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04/30/2004

質問して欲しいこと(追加)

先日の参議院での質疑を見て、質問して欲しいことが増えました。

 文化庁の素川氏に聞いてもらいたいこと
 
 小林紀子参議院議員の質問に対し、「表示ということを法律上の規定に要件として書くということについては、その表示、具体的にはシールとか印刷でございますけれども、それは、権利者以外の者が途中で張ったり若しくは張ったものがどこかの段階で誰かに消されてしまったりということになった場合に、そこの還流防止措置の法的安定性というものについて問題が生ずるというふうな結論をしたわけでございます」と答弁しているが、
  「表示ということを法律上の規定に要件として書く」か否かで次の場合に具体的にどのような差異が生ずるのか。
  1) 権利者以外の者が途中で「日本国内頒布禁止」のシールを貼った場合
  2) 権利者が貼った「日本国内頒布禁止」のシールを権利者以外の者が途中で剥がした場合
  
 経済産業大臣に聞いてもらいたいこと
 
 邦楽CDのアジアにおけるライセンス生産品の並行輸入品の流通量は2002年度で邦楽CD全体の0.3%、2007年度の予測についても1%前後であるが、今後他の業界から、「アジアから安い商品が既に0.3%も入ってきているし、3年後には輸入量が全体の1%にもなってしまう。このままでは我々の経済的利益に大きな損害が生じてしまうから何とかして欲しい」と泣きつかれたら、同じように法改正を行って並行輸入を禁止する予定なのか。

 そのような予定がないとした場合、音楽CDについてのみ特別扱いする理由は何か。


なお、
1)については、「表示ということを法律上の規定に要件として書く」か否かにかかわらず、税関はとりあえず当該音楽CDを国内頒布目的商業用レコードとして取り扱う(但し、実際に水際で差止められるのは、権利者から、その利益を不当に害することを疎明する資料とともに輸入差止めの申立てがなされていた場合に限定される。)ことになる。

2)についていえば、
  自らシールを剥がした者が行った輸入・所持については
    表示を法律上の要件とした場合・・・両説あり得る
    表示を法律上の要件としない場合・・輸入・所持は違法

  シールが剥がれた音楽CDを輸入・所持した者については
    表示を法律上の要件とした場合・・・輸入・所持は適法
    表示を法律上の要件としない場合・・シールが剥がされたものであるとの警告を受けた後に輸入・所持を継続すれば違法

という差異が生じうるとは思います。
で、どちらが法的安定性という意味で問題があるかというと、「表示ということを法律上の規定に要件として書」かない場合ですね。「表示ということを法律上の規定に要件として書」いておけば輸入業者も販売店も、仕入れ先と契約する段階で表示の有無を確認すれば、後になって、「御社が××から仕入れた音楽CDには日本国内頒布禁止のシールが貼ってあったのに××がこれを剥がしていたものである。したがって、在庫品を直ちに廃棄されたい」なんて警告状が来ても、廃棄しないで済むわけですから。文化庁案ですと、シールが貼っていないことを確認して仕入れを行っても、「シールが剥がされていた」ことを後に知らされると、それ以降頒布目的でその音楽CDを所持していること自体が犯罪とされてしまいますから、輸入業者も販売店も何を信頼して仕入れを行えばよいのか訳がわからなくなりますね。
 それに、途中で剥がされるのが嫌なのであれば、剥がされないようにプラスチックケースに「日本国内頒布禁止」のマークをプレスしてしまえばよいわけですし、表示を消去することを違法とする条文を創設することだって簡単ですからね。

まあ、文化庁の著作権課の方々は、そういうふうに輸入業者や販売店が、萎縮して自主的に洋楽CDの米国からの並行輸入品を取り扱わないようになっていくことを期待しているのでしょうけどね。
 

Posted by 小倉秀夫 at 12:30 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/27/2004

テレビ取材

著作権法改正騒動の関係で、某民放の取材を受けました。

私はテレビカメラの前では上がってしまう程度の純情さをまだ失っていないので、ぎこちないしゃべり方になってしまっているのはちょっとなんだかなあという感じです。

でも、ここへ来て、今回の著作権法改正案の「本丸」が洋楽CDの並行輸入にあることに気が付いて、これは危ないぞと感じ取ってくれる人が増えてきたのには、多少とも希望が持てます。

あとは、この声が国会議員の皆様にどこまで届くのかといったところです。


Posted by 小倉秀夫 at 05:47 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (2)

