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10/31/2005

IPAのアドバイザサービス

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、その事業の一環として、アドバイザ業務というのを行っており、私は、今年からそのアドバイザチームの一員を努めさせて頂いています。  

 優秀な技術等を開発した方々がその技術を商品化するにあたって大企業と提携したりする際の契約書のチェックなどは、法律の専門家に依頼した方がよいと思いますので、こういうサービスをもっとご利用頂けるとよいのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 11:08 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

10/29/2005

著作権者に関する情報の募集

 著作権者不明の場合の裁定手続きは時間がかかるとの批判があります。

 ただ、「かかる時間」の多くは、著作権者に関する情報を募集する期間だったりします。そして、この期間以外の時間については、文化庁にやる気があれば相当短縮が可能です(利用を可とするか否か、可とする場合に料率をどうするかという問題は、審査に時間をかけたからといってより適切な結論が生み出されるものではありません。)。また、一度第三者が著作権者に関する情報を募集したが結局判明しなかった著作物に関しては再度著作権者に関する情報の募集を行わなくともよいということにしてしまえば、「モナー」のように作者は分からないが知名度はあるというキャラクターの適法な利用はより促進されるといえるでしょう(利用しようと思っている作品にひょっとしたら著作物性があるかもしれないと思い裁定手続きの申請をしたところ、文化庁長官も、それはさすがに著作物性はないでしょうと判断した場合に裁定手続きがどうなるのかについては、この点に言及した資料は見あたらなかったのですが、裁定手続きは却下され、後に権利者が現れたとしても、刑事責任及び損害賠償責任については故意又は過失がないとされるのでしょうし、著作物性がないとして裁定手続きが却下されたことを受けて製造してしまった商品についての販売等の差止請求は権利濫用ないし信義則違反で棄却されるのではないでしょうか。)。

 裁定手続きを利用しない「粋」な方法を肯定する方々は、この「著作権者に関する情報を募集する期間」を設けずに問題を片づけてしまおうとするので、「そりゃ迅速でしょうな」とは思うのですが、さすがに潜在しているにすぎない著作権者のことを配慮しなさ過ぎかなあと思ってしまいます(さらにいうと、壇先生も仰るとおり、著作権を故意に侵害すると刑事罰を課せられることもあり得るのであり、そうであるならば、明らかに著作権者ではない人間にお金を払ってすませるというのは、二重払いでは済まないリスクを背負い込むことにすら繋がります。)。

 なお、IMPRESSの記事を見る限り、NETTS JAPANは、

 同社は巨大掲示板群「2ちゃんねる」とのコラボレーション企画として、AAのキャラクタを「墨香オンライン」に登場させることで合意したという。今回スクリーンショットに写っている「モナー」は、この企画の第1弾に選ばれたキャラクタ。クローズドβテストでの登場は未定としながらも、正式サービスではプレーヤーキャラクタとして登場させる予定だという。

 「モナー」は、2ちゃんねるで生まれたAAのキャラクタで、著作権者は不明。それをゲームに登場させることについて、ネッツジャパンはリリース中にて、「ネットワーク上で語られている『AAは誰にも縛られない』という精神を尊重し、今後も2ちゃんねると協調しつつ、AAキャラクタ達を採用していきたい」とコメントしている。
とのことであり、その他NETTS JAPAN側の公式見解を見る限り、ライセンス料相当金がひろゆきさんを介して実際のモナーの著作権者に届くようにしたいという意思を読み取ることは困難だし、この公式見解から、NETTS JAPANがライセンス料相当金をひろゆきさんに「供託」したことを知ることは不可能でしょう。結局、墨香オンラインの例では、「著作権者に関する情報」の募集は行われていないようですし、過去に「モナー」のキャラクターが商品化された際にもそのような情報の募集は行われてこなかったように思うのですが、今後も「モナー」を商品化したいという声が上がってくるのであるならば、どこかで誰かが裁定手続きをとることを前提にそのような情報の募集を行うべきなのではないかと思います。

【今日聴いた曲の中でのイチオシ】
Adieu Monsieur le Professeur
by Star Academy 4

Posted by 小倉秀夫 at 07:46 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (1)

10/28/2005

ゼミ選抜レポート 2005

 私が中央大学法学部で受け持っているゼミのゼミ員選抜は、この2年くらいは、レポート&面接で行っています。これから著作権法を勉強しようという方々ですから著作権法を知らないのは全然構わないのですが、著作権法という分野の特性上、「いま」に対する感度が鈍いと大変なので、そういうところを重視します(あとは、まともな日本語を書けるのかというところです。)。

