著作権法改正パブコメ2004_04_4
(46)及び(47)は私的録音録画補償金の問題です。現在の私的録音録画補償金は、(ア)著作権の付いた音楽やテレビ番組等の録音・録画に対象機器を用いなくとも権利者団体へ間接的に上納金を納めさせられる一方、(イ)私的録音録画補償金の対象となる機器を購入して権利者団体へ間接的に上納金を納めたからといって、多数説によれば企業内コピー等が適法にならないという問題があります。(ア)の問題(すなわち、私的録音録画に用いないのに補償金を上納させられる)は、汎用機器を録音録画補償金の対象に含めることによりさらに拡大します(例えば、データ用CD-Rの主要な用途は、特にオフィシャルユースに関していえば、なおも自分たちで作成した巨大なファイルの受け渡しです。最近はフロッピードライブのないパソコンが増えたのと、セキュリティの関係で添付ファイル付きのメールをはじくところが増えてきたので、このような用途でCD-Rを使用する機会が増えています。)。また、(イ)の問題があるため、録音録画補償金の対象となる機器を企業ユースで購入した場合には、まさに「お金は上納させられるは、複製は禁止されるは」で典型的な「やらずぼったくり」状態に陥ることになります。このような「ハイコスト・ノーリターン」の強制を汎用機器にまで拡張されるのでは、権利者団体と機器購入者との間の利益バランスが権利者団体側に傾きすぎているといわざるを得ません。
したがって、私は(46)(47)には反対です。また、仮に企業内コピーには著作権法第30条1項が適用されないとするならば、企業が私的録音録画補償金の対象となる機器を購入した場合は、補償金の上乗せ分を店頭で返還することを義務づけるべきだと思います。
(49)は、技術的保護手段がとられているレコード等については私的録音録画金の配分を受けられないようにするなどの抜本的な改正を求めるものです。複製を技術的に規制しておきながら私的複製に対する補償金をもらうというのはある種詐欺的であるとすら言えますから、当該機器を用いての複製が技術的に制限されているコンテンツの権利者には補償金が分配されないような制度が必要だと思います。
(50)は、スキャナ等についてもデジタル複写補償金制度を導入せよというものです。しかし、出版物のデジタル複製に用いるという用法はスキャナ等の主たる用途とは言い難いのが現状です(例えば、法律事務所であれば、相手方の準備書面をスキャンし、OCRソフトを利用してテキストデータに変換し、反論の準備書面を作成する作業を容易にするという用途が主流でしょう。)。それなのに、なぜ出版社団体がスキャナ等に関して補償金を配分せよと要求できるのか私には理解できません。したがって、(50)の意見について私は反対します。
Posted by 小倉秀夫 at 01:52 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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