04/25/2004

パブコメの真贋

私が一節を紹介したパブコメの真贋がネット上で話題になっているようですね。

私も、FAX文書をスキャンして作成したらしいpdfファイルを入手しただけですから、真贋の程は直接は確認しようがないのですが(パブコメは、マスメディアには閲覧・謄写が許されていたとのことなので、もともと「流出」という程大袈裟なものではないようです。)、誰かが捏造したにしては手が込んでいるなあという感じはします。

作成名義は、IFPIとRIAAの共同名義になっており、

「Submitted on behalf of the International Federation of Phonographic Industry by」
とか
「Submitted on behalf of the Recording Industry Association of America by」
等と書かれた下の部分は、数行分、マジックで上から消された後がありますし、
FAXのカバーシートの右上にはifpiのロゴが印刷されており、

各頁のヘッダ部分を見ると、
「22/12 '03 12:15」 マジックで黒塗り  「IFPI」
との印字がなされています(黒塗り部分には、送信側のFAX番号が印刷されていたのでしょうね。)

各頁のフッタ部分には
「IFPI-RIAA Submission form on Opinions on the draft report from the Copy Council under the Cultural Council -22 December 2003-Page」〜との印字が、本文と同じ書体によりなされており、当該文書におけるページ番号が記載されています。

また、宛先は、「Japan Copyright Office Agency of Cultural Affairs」となっています。
枚数は全8枚。
そして、下縁中央部には、1枚目から順に「67」から「74」までの数字(手動式のナンバー打機で印字されたような書体)が印字されています。寄せられたパブリックコメントをファイルにまとめるときに役所が手動式の機械でナンバリングしたのではないかと思わせるに十分なものです。

内容は全て英語なのですが、私にはこれがネイティブの英語なのかどうか見分ける英語力がないので、そこのところはよくわからないです。

ということで、これが「偽書」だとしたら、「作ったやつは凄いなあ」と正直感動してしまうようなものです。

Posted by 小倉秀夫 at 09:55 AM | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

04/24/2004

CD購入枚数


シングル売上枚数
アルバムCD売上枚数
オーディオレコード売上げ総額($)
音楽ビデオ売上額($)
GDP($)
レコード・ビデオ売上げ/GDP
日本
0.61
1.80
36.1
3.2
31,267
0.13%
アメリカ
0.03
2.81
43.1
1.0
36,652
0.12%
イギリス
0.88
4.80
48.0
1.3
26,279
0.19%
フランス
0.68
2.19
33.5
1.4
24,073
0.14%
ドイツ
0.48
2.17
24.2
0.8
29,422
0.09%
オーストラリア
0.62
2.59
25.9
1.7
18,801
0.15%
台湾
0.03
0.74
6.4
0.8
12,564
0.06%
香港
0.03
1.49
13.3
1.4
24,020
0.06%

日本レコード協会が、「日本のレコード産業 2004」を公表しています。
その中で、2002年度のレコード売上げに関する国際比較がなされていましたので、主要国についてデータを抜き出した上、人口当たりの売上げ枚数等と、GDPに占める売上げ総額等を表にまとめてみました。


これを見ると、日本人は、欧米諸国と比べて、音楽CD等にお金は注ぎ込んでいるのに、購入枚数は少なくなってしまっているということがわかりますね。
また、イギリス並みに値段を下げると、イギリス並みに1人あたりの購入金額が増えるかもしれないですね。

と同時に、もともとこの程度の枚数しか売れていないのでは、輸入権問題が盛り上がらないのも宜なるかなという絶望感も漂ってきます。

Posted by 小倉秀夫 at 06:44 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (7)

04/23/2004

海外のDVDを見ると

レコード輸入権の話題ばかり語っていると殺伐としてしまうのでたまには違う話もしましょう。

一番町綜合法律事務所監修「PC&ネットの違法合法ジャッジ!」という本が宝島社から出ています。

これは凄いです。我々IT系の弁護士には思いつかないような「ジャッジ!」が盛り込まれています。

例えば、猪狩俊郎弁護士は、

「DVDソフトの購入に際して、購入者は、使用許諾契約によって、DVDソフトの使用をその国内及び地域に限定すること、もしくはDVDソフトを国外及び地域外で使用しないことに同意しているものと思われます」「従って、海外で購入したDVDソフトを国内で鑑賞することは、使用許諾契約違反として著作者から損害賠償(民法415条)を請求されるおそれがあります」