 なお、ことしのレポートの課題は、下記のとおりです。

既存の作品の一部を切り取り、加工して、貼り合わせることにより新しい作品を生み出すという手法は、既存の作品についての権利保持者との間にさまざまな利害の衝突を生じさせます。そこで、これらの衝突する利害をどのように調整するのが望ましいのかを、各自の好きな芸術分野について論じて下さい。

Posted by 小倉秀夫 at 01:40 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

10/25/2005

アンシャンレジームの擁護者

 フランスでは、大革命のころに、裁判所がアンシャンレジームを擁護するために盛んに政治介入を行ったことが響いて、司法不信の風土が築きあげられたという話を昔聞いたことがあります。日本でも、JASRACやテレビ局というアンシャン・レジームを擁護するために、立法府が制定した法律の文言等を離れて、IT革命への時代の流れを押しとどめようという勢力があるようです。

 選撮見録訴訟の第1審判決が下され、さっそく最高裁のウェブサイトにアップロードされました。

 アンシャンレジームと裁判所でたたかうと、判決文において、新たなルールが裁判所から後出し的にかつ不意打ち的に持ち出されて負けてしまうということがしばしばあるのですが、今回もまたこのパターンです。

 ある研究会で知財部の判事が「著作権法の規律の観点」というのは要するに原告を勝たせたいということですと発言されていたことが最近あったわけですが、そういう裁判所の恣意的な判断に振り回されるベンチャー企業の身にもなってもらいたいというのは正直なところです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:44 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (2)

10/24/2005

パクリ問題と興奮した第三者について

 AというアーティストのBという作品が、CというアーティストのDという作品の「パクリ」ではないかということで騒ぎになることがネット上では増えたような気がします。

 ポピュラーミュージックの世界だと、むしろ、聞き手が「元ネタ」に気付いてにやっとするみたいな反応をすることが多かったので、昨今のネットで横行している「パクリに潔癖すぎる受け手」には正直違和感を感じざるを得ません。Dという作品の全部又は一部がBという作品に組み入れられているということについて、どのような権利処理が行われあるいは行われていないかなどということは、Aの側とBの側との間の問題であって、「受け手」ないし全くの第三者にとっては本来どうでもよい話です。

 CはAによるBという作品を知らないと言うことはあるかもしれませんから、Dの全部又は一部と同一又は類似する要素がBのなかにあることに気が付いた人が、その旨をCまたはCの所属プロダクション等に連絡すること自体はそれほど悪くないかもしれないし、同じ指摘がいくつもCの側に寄せられてもCの側にも迷惑がかかりますから、上記連絡を行った場合にその旨をウェブサイトやブログなどで報告するくらいなら特にどうこういうようなことではないとも思うのですが、ただ「受け手」等の領分はそのくらいまでなのではないかと思うのです。

 Cとしては、その程度の同一性・類似性ならば気にしないということもあり得ますし、Aには次から気をつけてくれれば今回は事を荒立てたくないと思うかもしれないし、自己の作品の一部をAに取り入れてもらって却って嬉しいと思うかもしれないし、あるいはAのことをけしからんと思うかもしれませんし、問題とされている部分は既に当該ジャンルにおいて「共有資産」となっているから同一又は類似でも文句はいえないと思うかもしれません。それは、周りがとやかく言うべき話ではありません。

 「パクリ問題」というのは他人を攻撃していい気持ちになるのには格好の題材なのだろうとは思うのですが、私は、著作権法というのがそのようなストレス発散の道具に用いられることを快く思いません。それは、我が国の文化の発展に何ら資することはなく、むしろ、新たな作品の創作を萎縮させることにすら繋がるのではないかという危惧すら有してしまいます(同ジャンルのクリエイターとして特に問題視しないであろう程度の同一性又は類似性しか有しない場合であっても、創作に関して門外漢である「受け手」が「パクリ潔癖性」から執拗に攻撃してくるかもしれないということが、執拗な攻撃を受けて創作意欲や創作環境を失ってしまった他のクリエーターの姿によって強く印象づけられ、本来であれば公表され文化の発展に貢献していたであろう作品について、その公表が躊躇されるという事態を招きかねないからです。)。


【今日聴いた曲のうちのイチオシ】

「Besoin de vous」

 by Indra & Frederic Lerner

Posted by 小倉秀夫 at 01:53 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (17) | TrackBack (4)

10/22/2005

「モナー」の著作物性

 そもそもアスキーアートとしての「モナー」に著作物性はあるのでしょうか。

 著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法第2条第1項第1号)。したがって、特定のアイディアを凡庸に表現したものについては、著作物として著作権法による保護を受けられないことになります。

