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08/12/2004

改正案の趣旨

では、昨日blogに掲載した著作権法改正案の趣旨を簡単に説明しましょう。

 「中立的行為の保護」の部分は、米国のベータマックス事件最高裁判決の趣旨を日本法にも取り込もうというものです。これにより、著作権法が、新たな技術革新の芽を摘んでしまうことを防ぐことができます。日本がIT立国、知財立国であるためには不可欠な規定です(家庭用ビデオ録画機などあのとき全面的に禁止されていた方がよかったなんて今時言う人はいないですよね。)。
 「グローバルスタンダード」という点からは当然のことなのですが、日本の裁判所は、間接侵害や寄与侵害等に関する規定が日本法にはないのに、それよりも広範囲に著作権侵害を認めてしまっています。そのため、新しい情報通信技術を開発し公衆に提供するIT企業としては、そのことによって莫大な損害賠償を課せられたり、刑事罰に処せられたりする危険性を払拭できない状態に現在あります。このようなことを続けていくと、日本だけIT革命の波から取り残されてしまうおそれがあります。したがって、このような規定をあえておく必要があるということになります。

 同一性保持権の部分については、従前から違法か否かが争いとなっていた「閉鎖領域内での改変」を適法とすることを明文で明らかにしようというものです。
 既存の作品に自分の感性にあった改変を加えたりしてみる行為は、それ自体その行為者を幸福にする行為ですし、それは、クリエーターとしての才能を開花させるために非常に有益な行為でもあります。そして、改変された作品が不特定多数人の目の届かぬ所にとどまっている限り、元の作品の著作者に何の実質的な損害をも与えません。そのような行為を法的に規制するのは、表現の自由ないし幸福追求権を侵害するものであるとともに、未来のクリエーターの才能を開花させることを障碍するという意味で知財立国の国是にも反します。
 なお、ベルヌ条約では、「自己の名誉又は声望を害するおそれのあるもの」だけが同一性保持権侵害の対象となりますので、改変された著作物が閉鎖領域内にとどまる場合は同一性保持権を侵害しないものとすることが許されています。
 
 貸与権については、書籍又は雑誌に関する部分以外は、グローバルスタンダードにあわせようというものです。すなわち、WIPO著作権条約で貸与権を付与することが義務づけられている範囲内で貸与権を認めれば良いではないかということです。
 貸しレコード店対策として貸与権が創設されたとき、規制の対象は、「借りて、ダビングして、返す」という利用方法でした。これは、ユーザーの手許に新しいコピーが作成されてしまうという点で、通常の物の貸与とは異なるといえ、そこに、複製権を有することによる利益を実質的に侵害するという要素を見出したわけです。コンピュータソフトやビデオテープなどについても同じような「借りて、ダビングして、返す」という利用方法は十分に考えられました。
 しかし、それ以外の場合は「借りて、ダビングして、返す」という利用方法は通常とられていないので、通常の物の貸与と異なる点を見出すことができず、通常の物の開発者等よりも著作権者を優遇しなければいけない理由というのは見出しにくいです。
 特に、「映画の著作物」の複製物として市場に流通しているゲームカートリッジやDVDソフト等についていえば、「借りて、ダビングして、返す」という利用方法を防ぐための様々な措置が講じられているわけですから、これらを貸し借りすること自体を禁止する権利を著作権者に付与する必要はないということになります。「借りて、ダビングして、返す」という利用方法が通常とられていないDVDのレンタルについて、「借りて、ダビングして、返す」という利用方法がとられることを前提に支払われてきたライセンス料の支払いを継続させるのは、著作権者に過剰な利得を与えるものとすらいえます。そこで、WIPO著作権条約7条2項2号にあわせて、「商業的貸与が当該著作物に関する排他的複製権を著しく侵害するような広範な複製をもたらさない場合」には貸与権侵害にあたらないとすべきだと考えた次第です。
 また、プログラムの著作物については、今日多くの工業製品に組み込まれているわけですが、だからといって、ある工業製品に組み込まれているプログラムの著作権者が、当該工業製品の貸与を禁止できるというのは如何にも不都合です。プログラムの著作物を組み込んでしまえば、ごく短期間しか使用しない製品についても、レンタルを禁止することができ、これを必要とする消費者に対して、ごく短期間で使い捨てすることを余儀なくさせることができるということでは、環境立国の名が廃ります。WIPO著作権条約だって、 コンピュータ・プログラムについては、当該コンピュータ・プログラム自体が貸与の本質的な対象でない場合は貸与禁止権は及ぼさなくともよいとしています。そこで、そのような場合を貸与権の対象から明確に除外しようと考えた次第です。
 書籍・雑誌については、権利者の大半をまとめる管理団体がない状態で、貸与禁止権が著作権者に付与されてしまっているという最悪の状態にあります。書籍・雑誌に掲載されている著作物というのは、漫画と推理小説だけではないので、漫画家と推理小説作家の大半をまとめきったとしても、そのようなものはさしたる意味はありません。
 したがって、書籍・雑誌に掲載された著作物の著作権者については、貸与禁止権を付与されるに値する実態がないわけですから、貸与禁止権を剥奪するとともに、書籍・雑誌に掲載された著作物の著作権者でも、利用者に大きな迷惑をかけることなく運用可能な、「報酬請求権制度」に切り替えるように提案するものです。
 
 最後に、「映画の著作物」の頒布権についてですが、中古ゲームソフト事件最高裁判決が示したとおりの、後段頒布についてのみ消尽しない頒布権が認められるということを明文化したものです。前段頒布については、他の著作物類型と同様に、公衆への譲渡に関しては譲渡権、公衆への貸与については貸与権として構成するように提案するものです。
 
 
 

Posted by H_Ogura at 02:15 AM dans sur la propriètè intellectualle |

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Voici les sites qui parlent de 改正案の趣旨:

» 免罪符の価値 de The Trembling of a Leaf
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