なんてことを書いています(158頁)。

しかし、使用にあたって「複製」を伴うパッケージソフトですらシュリンクラップによる使用許諾契約の成立には争いがある(おそらく成立を否定するのが多数説)というのに、どうしてたかだかDVDソフトを買う際に、消費者は「DVDソフトを国外及び地域外で使用しないことに同意している」なんて思われてしまうんだか、意味不明ですね。

っていうか、

「DVDソフトは『著作物』であり、購入者はDVDソフトを購入したとしても、著作権を侵害しない範囲、または使用許諾契約があればその範囲を侵害しない範囲での使用許諾権を得た(同法63条1項、2項)に過ぎないと考えられています」

って書いてあるのですが、映画の著作物の複製物の所有者が、公の上映にはあたらない態様で上映する行為はそもそも著作権を侵害しようがないのですから、63条の許諾の有無や条件など問題になりようがないんですけどね。この弁護士さんは、著作権者が一方的に宣言をすれば、使用許諾契約なるものがユーザーとの間で結ばれ、著作権法上著作権者が専有していない行為すらユーザーが自由に行うことは法的に許されなくなるって本気で考えているのでしょうか?

Posted by 小倉秀夫 at 02:18 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

04/22/2004

付帯決議

著作権法改正案につき、参議院で付帯決議が行われたことを評価している見解がどうもあるようです。

ただ、付帯決議の法的拘束力については、

東京地判昭和54年3月29日訟月25巻7号1809頁が

法案審査の際、国会の両議院の各地方行政委員会が行つた付帯決議について、当該各決議は各委員会の一般的希望ないし意見の表明にすぎず、関係行政庁に対する法律上の拘束力を有しない
としていますし、

最判平成14年1月31日民集56巻1号246頁における町田裁判官の「反対意見」のなかにも、

法が世帯の生計維持者としての父のいない児童すべてを支給対象児童とするものではないことは,その文言上からも明らかであり,また,このことを前提に,法の議決に当たり衆議院の社会労働委員会が,政府は父と生計を同じくしていないすべての児童を対象として児童扶養手当を支給するよう措置することを求めていること(付帯決議が法的効力を持つものでないことは,いうまでもない。)によっても裏付けることができる。

なんてフレーズがあったりしますし、やはり法的拘束力がないことはいうまでもないようですね。

Posted by 小倉秀夫 at 06:41 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

RIAAのパブコメ

昨年末の著作権法改正に関するパブリックコメント(あの、文化庁が、賛成者の数と反対者の数を集計して公表しただけでお茶を濁した、あれです。)に関して、RIAA(全米レコード協会)が寄せたコメントがネット上で流通しているようです。

そこには、

We thus strongly caution against the adoption of discriminatory legislation, and call upon the Government to provide rights to control importation with regard to all repertoire.

なんて記述もあったりして、RIAAは洋楽についても輸入コントロール権を設定せよと要求しているようです。洋楽CDの並行輸入に対して輸入権を行使する気がアメリカのレコード会社にないのであれば、わざわざ日本政府にパブコメを送る必要などないように思えるのですが、どうしたものでしょうか?

まあ、吉川著作権課長は、RIAAがこういうコメントを寄せてきたことが国民にばれたら「5メジャーは輸入権を行使しないといっている」等という前提が崩れる(参議員議員は簡単に騙されてしまったようですが、相変わらず、5メジャーは何も言っていないのが真相ですからね。)から、「パブコメの具体的な内容は公表しない」という異例の措置に出たのでしょうか?


Posted by 小倉秀夫 at 08:56 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (12)

04/20/2004

国会での質疑

著作権法改正案についての参議院文教委員会での質疑が本日ありました。

 しかし、おしなべて質疑が下手ですね。

 今回は、洋楽CDの並行輸入が阻害されるのではないかということが最大の論点なのですから、輸入業者が米国等で日本で売れそうな音楽CDを見つけてきてから、海外の業者と契約し、日本に輸入し、レコード販売店に卸し、レコード販売店がこれを店頭に置いて消費者に販売するまでの過程で、それぞれの関係者が判断を迫られる場合に、条文に即してどのような判断を行うことが合理的であろうかということをシミュレートできれば、どのような質問をすべきであったかは自ずと明らかだったと思います。

(今回の国会での質疑を見ても、輸入・販売業者としては、どのような音楽CDについては輸入・販売を控えなければいけないのか全く分からないと思います。輸入・販売業者から事前に相談されても、まともな弁護士は答えようがないでしょうし。)