 創作性の有無を判別する基準については、一般的にはさほど高度のものを要求されるものではないといわれますが、表現手法上の制約が大きい分野では、相当高度のものを要求される傾向があります(ex.YOL記事見出し事件知財高裁判決)。

 アスキーアートの場合、ネット上で用いることを主として想定していることから、事実上、1バイト文字並びにJISの第1水準及び第2水準に規定される2バイト文字のみを用いるという厳しい制約がありますから、特に数行から十数行程度で描くアスキーアートについていえば、その表現手法上の制約は極めて大きく、したがって、著作物性が認められるための創作性は相当に行動のものであることが必要となります。

 二本足で直立するネコまたネコ類似の動物の、相当にデフォルメされた絵・図柄というのは、ハロー・キティーやミフィーやドラえもんやドラミちゃんの例を引くまでもなく、世の中にあふれかえっています。丸みを帯びた顔、頭の上に描かれた耳(ドラミちゃんや耳をかじられる前のドラえもんなど、上方向にとんがった三角形で耳が描かれることは少なくない。)、胴体の横に描かれた前足、太くまっすぐに伸びた後ろ足などの構図はまさにこれらの絵において使い古されています。したがって、このような要素をJIS第2水準までの文字を用いて普通に表現する場合著作物性は生じないというべきであり、アスキーアートとしての「モナー」を見る限り、耳を「∧」で表現したり、丸みを帯びた顔の輪郭を「(    )」を用いて表現するなど、ありふれた表現の範囲内にとどまっているように思います。

 なお、壇先生は、ご自身のブログのコメント欄において、

モナー
 ∧_∧  
(  ∀ )

ご隠居に比べて大きく口が開いているような表現が表情を豊かにしているとも考えられます。現行モナーの口は、その後のモナーのほとんどが踏襲している点からもおそらくモナーの創作性の中心と考えられる訳です。

と仰っています。

 しかし、口を逆三角形に近い形で描くのはマンガ等ではまさにありふれた表現であり、それをJIS第2水準までの文字を用いて表現しようと思えば、「▽」や「∀」を用いるというのは普通に思いつくことであり、少なくとも特定の人に独占させるべきものではないように思います。すると、「モナー」の創作性が口の部分に「∀」を用いた点に求めようとするならば、アスキーアートという極めて制限された表現手段において著作物性を付与されるほどの創作性はそこにはないというべきだろうと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 05:07 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (7) | TrackBack (2)

10/21/2005

ライセンシーの立場

 いわゆるのまネコ問題に関して、今度は、タイトーが標的にされようとしているようです。

 しかし、著作権者がライセンス料を要求していない以上、ライセンス料相当金を利用者が留保するのは当然であって、「ネコババ」云々と非難される謂われはありません。

 企業間でライセンス契約が締結される場合、ライセンシーはライセンサーに対し、当該キャラクターの利用が第三者の著作権を侵害するものではないことの保証を求めるとともに、第三者からクレームを受けた場合にはライセンサーが紛争の解決に中心的に努めるとともに、その解決に要した費用はライセンサーもちとする旨の条項を契約書に入れていることが多いのですが、そうだとすれば、「モナー」の図柄の著作権者からタイトーがクレームを受けたときに初めてタイトーはAvexに対し紛争の解決を支持するということになるわけで、タイトーがそれまで静観するというのは別に不思議なことでも何でもありません。

 なんたって、この「のまネコ」騒動で騒いでいるのは、「モナー」の図柄を作り上げた人達ではなく、精々この図柄を無償で利用していたにすぎない人々なので、ライセンシーとしてはなかなか動きようがないといえます。
(ライセンス料相当額を「被災者に寄付」してしまうと、後に権利者が現れたときに二重払いさせられることになるので、普通法務は勧めない、というか、基本的にはGoサインを出さないと思います。)

Posted by 小倉秀夫 at 10:45 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

10/19/2005

共同著作物と二次的著作物

 「モナー」の図柄は2ちゃんねるコミュニティの共同著作物であるとする見解がネット上では散見されます。  

 共同著作物とは、2人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの(著作権法第2条第1項第12号)をいいます。  

 「2人以上の者が共同して創作した」という要件は、さらに主観的な要件と客観的な要件に分けられるのが一般的です。  

 客観的要件としては、「複数の者がいずれも創作と評価されるに足りる程度の精神活動を行うこと」が必要だと解するのが多数説です(牧野利秋・飯村敏明編「新・裁判実務体系22 著作権関係訴訟法」266頁(三村量一執筆担当)。創作的作業を担当しない者は共同著作者にはなりえません。従って、「モナー」の図柄が複数のAA職人による「共同著作物」だとしても、その形成にあたって創作的作業を担当していない圧倒的多数の「2ちゃんねらー」は「モナー」の共同著作者たりえません。  

