« juillet 2005 | Accueil | septembre 2005 »

08/31/2005

【アンケート】J-Popに触れる方法

 現在、海外で生活されている方にお伺いしたいのですが、

  1. 未知のJ-Popに新たに触れる方法としてどのようなものを利用されていますか?
  2. それは、在外邦人以外の方も通常利用しているものですか?
  3. J-Popを新たに購入(CD等のパッケージを購入する場合に限らず、音楽配信サービスを利用してダウンロード購入する場合を含みます。)する方法としてどのようなものを利用されていますか?
  4. それは、在外邦人以外の方も通常利用しているものですか?
  5. 在外法人以外の同僚、友人等がいる場所でJ-Popをかけたことがありますか?
  6. そのとき、周囲の反応はいかがでしたか?

 気が向いたら、ご回答をコメント欄等に投稿して頂けたら幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 11:40 AM dans musique | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

08/30/2005

法とコンピュータNo.23

 法とコンピュータ学会の学会誌である「法とコンピュータ」の第23号が公刊されました。

 その中で私は、「P2Pに関する法律問題」という論文を掲載して頂きました。ご興味がおありの方はお読み頂ければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 03:13 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/29/2005

図書館において著書を蔵書とする方が著作者の利益を害するのか、蔵書としない方が害するのか?

 推理作家の三田誠広氏らを中心に繰り広げられている「公貸権」創設論というのは、その著書が図書館に蔵置されると作家が経済的な損失を被るということを前提とするものでした。しかし、その正反対のことを主張する作家たちもいます。最判平成17年7月14日判例集未登載[船橋市立図書館蔵書廃棄事件]で、原告である「新しい歴史教科書をつくる会」等は、その著書を市立図書館の蔵書でなくすることは怪しからぬことであると主張したのです。

 公立の図書館には蔵書を廃棄するにあたっての内部的なルールが定められており、各図書館に置かれた司書は、このルールに則ってどの蔵書を廃棄処分とするのかを決定します。したがって、問題の司書が、「新しい歴史教科書をつくる会」やこれに賛同する者等及びその著書に対する否定的評価と反感から、その独断で、図書館の蔵書のうち「つくる会」らの執筆又は編集に係る書籍を大量に廃棄処分としたことは、上記内部的なルールに違反した行いであることは間違いないので、当該図書館を管轄していた教育委員会が当該司書に懲戒処分を科したというのは当然のことといえます。

 また、図書館は、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」であり(図書館法2条1項)、「社会教育のための機関」であって(社会教育法9条1項)、国及び地方公共団体が国民の文化的教養を高め得るような環境を醸成するための施設として位置付けられているのであって、「図書館資料の収集、提供等につき、㈰住民の学習活動等を適切に援助するため、住民の高度化・多様化する要求に十分に配慮すること、㈪広く住民の利用に供するため、情報処理機能の向上を図り、有効かつ迅速なサービスを行うことができる体制を整えるよう努めること、㈫住民の要求に応えるため、新刊図書及び雑誌の迅速な確保並びに他の図書館との連携・協力により図書館の機能を十分発揮できる種類及び量の資料の整備に努めること」が公立図書館に求められている(「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」)ことを考えれば、司書が恣意的に蔵書を廃棄処分としたことにつき、当該図書館の利用者たる住民が国賠訴訟を提起するというのならば分からなくはありません。

 ただ、そこから「公立図書館が、上記のとおり、住民に図書館資料を提供するための公的な場であるということは、そこで閲覧に供された図書の著作者にとって、その思想、意見等を公衆に伝達する公的な場でもあるということができる。」と言われると思わず首を傾げてしまいます。著作者の側から積極的に図書館を「その思想、意見等を公衆に伝達したいので私の著作を置いて欲しい」と申し出ているのならば、図書館が著作者にとっても思想等を伝達するための公衆の場であるというのは分からないでもないです。しかし、実際には、作家たちは、図書館に自分の著書が収蔵されると書籍の売上げが減少するから公貸権をよこせ云々といっているわけで、図書館をそのような「公的な場」として積極的に活用しようという意図はさらさらなかったのです。

