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09/30/2004

排除する論理としての党派性と発言の持つ意味を明示するための党派性

Winnyの開発者を有罪にしたい人たちは、表向きは党派性に関係なく議論しましょうなんていってみても、結局自らの意見に反する人の意見は排除したいようですね。彼らが「党派性」という概念を目の敵にしたのは、それを明示することにより、その発言が「割り引いて」受け取られることを恐れたからなのでしょうね。結局、「割り引いて」見られてしまう立場の人たちが匿名で金子氏有罪論をネットでぶちまけていたということなのでしょう。

まあ、Winnyの話題は、ITの領域にもIPの領域にも属するものなので、複数の媒体で意見を発表できるので私はかまわないのですが。ただ、匿名での情報発信をしやすくしたことが問題とされているWinnyの開発者を有罪にしようという人たちが、固定ハンドルと使い捨てハンドルとを使い分けで自作自演したり、複数の固定ハンドルを使い分けて自作自演したりするなど匿名性を最大限に利用しようとするとかそういうのって、彼らの意識の中ではどう整理がついているのであろうかということには興味がありますね。

Posted by 小倉秀夫 at 03:46 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (4) | TrackBack (1)

09/29/2004

真紀奈さんとの対論

「INTERNET magazine」の2004年11月号から、「インターネットの気になる法律相談」という名称で、バーチャル法律娘真紀奈さんとの対談が掲載されることになりました。

第1回目は、私と奥村弁護士しか注目していないある裁判例を題材にしています。よかったら見てみてください。

話は変わりますが、昨日、ファイルローグ事件の控訴審の第1回口頭弁論期日が行われました。なぜ今ころ第1回なのかというと、これまで印紙代をどうするかという前提問題ですったもんだしていたからです。

私自身は、勝つ気満々なのですが、あとは高裁の裁判官がJASRAC症候群にかかっていないことを願うばかりです。

Posted by 小倉秀夫 at 07:01 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (2)

私立大学は来年1月からみんな犯罪者(これも吉川さんのおかげ)

吉川著作権課長の講演録が、最新の「コピライト」に掲載されています。
国会での慣習故に、法案に反対だった民主、社民の衆議院議員さんたちも、採決時に退席した川内議員らを除き、賛成に回ったという経緯は皆が知るところとなっているのに、全国会議員が最終的に賛成したんだということを金科玉条のように掲げるのはいかがなものでしょうかね。慣習を悪用する人間がひとたび現れると、折角の慣習が途絶えてしまって、後任が困ることになると思うんだけどなあ。

それはともかく、吉川課長は著作権法38条4項の解釈まで示してしまっているのですが、裁判所の解釈と真っ向から食い違う法律解釈を、裁判所の解釈とは真っ向から食い違うことを示すことなく、行政庁が示してしまって大丈夫なのでしょうか。人ごとながら心配です。
それとも、文化庁では、38条1項にいう「営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」と、38条4項でいう「営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」とは、全く異なる解釈をすべきということなのでしょうか。

http://www.asahi.com/national/update/0928/036.html

を読む限り、授業料や施設費等を図書館維持のための原資としている私立大学においては営利性ないし対価性が認められてしまうので、学生に書籍を貸与した場合であっても、38条4項の免責を受けられなくなると思うのですが。
まあ、図書館が充実していることを売りにして志願者の増加をはかった場合でも、ファイルローグ事件中間判決に従えば、利益を図る意図を認定されてしまうのですけど。

Posted by 小倉秀夫 at 01:50 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

09/23/2004

中立的道具2

 Winnyの開発者をどうしても有罪にした人たちは、「中立的道具」云々という話が嫌いなようですね。日常的な経済活動を行っている者を、いつでも恣意的に逮捕、起訴して有罪に持ち込める社会──逮捕、起訴され、有罪に持ち込まれることを回避するためには、適宜、捜査当局に「天下り」を含めた便宜供与をしておかなければならない社会──を望む人が複数人いたって不思議とは思いませんけどね。まあ、匿名の発言者は、自分はそのような党派性を有していないと抗弁してみたって信頼されないリスクを負っているわけです。

 それはともかく、「中立的な道具ないし行為」という視点がなぜ重視されなければならないのかといえば、「中立的な道具ないし行為」を不特定多数人に提供する行為について、「正犯による犯罪行為を容易にした」という客観的な事実+概括的、未必的故意という主観にて幇助責任を問いうるとした場合には、「犯罪行為に利用されることを完全に除去できるようになるまでは道具なりサービスなりを公衆に提供すべきではない」──犯罪行為に利用されることを完全に除去できていないことを知りながら当該道具なりサービスなりを公衆に提供し、果たして当該道具なりサービスなりが犯罪行為に利用された場合には、事実上結果責任的に、当該正犯による犯罪行為に関して幇助責任を負うことを甘受せよということになってしまうからであり、それは明らかに技術の発展を阻害し、産業の停滞をもたらすからです。