 また、主観的要件としては、「著作物の作成にあたり創作的行為を行った各人の間に、共同して著作物を作成しようとする共通の意思が存在すること」を必要とすると解するのが多数説です(三村・前掲267頁)。「モナー」の形成に寄与した複数のAA職人の間にそのような共通の意思があったかというと私には大層疑問です。  

 したがって、「モナー」の図柄が、2ちゃんねるコミュニティの共同著作物であるという見解は採用され得ないように思います(なお、この図柄を誰が「モナー」と名付けたかということはその著作者が誰であるのかという議論に何らの影響をも及ぼしません。題号は、「著作物」の外部にあるものと位置づけられているからです(著作権法第20条第1項参照)。)。  

 基本的には、Avexが参考にした「モナー」の図柄A1が、X1によって、図柄A2を参考にして作成され、図柄A2が、X2によって、図柄A3を参考にして作成され………という場合──X1、X2……の寄与が創作と評価するに足りるものであった場合には、「のまネコ」グッズの製作・販売等についてX1,X2は、原著作物の著作権者として、二次的著作物である「のまネコ」の著作権者と同様の著作権を行使しうるにすぎないと解するのが一般的だと思います(それも、図柄Aに著作物性があり、かつ、図柄Aと「のまネコ」との間に実質的な同一性ないし類似性があった場合に限っての話です。なお、私はこの「実質的同一性ないし類似性」の存在につき疑問を持っています。)。  

Posted by 小倉秀夫 at 09:42 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (28) | TrackBack (0)

10/16/2005

著作者不明の場合の裁定制度

 著作権者が不明の場合の裁定制度については、いろいろな誤解があるようです。

 この裁定制度が実際には使われたことのない制度だと思っている方も少なくないようです。しかし、実際には、文化庁のウェブサイトに利用実績が掲載されていますが、実際には29件ほど利用されており、しかも平成11年以降は、一度に数百から数千もの著作物について一括して裁定がなされています。

 また、実際に申請してから裁定が下されるまでの期間ですが、4日から81日かかっており、平均は約30日(著作者自体が不明である場合に限定していうと約32日)です。なお、文化庁は、申請してから裁定の可否を文化庁長官が行い、補償金の額を審議会が決定するまでの手続きに必要な期間(標準処理期間)を「3か月」としています。

 また、「モナー」の図柄のように、そもそも著作者が誰なのかが分からない場合に、「相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができない」といえるためには、インターネット上のホームページ等を利用して、一般又は関係者への協力要請を行えば足ります(その詳細についてはこちら)。

 その他諸々で、著作権者が不明の場合の裁定制度を利用しようと決めてから最大で半年もあれば、補償金の供託までは漕ぎ着けるのではないかと思います。

 もちろん、この運用には改善の余地はあると思います。「一般又は関係者への協力要請」を行う期間は何も2ヶ月間も必要だとは思えないし(補償金の額が適切であれば理論的には著作権者に経済的な不利益は及ばないし、そもそも著作者の実名を明示しないことによって利用希望者が容易に著作者に連絡を取ることができない状態を作出したのは著作者の方なのですから、多少の不利益を負うのはやむを得ないというべきでしょう。)、標準処理期間も1月もあれば十分でしょう(毎月、補償金額を決定する審議会が開かれる前に、裁定を下す決済を文化庁長官が行うようにすればいいのですから。)。

 しかし、著作権者が不特定人に対して包括的な利用許諾を黙示的に行ったと解する自信がないのにもかかわらず当該著作物を利用したいという企業としての方針を採用した以上、その程度の手間は現状仕方がないのではないかと思ったりはします。企業としては、大騒ぎをする第三者に強い影響力を有する「とりまとめ役」にお金を渡してとりあえず騒がれないように押さえてもらうことを期待するという法的に不透明な処理は、最も避けるべきなのではないかと基本的には思います。

Posted by 小倉秀夫 at 01:50 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (6) | TrackBack (0)

10/15/2005

ネットオークションと著作権

讀賣新聞の記事によれば、

 横浜市が税金滞納者から差し押さえた絵画をインターネットオークションで公売する際、画家の許諾を得ないで画像を掲載するのは著作権の侵害にあたるとして、著作権管理事業者が12日、同市を相手取り、掲載の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こした
とのことです。