 最高裁は続けて、「したがって、公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは、当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして、著作者の思想の自由、表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると、公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であ」ると判示するのですが、「思想の自由」も「表現の自由」も、自らの思想等の公衆への伝達へのサポートを国家に積極的に要求する社会権的な要素を含みませんので、図書館においてその著書を収蔵されたものの利益が法的保護に値する根拠として思想の自由や表現の自由を持ち出すのは筋違いではないかと思います。

 その著書が図書館において廃棄されないということが法的保護に値する著作者の利益だとすると、各地方公共団体ごとに定めた内部的なルールに従って蔵書を廃棄することだって違法行為となりかねません。各地方公共団体には著作者から「人格的利益」を奪う権限はないからです。したがって、この最高裁判例を前提とする限り、各自治体は、著作者の「人格的利益」を損なわない「蔵書廃棄ルール」を模索するか、または、内容的に好ましくない書籍は住民からのリクエストがあっても収蔵しないように、収蔵前に入念に内容を審査することが求められるのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 10:40 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (2)

08/25/2005

コスプレを巡る法律問題

ゲームラボでの連載用に、「コスプレを巡る法律問題」を書き上げました。

しかし、「コスプレ」を巡っては、ゲームラボでの予定文字数3000字では書ききれないほどの論点が、誰にも指摘されないまま埋まっていると思いました。

Posted by 小倉秀夫 at 07:11 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

08/24/2005

作曲家の収入

 作曲家の穂口雄右さんの「テレビが独占する音楽著作権利益の実態(1)」がネット上で話題となっています。

 特にこの部分です。

しかし実態は違います。1枚のアルバムCDから一人の作曲家に分配される印税は契約によって、良くて定価の約0.14%、多くは約0.1%、許せないのはたったの約0.05%しか支払われなケースが増えているという事実です。つまり音楽ファンが14曲入り3000円のCDを買っても、その作品を作った音楽家一人には、時にはわずか約1円60銭の収入にしかならないのです。これでは若手音楽家の生活は安定しません。

 本当なのでしょうか。

 日本レコード協会加盟のレコード会社からCDが販売される場合、JASRACに支払われるべき著作物使用料は、

(税抜定価ー税込定価×5.35%)×6%÷収録楽曲数

ですから(安藤和宏「よくわかる音楽著作権ビジネス2 実践編」123頁参照)、定価3000円(税抜)で収録楽曲が14曲なら、JASRACに入ってくるのが約12.135円です。ここからJASRACの手数料6%を差し引くと、約11.407円。これを作詞家、作曲家、編曲家、訳詞家、音楽出版社等で分配するわけです。

 で、JASRACの「著作物使用料分配規程」をみると、作詞家、作曲家、編曲家、音楽出版社に分配しなければならない場合、作曲家の取り分は、最も低いときでも3/16あります(通常は1/4〜1/3だとは思いますが)。すると、約2.139円は作曲家に入ることになります。

 もちろん、著作物使用料分配規程第29条第3項は、「第1項の規定中関係権利者に音楽出版者が含まれる場合において、他の関係権利者がその取分を音楽出版者から受領することを音楽出版者との契約に同意したときは、使用料の全額を当該音楽出版者に分配する」とありますから、通常は、JASRACは1枚1曲あたり約11.407円の使用料全額を音楽出版者に支払い、音楽出版者は各作詞家、作曲家等との契約に基づいてこれを分配するわけで、契約の内容によっては、作曲家に約1.60円しか支払わないでもよいようになっているということもあり得ないわけではないです。しかし、力関係に差があるからといってあまりに不合理な条件を押しつけていると、そういう契約は公序良俗に反するとして無効となってしまいます。で、現時点では「公序良俗に反するか否か」の基準は、JASRACの「著作物使用料分配規程」に置かざるを得ないので、その最低基準と比べても低すぎる額しか配分されないということになれば、そのような契約は「公序良俗に反して無効である」とされる可能性が高まります(すると、音楽出版者は、JASRACから収受した使用料を、合理的な管理費用を差し引いた上で、不当利得として当該作曲家に返還すべきということになりそうです。)。