今回の質疑ではっきりしたのは、音楽CD上にシールを貼らなければならない云々というのは、「そうしなければ基本的に『情を知って』いたことにつき著作権者等が立証責任を果たせないから」というのが唯一の根拠だということですね。でも「情を知って」いたことを立証するのであれば、権利者から輸入・販売業者に内容証明郵便で警告状を送りつければ済んでしまう話ですね。「情を知って」という文言は、みなし侵害規定の領域ではよく使われる文言ですが、それらの場合いずれもシールなんか貼りませんし(だいたい、「違法複製物です」なんてシール貼るわけないし。)。

あと、文化庁の役人は、日本国内での頒布が禁止されている旨を表示したものに限り輸入禁止の対象とするように条項を修正してはどうかとの質問に対し、それでは法的安定性を害する云々という答弁をしていましたが、これは全く詭弁ですね。

権利者以外の者がシールを貼るなどした場合は、実際には輸入・所持等は禁止されない(禁止されているのではないかとの誤解は生んだとしても)という点は、表示を明示的な要件としようとしまいと何ら変わりはないです。

また、権利者以外の者がシール等を剥がしてしまった場合には、私の修正案のように「表示したこと」まで「情を知って」の対象に含めてしまえば、禁止の対象とはならないわけですから、法的安定性には何の問題もありません(それがいやなら、シールなんかで対応せずに、CD本体に印刷してしまえばいいわけですし。)。

役人がこういう詭弁を弄して条文を曖昧にしたがるときって、なんか裏があると疑うのが通常ですね。

また、文化庁の役人は、輸入のときに情を知っていたか否かが問題となるようなことを言っていましたが、それも客観的な条文の文言と食い違っています。そういうふうに規定したいのであれば、113条2項のように「これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り、」と規定すればよいのです。

Posted by 小倉秀夫 at 09:47 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (3)

04/18/2004

国会の審理は迅速

近年、我々法律業界の人間は、「裁判は時間がかかりすぎる」という批判を受け続けてきました。今回、著作権法改正問題を通じて立法過程というものを見せて頂き、確かに立法過程と比べると、我々司法部門の人間は慎重すぎるといわれても仕方がないように感じました。

我々はどうしても「何が真実なのか」ということを意識してしまいますし、そのために当事者が提示した事実や資料の信用性や「結論」との関連性等を吟味してしまいます。
例えば、日本レコード協会が「念書」なるものを提出し、5メジャーは輸入権が創設されていても行使しないと言っていたと日本のレコード会社が言っていたということが示されたとしても、「5メジャーの経営者が直接誓約書を国会に提出すればよいのに、どうしてそんなに迂遠なことをするのだろう」と疑ってしまいますし、邦楽のアルバムCDの平均価格や主要価格帯がどうなのかは例えばオリコン等に掲載されているアルバムCDの価格帯を見た上で依田さんの発言が現実と食い違っているように見える場合、データサンプルをどこにおいているのかを問いただすことを考えてしまいます。

また、我々は当事者が提示した主張に誤りや論理矛盾があればどうしたって問いただしてしまいます。
依田さんが言うとおり日本の消費者は豪華な商品を好むのならば、邦楽CDだって、日本向け商品は豪華な商品にし、アジア向け商品は質素な商品にしてしまえば、輸入権なんか創設する必要がないではないかとつっこみを入れたくなってしまいます。また、弘兼さんが、「貸与権管理センターに参加していないと違法な貸与がなされたときに権利行使ができないから、8〜9割の著作者は管理センターに参加するはずである」旨述べたときに、附則4条の2を廃止するだけだと管理センターに参考しようとしまいと全ての著作権者は貸与禁止権を行使できることになるに決まっているではないか、あなたは自分たちが作れとロビー活動している法律案がいかなるものであるかすらわかっていないのかと問いつめたくなります。

また、我々は、例えば和解を成立させようと思ったらぎりぎりまで条項を詰めたりするわけですから(対立する当事者双方の不満ができるだけ少ない方がいいわけですから。)、「閣議決定されてしまった以上、条項の修正は難しい」なんてことを言って条項のブラッシュアップを怠る国会と比べるとどうしてもスピード感が足りなくなってしまいます。

それに、司法の世界では、「不利益を受ける可能性のある当事者には主張・立証の機会を十分に与える」というのが原則になっているわけですが、国会の場合、消費者の権利を奪う新たな規制立法を行うにあたっても消費者の意見など聞く必要がないわけですから、そりゃ迅速だと思いますね。我々の世界で言えば、裁判官が、検察官の意見だけ聞いて、有罪判決を下すようなものですね。

Posted by 小倉秀夫 at 10:58 AM | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

質問して欲しいこと

 著作権法改正案の審議が始まるわけですが、下記事項を質問してくれる議員さんはおられないものでしょうか?
 