 これに対して、横浜市側は、

「(公売オークションでは)画像が鮮明にならないように調整しており、著作権者の許諾が必要な『複製』には当たらない。複製だとしても、今回のケースは『引用』に当たるため、やはり著作権者の許諾は必要ない」と反論している
のだそうです。

 一見この横浜市側の主張はピントがはずれているように見えますが、あるいは、東京高判平成14年2月18日判例時報1786号136頁【照明器具広告用カタログ事件】を意識しているのかもしれません。

 照明器具広告用カタログ事件においては、

書を写真により再製した場合に、その行為が美術の著作物としての書の複製に当たるといえるためには、一般人の通常の注意力を基準とした上、当該書の写真において、常軌表現形式を通じ、単に字体や書体が再現されているにとどまらず、文字の形の独創性、線の美しさと微妙さ、文字群と余白の構成美、運筆の緩急と抑揚、黒色の冴えと変化、筆の勢いといった常軌の美的要素を直接感得することができる程度に再現がされていることを要するものというべきである
と判示されています。もちろんこれは、「書」の特殊性(書は、本来的には情報伝達という実用的機能を担うものとして特定人の独占が許されない文字を素材として成り立っているという性格上、文字の基本的な形(自体、書体)による表現上の制約を伴うことは否定することができず、書として表現されているとしても、その自体や書体そのものに著作物性を見いだすことは一般的には困難である)という点から導かれている反面、写真により再生した場合にその行為が美術の著作物の複製にあたるといえるためには、その美的要素を直接感得することができる程度に再現がされていることを要するということが美術の著作物一般に当てはまる余地がないわけではないようにも思われます。

 というのも、美術の著作物にとってその作品のある程度詳細な構成というのは著作物を特定するのに最も重要な情報という意味で実用的な価値を有しているのであり、そのような情報を著作権者に独占させるのはアイディアではなく表現の創作的な部分を保護することを原則に置く著作権法の建前からするとやや行き過ぎであり、従って、絵画の著作物を特定するために必要な情報を超えた、美的要素を直接感得させる程度に絵画の著作物が写真の中に再現されるような場合に初めて著作権法による規制の対象となると解することには合理性があるように思われるからです(写真における絵画の著作物の再現の程度がその作品の美的要素を直接感得させる程度に至っていない場合は、その写真は正規商品との間の代替性が低いのですから、これを規制する必要性は低くなるということができます。)。

 また、絵画等の著作物が公売に付される可能性があることは、絵画等の著作物が「紙」などの有体物に化体されている以上、避けがたいことであり、公売に付される場合には、入札する権利を有する不特定多数人に当該絵画の著作物が提示されるのは避けがたいことであります。だとすれば、絵画等について公売手続きを行う上で必要最小限の範囲内において著作物を利用することは、公売制度の公平性・公正性を維持するためには必要不可欠であり、したがって、絵画の著作物についての著作権を行使して公売の客体たる絵画作品の公衆への提示を阻害するのは権利の濫用だということも不可能ではない(オフラインのオークションだって、オークションの対象となる絵画等を不特定多数のバイヤーに向けて展示するのは展示権侵害だといえなくはないのですが、実際にはそのような主張を行って自分の作品がオークションにかけられるのを阻止しようとしたって、おそらく多くの人は「そりゃ、むちゃくちゃな」と思うでしょう?)ようにも思うのです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (2)

10/14/2005

墨香オンラインにおける「モナー」の利用

 墨香オンラインにおける「モナー」の利用に関して、墨香オンラインの提供元のNETTS JAPANの回答(の一部)を掲載しているサイトがありました。

 これによれば、NETTS JAPAN側は、

ドワンゴCMの件などの事例を踏まえ、
キャラクターロイヤリティは幾らであるかの確認を行いました。
当然、そこにはAAの独占使用や意匠登録などを行わないという
弊社の方針は先んじて伝えてあります。
結論としては、2ちゃんねるサイドとしては著作権を所有しているものではなく
またそれによって利益を上げることが目的ではないので
一切の金銭は必要ないという返答を受けました。

しかし、弊社ではAAを使ってプロモーションを行うということもあり
ロイヤリティを2ちゃんねるに供託し、将来的に著作権者が見つかった場合はその方に、
一定期間(期間は未定です)見つからない場合は、それを管理人個人の収益にするのでなく
2ちゃんねるの環境維持(サーバー代)などに運用するという提案をしました。
その提案には2ちゃんねる管理人も同意しております。
と回答しているのだそうです。

