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08/24/2005

作曲家の収入

 作曲家の穂口雄右さんの「テレビが独占する音楽著作権利益の実態(1)」がネット上で話題となっています。

 特にこの部分です。

しかし実態は違います。1枚のアルバムCDから一人の作曲家に分配される印税は契約によって、良くて定価の約0.14%、多くは約0.1%、許せないのはたったの約0.05%しか支払われなケースが増えているという事実です。つまり音楽ファンが14曲入り3000円のCDを買っても、その作品を作った音楽家一人には、時にはわずか約1円60銭の収入にしかならないのです。これでは若手音楽家の生活は安定しません。

 本当なのでしょうか。

 日本レコード協会加盟のレコード会社からCDが販売される場合、JASRACに支払われるべき著作物使用料は、

(税抜定価ー税込定価×5.35%)×6%÷収録楽曲数

ですから(安藤和宏「よくわかる音楽著作権ビジネス2 実践編」123頁参照)、定価3000円(税抜)で収録楽曲が14曲なら、JASRACに入ってくるのが約12.135円です。ここからJASRACの手数料6%を差し引くと、約11.407円。これを作詞家、作曲家、編曲家、訳詞家、音楽出版社等で分配するわけです。

 で、JASRACの「著作物使用料分配規程」をみると、作詞家、作曲家、編曲家、音楽出版社に分配しなければならない場合、作曲家の取り分は、最も低いときでも3/16あります(通常は1/4〜1/3だとは思いますが)。すると、約2.139円は作曲家に入ることになります。

 もちろん、著作物使用料分配規程第29条第3項は、「第1項の規定中関係権利者に音楽出版者が含まれる場合において、他の関係権利者がその取分を音楽出版者から受領することを音楽出版者との契約に同意したときは、使用料の全額を当該音楽出版者に分配する」とありますから、通常は、JASRACは1枚1曲あたり約11.407円の使用料全額を音楽出版者に支払い、音楽出版者は各作詞家、作曲家等との契約に基づいてこれを分配するわけで、契約の内容によっては、作曲家に約1.60円しか支払わないでもよいようになっているということもあり得ないわけではないです。しかし、力関係に差があるからといってあまりに不合理な条件を押しつけていると、そういう契約は公序良俗に反するとして無効となってしまいます。で、現時点では「公序良俗に反するか否か」の基準は、JASRACの「著作物使用料分配規程」に置かざるを得ないので、その最低基準と比べても低すぎる額しか配分されないということになれば、そのような契約は「公序良俗に反して無効である」とされる可能性が高まります(すると、音楽出版者は、JASRACから収受した使用料を、合理的な管理費用を差し引いた上で、不当利得として当該作曲家に返還すべきということになりそうです。)。

穂口さんはひょっとして、音楽出版者から出たお金がさらに中間搾取者に搾取された後の数字を言っているのでしょうか(参考、著作権マニアさんのブログ)。

Posted by 小倉秀夫 at 02:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de 作曲家の収入:

Commentaires

「私的録音補償金制度iPodも対象に」JASRACの考え
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/08/24/8874.html

Rédigé par: 無七志 | le 08/25/2005 à 03:22

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