 もちろん、それが「中立的な道具」だといってみたからといって直ちに刑事的に免責するような理論は少なくとも我が国では判例理論として採用されていない(だから、Winnyの開発者の行為が「中立的な道具ないし行為」は不特定多数人に提供する行為に他ならないのだと弁護団が立証できたからって、開発者が無罪となる保証は全くない。)わけですが、そのことは、「中立的な道具ないし行為」を不特定多数人に提供する行為を刑法上の「幇助」行為と捉えることの一般的な問題点を摘示するとともに、そのような行為を処罰対象から外すための理論を模索し、裁判所に採用させようとすることの価値を何ら減ずるものではないのです。

Posted by 小倉秀夫 at 05:56 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

09/20/2004

中立性

約10日ほど、遅い夏休みをとっていました。
今年は、ルーアンを起点に、ノルマンディ地方をゆっくりまわりました。
印象派好きには非常に満足の行く旅行になりました。

その間、日本ではいろいろなことがあったようですね。折角の休暇中に、些事に時間をとられるのも何なので、放置の姿勢を貫きましたが。

ところで、Winnyの開発者を有罪にしたいということでネット上で論陣を張っている方々がほぼことごとく匿名(固定ハンドルを含む。)というのは面白い現象ですね。特に実名を明らかにすると弾圧を受けかねないというような発言は見たところなさそうなのですが。まあ、中には、警察、検察の関係者もおられるのかも知れませんね。

それはともかく、中立的道具ないし中立的行為と幇助の関係についていろいろな議論がネット上でなされているようですが、みなさん、難しく考えすぎではないでしょうかね。

大多数の犯罪行為というのは、不特定多数人に対してその使用目的を問うことなく同じように提供されている「物」または「サービス」を利用することによって、実行されます。この場合、当該物等の提供者が当該犯罪実行者に当該物等を提供した行為と、当該犯罪実行者が当該物等を利用して行った犯罪行為との間には、少なくとも条件関係があります。

そして、その場合、当該物等の提供者は特定の被提供者が当該物等を利用して当該犯罪行為を行うだろうということまでは認識・認容していないが、当該物等の提供を受けた不特定多数人の中には当該物等を利用して犯罪行為を行う者もでてくるかもしれないということを認識しつつ、それでも構わないとして当該物等を不特定多数人に提供しているというのはよくある話です。ここでは、物等の提供者は、個々の被提供者の利用目的に対し中立的に当該物等を提供しているわけで、この場合に、幇助責任を負わせるのが妥当かどうかということが問題となるわけです。

この問題は、Winnyに限った問題ではないし、著作権侵害罪に限った問題でもありません。自己が不特定多数人に提供している物等が犯罪行為にも利用され得るものであるという事実を認識したからといって、悪用を防ぐ方法を開発するまで当該物等の提供を中断するというわけにはいかないので、この問題は非常に適用範囲の広い問題となるのです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:35 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (1)

09/04/2004

著作権思想

 ACCSは「著作権思想を含む情報モラルの普及・啓発活動」に最も力を入れているのだそうです
 ところで、「著作権思想」ってなんなのでしょう。
 著作権というのは、「文化の発展に寄与する」という目的を果たすということを大義名分として設けられた法制度に過ぎません。ここにおいて「思想」といえるようなものは「『文化の発展に寄与する』という目的」しかありません。
 すると、「特定の種類の投資家の利益等を保護するために、皆さまは『文化の発展』の成果の享受を諦めましょう」というのは、このような「思想」とは無縁といえます。「過去の投資」ないし「過去への投資」を重視するがあまり「将来への投資」をないがしろにするのは、むしろこの「思想」に反するといえます。
 そういう意味では、著作権等の保護期間の延長を求める人々、広範な「二次的著作物」に禁止権を与えることを是認する人々、著作権等を盾にとって新技術の開発・提供を阻害するような人々──こういう人たちこそ、「著作権思想」を理解していないのだといえます。また、特別お金持ちの家庭に生まれなかった子供たちでも優れた作品にたくさん触れることができる仕組みを潰し、「創造のサイクル」を断ち切ろうとしている人々もまた、「著作権思想」を理解していないのだといえます。
 「著作権思想を含む情報モラルの普及・啓発活動」に力を入れているACCS等には、著作権を過剰に確保、行使して「文化の発展」を却って阻害してしまっている人や企業に対して、正しい「著作権思想」を普及させていってもらいたいものです。

Posted by 小倉秀夫 at 11:15 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)