 しかし、この提案はおかしいです。

 著作権法は第67条にて、著作権者が不明の場合にライセンス料相当金を供託して著作物を利用する方法を一定の限度において認めています。

第六十七条  公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。
2  前項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の裁定に係る複製物である旨及びその裁定のあつた年月日を表示しなければならない。

 すなわち、「モナー」の著作権者Xは不特定多数人に対し「モナー」の商用利用まで不特定人に包括的に許諾しているとは限らないという前提に立った場合、「モナー」の図柄を商用利用したいのであれば、文化庁長官の裁定を受けて文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために最寄りの供託所(供託法第1条)に供託すべきなのです。

 供託制度の趣旨からしても、「モナー」の図柄の著作権者が自己に著作権が帰属していることを立証したときに確実に供託金を受け取れないと困るので、倒産、破産、持ち出し等の危険のある私人を供託先とすることは正しくないのです(まして、ひろゆきさんは、いくつかの損害賠償請求訴訟で敗訴しているわけで、「著作権者のために」ライセンス料相当金を供託する先としては不適格だということができます。)。

 また、「モナー」の図柄の著作権者が一定期間見つからなかった場合に「供託金」を2ちゃんねるの環境維持などに運用するというのもおかしな話です。67条の裁定手続きを得ない場合、「モナー」の著作権者のNETTS JAPANに対する請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権ですから、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないと時効によって消滅し、不法行為の時から20年を経過すると権利行使ができなくなります(民法第724条)。「被害者」が誰か分からない以上、3年の短期消滅時効が成立したと考える根拠はないので、このような場合20年間の除斥期間が経過するまでは、「供託」し続けるのが本筋です。供託者は、債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、供託金を取り戻すことができますが、その場合、最初から供託がなされなかったとみなされる(民法第496条第1項)ことになりますので、供託金を「モナー」の著作権者に引き落とさせるのではなく、2ちゃんねるの環境維持などに運用してしまった場合、NETTS JAPANは最初から「供託」を行っていないものとみなされますから、それならNETTS JAPANがこれを取り戻して一般会計に回すのが筋です(まして、時効期間経過前に「供託金」を2ちゃんねるの環境維持などに運用してしまった場合には、後に「モナー」の図柄の著作権者が現れたときには、NETTS JAPANはライセンス料相当金を2重払いさせられる危険が生じます。)。

 また、私は税の専門家ではないのですが、NETTS JAPANは本当にこのスキームを実行するつもりならば、その前に税理士に相談した方がいいのではないかという気がします。この「供託金」が経費として計上できるのか、今ひとつ疑問だったりします。

Posted by 小倉秀夫 at 01:34 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (8) | TrackBack (4)

10/11/2005

LexisNexisJapan

http://legal.lexisnexis.jp/
にあるとおり、LexisNexisJapan社の判例データベース用に、最新裁判例についての解説を書くことになりました(私は主に、著作権法と不正競争防止法を担当することになります。)。

Posted by 小倉秀夫 at 07:55 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

10/08/2005

「モナーはみんなのもの」ではない。

 仮に「モナー」に著作物性があるとしてその著作権はどうなっているのでしょうか。
 
 如何なる図柄も「自然発生」はしませんから、「モナー」の図柄にも必ず「著作者」がいます(以下、「モナー」の著作者をXといいます。)。
 私は2ちゃんねるに投稿することはないので投稿時にどのような表示が掲載されるのか存じ上げないのですが、2ちゃんねるに投稿するにあたってその投稿内容の著作権をひろゆきさんに譲渡する意思(自分のブログ等を含めて他の場所に同じ内容を掲載する場合にはひろゆきさんの許諾を得なければならないという事態を甘受する意思をも含む。)があったとは通常考えにくいですから、このときのXさんの合理的な意思は、2ちゃんねるという掲示板において「モナー」を自動公衆送信(及び送信可能化)することについての非独占的な利用許諾、あるいはそれに加えて「モナー」を用いた書籍等の商品を製作し、販売することについての非独占的な利用許諾を付与する意思であったと見ることができます。
 その後、「モナー」という図柄は2ちゃんねる内外のいろいろな場所に、そのままあるいは改変されて掲載されていたわけですが、Xさんはこれに対して権利行使をしてこなかったわけですが、これは、

