東京新聞の実力
東京新聞がその社説で法科大学院問題を取り上げています。
数の問題は合格者に最高裁主導で実務教育をする司法研修所の収容能力にも関係している。教育権を完全には失いたくない最高裁の思惑、研修所で裁判官や検事と「同じ釜の飯を食った」経験への弁護士の郷愁などから生き残った形の研修所だが、法科大学院の実務教育を充実すれば不要だ。廃止を目指すべきである。
さすがは東京新聞です。法科大学院制度のもとでも司法研修所を残すこととした経緯(弁護士会急進派は司法研修所の廃止を主張していたのに、従前通りの「理論教育」中心でやりたい大学関係者側の方が2階建て方式を提案してきたというのが実情なのに。)や、現在の法科大学院制度のもとで司法研修所の代替となるような実務教育が法科大学院にできるのか等の基本的な事実はあっさり無視ですね。
東京新聞を初めとする司法研修所の廃止を主張する人たちは、
裁判官は、弁護士が依頼者から事情を聞き、証拠資料等を収集し、これを取捨選択する過程や、検察官が被疑者や関係者を取り調べて調書を作成する過程などの実態を知る必要はなく、
弁護士は、裁判官がどのようにして意思決定を行うのかなどの実態を知る必要はない
ということを同時に言っているのだということを十分認識すべきだと思います。
さらにいうと、建前はともかくとして、法科大学院制度を採用したところで、「豊かな社会常識を有するバランスのとれた人格」をもっていないと言うことで法科大学院を卒業させないとか、新司法試験に合格させないなどという運用を行うことは現実的に不可能なのですから、結局、「豊かな社会常識を有するバランスのとれた人格であることは大前提だ。」なんてことを偉そうにいってみても、法曹養成制度を考える上では無意味だと思うのですけどね。
Posted by 小倉秀夫 at 11:25 AM dans D'autre problème de droite | Permalink
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Notifié: 15 déc. 2004, 13:29:14
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Notifié: 19 déc. 2004, 15:48:11
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