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10/24/2004

急いては事をし損じる

 昨日のエントリーに対し、落合先生からトラックバックをいただきました。
 落合先生は、
 

 そういった中で、現実的に可能ではないかと思うのは、3000名という総合格者の中の、新司法試験と現行司法試験の割り振りを、2009年まで、新司法試験に多めに傾斜して配分するということです。

とおっしゃるのですが、私は、賛成ではないです。私は、法科大学院制度を継続させるということを前提とした場合、新司法試験枠を800人、現行司法試験枠を800人として5年ほど様子を見るということを提唱します。その上で、最高裁、法務省、各法律事務所での採用状況等を見て、それ以降の法科大学院コースと「バイパス」コースとの枠の割り振りを決めたらいいと思います。とにかく、現段階では、法科大学院が司法研修所の代わりを務められるほどの教育機能を有するものとなるのか、司法試験予備校未満の教育機能しか有しないものとなるのか全くわからない状態ですから、法曹養成を法科大学院に一本化するのはあまりに危険すぎるというべきでしょう。
 そうすると、大量の三振法務博士が輩出されてしまうという問題点はあるわけですが、それは、法科大学院の定員等が大幅に削減されない限りどうにもならない話であって(司法研修所を廃止して、新司法試験の合格者数を大幅に増員してしまえば、三振法務博士は少なくなりますが、その分、失業弁護士が増えるだけの話で、単なる問題の先送りでしかありませんし、むしろ、社会に迷惑を与える危険が高い分、失業弁護士が大量にはき出される方が問題といえるでしょう。)、三振法務博士の受け皿を増やす方向で改革を進めていくより他にないでしょう(例えば、裁判所書記官登用試験や、検察事務官登用試験においては、法務博士に限り、年齢制限を設けないというのもありでしょうし、法務博士には政策秘書の資格位は与えたっていいでしょう。また、マスコミに対し、法務博士を司法記者として雇い入れるように働きかけるのもよいでしょう。レコード輸入権問題の際に痛感しましたが、法律案を読んでどういう点が問題になるのか理解する能力に乏しい記者が、役人のコメントを垂れ流しして世間をミスリードすることが多いのではないかと思いますし。)。

Posted by 小倉秀夫 at 03:08 AM dans D'autre problème de droite |

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Commentaires

法務博士って、政策担当秘書に自動的になれませんでしたっけ? 法務博士って、博士号とは見なされないのかな。もしよろしければ、教えて頂けませんでしょうか

Rédigé par: ぷっちい | le 02/06/2012 à 01:07

政策担当秘書についていえば、博士の学位を授与されている者は、選考採用審査認定を受けることにより資格を付与されますから(http://www.sangiin.go.jp/japanese/jimukyok/hisho/hisho.htm)、法務博士に「博士の学位を授与されている者」と同様の地位を与えることは、それほど不合理ではありません。

法曹三者ほどの法的知識等は不要であるにせよ、法律案を読んでその意味を解釈し、限界事例を想定して、その解釈の可能性を最大限考慮し、メリットを生かしつつデメリットをできるだけ少なくするような条項案への修正等を議員に提案するには、法律的な素養を有している方がよいといえ、法科大学院にて、司法改革国民会議が喧伝しているような理想的な教育がなされているのであれば、そこの卒業生はまさに政策秘書として打って付けです。

Rédigé par: 小倉 | le 10/28/2004 à 01:30

「法科大学院制度を継続させるということを前提とした場合、新司法試験枠を800人、現行司法試験枠を800人として5年ほど様子を見る」というのは、単なる先送りにしかならないのではないでしょうか。
 本来、資格試験なのですから、人数を決めるのではなく、資格を与えてよいレベルにあるかどうかを、試験できちんと判断する方法を考えればよいことです。そういう意味で、落合先生の考えには、一理あるのかなと思います。
 あとは、むしろ法科大学院自体の評価をきちんとして、授業や単位認定の内容が必要な水準に達していることを担保するくらいしか手はないのではないでしょうか。

 また、新規者に対して、厳しい参入規制をして高い能力を求める以上、本来は既に資格を取得した人に対しても、更新性の導入により定期的にそのレベルをチェックして淘汰してゆくべきかとも思います。日本は、法曹にせよ医師にせよ、既得権益が強すぎます。一度資格を取ってしまえば、犯罪でもしない限り、取り消されることがないという状況が、資格取得者の驕りを生んでいるように感じます。某TVに出てくる弁護士の、特に労働関係での解釈を聞いていると、基準法を読んだ事がないのではないかと、唖然としますが、それで懲戒を受けることもないようですからw。

 余談ですが、「法務博士には政策秘書の資格位は与えたっていいでしょう」というあたりには、他の資格を格下に見る心理が表出しているように感じます(たいした資格でないことは確かですが、分野が異なるのでは?)。学習内容から言えば、司法書士試験の一部科目免除等の方が合理的だと思われます。

 マスコミに関しては、法律に限らず、専門知識が欠けている人がミスリードな記事を書いていると感じることがままあること、同感です。

Rédigé par: un_chan | le 10/27/2004 à 01:07

>三振法務博士の受け皿を増やす方向で改革を進めていく

いくらなんでもこれでは本末転倒ではないでしょうか?

Rédigé par: | le 10/25/2004 à 03:45

新司法試験で3000人もの合格者を出した場合、
それだけの人数を受け入れられるだけのキャパシティー
が三曹にはあるんでしょうか?
そうでなければ、就職浪人が多数増えるだけだと
思うのですが。
法務省と弁護士協会は就職浪人について何か道筋を
つけているんでしょうか?

私は、今公認会計士の勉強をしているのですが、
監査法人のキャパシティーが800ちょっとに対して
昨年の合格者が1262人も出てしまいました。
400人近くの人が監査法人に入れず、一般企業
に行くか、就職浪人している有様です。
合格者の人数を金融庁が決めていますが、監査法人の
キャパシティーを超えているため、来年も就職浪人が
多数出ると思われます。

公認会計士になるには、二次試験合格後、業務補助と
実務経験を積まないといけないんですが、後者の実務
経験については、一般企業では公認会計士協会に
認められる可能性が低く、監査法人に入らないと
認められる見込みがありません。
その結果、一般企業に行くことを恐れ、
就職浪人が発生しています。

私の通っている予備校TACでは、
就職浪人が増えることに対処するため、
二次試験合格者の一般企業への就職を勧めています。
(一般企業に入っても公認会計士になれる可能性は低いのに)
本来、それは金融庁や公認会計士協会がすべきこと
なんですけど・・・「予備校」がやっているのは
なんとも皮肉なものです。

Rédigé par: アルデンデ | le 10/24/2004 à 20:28

「法科大学院制度を継続させるということを前提とした場合、新司法試験枠を800人、現行司法試験枠を800人として5年ほど様子を見る」というご意見に全面的に賛成です。

それにしても、この制度の導入者たちは当事者たる学生の立場をほとんど考えていないのではないかと思わざるを得ません・・・。

Rédigé par: 法曹志望 | le 10/24/2004 à 16:54

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