穂口さんはひょっとして、音楽出版者から出たお金がさらに中間搾取者に搾取された後の数字を言っているのでしょうか(参考、著作権マニアさんのブログ)。

Posted by 小倉秀夫 at 02:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

James Blunt に聞いてみる。

James Bluntの"You're Beautiful"は、多くの国のiTMSではダウンロード可能であり、実際ダウンロード回数では上位に入っているのに、iTMS for Japanではダウンロードできないので、James Bluntの公式WEBサイトに掲載されていた連絡用メールアドレスにメールをして、どうしてiTMS for Japanではダウンロードできないようにしたのかを聞いてみることにしました。

はたして回答は返ってくるでしょうか?

Posted by 小倉秀夫 at 01:56 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

08/22/2005

「選撮見録」訴訟資料公開

いわゆる「選撮見録」訴訟について、原告と被告が提出した主張書面が公開されました

被告側としては、やれるだけのことはやったつもりですが、いかがでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 02:59 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

総務省のパブコメ

 もともと、著作隣接権者が著作権法上の保護を受けられるのは、著作隣接権者が著作物を公衆に伝達する上で大いに貢献することを期待されているからです。従って、著作物の公衆への伝達を阻害するために著作隣接権を行使するのは本末転倒であるといえます。実演家やレコード製作者が、放送や有線放送による著作物の公衆への伝達を阻害するために著作隣接権を行使することがないよう、実演・レコードが放送・有線放送されることについて隣接権者が隣接権を行使する道を事実上閉ざし、二次使用料請求権を行使することを許すにとどめる法制度を我が国の著作権法が採用しているのは筋が通っているといえます。

 その意味では、ラジオやテレビと同じように著作物を公衆へ伝達する手段としてインターネットが活用できるようになってきた現在、実演家やレコード会社が、インターネットによる著作物の公衆への伝達を阻害するために著作隣接権を行使することがないような法制度を採用するのが筋であることは疑うべくもありません。私は、日本の著作権法は、放送・有線放送か否かの区別を「公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う」か否かにおいている以上、IPマルチキャストはもちろん、ユニキャストでも同じ時間には同じ内容のデータが公衆に送信されるタイプのもの(非オンデマンド型)については「有線放送」にあたると考えていますが、文化庁がそれとは異なる解釈を示している以上、政策論的には、IPマルチキャストや非オンデマンド型のユニキャストについて、有線放送と同様に、実演家やレコード製作者の許諾なくしてこれを行えるようにする(そのための一時的な複製も免責することを忘れずに)ことが望まれます。

 また、放送事業者や有線放送事業者の著作隣接権もまた、建前上は、その著作物を公衆に伝達する上で大いに貢献する機能を保護するために認められているわけですから、これが著作物の公衆への伝達を阻害するために活用されるとすれば、それもまた本末転倒であることは明らかです。したがって、インターネットを活用して放送・有線放送されたコンテンツを再送信することは放送事業者等の許諾なくして行えるようにするのが筋であるといえます(放送事業者等の経済的利益を保護するためには、広告収入・無料放送で成り立っている民間放送の場合、再送信にあたってコマーシャルフィルム部分を削除すること及び新たにコマーシャルフィルムを付加することを禁止すれば足りるはずですし、有料放送の場合、再送信の回数に応じて再送信事業者が放送事業者等に二次使用料を支払うようにすれば足りるはずです。)。そうすれば、地上波が十分に届かない地域において、テレビ番組を視聴するために必要な設備に関して、異業種間での競争が起こり、より高性能の設備がより低価格で提供されるようになる可能性があります。

