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12/05/2004

「幇助の故意」と宗教紛争

 Winny事件の関係などで「幇助の故意」が話題になっていますが、この「幇助の故意」について注目の裁判例が下されました。東京高判平成16年11月19日判例集未登載がそうです。
 事案としては、日蓮正宗側が創価学会を批判するビラを作成する際に池田大作の写真を勝手に流用したという「犬も食わない」ようなものです。で、そのビラ配布のための保管及び作業場所として妙観講本部を使用することを了承したことが、ビラの配布(譲渡権侵害)の幇助となるのかが問題となりました(まあ、刑法上の「幇助」ではなく、不法行為法上の「幇助」が問題となったのですが。)。
 裁判所は、

1審被告Aが,1審被告Bの依頼に応じて本件写真ビラ配布のための保管及び作業場所として妙観講本部を使用することを了承し,その了承の下に,同本部が保管及び作業場所として使用されたことによって,本件写真ビラの配布(譲渡権侵害)が容易となったということができる。したがって,1審被告Aには,本件写真ビラの配布を客観的に容易にするという意味における幇助行為があったというべきである
と、まず認定しました。その上で、
1審被告Aは,1審被告Bから,「守る会」が発行するビラの配布のための保管,作業場所として妙観講本部を使いたいという要請を受けた際に,そのビラがCの発言等を引用して1審原告及び公明党を批判する内容のものであって,Cの顔写真を掲載するという程度のことは,知らされていたと推認するのが自然である。しかし,それ以後,印刷済みの本件写真ビラが妙観講本部に搬入されるまでの間に,1審被告Aが,ビラに掲載するCの写真を見せられたり,写真が具体的にどのようなものであるかの報告を受けたりして,本件写真ビラに掲載される写真の具体的内容を知っていたことを認めるに足りる証拠はない
という事実を認定しました。裁判所は、そのような場合には、
1審被告Bからの要請を受けて1審被告Aが本件写真ビラの配布のための保管場所に妙観講本部を使うことを了承した際,1審被告Aには,ビラに掲載する写真(本件ビラ写真)が,1審原告の著作権等を侵害する行為によって作成されたものであることないしその蓋然性が高いことの認識があったとは認められない
として「幇助の故意」を否定しました。
 刑法上の「幇助」と異なり、不法行為法上の「幇助」は、故意がなくとも過失があれば成立するので、裁判所は当然その点も検討しています。すなわち、
本件ビラ写真が著作権等を侵害するものであることについては,1審原告写真1と比較したときに初めて分かるという性質のものであるから,1審被告Aが本件写真ビラに本件ビラ写真が掲載されているのを見たとしても,そのことのみをもってしては,同1審被告が,本件写真ビラに掲載された本件ビラ写真が著作権等を侵害する行為によって作成されたものであることないしその蓋然性が高いことを認識しつつ,妙観講の講員による本件写真ビラの配布を容認したということはできないし,上記のような違法な結果の発生を認識し得べきであったのに認識しなかったということもできない
として過失の存在をも否定しています。
 
 ファイル共有されているmp3ファイルが日本音楽著作権協会の著作権を侵害するものであるかは、同協会が著作権を有する楽曲と比較したときに初めて分かるという性質のものなのですが・・・

Posted by 小倉秀夫 at 03:51 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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