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11/14/2004

CMスキップ

日本民間放送連盟会長であり、フジテレビの会長でもある日枝久氏が、DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが「著作権法に違反する可能性もある」と述べたことが、各地で話題となっています。報道によれば、日枝久氏は、「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。」と述べたそうです。

日枝氏といえば、エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワークの理事も務められており、しかるべきアドバイザーがおられるのかもしれません。そこで、この見解の当否について検討してみましょう。

例えば、下記のような放送がなされた場合を考えてみましょう。

20:00:00  番組のタイトル表示
20:00:30  番組スポンサー名の表示及び主要スポンサー名の読み上げ
20:01:00  スポットCM
20:03:00  オープニングテーマ
20:06:00  スポットCM
20:08:00  ドラマ放送
20:25:00  スポットCM
20:27:00  ドラマ放送
20:40:00  スポットCM
20:42:00  ドラマ放送
20:53:00  エンディングロール
20:55:00  スポットCM
20:55:30  次回の予告
20:56:30  スポットCM
21:00:00  次の番組開始

 日枝氏は、上記番組を録画する場合は、20:00:00~21:00:00まで些かも欠くことなく録画しなければならないと言いたかったのかもしれません。すると、家庭用ビデオ機メーカーとしては、Gコード予約オンリーで、かつ、番組を途中から録画することも番組録画を途中で中止することもできないような商品を製造・販売する義務を負うことになるでしょう。
 
 さて、営業的な意味はともかく、法的な意味で上記のような見解を成り立たせるためには、20:00:00~21:00:00の一連の放送の流れを1個の「著作物」と見ることが必要です。
 何をもって1個の著作物と見るかは実は難問です。ただ、ドラマ部分とスポットCMとは、表現態様という点から見れば同じく「映像表現」であり、連続性もあるとはいえ、それぞれによって表現しようとする思想または感情は全く別個であり、しばしば著作者も異なることを考えるならば、別個の著作物と見るのが相当でしょう。
 
 もちろん、複数の著作物を組み合わせて1個の著作物を創作することも可能です。著作権法12条1項は「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。」と定めています。
 
 では、上記のような放送において、「素材の選択又は配列」に創作性はあるといえるかというと、通常は難しいように思います。テレビ放送中にいつ、どのCMを、どの順番で放送するかということは、スポンサーから支払いを受けるスポンサー料等に応じて決定されており、またCMを挿入するタイミングもだいたいありふれており、「素材の選択又は配列」に創作性は認めがたいからです。
 
 すると、CMをスキップして番組録画するという行為は、連続して放送する著作物の一部を取捨選択して録画(私的使用目的の複製)をするにすぎませんから、少なくとも現行著作権法には違反しないといえそうです。
 
 


Posted by 小倉秀夫 at 03:28 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de: CMスキップ:

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Notifié: 15 nov. 2004 à 10:11:23

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素晴らしき世界〜What A "Wonderful World":■CMカット機能は著作権法違反か? http://blog.livedoor.jp/midni... Lire la suite

Notifié: 16 nov. 2004 à 19:55:26

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 日本民間放送連盟(民放連)の日枝久会長(フジテレビジョン会長)が、CMを飛ばして再生が可能なDVDレコーダーについて、「著作権法に違反する可能性もある」と噛み... Lire la suite

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» CMスキップなどの編集は著作権法違反? de 名古屋中央通信局
日本民間放送連盟会長兼フジテレビ会長の日枝久氏が「DVD録画再生機などを使ってCMや見たくない場面を飛ばして録画・再生すること、つまり編集は著作権法違反の可能性... Lire la suite

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» CM スキップ戦争に新展開 - 番組と一体化した CM [ce] de Peace Pipe
最近のディスク系レコーダー機器には当たり前のように搭載されている「CM スキップ」機能. Lire la suite

Notifié: 14 juin 2006 à 03:08:11

Commentaires

素朴な疑問。
野球の延長によってTV局の都合により、場面をとばされても著作権の違反になるのか?
自分の首をしめる意見のような気がしますよ会長さん。

Rédigé par: コウズミ | 19 nov. 2004 à 20:25:03

現行法解釈はさておき、

・デジタル放送への一本化(それが地上波なのかネットなのかはさておき)と高度化(未来永劫「コピーワンス」だけとは限らない)
・著作権者が求めてやまない、「アクセス制御」回避の著作権法上の違法化