 財務省に質問して欲しいこと
 
 下記の各場合、米国のレコード会社から特定の音楽CDの輸入差止め申請がなされたとき、税関当局としては、当該音楽CDが国外頒布目的商業用レコードであるとの情を輸入業者が知っているものとして取り扱うのか。
 
 1) 当該音楽CDのジャケットに「US Version」と印刷されている場合
 2) 当該音楽CDのジャケットに「US Only」と印刷されている場合
 3) 当該レコード会社が当該輸入業者に送達した内容証明郵便(「当社が並行輸入を禁止している音楽CD一覧」が記載されており、その中に当該作品を含んでいるもの)
 4) 当該レコード会社が当該輸入業者に対して送達した内容証明郵便(「当社が米国内で頒布している音楽CDは専ら米国内で頒布されることを予定しており、日本国内に輸入することは禁止されております」旨の記載のあるもの)の写しが提出された場合
 5) 当該レコード会社の代表者が「当社が米国内で頒布している音楽CDは専ら米国内で頒布されることを予定しており、日本国内に輸入することは禁止されております」旨答えているインタビュー記事が掲載されている日本経済新聞の写しが提出された場合
 6) 米国盤とは全く異なる価格で頒布されている日本盤が提出されたとき
 
 米国のレコード会社から特定の音楽CDの輸入差止め申請がなされた場合、「当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」として輸入を差止めるか否かをどのような基準に基づいて判断するのか。また、その判断のために、差止め申立者に対し、どのような資料の提出を求めるのか。
 
 法務省刑事局に聞いてもらいたいこと
 
 ジャケット等に「日本国内頒布禁止」との表示のない音楽CDの並行輸入品を販売している大手レコードショップが、当該音楽CDは国外頒布目的商業用レコードであるから直ちに廃棄するように当該音楽CDを発行している米国のレコード会社から要求されたにもかかわらず、在庫品を店頭から撤去することなく販売し続けた。すると、当該米国レコード会社が当該大手レコードショップを著作権法違反の容疑で刑事告訴した。
 
 上記事例において、検察としては、不起訴(嫌疑なし)として取り扱うのか。
 
 
 法務省民事局に聞いてもらいたいこと
 
 文化庁著作権課の吉川課長は、今回の著作権法改正がなされても洋楽CDの並行輸入を阻止するのに輸入権が活用されることはない旨再三述べている。
 大手レコードショップが、吉川課長の発言を信じて洋楽CDの並行輸入品を大量に仕入れて店頭に置いていたところ、米国のレコード会社から並行輸入品を直ちに廃棄するようにとの警告を受け、廃棄を余儀なくされた。この場合、当該レコードショップは仕入れに要した費用や廃棄に要した費用等の損害を被ることになるが、この損害については国家賠償の対象となるのか。
 
 内閣法制局に聞いてもらいたいこと
 
 今回の著作権法改正は、これにより創設される輸入権の権利者のうちの特定の類型に属する者(この場合、洋楽CDの著作権者等)が権利行使を控えることを前提に、法案が起草されている。このような前例はあるのか。

Posted by 小倉秀夫 at 02:10 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (2)

04/12/2004

修正案再び

文化庁の吉川著作権課長よりは国会議員の方々の方が道理がわかる可能性はあるのではないかと思い、法案修正に関する意見書案を作成してみました。近いうちにFAXで議員の方々に送ろうかとも思うのですが、間違っている部分とかあったらご指摘頂ければ幸いです。

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著作権改正法案の修正のお願い

 文化庁が今国会において既に提出済の著作権法改正案が修正されることなくそのまま可決されると、邦楽CDの日本国内還流が阻害されるだけでなく、洋楽CDの並行輸入も阻害されてしまいます。つきましては、上記法案を洋楽CDの並行輸入の阻害には繋がらないような条項に修正して頂きたく、我々の代表者である貴職に対しご要請申し上げる次第です。

