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10/18/2004

著作権法改正パブコメ2004_案02

(7)は、要するに、著作物の複製物の中古品を販売した物に対して上納金を著作権者に納めさせよとするものです。工業製品には様々な知的財産が用いられていることは日本のみならず、世界各国で共通している事象であり、その物理的な寿命に比して消費者に十分な満足を与えることができる期間が短い商品については中古品市場が形成されることも、日本のみならず世界各国で共通している事象です。それなのに、なぜ、日本の、著作権者のみが、中古品の販売業者の営業努力の成果を搾取することが許されるのか、全く理解不能です。知的財産権法においては、「知的財産権が組み込まれた商品を正規に購入した者がこれを活用して利益を得たときはその利益の一部を当該知的財産権の権利者に還元しなければならない」という原則はありません。新品を購入せずに中古品やレンタルで済ます消費者が少なからず存在するという点は、特許や商標の実施品(例えば、自動車やブランド物のバッグなど)においても共通しているのに、です。著作権関係の権利者団体はスタートの時点で勘違いをしているように思います。
 したがって、(7)の意見には反対します。

(8)は、最高裁判決の趣旨を明文化せよというものですが、「条文を読めば、権利義務の範囲が明らかにわかる」という法の理想に近づけようというものですから、(8)の意見には基本的に賛成です。

(10)は、コピー問題の伴わない貸与については貸与権の対象からはずせということと、書籍・雑誌等の貸与については禁止権ではなく報酬請求権に留めよというものです。
 前段部分についていえば、借主が借りてきたオリジナル商品の私的複製物を製作して返却するという利用法が通常とられるものについては、通常の工業製品の貸与と何ら変わるところはなく、当該工業製品に自己の著作物が用いられている者にだけ、貸与権(貸与に対する報酬請求権を含む)を付与する理由はありません。ベルヌ条約は貸与権の創設をそもそも加盟国に義務づけていませんし、WIPO著作権条約も、私的複製物を製作するために貸与を受けるという利用方法が通常化していない場合にまで貸与権を創設することを義務づけていません。そして、その物理的な寿命に比して消費者に十分な満足を与えることができる期間が短い商品については、使い捨てをやめ、レンタルなどを活用するということが、環境立国日本の国是にも沿うことを考えるならば、貸与権の範囲を限定する(10)の前段の意見に賛成します。
 後段の部分については、前回の著作権法改正により書籍・雑誌の貸与に対しても著作権者に貸与禁止権を付与することとした際に、著作権者側の代表は、書籍等のレンタルを禁止するつもりはない等といって国民や国会議員を安心させておきながら、上記改正法が施行される平成17年1月1日が目前だというのに、「こことライセンス契約を結べば書籍・雑誌について合法的にレンタル業を営むことができる」という組織ができあがっていません。このまま上記改正法が施行された場合には、貸本業者はすべて廃業するか刑罰を受けることを甘受するかという選択を論理的には迫られることになります。書籍・雑誌等は、著作権者側で理想の読者として想定する高額所得者だけが享受すればよいというものではないことはいうまでもないことでありますが、このままでは、地元の公立図書館が収蔵しない類の書籍について、低所得者や子供たちはこれを閲読し、それをその精神の発展に活かすことができなくなります。もともと文化庁やコミック作家等は、レンタルコミックなどの収益の一部を漫画家に還元すべきといって国会議員を説得して法案を通したのに、改正法が「貸本業撲滅」という、国会が予定していない事態を生じさせることになってしまいます。そのような事態は可能な限り回避すべきであり、したがって、上記改正法の施行日である平成17年1月1日までに「こことライセンス契約を結べば書籍・雑誌について合法的にレンタル業を営むことができる」という組織が成立する見込みがないのであれば、書籍・雑誌の著作権者から貸与禁止権を取り上げる立法を行うことが必要となります。よって、私は(10)の後段に賛成します。
 
 (13)は、要するに漫画喫茶等でコミックを利用した場合に漫画家に上納金を支払うようにせよとするものです。しかし、工業製品には様々な知的財産が用いられていることは日本のみならず、世界各国で共通している事象であり、工業製品を購入した者がこれを活用して利益を得るということもまた、日本のみならず世界各国で共通している事象でありますが、当該工業製品を活用した利益を得たらその一部を、当該工業製品に用いられている知的財産に関する権利者に「還元」しなければならないとは一般に考えられていません。なぜ、漫画家だけは、その作品の購入者がその創意工夫と営業努力の結果生み出した利益の一部を搾取できてしかるべきだと考えられるのか、私には不思議でなりません。したがって、私は(13)の意見には反対します。
 漫画喫茶においては、正規に出版された書籍を仕入れて活用しているのであり、経済学的な意味での「フリーライド」は全くありません。漫画喫茶が不当に利益を得ているというのであれば、漫画家ないし出版社が漫画喫茶ビジネスに参入すればよいのであって、その程度のことをも行わずに、ロビー活動により漫画喫茶等が得た利益の一部をピンハネしてしまおうというのは、経済学的に見て何ら筋は通っていないのみならず、道徳的に見ても問題があるといえます。

(少し修正)

Posted by 小倉秀夫 at 12:11 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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