 どうせならその際に、再送信の受信地域制限を設けないこととし、日本中どこにいても同じ番組を視聴できるようにしたらよいと思います。あるテレビ番組を受信していい地域と受信しては行けない地域とをテレビ局が決めるというのは、放送事業の公共性にそもそも反します。テレビ局には、「国民の知る権利」に地域格差を設ける権限などあるべきではないのです。

 せっかく総務省さんがパブリックコメントを募集しているようなので、そういう声をみんなで上げてみるのもいいのではないかという気がします。

Posted by 小倉秀夫 at 01:22 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

08/19/2005

Attention!!

 iTunes Muisc Storeでもう6000円以上使っているんですね。

 使っているiPodが初代であり容量的に限界に近づいているからこの程度で済んでいますが、最近の大容量タイプをもっていたら本当に危険です。

 なお、最初にダウンロードしたのは、
  The Beach Boysの
  "Barbara Ann"

 一番ヘビーローテーションで聞いているのが、
  Brian Eno, Rachid Taha & Skinの
  "Still Standing"

 日本系のアーティスト(正確に言うとどうなるのだろう?)だと、
  Def Techの
  "Canción de la Expansión"
  
 です。

Posted by 小倉秀夫 at 04:40 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/14/2005

文教委員会所属の議員さんへの質問

衆議院文部科学委員会所属の議員さんたちの4分の1くらいに次のようなメールを送信しました。


衆議院議員         先生


 私は、今回の総選挙においては、著作権法の2007年改正問題についての態度を重視している者のひとりであります。つきましては、衆議院の文部科学委員会に所属されている各党の議員の方々に、下記の質問をさせていただいております。突然の解散総選挙でご多忙のこととは存じますが、ご回答いただければ幸いです(先生のご回答は、私のウェブサイト上で公開させていただくことを予定しております。)。

【ご質問】
1. 著作権の保護期間延長に反対かどうか

2. 私的録音録画補償金制度を廃止するとともに、正規商品の代替品を市場に供給しない複製を私的使用目的の複製として保護し続けるかどうか

3. コンテンツのストリーミング型配信について、少なくとも一定の禁止期間経過後は、コンテンツホルダーの権利を許諾権から二次使用料請求権へとシフトさせるかどうか

4. 原盤権者に対して、楽曲のオンライン配信について日本国内又は他のG8参加国内にある事業者の一つにライセンスを付与した場合、他の事業者に対しても、少なくともそれと同程度の条件でライセンスを付与することを義務づけるかどうか


【ご質問の趣旨】
1 IT技術の発展により私たちは消費生活における新たなる利便性を様々に獲得できるようになったはずでした。しかし、既存の著作物についてのコンテンツホルダー(著作権者、著作隣接権者等)といった既得権者が手厚く保護されすぎているため、私たちはこのIT技術の発展による恩恵を十分に受けることができません。それどころか、先端的なIT技術を中核とするベンチャー企業等が消費者に様々な利便性をもたらす新たな商品やサービスを開発し提供しようとするにあたって、専らこの商品やサービスを妨害するために、既得権者が著作権等を行使するという現象が頻発しており、私たちは、欧米諸国の市民と同レベルの消費生活を満喫することができないでいるのが実情です。
 そこで、既得権者と新しい起業家、そして私たち消費者の利益バランスをどうお取りになるのかの試金石という意味でも、著作権法改正問題についてのスタンスというのは重要だと考えております。