 これまで文化庁は、国会議員の方々に対しても、今回の著作権法改正は邦楽CDの日本国内への還流を防止するためのものであるかのごとき説明を行ってきたと聞き及んでおります。しかし、文化庁が実際に起草した改正案は、英米のメジャーレーベルに対し、米国国内向けに生産された音楽CDの日本国内への並行輸入を禁止する権限を与えたものとなっています(内閣衆質一五九第三三号)。その他、文化庁が国民に説明していることと、実際の改正案との間には大きな隔たりがあります。

 しかし、私たちがこれらの点を幾ら指摘しようとも、あるいは対案を提示しようとも、文化庁は、洋楽CDの並行輸入の阻害に繋がらないようにするための一切の修正に応ずることを拒絶しています。このようなことから、文化庁の真意が、本当に邦楽CDの日本国内への還流を防止することにあるのか、邦楽CDの日本国内への還流防止にかこつけて洋楽CDの並行輸入の阻害にあるのか、わからなくなっています。そのため、国会議員の皆様に直接、法案の修正をお願いする次第であります。

 洋楽CDの並行輸入との関係でいえば、この改正法案の問題点は下記のとおりです。

1.この法案では、「国外頒布目的商業用レコード」を、「当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするもの」と定義しています。したがって、音楽CDのジャケット等に「日本国内頒布禁止」等の文字が印刷されていなくとも、発行者が「当該音楽CDは専ら国外において頒布することを目的」として当該音楽CDを発行していれば、それは「国外頒布目的商業用レコード」となります。そして、発行者の意図を何らかの形で輸入業者または販売業者に知らしめることができれば、当該輸入業者または販売店は、「情を知っ」たとして、爾後当該音楽CDを輸入しまたは販売目的で所持することが禁止されます。具体的には、米国にて新作CDを発行するたびごとに、主要な音楽CD輸入業者及びCD販売店に対し、米国国内向け商品は専ら日本国外において頒布することを目的としている旨通知すれば、通知を受けた輸入業者または販売店は、「情を知って」いることになります。それどころか、同一内容の音源について米国国内向けと日本国内向けとが別の仕様、価格で出荷されている場合には、米国国内向けCDは「当該音楽CDは専ら国外において頒布することを目的」とするものであると認定される余地は十分にあります(この場合、輸入業者ないし販売店は当然にその「情を知って」いたと認定されると予想されます。)。

 この点について、「当該音楽CDは専ら国外において頒布することを目的」としている旨が音楽CDのジャケット等に印刷されているされているものに限定して欲しいとの要請が文化庁著作権課には寄せられています。しかし、文化庁著作権課の吉川課長は、民主党の川内議員の目の前で、この提案を拒絶しています。法技術的に困難であるというのが表向きの理由のようです。しかし、「当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするものであることが政令で定める方法により表示されているもの」と法案を修正した上で、著作権法施行令において、ケース等の外側から見えるところに、例えば6ポイント以上の大きさで、「日本国内頒布禁止」との文言を日本語で印刷することにすることが法技術的に困難であるとはにわかに信じがたいです。

2.また、この法案では、「当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り」、国外頒布目的商業用レコードの輸入または販売目的所持が違法とされることになっています。しかし、どのような場合に「当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害される」ことになるのか非常に不明確です。新設113条5項により著作権侵害ないし著作隣接権侵害行為を行ったとみなされる場合には、損害賠償義務を負うばかりでなく刑事罰を科せられることになりますから、輸入業者または販売店としては、国外頒布目的商業用レコードと認定される可能性のある商品についてはその輸入または販売を控えざるを得ないということになります。

 この点につき、文化庁は、「当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」国外頒布目的商業用レコードであるか否かは税関がこれを判断して輸入を阻止するから、「不当に害される」か否かの判断を間違えたが為に輸入業者や販売店が処罰されるという事態が生ずるわけがないと答えています。
 しかし、著作権者等としては、税関に輸入差止申請を行って申請を却下されるリスクを背負うより、輸入差止めを行うことなく主要な輸入業者及び販売店に輸入・販売の即時停止を通告することが予想されます。この方が、輸入業者等が萎縮的に行動する分、輸入・販売が中止される範囲が広がるからです。

