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10/16/2005

著作者不明の場合の裁定制度

 著作権者が不明の場合の裁定制度については、いろいろな誤解があるようです。

 この裁定制度が実際には使われたことのない制度だと思っている方も少なくないようです。しかし、実際には、文化庁のウェブサイトに利用実績が掲載されていますが、実際には29件ほど利用されており、しかも平成11年以降は、一度に数百から数千もの著作物について一括して裁定がなされています。

 また、実際に申請してから裁定が下されるまでの期間ですが、4日から81日かかっており、平均は約30日(著作者自体が不明である場合に限定していうと約32日)です。なお、文化庁は、申請してから裁定の可否を文化庁長官が行い、補償金の額を審議会が決定するまでの手続きに必要な期間(標準処理期間)を「3か月」としています。

 また、「モナー」の図柄のように、そもそも著作者が誰なのかが分からない場合に、「相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができない」といえるためには、インターネット上のホームページ等を利用して、一般又は関係者への協力要請を行えば足ります(その詳細についてはこちら)。

 その他諸々で、著作権者が不明の場合の裁定制度を利用しようと決めてから最大で半年もあれば、補償金の供託までは漕ぎ着けるのではないかと思います。

 もちろん、この運用には改善の余地はあると思います。「一般又は関係者への協力要請」を行う期間は何も2ヶ月間も必要だとは思えないし(補償金の額が適切であれば理論的には著作権者に経済的な不利益は及ばないし、そもそも著作者の実名を明示しないことによって利用希望者が容易に著作者に連絡を取ることができない状態を作出したのは著作者の方なのですから、多少の不利益を負うのはやむを得ないというべきでしょう。)、標準処理期間も1月もあれば十分でしょう(毎月、補償金額を決定する審議会が開かれる前に、裁定を下す決済を文化庁長官が行うようにすればいいのですから。)。

 しかし、著作権者が不特定人に対して包括的な利用許諾を黙示的に行ったと解する自信がないのにもかかわらず当該著作物を利用したいという企業としての方針を採用した以上、その程度の手間は現状仕方がないのではないかと思ったりはします。企業としては、大騒ぎをする第三者に強い影響力を有する「とりまとめ役」にお金を渡してとりあえず騒がれないように押さえてもらうことを期待するという法的に不透明な処理は、最も避けるべきなのではないかと基本的には思います。

Posted by 小倉秀夫 at 01:50 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Commentaires

 コメントが多少終息したところなら、みなさんのお邪魔にならないかと思い、質問をさせてください。著作権法上の問題としてです。

 先生は「墨香オンライン」において、著作権法上の「著作者不明の場合の裁定制度」を利用していないことを問題としているようですが、この認識は間違っていないでしょうか。
 その認識を正していただいた上で本筋の質問なのですが、元々の「のまネコ問題」が問題となったその契機、avexもしくはZENは、二次的著作物を作成する段階で、原著作物である「モナー」について裁定制度を利用する必要性はないのでしょうか。私の質問はこの点です。
 著作権法の詳細については疎いので、それなりにあちこち見てまわったのですけれども、明白な回答が見つかりませんでした。本丸たる小倉先生に直接お伺いにまいった次第です。小倉先生も「墨香オンライン」については書いておられるようですが、そもそものavex・「のまネコ」については触れておられないため、法律上不要なのかなあ、とも思えるものですから。
 先生の論理からすると私には、そもそもavexの段階で裁定制度を利用すべきであった、という議論にならねばおかしいように思うのです。

 先生のエントリには、モナーの著作物性について疑うものもありますが、この裁定制度についての記事の前提には、裁定を受けるべき「モナー」→「墨香オンライン」という認識がありますので、著作物性如何という論点は今回は除外しないと話がおかしくなってしまうと考えております。
 愚昧な質問でありましたら、ご寛恕の上、ご指導願います。どうぞよろしくお願いいたします。

Rédigé par: roe | 1 nov. 2005, 02:32:13

主語が相変わらず不明瞭なので、何を指しているのかわかりづらいです。

Rédigé par: 金田真一 | 18 oct. 2005, 13:23:57

特定の著作者が存在しない著作物というのはあり得るのではとも自分は思うんですがどうでしょう?

つまり、非情に膨大な人間が長期的にメッセージのやりとりを行う過程で生まれる創造物というものがあり得ますね。

たぶん最初にモナーのプロトタイプを投げかけた人物は居ると思いますが、AAの場合、実態はただの記号であるに過ぎません。それをキャラクターとして成立させる何かこそが創造の重要な要因ですから、それを維持継続しているのは最初の人物に限定できませんよね。ギコやモナーにとって、創造の始まりはあったかも知れませんが、完結は今もしていないのかも知れません。

ギコやモナーの革新的な意味はそこにこそある気がします。

Rédigé par: COMAP | 16 oct. 2005, 21:34:37

まぁ、実際に使用できるようになるための期間が半年というのでは、使い勝手としては悪いと言わざるをえないでしょう。
何とか変らないものでしょうか(というより、変えていきませんか?)。

しかし、、、
世の中には使用許諾を受けなくても「取りまとめ役」的な存在にお金を渡しておけばそれでよしとする見解も結構根強いみたいですね。。。驚きです。。。

Rédigé par: アキバKB | 16 oct. 2005, 12:42:39

普通はそう読めないと思いますが。

Rédigé par: 小倉秀夫 | 16 oct. 2005, 08:48:21

文化庁で明言されてたのか・・・
アスキーアートの場合はそれがよく利用されている場所で呼びかける方法でOKなんですね。
参考になりました。

ただ、墨香オンラインの場合、
「結論としては、2ちゃんねるサイドとしては著作権を所有しているものではなく
またそれによって利益を上げることが目的ではないので
一切の金銭は必要ないという返答を受けました。」
とあるように、2ちゃんねる側は断っている上で契約しているわけですから、あまり「2ちゃんねる側が嫌がらせや攻撃をするから」といった印象を煽らないようにしたほうが事実に近いと思いますよ。

Rédigé par: 金田真一 | 16 oct. 2005, 03:18:48

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