科学ジャーナリスト
理系大学を出て、新聞記者をやっただけで法律の勉強をしていない自称「科学ジャーナリスト」(まあ、こういう肩書きは普通は「自称」でしょうが。)が法律の話に口をつっこむと、往々にして痛々しいものになるようです。いやまあ、法律論も科学論もどちらも中途半端な意見を自信を持って述べている痛々しさ。見事です。
馬場錬成氏は、第42回「『Winny』開発者逮捕が問うネット社会のルール作り」の中で、
大学院助手なら立派な研究者だ。ネット上に違法コピーができるソフトを公開するのではなく、ソフト開発者からみた法制度の抜け穴や著作権法の不十分さ、企業の対応などに警告を発するメッセージや論文を学会や各種のメディアを通じて堂々と主張するのが筋である。違法コピーの手助けなどという破廉恥な容疑を持たれること自体、研究者として失格である。
といっているようです。まあ、何と的はずれな!
金子さんは優秀なプログラマーであり、その腕を買われて東大助手の地位を得ていたわけわけで、もともと論文を発表して云々ということ自体的が外れています。しかも、彼がその腕を存分にふるう上で障害となるのは、法制度に抜け穴があることや、著作権法が不十分であることではないし、企業の対応が不十分なことでもありません。著作権法による表現の自由等の制約が厳しすぎて、効率的な情報通信技術を開発すると、それは違法な情報の流通にも利用されうるというだけの理由で、「違法コピーの手助けをした」(あるいは、自ら主体的に違法コピーをした」等として、不可解な容疑をかけられてしまうことこそが問題なのです。で、そういうことが問題であるということは、我々法律の専門家が各種のメディアを通じて堂々と主張してきたわけです。でも、そういう声に耳を傾けることなく、ひたすら規制の強化を主張し続けたのは一体どこの誰なんでしょう!!
しかも、馬場氏は続けて、
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などによると、ファイル共有ソフトの利用者は、推定で200万人いるとも言われている。ウィニーの登場によって、レコード会社の総生産額は毎年減り続けていると推測されており、2003年は1998年の約3分の2の4,000億円にまで落ち込んでいる。
と述べていますが、馬場氏はウィニーがいつ登場したと認識しているのでしょう。
日本レコード協会ですら、レコード会社の総生産額が2003年は1998年の約3分の2の4,000億円にまで落ち込んだのが「ウィニーの登場によ」るだなんて推測していないでしょう。まあ、「ファイル共有ソフトの利用者は、推定で200万人いる」というACCSの推計自体統計学的にどうかと思うものだったりするわけですが(「科学ジャーナリスト」はこういう数字の検証こそすべきだと思うのですけどね。)、仮にその数字が正しいとしても、200万人の人が、1998年にはそれなりにレコードを買っていたがファイル共有ソフトを利用するようになって全く買わなくなった、その結果、2003年のレコード売上げは1998年の約3分の2の4,000億円にまで落ち込んだとすると、1998年と比べて2003年のレコード売上げは2000億円減少したことになります。これを200万人で割ると、「ファイル共有ソフトを利用することになった結果レコードを買わなくなった人が1998年にレコードの購入に充てていた金額」を導くことができるわけですね。
2000億円÷200万=10万円!!
ヘビーなファンたちばかりが逃げ出したってことなんですかねえ。
Posted by 小倉秀夫 at 02:16 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Notifié: 21 juil. 2004, 03:25:55
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久々の記事です!!しかし・・・。
もう言葉がないです。
この手の論調見飽きたし、この文章盲目的に
信じてネット上でも散々書いてあった文章見たしね
馬... Lire la suite
Notifié: 21 juil. 2004, 04:23:42
» ビックリな科学ジャーナリストだ de marinesはチャンネル?
馬場錬成氏が、またやってしまいました。 Lire la suite
Notifié: 22 juil. 2004, 23:27:17
» 統計の読み方 de 裏AnchorDesk
NIKKEI NETのBizPlusに掲載された、馬場錬成氏の「『Winny』開発者逮捕が問うネット社会のルール作り」という記事が小倉弁護士のところで話題になっ... Lire la suite
Notifié: 23 juil. 2004, 22:29:07
» 「このデータは会員企業各社が申告した数値を並べただけだ」(2000.6.15) de The Casuarina Tree
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Notifié: 7 juin 2005, 09:31:05
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Notifié: 7 juin 2005, 10:15:25
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Commentaires
科学ジャーナリストと言えば、荒井寿光・知財推進事務局長が司法制度改革推進本部の委員会で自信満々に提出したメールマガジンの「バイオ特許裁判に関する科学ジャーナリストの見方」と言う記事が中山先生を始めとする他の出席者からよってたかってスクラップにされたのを思い出します。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/titeki/dai7/7gijiroku.html
問題のメールマガジン記事
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/titeki/dai7/7siryou6.pdf
Rédigé par: 謎工 | 21 juil. 2004, 03:07:23