 また、著作権者等が税関に洋楽CDの輸入差止めを税関に申請した場合に、税関としては、当該音楽CDが国外頒布目的商業用レコードであって、かつ、当該洋楽CDが「国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」かどうかを判断しなければならないということになります。しかし、税関当局が何をもって「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」か否かを判断するのか全くもって不明です。この点、吉川著作権課長は、税関には国外頒布目的商業用レコードの輸入を広めに差し押さえてもらうように調整し、輸入業者の側で不満があったら裁判で争ってもらえばよいと川内衆議院議員の前で答えていました。しかし、裁判には時間も費用もかかります。特に流行歌の場合、輸入禁止処分の取消を求める訴訟で勝訴判決を得るまでの間に商品価値が大いに損なわれてしまいます。したがって、税関から輸入差止め処分を受ける虞があるものについては、輸入業者は最初から輸入を差し控えることになることが予想されます。

 なお、文化庁によるミスリーディングな説明を受けたために、物価の安いアジア諸国からの邦楽CDの逆輸入についてはレコード会社等の「利益が不当に害されることとなる」が、米国等からの洋楽CDの並行輸入についてはレコード会社等の「利益が不当に害されることとな」らないと誤解されている先生方もおられると思います。しかし、例えば2004年4月17日付「Billboard」紙アルバムTop20にランクされている洋楽CDのうち14作品については日本のレコード会社が日本国内向け商品をライセンス生産しており、その小売価格は米国での小売価格の1.47~2.21倍(平均約1.8倍)もしています。そのため、米国国内向け洋楽CDの並行輸入品は日本国内向けCDの25~53%(平均約39%)オフで販売されているというのが実情です。したがって、国外頒布目的商業用レコードと国内頒布目的商業用レコードの価格差が不当加害性の重要な考慮要素となる場合には、米国からの洋楽CDの並行輸入によりレコード会社等の「利益が不当に害されることとなる」とされる危険性が十分にあります。

 文化庁原案には上記のような問題点があるため、国内で頒布されると国内頒布目的商業用レコードの発行により著作隣接権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されるとして輸入または所持が禁止される国外頒布目的商業用レコードを著作隣接権者等の申請により文化庁長官が指定する方向での修正案が提案されました。法技術的には、例えば、「……当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下この項において「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において自ら発行し、又は他の者に発行させている場合において、当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内頒布目的商業用レコードの発行により著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されると文化庁長官が指定したときは、当該国外頒布目的商業用レコードを、情を知つて、国内において頒布する目的をもつて輸入する行為又は当該国外頒布目的商業用レコードを国内において頒布し、若しくは国内において頒布する目的をもつて所持する行為は、それらの著作隣接権を侵害する行為とみなす。」と新設113条5項本文の文言を修正した上で、著作権法施行令にて、指定または指定解除の申請方法、指定基準、告示方法等を定めれば足ります。
 文化庁の吉川著作権課長は、文化庁の権限を増大させるような改正に賛同が得られるはずがないという理由で、この提案を一蹴しました。しかし、英米のメジャーレーベルの経営者は日本の消費者の利益を損なうことは決して行わない善人ばかりであるが、日本の国会議員は国民の利益をそっちのけで権限論争に明け暮れる悪人ばかりであるという吉川著作権課長の現状認識に私たちは賛同することはできません。

3. 今度の著作権法改正によって規制しようとしているのは、日本のレコード会社がレコード製作者としての著作隣接権を有しているレコードについて日本国外で適法にライセンス生産されたCDが日本国内を頒布目的で輸入しまたは頒布することです。それ以上の行為を規制することは、今回の著作権法改正の趣旨に賛同されている国会議員の諸先生方の間でもコンセンサスが得られていないことと存じます。すなわち、著作隣接権者が自ら国内頒布目的商業用レコードを発行し、かつ、著作隣接権者が他の者に国外頒布目的商業用レコードを発行させた場合についてのみ、国外頒布目的商業用レコードの輸入等を禁止できることとすれば、立法目的を果たすことができます。新設113条5項本文は、「国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下この項において「国内頒布目的商業用レコード」という。)を自ら発行している著作隣接権者(但し、法第97の2第1項の権利を有する者に限る。)が、当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであつて、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下この項において「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において他の者に発行させている場合において……」と規定すれば、上記立法目的を果たすことができ、かつ、過剰な規制となることを防ぐことができます。この条項であれば、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約第4条1項並びに世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書1-C知的所有権の貿易関連の側面に関する協定第3条、第14条が規定する内国民待遇の原則に反しません。
これに対して、吉川著作権課長は、レコード輸入権をレコード製作者にのみ付与し、実演家や著作権者(作詞家、作曲家等)に付与しないこととした場合、実演家や著作権者が黙っているわけがないとして、これを一蹴しました。しかし、著作権者や実演家がレコード製作者とは独立してレコード輸入権を行使するという事態はそもそも想定外だったはずです。それに、レコード製作者の意思にかかわらず、著作権者が実演家が輸入権を行使して洋楽CDの並行輸入を禁止できるということであれば、日本レコード協会が傘下のレコード会社をして関連のメジャーレーベルに輸入権を行使させないことを約束しても、英米の作詞家、作曲家、実演家が並行輸入を阻止するために輸入権を行使すれば、洋楽CDの並行輸入は許されないこととなります。これでは、文化庁が「レコード輸入権を創設しても洋楽CDの並行輸入には何らの影響もない」とする数少ないよりどころである日本レコード協会の「念書」はその意味を失うことになります。