2 著作権の保護期間の延長を認める正当性というのは、「創作へのインセンティブを確保する」ことの1点しかありません。すると、今後創作される著作物についてはともかく、既に創作されてしまっている著作物についてまで著作権の保護期間延長の効果を及ぼすことには何ら正当性はありません。既存の著作物について著作権の保護期間を延長するというのは、既存の著作物について著作権を有しているというだけで不労所得を得、または、当該作品の利活用を阻害している人・企業の既得権を拡大するという意味しか持ちません。
 したがって、私は、今後著作権の保護期間が立法によって延長されるにせよ、その延長の効果が既存の著作物に付いてまで及ぶこととすることには反対いたしております。

3 iPod等のハードディスク型音楽再生機器を私的録音録画補償金の適用対象とするように音楽関係団体が各所に働きかけを行っていると聞き及んでいます。しかし、これらの機器への私的使用目的の複製は、CDという「通勤通学の途中で再生するのに不便なメディア」からiPod等の「通勤通学の途中で再生するのに不便なメディア」へとデータを移す「メディアシフト」のために行われているのが通常です。このような「メディアシフト」のための複製については、「それさえなければ正規商品が余分に売れていたであろう」とは一般的に言えないので、コンテンツホルダーに何ら経済的な損失を与えておりません。したがって、iPod等が私的録音録画補償金の対象となるとすれば、それは、経済的損失の裏付けがない補償金制度を創設するということになるのであって、コンテンツホルダーが国民に対して一種の間接税を徴収することを認めるということになります。
 私は、このような形で、国が既得権の不当な拡大に手を貸すことに反対しております。

4 日本は世界に先駆けて送信可能化権を、歌詞・メロディ等の著作権者及びレコード会社等の隣接権者による許諾権として法定してしまいました。そのため、同じ先進国であるアメリカやイギリス、フランス、ドイツなどで普及しているサービスを、日本の消費者が享受できないという事態が現実に発生しています。
 例えば、インターネットを介して音声等をストリーミング配信するインターネットラジオは、日本は特に立ち遅れた状態にあります。といいますのも、無線または有線によるコンテンツ配信のうちコンテンツを公衆に向けて同時に配信するもののみを放送・有線放送としてあとで二次使用料を支払えばレコード会社などの許諾を得なくともコンテンツを送信できるとしているのに対し、コンテンツが公衆に向けて同時に送信されないものについては、レコード会社等から事前に逐一許諾を得なければその配信は許されないものとされているからです。
 しかも、日本のレコード会社等は、音楽配信のためのライセンス交渉の窓口を用意しておらず、インターネットラジオ事業に参入しようとした業者が「お金なら支払うからCDに収録された楽曲をインターネットラジオで送信させてくれ」と申し込もうにも、その窓口すらない状態です。
 許諾権を適切に行使できず、文化遺産の公正な利用を阻害してしまっている権利者からは、許諾権を取り上げて、二次使用料請求権を代わりに与えるにとどめるのが、文化保護法である著作権法の努めだと私は思います。

5 現在の日本法の下では、どこの音楽配信サービス事業者に楽曲の音楽配信を行わせ、どこの事業者に行わせないかを決定する権限をレコード会社等の原盤権者が有していますが、この権限は、レコード会社等がその子会社、関連会社である音楽配信サービス事業者を、他の音楽配信サービス事業者より競争上有利におくために、子会社・関連会社たる事業者に音楽配信を認めた楽曲について、その競争相手である事業者には音楽配信を認めない等の差別的取扱のために利用されたり、アメリカ等の市民向けの音楽配信サービスでの音楽配信を認めた楽曲について日本の市民向けの音楽配信サービスでの音楽配信サービスを認めない等の民族的差別のために利用されたりしています(例えば、Sony Musicが権利を持っているPuffyの「アジアの純真」という楽曲は、アメリカのiTunes Music Storeではダウンロード販売されていますが、日本のiTunes Music Storeではダウンロード販売されていません。)。
 このように、日本国民は、消費生活のレベルにおいて明らかに差別を受けているのが実情であり、その差別を後押ししているのが、既得権者保護の色彩が強すぎる現行著作権法の諸規定です。

