It Ain't You, Babe.
社団法人日本レコード協会、ユニバーサル ミュージック株式会社、東芝EMI株式会社、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、株式会社ワーナーミュージック・ジャパン、株式会社BMGファンハウス
、日本レコード商業組合は、平成16年5月7日付で、「日本の洋楽ファンの皆様へ」と題する声明を、日本レコード協会のウェブサイト以上で公開しています。そこでは、
私たちは、欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達に何ら不利益、不自由を与えることなく、今後ともこのような状況を維持し、さらに多くの洋楽レコードを提供してまいりますので、ご安心いただきますようお願い申し上げます
との記載があります。
しかし、文化庁が「欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達」に「不利益、不自由を与える」権限を与えようとしているのは、欧米諸国のレコード会社であり、実演家であり、作詞家、作曲家たちであって、日本のレコード会社たちや、日本のレコード会社たちの業界団体である日本レコード協会、そして中小のレコード販売店の業界団体である日本レコード商業組合は、いずれにせよ「欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達に何ら不利益、不自由を与える」権限はないわけですから、そりゃ、「何ら不利益、不自由を与えること」はないわけです。そりゃもう、魚屋さんや八百屋さんが「私たちは、欧米諸国で製作され、日本に輸入された音楽レコードを楽しんでいただいている日本の音楽愛好家の方達に何ら不利益、不自由を与えること」はしませんからご安心下さいというのと同じように、全く無意味な宣言です。
また、「私たちは、……今後ともこのような状況を維持し、さらに多くの洋楽レコードを提供してまいりますので、ご安心いただきますようお願い申し上げます」と宣言されても、今問題となっているのは、文化庁が企む今回の著作権法改正によって、日本レコード協会傘下のレコード会社が国内でライセンス生産した音楽CDや、日本レコード協会傘下のレコード会社が輸入し、日本レコード商業組合傘下のレコード店等に卸した音楽CDとは別ルートで行う洋楽CDの輸入・販売が禁止されるのではないかということなのですから、日本レコード協会傘下のレコード会社が国内でライセンス生産した音楽CDや、日本レコード協会傘下のレコード会社が輸入ないし国内生産した洋楽レコードを日本レコード商業組合傘下のレコード店がさらに提供していきますといわれても、全然安心などできないわけです。ブランド品の輸入代理店が「これからも海外生産品をどんどん輸入して国内で販売しますから、並行輸入を禁止する法律が成立することになったとしても、安心して下さい」というのと同じくらい意味がないわけです。
消費者を安心させたければ、少なくとも洋楽CDの並行輸入を阻止するために欧米のレコード会社が活用することができないような条項に修正するように、日本レコード協会や日本レコード商業組合も洋楽ファンと一緒になって文化庁や衆議院議員の諸先生方に働きかけることをまずすべきです。
もしくは、輸入禁止権を行使できることになる欧米のレコード会社等に対して、「日本の音楽ファンに対して直接『著作権法改正案が可決施行されても、我が社が権利を保有している音楽CDについては、何人も自由に並行輸入してくれて構わない』との声明を出してもらえないか」と働きかけるべきでしょう。
今回の声明からは、むしろ、日本レコード協会傘下のレコード会社が国内でライセンス生産し又は欧米から「直輸入」した音楽CD以外の洋楽CDは全て国外頒布目的商業用レコードであるということを、知られた輸入業者及びレコード販売店に通知することによって、「日本レコード協会傘下のレコード会社を経由せずに国内に輸入される洋楽CD」(いわゆる「並行輸入」品)を禁止してしまおうという気なのではないかという疑念すら生まれてきます。
Posted by 小倉秀夫 at 01:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Commentaires
内容が無意味である事はおっしゃるとおりです。
けれども、こんな気休めにもならないレベルにおいても「安心して」と言ってもらえるのは、「欧米諸国で製作され」た「洋楽」なのですね。
私のようなアジアンポップスファンの場合、台湾、香港、マレーシア、シンガポール、大陸、などで「製作された」アジア人アーティストの作品なので、完全に規制の対象になるのでしょう。
したがって、私たちのようなアジアンポップスのファンは、
1.出ないかもしれない国内版のために規制されて視聴する事ができず(情を知らしめるために、発売予定を告知すれば好いのだから。そしてそれは、予定であるのだから、発売する義務はないのだから)
2.リリースされた国内版とは、「必要でない」稚拙な訳詞が書かれている歌詞カードと、「必要でない」ボーナストラックと、「必要でない」にわかアジア音楽評論家の無意味なライナーノートが「付加価値」であるという一方的な主張に高い対価を要求され
3.現地版には付属しているアーティストのVCDを見る事ができずに
泣き寝入りしなければならないのでしょうか....。「洋楽ファン」の方たちよりもさらにマイノリティーである私たちなどは、規制を実施する場合のコストと考え合わせて、まとめて排除されてしまうのでしょう。
私のように、国内版が発売される見込みすらなさそうなアーティストの(日本のレコード業界の人たちが「美味しい思い」をできない)場合は、「偉いお上の方々」に「お目こぼししていただける」のかも知れませんが、最近ブームになっている韓国系のアーティスト(たとえばBoAさんなど)の場合は、並行輸入を行えば、即、犯罪者なのでしょう。
「日本専用」と称してアンダーライセンスの「印鑑ケース」がオマケについているグッチのバッグなんて欲しいですか?私は、正真正銘のオリジナルを納得する価格で購入したいと考えます。
Rédigé par: KaJ | 10 mai 2004 à 15:38:20