規制と押しつけ」により民の利益を大いに害される構図、「そして多くの政治家達がそれを後押しし、利権に群がっ」ているという構図、すなわち、先生が問題としている現代日本政治の問題点をまさにリアルタイムで見る思いで、このレコード輸入権創設への動きを我々音楽ファンは見ています。
 
 民主党は、一部の音楽業界の方々にいい顔をするために、全国の洋楽ファンを悲しませるような悪法をあっさり通すおつもりなのでしょうか。特定の業界に2番目に頼られる政党より、広く国民、消費者から1番信頼される政党を目指す気力、意欲というものは、民主党にはないのでしょうか。
 
 なお、私は、このレコード輸入権の問題は、各国会議員、各政党が、強力なロビー活動を行える業界団体と、一般国民ないし消費者と、どちらの利益をより重視しているのかを図るリトマス試験紙になると認識しています。民主党が、民主党に対する市民の期待を裏切らないことを切に願う次第です。

Posted by 小倉秀夫 at 02:31 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

03/14/2004

レコード輸入権の条文案の検討

著作権法改正案がネット上で出回っています。うち、レコード輸入権に関する部分は下記のとおりです。

第113条第5項を第6項とし、第4項の次に次の1項を加える。

5 国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下この項において「国内頒布目的商業用レコード」という。)を自ら発行し、又は他の者に発行させている著作権者又は著作隣接権者が、当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下この項において「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において自ら発行し、又は他の者に発行させている場合において、情を知つて、当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布する目的をもつて輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し、若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為は、当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り、それらの著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。ただし、国内において最初に発行された日から起算して7年を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した国内頒布目的商業用レコードと同一の国外頒布目的商業用レコードを輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し、若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為については、この限りでない。

 予想していたとおり、日本のレコード会社が日本国内向けにライセンス生産しているタイトルについても輸入権の対象に含まれています。しかも「専ら国外において頒布することを目的とする」ことをレコード盤その他に印刷することを要件としていません。したがって、The Beatlesの「Let It Be Naked」について米国版(CD-DA)を並行輸入する業者や並行輸入品を店頭に置く販売店を5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられる危険があります。やはり本能寺は洋楽CDの並行輸入にあったのかとの思いを強くします。
 
 ポイントは、何を以て「同一の商業用レコード」というのかということと、何を以て「当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害される場合」というのかということです。
 
 国内頒布目的商業用レコードがCCCDで国外頒布目的商業用レコードがCDDAの場合「同一の商業用レコード」といえるのか、アルバムの場合全収録曲が同一でなければ「同一の商業用レコード」といえないのかそれとも1曲でも共通していれば「同一の商業用レコード」といえるのかは必ずしも明らかではありません(でも、おそらく悲劇的な結末を迎えそうな気はしますが。すなわち、CCCDであろうとCDDAであろうと収録されている「音」の音源が共通していれば「同一の商業レコード」とされそうな気はします。裁判所は、音楽業界に優しいですから。)。
 
 何を以て「不当に害される」と見るのかという点についても、この法改正の趣旨が、「日本国内の音楽CDの小売価格を外国のそれよりも顕著に高い価格に維持することによりレコード会社に超過利潤を保障する」ことにあるわけですから、「国外頒布目的商業用レコード」が国際標準価格で頒布されることにより、それが国際標準価格よりも顕著に高い価格にて販売されている「国内頒布目的商業用レコード」の代替となっている場合には「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害され」ているとみるのでしょう。そうすると、「Let It Be Naked」の米国盤の並行輸入品なんて、まさに日本盤をかなり代替していたわけで、まさに「利益が不当に害され」る場合にあたると認定されそうです。
 
 下記のような条文ならまだ洋楽の並行輸入を規制の対象とすることをかなり防げる(完全ではないです。)可能性があったわけですが、敢えてそうしないあたりが、文化庁とレコード業界の意図をかいま見せますね。


 
第113条第5項を第6項とし、第4項の次に次の1項を加える。

5 国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下この項において「国内頒布目的商業用レコード」という。)を自ら発行している著作隣接権者が、当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下この項において「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において他の者に発行させている場合において、情を知つて、当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布する目的をもつて輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し、若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為は、当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り、それらの著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。ただし、国内において最初に発行された日から起算して7年を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した国内頒布目的商業用レコードと同一の国外頒布目的商業用レコードを輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し、若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為については、この限りでない。

Posted by 小倉秀夫 at 07:40 PM | | Commentaires (3) | TrackBack (21)