 私は、日本の消費者が欧米の消費者と比べて露骨に差別されている状態を黙って放置していられる政治家を──その方が他の話題でどんなに勇ましいことをいっていたとしても──「愛国者」だとは金輪際思わないものであります。 

Posted by 小倉秀夫 at 04:25 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (2)

08/13/2005

「郵政解散」かもしれないけど、私にとっては「iPod選挙」

 郵政事業の民営化って、私にとってはどっちでも良い話題であって、そんなものを争点にされたって困ってしまうなあというのが正直な感想です。ちょっと陰謀論的にいえば、郵政事業の民営化問題なんて大抵の国民にとってはどうでも良いことなので、こういうものを争点にしてしまえば、「小泉=改革派、反小泉=守旧派」みたいな路線に国民もあっさり乗ってくれるのではないかという思惑があったのではないかという気がしなくはありません。実際には、財政投融資に問題があるというのであれば、郵政事業を民営化しなくったって、財政投融資のあり方を変更すればいいだけなのではないかという気がするので、民営化反対=守旧派ってほど単純ではないとは思うのですが。

 そんなことより、既得権者と国民とどちらの味方をするのかがはっきり分かれるのは、著作権法改正問題です。

 著作権の保護期間の延長問題は、少なくとも既に著作権が発生している作品についても保護期間を延長する限度においては、「インセンティブ論」とは全く関係がない、現在のコンテンツホルダーの既得権擁護以外の意味を持ちません。

 また、メディアシフトのための私的複製が行われているにすぎないiPod等への私的録音録画補償金課金問題もまた、経済的損失の裏付けがない補償金制度の創設の是非という問題であって、コンテンツホルダーによる国民への不当な搾取を法の力によって義務づけようとするものです。これまた、既得権の拡大という意味しか持ち得ないものです。

 また、現在の日本の著作権法は、どこの音楽配信サービス事業者に楽曲の音楽配信を行わせ、どこの事業者に行わせないかを決定する権限を原盤権者に与えており、また、日本の独占禁止法制は、原盤権者がその子会社、関連会社が音楽配信サービスを行うことを認め、さらに、原盤権者の子会社・関連会社に音楽配信を認めた楽曲について第三者に音楽配信を認めないという差別的取扱いを明らかには禁止していません。その結果、音楽配信についていえば、日本国民は、日本と同レベルの経済水準にある諸外国と同様の消費生活を享受できない環境におかれています。

 インターネットラジオについても、文化庁は非オンデマンド・ストリーミング型ですら放送・有線放送ではなく自動公衆送信だと言い張っており、かといって、レコード会社にライセンスのための条件整備を促すこともしないため、「お金を支払ってもいいから、日本の楽曲をインターネットラジオで流したい」と思っても流せないでいるのが実情です。これなど、既得権者たるレコード会社にどんな利益があるのかすら理解できないのです(自分たちが権利を握っているコンテンツが第三者の手により有効活用されてしまうこと自体が、レコード会社の「明日のインセンティブ」を奪うとでもいうのでしょうか。)。

 そこで、私は、今回の選挙の争点は、


  1. 著作権の保護期間延長に反対かどうか

  2. 私的録音録画補償金制度を廃止するとともに、正規商品の代替品を市場に供給しない複製を私的使用目的の複製として保護し続けるかどうか

  3. コンテンツのストリーミング型配信について、少なくとも一定の禁止期間経過後は、コンテンツホルダーの権利を許諾権から二次使用料請求権へとシフトさせるかどうか

  4. 原盤権者に対して、楽曲のオンライン配信について日本国内又は他のG8参加国内にある事業者の一つにライセンスを付与した場合、他の事業者に対しても、少なくともそれと同程度の条件でライセンスを付与することを義務づけるかどうか


ということにしようかと思います。まあ、衆議院の文教委員会の議員さんたちに質問状を出してみて、無視されたらそれまでですが。

Posted by 小倉秀夫 at 10:49 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (6)