といったあたりに要注意でしょうね。

Rédigé par: 崎山伸夫 | 17 nov. 2004 à 02:34:54

 CMカットが著作権法違反だと強弁するTV局側の姿勢は、広告業界をにらんだ「ポーズ」でしかありません。この件、TBさせていただきましたので、ぜひごらんください。

Rédigé par: 「素晴らしき世界」の管理人 | 16 nov. 2004 à 23:23:58

テレビ番組を制作しているテレビ局が一番困るのではないでしょうか。

私は、TVKで制作している番組に出演することがあるんですが、この番組は、TVKの番組として横浜地域で意味のある広告などをはさみながら放映されることはもちろん、他局でも別時間帯に放映されています。
たとえば、千葉テレビでは、千葉地域で意味のある広告などをはさみながら放映され、埼玉テレビでは埼玉地域で意味のある広告をはさみながら放映されています。
もしご指摘の見解が正しいとすれば、この例では、千葉テレビも埼玉テレビも自由に広告をはさみながら番組を放映することが難しくなってしまいます。

また、もしこの見解が正しいとすれば、視聴者が手動でスイッチをオン・オフにし、広告だけ録画しないようにすることや、全部録画したあとで記録を編集して広告だけ削除することも違法行為であることになりますが、そのような解釈は明らかに間違っている。
もし仮にご指摘の解釈が正しいとすれば、ビデオデッキなどを製造・販売している家電会社は、手動による操作を含め放映される番組を編集するような行為をしてはならないという明確な説明を付して販売しない限り、消費者契約法に定める重要事項を示したことにならないことになるとも考えられます。すでに販売されているコマーシャルスキップ機能付の録画装置も全部回収して消費者に弁償しなければならないことになってしまうでしょう。しかし、そのような解釈は、あまりにばかげている。録画装置に組み込まれているコマーシャルスキップ機能は、完全に合法なものであり、むしろ、その機能をもっと強化徹底すべきものと考えます。
インターネット上のポップアップ広告についてはユーザ側でブロックする技術的手段が提供されております。これと同様に、TV番組についても、TV広告をブロックする技術をどんどん開発・提供すべきだと思います。

他方で、公共放送は、特定の宣伝広告の視聴を利用者に強制することは許されないと理解しておりますので、著作権法以前の問題として、かなり問題のある発言ではないかと思います。なりゆき次第では、独占禁止法等に触れる問題もでてくる危険性もあり得るのではないかと考えます。監督官庁等は、厳重な調査を開始すべきでしょう。

テレビ番組の視聴者は、商業広告を出すスポンサーの奴隷ではありません。視聴者は、見たい番組と見たくない番組とを選択する自由を有すると同時に、見たくない商業広告を拒否する権利も有していると考えられます。スパムは、電子メールだけでもひどい迷惑です。TVによるスパムだけが許されるという法理など世界中どこにも存在しません。TV番組を利用したスパムについてもその違法性を正しく認識し、できれば法律によって厳しく規制するようにすべきでしょう。

Rédigé par: 夏井高人 | 15 nov. 2004 à 10:23:25

改正するにも合理的理由がないとだめでしょう。

ビデオ録画するにはCM込みの番組1本単位でしか認め
られないというのも無理があります。
テレビを見ていて、おいしそうな店の紹介があったとき
にメモ代わりにビデオ録画を良くしているのですが、そ
れも出来ないのは個人的に困ります(笑)。

CMと番組本体は別著作物であるし、考えようによって
はCMが番組の間に入ることで、番組本体の著作者人格
権(同一性保持権)の侵害になるのでは、ともいえま
す(もっとも番組制作時にCMが入ることを了承してい
るため問題になることはないのでしょうが)。
CMカットで本来の番組の形に戻しているということも
できます。

Rédigé par: きゃんた | 14 nov. 2004 à 21:34:50

>少なくとも現行著作権法には違反しないといえそうです。

今の著作権法で取り締まれないなら、法律を変えれば良いのです。
そういった前例は出来てしまいました。
前例が有ることは動き易いですね。
ロビイストもお役人も。

Rédigé par: hiro4 | 14 nov. 2004 à 20:51:55

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