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10/04/2004

ロースクールの学費

 ロースクールの授業料の件については、異論もあるようです。

 しかし、齋藤隆広弁護士の「 オーストラリア法曹教育調査報告 」によれば、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州における唯一の法曹資格認定機関である法曹資格認定委員会(The Legal Practitioners Admission Board)は、ロースクールで勉学できる時間的・経済的余裕がある者のみならず、勤労者、ロースクールの学費を調達できない者、その他の理由でロースクールに入学できない者などにも法曹となれる機会を付与するため、夜間の法曹養成講座を主催し、「設備や教授陣をシドニー大学から流用するとともに、大教室による授業形態を採用し、教員はすべて非常勤、学生との通信にはインターネットを多用する」等のコストダウンの努力をした結果、政府等からの補助金なしで、1科目の受講料を365豪ドル(約23,700円)に留めることができたとのことです。
 
 そして、「教員をすべて非常勤にすればコストダウンとなる」という構造は、夜間ロースクールに限りません。全日制のロースクールだって、教員をすべて非常勤講師ないし非常勤講師と同程度の処遇にしてしまえば、独自の教授、助教授を抱え込んでしまっている現在のロースクールよりもコストダウンとなることは明らかです。これと、ロースクールの位置づけを、大学院から大学に引き戻すことを組み合わせれば、従前司法試験に挑戦することができた階層が再び司法試験に挑戦できるようになります。
 
 とはいえ、ロースクールの教員にだって生活はありますから、どこかで生計を得る手段を確保しなければなりません。生活に必要なお金は、弁護士等に最新の法律情報や特殊分野に関する法律情報を伝授することによって稼いだらよい話です。我々弁護士は、それが役に立つとなれば、数時間の講義・講演に対して数万円の受講料を支払うことだってあるわけで(経費で落ちますし)、法律実務家から一目置かれる研究をしておりかつ講義・講演が上手な研究者であれば、全く不安に思う必要はありません。そして、法学研究者が、法律実務家から一目置かれるような研究を指向するようになることは、悪いことではないでしょう。
 
 あるいは、日本のロースクールの多くは、法学部がある大学が主体となって運営していますから、法学部の教授陣を非常勤講師としてロースクールに流用し、非常勤講師の給与水準で彼らに働いてもらうことによって、人件費を削減することだってできます。法学部の教授、助教授とは別個に、併設ロースクール専属の教授、助教授を置き、高い人件費を支払うなどというのは、コスト的にはばかげた話です。これは、文部科学省が法科大学院の設置基準を改めない限りどうしようもないのかもしれません。無駄を強制する文部科学省は、法曹養成からは一刻も早く手を引くべきだと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 12:23 AM dans D'autre problème de droite |

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