CCCDとライセンス料等
私的録音録画補償金制度を拡充するかあるいは縮小・廃止するかということが、次期著作権法改正の重要な争点となりつつあるようです。
この問題を考える上で重要なのは、「著作物が複製されること自体によって、著作権者はいかなる損害を現実に被るのか」という視点で物事を考えていくことです。
著作物の複製物が公衆に頒布される場合、正規製品と市場で競合しますから、正規製品の売り上げが減少したり、正規製品の出荷価格を引き下げなければならなかったりということで、著作権者が一定の損害を被りうるということはわかります。しかし、消費者が市販の音楽CDを購入してそのCDに収録されている楽曲をiTunesを通じてiPodに転送するようないわゆる「Media Shift」の場合、正規製品とは市場で競合しません。そのような「Media Shift」としての「複製」が野放しになされると、それがなされないときと比べて、正規製品の売り上げが減少してしまうとか、正規製品の出荷価格を引き下げなければいけなくなるという関係はありません。
もちろん、貸しCD屋さんに言って音楽CDを借りてきてその収録楽曲をBlankCDに複製するような場合は、「CDレンタル&BlankCDの販売」は「正規の音楽CDの販売」と一定の限度で市場で競合します(ただし、消費者が音楽という娯楽に支出しうる金額が無限でなく、音楽CDの貸与を受けBlankCDを購入して複製するのに要する費用と正規の音楽CDを購入するのに要する費用とが同一でない以上、「CDレンタル&BlankCDの販売」が1つ増えると「正規の音楽CDの販売」が一つ減るという1対1の関係には立ちません。)。したがって、音楽CDが1枚レンタルされこれがBlankCDに複製されることにより正規の音楽CDの売上枚数がどの程度減少するかを「法と経済学」的な手法により分析した上で、これに対応するライセンス料の減少分を「CDレンタル許諾料+私的録音録画補償金」でカバーするというのは一定の合理性がないわけではありません。
そういう意味では、「CDレンタル&iPodへの複製」により正規の音楽CDの売上枚数の減少分に対応するライセンス料の減少分を「CDレンタル許諾料+私的録音録画補償金」でカバーするのもまた不合理ではないかも知れません。ただ、「私的録音録画補償金」は正規の音楽CDを購入して「Media Shift」をしているだけのユーザーにも負担を課している点で問題が大きいような気がします。「CDレンタル&媒体への私的複製」によるライセンス料収入の減少を補うのは、もっぱらCDレンタルについてのライセンス料によってまかなうべきではないかと思います。
そしてその場合、消費者に私的複製をなさしめない「CCCD」については、「CDレンタル&媒体への私的複製」によるライセンス料収入の減少を補うという意味を帯びないわけですから、公衆に刹那的に音楽を享受させることしかできないという意味で共通点を有する「公への演奏」と同様に考えていいのではないかという気がします。
すると、JASRACの使用料規程によると、定員1万人までの会場で演奏する場合、5分あたり8000円のライセンス料を支払えばいいことになっていますから、CCCDのレンタル料金は、収録時間5分あたり0.8〔円/人〕でよいように思います。これでいくと、収録時間約60分の音楽CDで、0.8×(60÷5)=9.6円程度のライセンス料を支払えばよいということになります。現在、月間1万回の貸出しを行うレンタル業者は月額40万円、レンタル1回あたり40円のライセンス料を支払うことになっていますから、CCCDのレンタルについていえば、JASRACはライセンス料を取りすぎであると言えそうです。
Posted by 小倉秀夫 at 05:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Voici les sites qui parlent de: CCCDとライセンス料等:
» 【著作権】「メディアシフト」と「金を取りすぎ?JASRAC」 de blog @ psychedesire
benli: CCCDとライセンス料等 なんだか漢字が多くて理解するのに苦労しました(頭悪すぎ…)が、 なんとか理解できたです。 曲データをコピるので、実際CDの売り上げどれくらい落ちるのよ?って言う話なんだと 勝手に解釈しました。 --------------以下勝手な脳内解釈--------------------- CDの中の曲をデータにして、ただiPodに移すだけなら、 それ自体でCDの売り上げが落ちるってことにはならないんじゃないか? だってCD買った上でmp3にしてるんだもんよー。 ただ... Lire la suite
Notifié: 6 mai 2005, 06:43:39
» CCCD de パソコン図書館
CCCDコピーコントロールCD (CCCD, Copy Control CD, Copy-Controlled Compact Disc)は主としてパソコンでのデジタルコピーを抑止する目的で導入された技術、もしくはその技術を導入した音声記録媒体の総称である。CCCDは通称であり、規格の名称ではない。...... Lire la suite
Notifié: 7 juin 2005, 03:45:55
» 二重課金 de 音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号
二重課金? 買うときに払って、また払うの?
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気分的には、CD買うときに音楽を聞くための対価を払って、それをたとえばPCに移すときにもう一回払うのは、二重取りされてる気がする。
レンタルも貸与権てのがあって権利者に対価が届くって事になってるけど、それをコピ... Lire la suite
Notifié: 21 sept. 2005, 03:21:41
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Commentaires
最近のデッキではもしかしたらダメかもしれませんが、CCCDは、SPDIF経由でのデジタルコピーが可能です。
なので、CDデッキからMDデッキへの直接のデジタルコピー(PCを介さないコピー)は制限がありません。
あと、個人的にはやりませんが、アナログでのコピーも可能ですね。
http://www.avexnet.or.jp/cccd/faq6.htm
Rédigé par: Ryuichi | 6 mai 2005, 09:19:32