08/09/2005

世界に一つだけの花

 野口聡一さんのリクエストで、SMAPの「世界に一つだけの花」のさわりの部分が世界中に放送されました。その後、野口さん自身が、キーボードで、「世界に一つだけの花」のさわりの部分を演奏している映像も流れてきました。それらの映像を見て、「世界に一つだけの花」という楽曲は日本では非常にポピュラーなのだということを知った方が、きっと世界中にいるでしょう。そういうことを知ったら、是非とも「世界に一つだけの花」を聞いてみたいという人も世界中にはたくさんいることでしょう。
 
 しかし、折角始まったiTMS日本版にSMAPの楽曲は登録されていないので、世界の人々は「世界に一つだけの花」を試聴することができません。仮にiTMS日本版にSMAPの楽曲が登録されていたとしても、iTMSはbilling adressの所在地ごとに利用者が寸断されてしまっていますから、日本国内にbilling adressがない人々は、「世界に一つだけの花」を試聴してこれを気に入ったとしても、これをダウンロード購入することができません。どうしても「世界に一つだけの花」を聞きたかったら、現実的には、WinMXやKaZaA等でダウンロードするしかないのでしょう。
 
 また、野口さんが「世界に一つだけの花」のことを平和を願う歌だといっていたのを聞いて、その歌詞に興味を持った人も世界中にはたくさんいることでしょう。日本語が使える環境にある人は、「世界に一つだけの花」&「英訳」でググると民間有志の行ったいくつかの英訳にたどり着くのですが、残念ながら、おそらくこれらのほとんどは、日本の著作権法のもとでは著作権法違反となってしまいます。歌詞をそのままネットにアップロードするのはJASRACにライセンス料を支払えば適法にこれを行うことができるのですが、歌詞の翻訳及びそのアップロードについては権利処理を行う団体等が存在していないからです。
 
 知的財産戦略本部は、日本の優れたコンテンツを世界に流通させていくために、こういうところの改善を積極的にやるべきなのではないかと思うのです。
 つまり、日本の楽曲を世界中の音楽配信サービスでダウンロードできるようにするために、世界中の音楽配信事業者と日本のコンテンツホルダーの間を取り持つとか、日本の楽曲の歌詞を自主的に翻訳してアップロードしてくれる人々が著作権侵害の汚名を浴びせられることがないように、日本のコンテンツホルダーに働きかけて、「非営利目的の歌詞の翻訳及びそのアップロード」についてはこれを自由に行えるように包括的に許諾させてしまうとか、そういう小さいことの積み重ねをきっちり行っていくことこそが、日本を「知財立国」に近づけていくと私は思うのです。
 
 著作権は全て自分たちの管理下で行使させなければ気にくわないというコンテンツホルダーも少なくないとは思います。しかし、「J-POPの歌詞を英訳して市場に流通させる」という事業は当面採算の取れる事業としては成り立ちそうにないわけですから、「非営利目的の歌詞の翻訳及びそのアップロード」を無償で許諾させたところで、著作物等の「通常の利用」を害することにはならないのであり、それどころか、その翻訳された歌詞を見た人が楽曲データを購入してくれる可能性があるという意味では「通常の利用」を促進してくれる可能性すらあるのです。そういうことを理路整然と説いて、コンテンツホルダーたちに正しい権利行使の道を歩ませることこそ、「有識者」を集めた知的財産戦略本部が本来なすべきことなのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 03:37 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

08/08/2005

衆議院解散?----では、今後の著作権法改正についての意思を確認しよう。

 郵政民営化法案が、参議院で賛成少数のため否決されたそうです。新聞報道によれば、小泉首相は従前より同法案否決のときは衆議院を解散させると表明していたそうなので、近々衆議院が解散し総選挙となる可能性が高いです。

