著作権法改正パブコメ2004_案01
ということで、10月21日提出期限の、著作権法改正に関するパブリックコメントの案を作成してみました。
順に掲載します。
「1.著作権の定義」について
著作権法の究極的な目的は「文化の発展に寄与すること」であり(著作権法第1条)、それ故、著作権による保護の対象となる著作物を、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に限定しています。
(1)は、「デザイン」を著作権法により保護せよとするものですが、そこでいう「デザイン」とは結局「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」のことであって、公的な審査を受けたものだけが、登録料の継続的な支払いを条件として、15年間に限り保護を受けられるとされている「意匠」のことをいっているに他なりません。
したがって、(1)の意見は、結局「意匠」について、排他的な保護を受けるための要件及び保護の範囲の変更を求めるものにすぎず、それは意匠法の改正問題として、経済産業省主管のもとで行うべきものです。「美術の範囲」にすら属さない「デザイン」を産業上の利用可能性があるからといって「著作物」に取り込むことは、「著作物」の範囲についての統一的な理解を困難にするだけではなく、意匠法との抵触問題を引き起こすことになります。したがって、(1)の意見には反対します。
(3)は、工業ノウハウを著作権による保護の対象とせよとするものですが、工業ノウハウというのは著作権法が保護すべき「表現」ではなく「アイディア」にすぎません。そして、工業ノウハウの保護については、それが秘密性を有しているときは不正競争防止法で一定の要件のもと保護されています。したがって、著作権法は「アイディア」ではなく「表現」を保護するものであるという著作権法の基本的な考え方を根底から覆す(3)の意見には反対します。なお、(3)においては、中国への技術流出を引き合いに出していますが、それを防ぐためには中国において工業ノウハウを保護する法律を制定させればよく、また、中国にそのような法律を制定させなければ、日本の著作権法で工業ノウハウを保護させても意味はありません。
(4)は、「教材」を、教材に含まれている著作物等の保護とは別個の著作物として保護せよという意見のようですが、「教材」の定義がこなれていないこともあって、その必要性に疑問があります。
(6)は、他人の原作をもとに新たな著作物を創作する場合であっても、映画の著作物については特別扱いせよとするものですが、何故に映画の著作物だけが特別扱いを受けてしかるべきとするのか不明です。
問題は、著作権法28条に定める原著作物の著作者の権利が、報酬請求権ではなく、利用禁止権として構成されていることにあるのですから、二次的著作物が映画の著作物である場合に限らず、二次的著作物の原著作物の著作権者の権利を、利用禁止権から、報酬請求権へ変更することこそが抜本的な解決に繋がります。
Posted by 小倉秀夫 at 04:11 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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