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10/21/2004

著作権法パブコメ2004_03

(24)について

 市販の音楽CDに収録されている楽曲に関して、現行法では、音楽著作物(曲、詞)の著作権者には放送権、有線放送権が認められているのに対し、レコード製作者には報酬請求権しか認められていません。しかし、音楽著作物の著作権に関しては、権利集中管理機構が機能しており、市販の音楽CDに収録されている楽曲を放送等で利用しようとする者は、権利集中管理機構にしかるべき許諾料を支払って許諾を得れば、適法に利用できる環境にあります。しかし、レコード製作者は、排他的権利が付与されている送信可能化権についてすら、「そこに許諾料を支払って許諾を得れば適法に利用できる」という権利集中管理機構が整備されていません。このような現状のもとでレコード製作者に放送権、有線放送権を付与した場合には、しかるべき許諾料を支払うから利用許諾をして欲しいとの放送事業者等の申入れをレコード製作者が聞き入れず、結果的に、放送等において市販の音楽CDに収録されている楽曲を自由に(しかし有料で)利用することができなくなる虞があります。
 従いまして、(24)には反対します。
 
 その他、(19)(20)(21)(27)も、「そこに許諾料を支払って許諾を得れば適法に利用できる」といえるだけの権利集中処理機構がないのに禁止権を求めているものであるといえ、とうてい賛同できるものではありません。
 
(30)はデジタル放送における「スクランブル」を著作権法上の「技術的保護手段」に加えよというものですが、我が国の法体系のもとでは、この種のアクセスコントロールは不正競争防止法にて対処することとしておりますので、(30)には賛成できません。

(31)は、「アクセス権」に関するものです。著作権法を、現行法のような著作物の拡布行為禁止権中止の法体系から、知覚行為禁止権中心の法体系に転換することは、著作権法の基本的な考え方を、「競合他社規制法」から「エンドユーザー規制法」へと転換するものであります。そして、それは、「いつ誰が誰と何を鑑賞したのか」という事実を権利者が把握することを公的に許可することによって初めて成り立つところ、それは、憲法が保障する思想・良心の自由を踏みにじる事態ともなりかねません。よって、私は、(31)には反対します。

(34)については、「出版物を複製する」(送信可能化する云々も同様)がどの範囲のことを指すのかがわからないのですが、それが出版物に含まれる文章その他のコンテンツを別のレイアウトで複製、送信可能化等する行為をも禁止する趣旨を含むのであれば反対します。コンテンツの創作者としては、著作隣接権者としての出版権者が倒産し、あるいは当該コンテンツを絶版とし、あるいは何らかの理由(例えば作家と仲違いした等)で一切の利用を禁止することとした場合に、自己の創作したコンテンツを公衆に提示、提供し続けることができなくなるからです。
 また、著作隣接権者としての出版権者に貸与権を付与することにも反対です。正規に購入した商品を公衆に貸与することは自由であるべきであり、出版社が当該商品(書籍)に経済的リスクを負っているということは、他の工業製品の製造者と全く同じ立場に立たされているだけであって、上記正規に購入した商品を公衆に貸与する自由を制約する理由にはならないからです。

Posted by 小倉秀夫 at 06:20 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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