 この問題は、我々洋楽の愛好者にとって大変重大な問題となっています。業界団体と官僚の言い分を丸飲みし、何ら修正を加えることなくこの改正案に賛成して法案を可決させた議員のことは、我々はいつまでも語り継ぎ、国政選挙の際に重要な判断要素とすることでしょう。米国国内向けに生産・出荷された音楽CDを購入できるシステムというのは、多くの洋楽ファンにとって、なくてはならないものとなっているからです。その理由は大きく2つに分けることができます。

 1つは、日本のレコード会社がライセンス生産している日本国内向け商品と、米国国内向け商品の並行輸入品との間に圧倒的な価格差があるからです。日本と韓国・台湾・香港・シンガポールとの間の邦楽CDの価格差と同程度の価格差が、日本と米国との間の洋楽CDについてあります。したがって、日本のレコード会社が邦楽CDの正規ライセンス品の日本国内頒布を阻止したいと考えるのと同様の理由で、英米のレコード会社も米国向けの正規品の日本国内頒布を阻止したいと考えるであろうと私たちは予測しています。そうなれば、私たちは、価格が圧倒的に高い日本国内向け商品を購入するか、または洋楽CDの購入自体を断念するかの選択を迫られることになります。洋楽CDの並行輸入阻止にも活用できるような内容の輸入権が創設された場合には、並行輸入品と価格やサービスで競争する必要が全くなくなりますから、国内向け商品に付されていたボーナストラックがなくなったり、国内向け商品の価格が邦楽CDの水準まで上昇したりすることすら、十分に予測されます。

 もう1つは、米国国内向け商品と日本国内向け商品との間の絶対的な品質差です。米国国内向けの音楽CDは、標準規格に沿ったCDプレイヤーを用いれば確実に再生できます。しかし、同じ作品についてのディスクであるにもかかわらず、日本国内向け商品の多くは、「コピー・コントロールCD(CCCD)」という、標準規格に沿ったCDプレイヤーで用いたからといって音を正常に再生できることが保証されていない規格が採用されています。私たちは、高いお金を支払ってディスクを購入しても再生できるかどうかわからないというのでは納得できませんし、CCCDの再生を試みた後、オーディオ機器が正常に動作しなくなったとの報告も少なからずなされていますので、多くの音楽ファンはCCCD規格が採用されている商品の購入を回避しています。そのため、米国からの並行輸入が途絶えてしまうと、新たな洋楽を視聴する機会すら奪われることになります。洋楽CDの並行輸入阻止にも活用できるような内容の輸入権が創設され、果たして洋楽CDの並行輸入がストップしてしまった場合には、我々は、店頭で洋楽CDを購入する機会を失ってしまいます。

 邦楽CDの逆輸入品など、少なくとも現時点では、プレスの品質もよくありませんし、また、アジア諸国の言語で記述された解説文を読める日本国民は少ないこともあって、まともなレコードショップ等では取り扱っていませんし、邦楽CDの国内売上げ全体に占める逆輸入CDの割合など微々たるものです。これに対し、洋楽CDの場合、米国からの並行輸入品の方が質が高く、かつ、値段も圧倒的に安いのです。したがって、前者を規制するために後者をも規制できる法改正を行うことは、法改正により得られる利益よりも失う損失の方が大きいということになります。国会議員の皆様におかれましては、国内に多数おります洋楽ファンにもご配慮頂きたく、お願いする次第であります。
以上

資料1

日米英間の音楽CDの価格差

Posted by 小倉秀夫 at 12:32 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (4) | TrackBack (7)