 今度の総選挙で選ばれる国会議員は、おそらく2007年度の著作権法改正について議決権を行使できる可能性が高いので、Pro-Copyright系の方々とAnti-Pro-Copyright系の方々とどちらがどれだけ多く当選するのかということはとても重要です。

 したがって、私は、自分の選挙区の候補者が判明したら、候補者全員に、今後の著作権法のあり方について3〜5個くらいの質問をしてみたいと思います。

 良かったら皆様も、ご自分の選挙区の候補者に、質問をしてみてはいかがでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 03:48 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (2)

OHM9月号

月刊誌「OHM」の9月号に、「放送と通信の融合」に関するコラムを寄稿しました。
その中で、インターネットラジオは放送・有線放送ではなく自動公衆送信であるという文化庁見解に対し、ストリーミング型かつ非オンデマンド型については違うのではないかとの反論も述べています。

Posted by 小倉秀夫 at 11:40 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/05/2005

iTMSの感想(1)……あるいはS社の人種隔離政策に対する皮肉

 早速、iTMSをいじってみました。
 
 で、感想は、「日本版とそれ以外の断絶が大きい」ということでした(もちろん、Apple社は精一杯頑張ったのだと思います。)。

 それにしても、米国や英国や独仏等にbilling adressがあれば購入できる楽曲が、日本にしかbilling adressがないために購入できないというのは、腹が立ちますね。洋楽について日本国内での販売等の権利を取得したレコード会社の皆さんは、日本の音楽ファンを屈辱的な気持ちにさせて何が嬉しいのか、私には未だ理解できないのですけど。

 「○○には提供されるサービスが自分たちには提供されない」ということから、自分たちが差別されているということに目覚める例なんて、現代史を勉強すればいくらだって出てくると思うのですが(例えば、ここ)、レコード会社の皆さんって、世界史それも近現代史って勉強されないのでしょうか。

 まあ、「日本人なんぞ、欧米人と同様の消費生活を享受させるに値しない」とばかりに、日本にしかbilling adressを持てない人間には自社コンテンツをiTMSで提供することを殊更に拒んだ某S社が、一応日系企業とされているというのはある種の皮肉ですね(黄色人種に対する差別感情以外に、欧米のiTMSでは購入できる楽曲について日本のiTMSでは購入させない合理的な理由があれば、お聞かせいただきたいものです。)。

Posted by 小倉秀夫 at 08:45 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (6) | TrackBack (1)

08/04/2005

iTMS

祝! iTunes Music Store 日本版 サービス開始

 とりあえずは、子供のころ、FMラジオからエアチェックをしたり貸しレコード屋さんからレコードを借りてテープにダビングしたりした楽曲や、最近インターネットラジオを聞いて良かったなと思った楽曲のダウンロードに使うんだろうなあとは思います。

 もっとも、他のiTMS利用可能国からも日本の楽曲をダウンロードすることができるのであれば、英文サイトや仏文サイトを開いて、日本の楽曲を推奨しまくるというのもありかもしれないなと思ったりはします。
(一人ではきついとしても、何人かで共通ブログを立ち上げてしまってもよいのですし。)

Posted by 小倉秀夫 at 04:02 PM dans 音楽 | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/03/2005

利用主体の拡張しすぎと請求の趣旨

ゲームラボの連載コラムの9月号分は、

 「ときめきメモリアル」事件のように、その利用者がそれを著作権等侵害行為に(も)活用できる機器類等を不特定人に売り渡してしまっているような場合に、当該機器類の輸入・販売業者を侵害主体として侵害行為の差止めを求める訴訟を提起するとしたら、請求の趣旨はどのようにすべきかという点をテーマにしています。

 管理支配性がないか又は非常に弱い場合にも利用主体の拡張を認めてしまう見解の弱点の一つに、実効性のある請求の趣旨を構成することが難しいということがあるからです。

Posted by 小倉秀夫 at 03:01 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)