  1. 不特定人に対して「モナー」の利用を包括的に許諾した
  2. 何らかの理由であるいは特段の理由なくして権利行使するのを控えた
のいずれかではないかと思われます。
 前者の場合、非商用利用に関してのみ利用許諾する意思であった可能性と商用利用を含めて利用許諾する意思であった可能性とがあり得るわけで、後者であるとすれば、Avexを含む全ての人が、「モナー」の図柄をそのままあるいは改変して商品を製作し販売して利益を得て構わないし、「モナー」の図柄を改変して新たな図柄を創作した場合にはその新たな図柄について自己に著作権があることを主張して構わないわけです(「コモンズ」から入手した原材料を使用して「商品」をつくることが一般的に許されているのと同様です。)。
 
 もっとも、Xさんは利用許諾の範囲・対象について何のコメントもしていないので、商用利用を含めて包括的に利用許諾する意思であったか否かは確定的には知り得ないということができます。ただし、従前、「モナー」が商品化された際にXさんが権利行使してこなかったということは、商用利用を含めて包括的に利用許諾する意思であったのではないかと推認するための一つの間接事実にはなります。
 
 いずれにせよ、商用利用を含めて包括的に利用許諾を行う意思であったのか、あるいはそのような包括的な利用許諾を今後も継続するのかということは、専らXさんが決めることであって、ひろゆきさんや、「2ちゃんねるコミュニティ」の方々が決めることではありません。
 そういう意味では、Xさんの意向を無視して、「モナー」の図柄についての利用許諾の範囲・対象について勝手に限定を行い、大騒ぎしている人々というのは、著作権法の観点からはいかがなものかなあと思ってしまいます。「モナー」の図柄についての著作権に関していえば、「みんなのもの」でも「2ちゃんねるコミュニティ」のものでも、ましてひろゆきさんのものでもなく、Xさんのものなのです。


【追記】
 Xさんが、不特定人に対する包括的な利用許諾を黙示的に行ったと見るべきではなく、単に何らかの理由で著作権の行使を行っていないだけだとした場合、2ちゃんねるその他の掲示板における「モナー」の利用等も著作権侵害となる可能性があるということになります。Xさんが「モナー」の図柄を一度も2ちゃんねるに投稿していない場合はもちろん、投稿時に表示される内容にXさんが拘束される謂われはありません。他方、Xさんが「モナー」の図柄を2ちゃんねるに投稿したことがあったとして、投稿時に表示される内容についてこれを承諾したと言えるのかというと法的にはかなり微妙です。なお、当事者の(黙示的な)意思を合理的に解釈するという手法は、広く用いられる手法です。
 なお、Linuxの場合、GPLライセンスという特殊なライセンスのもとで自由な利用を許諾しており、GPLライセンスまたはこれと類似するライセンスを採用していない「モナー」について同列に扱うことは明らかに不当です。
 また、「米酒」の図形商標について商標登録がなされたとしても、「モナー」の図柄の従前の用法が規制されることはない(せいぜい、一升瓶のようなものを手に持って立っている「モナー」の図柄を商標的に使用する「便乗商品」が出現したときにこれを規制しうる程度のものであり、ネット上でまことしやかに流布されている「危惧」は法的にはほとんど意味のないものである。)ので、「米酒」の図形商標についての商標登録により「モナー」の図柄が使用できなくなるということを前提にする議論というのは、的はずれではないかと思います。
 
 
 

Posted by 小倉秀夫 at 12:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (34) | TrackBack (10)

10/07/2005

パブコメ2005〜強制許諾

新たな強制許諾制度について次のようなコメントを提出しました。


新たな裁定制度の創設について

 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約第10条が実演家に、第14条がレコード製作者に排他的権利を与えることを義務づけているのは、そのレコード(に固定された実演)について、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において利用が可能となるような状態に置くことを許諾する権利であり、それ以外の方法で「商業上の目的のために発行されたレコードを放送又は公衆への伝達のために直接又は間接に利用することについて」は、実演家及びレコード製作者に「単一の衡平な報酬を請求する権利」を享有させれば足ります(同第15条)。

 したがって、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において特定のレコード(に固定された実演)を利用することが可能となるような状態に置くという方法以外で、有線または無線の方法により「商業上の目的のために発行されたレコードを放送又は公衆への伝達のために直接又は間接に利用すること」を強制許諾の対象とし、または報酬請求権の対象とするに留めることは国際条約に違反しない。
 
