国民会議とサイバーカスケード
今更ながら、キャス・サンスティーンの「インターネットは民主主義の敵か」(原題:「Republic.com」)を読みました。
ここで繰り返し論じられている「エンクレーブの弊害」、すなわち、「同じ考えの人たち同士の議論は、過剰な自信、過激主義、他者の蔑視、そしてときには暴力さえ引き起こすリスクがある」(33頁)という議論を読んで、私が真っ先に思い浮かべたのは、なんとか国民会議と名乗る集団のことです。
「国民会議」といいながら、そのほとんどは国民各層から意見を吸い上げて討議するものではなく、トップダウンで選ばれた人たちが集まって、偉そうな提言をするというのが基本的な特徴です。その多くは、「エンクレーブのリスク」すなわち過剰な自信、過激主義、他者への蔑視を見て取ることができます。
ろくに事実調査をせずとも自分たちの見解が正しいと確信を抱き、反対論者については守旧派・業界エゴなどのレッテルを貼ってその意見を一顧だにせず、その結果、現状とはかけ離れた、実現可能性の低い提言を、どうどうと行っています。この種の集団に属する方々の中には、自分と反対の立場に立つ人々の見解を引用すらしないという、社会科学系の論文の作法としては考えられないような論文を書く方も混じっているようです。
しかも、このエンクレーブは悪いことに、権力機構との距離が近く、そこで醸成された過激な結論が公共政策として反映される危険が高いという特徴があります。そういう意味では、「サイバーカスケード」よりたちが悪いともいえそうです。
Posted by 小倉秀夫 at 02:29 AM dans D'autre problème de droite | Permalink
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Commentaires
>なんとか国民会議と名乗る集団のことです。
↓これのことでしょうか?
http://sinrigakukenkyu.ameblo.jp/
>ネット右翼問題を考える国民会議
Rédigé par: JSF | 3 mai 2005, 09:41:21
私は、輸入権反対運動の中核メンバーを思い浮かべました。
Rédigé par: sandman | 2 févr. 2005, 16:55:38