 したがって、インターネットラジオやインターネットテレビ等においてレコードに固定された実演を公衆送信することについては、公衆の側で特定のレコードを特定の時期に視聴できるインタラクティブなタイプのもの以外については、強制許諾の対象とし、または、公衆送信権の対象から除外して報酬請求権の対象とすることは、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約等に反するものではありません(なお、インターネットラジオ等においてはこれを「放送」するにあたってはレコード(に固定された実演)を一次的に送信用サーバのハードディスクに固定する必要がありますが、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約における「放送」は、「公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信、影像及び音の送信又はこれらを表すものの送信」と定義されており(第2条(f))、日本法でいう「公衆送信」よりもさらに広い概念ですので、インターネットラジオは日本法上「自動公衆送信」にあたるという文化庁の見解を前提としても、インターネットラジオの放送局を「放送機関」と解することは十分に可能であり、したがって、インターネットラジオの放送局が自己の手段により自己の放送のために行う一時的固定については複製権の侵害とはならない旨規定することは、国際条約に反しないということができます。)。
 
 日本においては、インターネットラジオは有線放送ではなく自動公衆送信にあたるという見解が多数説を占めており、かつ、実演家及びレコード製作者に送信可能化権を付与している一方、インターネットラジオの放送局が包括的にまたは個別のレコード・実演について許諾を得るためのシステムが用意されておらず、または用意される見込みがないのが実情です。
 米国等では地域FMに代替する手段としてインターネットラジオが広く開設され、公衆が多様な楽曲に触れる機会を創出しているのに、日本では、著作隣接権がインターネットラジオによる著作物の伝播を妨げてしまっています。日本の楽曲が、日本のインターネットラジオ局により広く「放送」されることは、日本の楽曲に世界中の人が触れる機会を増やすことに繋がり、それは日本のコンテンツを広く世界中に「輸出」する原動力ともなります。
 
 したがって、国際条約に反しない範囲で、著作隣接権者の個別の許諾なくしてレコード(に固定された実演)をインターネットラジオで「放送」することができるように、強制許諾制度を導入するなり報酬請求権に落とすなりすることを望む次第です。

Posted by 小倉秀夫 at 12:23 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

10/05/2005

パブコメ2005〜私的録音録画補償金編

とりあえず、下記のようなパブコメをメールで提出しました。


 私的録音録画補償金について
 
 私は、私的録音録画補償金制度はそもそも廃止すべきであると考えます。
 なぜならば、私的使用目的の録音録画がデジタル形式で行われたとしても、そのことは、権利者の経済的利益を何ら害しておらず、したがって、「補償」の対照となる損失が何ら生じていないからです。
 より詳しく述べると次のようになります。
 まず、私的使用目的の録音録画は、音楽CD等の売上げを一般に減少させません。
 iPodを例にとって説明すると、iTunesというソフトウェアを用いて市販のCDからパソコンに接続されたハードディスク等に楽曲データを複製し、上記ハードディスクに蔵置されている楽曲データを同じくiTunesというソフトウェアを用いてiPod内蔵のハードディスクに複製するということで2回の私的使用目的の複製がなされることになりますが、この2回の複製がなければ当該ユーザーは同じCDをさらに2枚余分に買ったであろうかといえば、ほぼ100%そんなことはないと言い切ることができます。
 また、ハードディスクタイプの家庭用ビデオ機器においても、通常は、その番組が放送している時間帯にはその番組を視聴することができないので時間をずらしてそのテレビ番組を視聴するために番組を録画する「タイムシフト」視聴目的の録画のために用いられています。現在、見たいテレビを見逃してしまった視聴者のために、放送直後からその番組を収録したDVD等を販売するような利用方法は一般に行われていないのですから、このような「タイムシフト視聴」目的の録画が著作物等の通常の利用を妨げていないことは明らかです。 

 また、仮に私的録音録画補償金制度を維持しまたは対象を拡大する場合、音楽CD等に収録された他人の著作物等の複製に用いない対象製品について補償金相当額の返還を受けるために要する費用については、指定管理団体の側で負担すべきであると法律に明記すべきです。
 なぜならば、対象製品を私的使用目的の録音録画に用いない者はそもそも私的録音録画補償金を支払う義務を負わないところ、権利者側の事務負担を軽減させる目的で権利者側の要求に応じて対象商品の製造業者が補償金相当額を購入者に無断で製品価格に上乗せしてしまっているわけで、当該製品の購入者が補償金相当額の返還請求をせざるを得ない状態に陥ったことについて、購入者はこれに何ら寄与していない一方、権利者側は多大な寄与をしているからです。また、権利者側がそのような手続に要した費用を負担しなければならないとなれば、私的使用目的の録音録画以外の目的に用いられる蓋然性の高い製品について補償金の支払を求めることを控えたり、補償金相当金の返還を受けるための手続を簡略化したりするインセンティブが権利者側に生ずることとなり、法の趣旨に反して過剰に補償金が徴収される事態をある程度抑制することができます。

Posted by 小倉秀夫 at 07:43 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (2)