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10/22/2005

「モナー」の著作物性

 そもそもアスキーアートとしての「モナー」に著作物性はあるのでしょうか。

 著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法第2条第1項第1号)。したがって、特定のアイディアを凡庸に表現したものについては、著作物として著作権法による保護を受けられないことになります。

 創作性の有無を判別する基準については、一般的にはさほど高度のものを要求されるものではないといわれますが、表現手法上の制約が大きい分野では、相当高度のものを要求される傾向があります(ex.YOL記事見出し事件知財高裁判決)。

 アスキーアートの場合、ネット上で用いることを主として想定していることから、事実上、1バイト文字並びにJISの第1水準及び第2水準に規定される2バイト文字のみを用いるという厳しい制約がありますから、特に数行から十数行程度で描くアスキーアートについていえば、その表現手法上の制約は極めて大きく、したがって、著作物性が認められるための創作性は相当に行動のものであることが必要となります。

 二本足で直立するネコまたネコ類似の動物の、相当にデフォルメされた絵・図柄というのは、ハロー・キティーやミフィーやドラえもんやドラミちゃんの例を引くまでもなく、世の中にあふれかえっています。丸みを帯びた顔、頭の上に描かれた耳(ドラミちゃんや耳をかじられる前のドラえもんなど、上方向にとんがった三角形で耳が描かれることは少なくない。)、胴体の横に描かれた前足、太くまっすぐに伸びた後ろ足などの構図はまさにこれらの絵において使い古されています。したがって、このような要素をJIS第2水準までの文字を用いて普通に表現する場合著作物性は生じないというべきであり、アスキーアートとしての「モナー」を見る限り、耳を「∧」で表現したり、丸みを帯びた顔の輪郭を「(    )」を用いて表現するなど、ありふれた表現の範囲内にとどまっているように思います。

 なお、壇先生は、ご自身のブログのコメント欄において、

モナー
 ∧_∧  
(  ∀ )

ご隠居に比べて大きく口が開いているような表現が表情を豊かにしているとも考えられます。現行モナーの口は、その後のモナーのほとんどが踏襲している点からもおそらくモナーの創作性の中心と考えられる訳です。

と仰っています。

 しかし、口を逆三角形に近い形で描くのはマンガ等ではまさにありふれた表現であり、それをJIS第2水準までの文字を用いて表現しようと思えば、「▽」や「∀」を用いるというのは普通に思いつくことであり、少なくとも特定の人に独占させるべきものではないように思います。すると、「モナー」の創作性が口の部分に「∀」を用いた点に求めようとするならば、アスキーアートという極めて制限された表現手段において著作物性を付与されるほどの創作性はそこにはないというべきだろうと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 05:07 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Notifié le 26 oct. 05 05:20:31

Commentaires

かなりの行数をフィールドと用いてピクセル的画像を作るものと、単純な記号の性質を引き寄せてキャラクターを存在させる方法とでは、本質が異なりますよね。ネットコミュニティーの可能性においては後者こそがより重大な意味を持っていると思います。

Rédigé par: COMAP | le 10/25/2005 à 23:47

アスキーアートは、書くほうは文字でも、ユーザーは「図柄」として認識しているんじゃないかなぁ。

逆に言うとそちらの解釈通りに考えた場合、絵で下書きを作ったとしても発表するときに第二水準文字で数行から数十行のアスキーアートにしたら著作権が認められるのには相当の行動が要ることになるということですよね。
数行のものに関しては、争えばそういう所が争点になるかもしれませんが、十数行もあれば画材が何かということだけで、十分誰が見ても別のものが作れ得ると思いますが。

Rédigé par: | le 10/24/2005 à 20:36

ごめんなさい。
いくらなんでもこれは読めない。

×AAからウェお起こした
○AAから絵を起こした

Rédigé par: サスケット | le 10/23/2005 à 01:39

>図柄としてのモナーが著作物として認められる可能性は低いと思いますが
> アスキーアートの場合、ネット上で用いることを主として想定していることから、事実上、1バイト文字並びにJISの第1水準及び第2水準に規定される2バイト文字のみを用いるという厳しい制約がありますから

違和感判明。


私はモナーをAA発祥のキャラクターとして一個の絵とかその手のものコミで認識していましたので、

文字じゃん

で創作性を終えてはいけないでしょう。


まてよ。
となると、モナーの著作権が始めてAAからウェお起こした人にある可能性もあるわけか…。
ちと興味深い話になってきた。

参考
http://images.google.co.jp/images?svnum=50&hl=ja&inlang=ja&lr=lang_ja&ie=Shift_JIS&oe=Shift_JIS&safe=off&c2coff=1&q=%83%82%83i%81%5B

Rédigé par: サスケット | le 10/23/2005 à 01:37

モナーに著作物性があると考える観点での処置を最初にとったのはAVEXですよね。一方、モナーが特定の個人の著作物だという発想など本来は微塵もないコミュニティー側は、そうした設定が敷かれてしまっての議論になったので、しょうがなく「モナーにだって著作権者がいるぞ」というニュアンスの対抗にシフトしたのは致し方ない気がしますね。

自分もモナーの表象自体には著作物性は無いと思っています。よって、もし、コミュニティー全体は当たり前に守っている”掟”(通常の法律のことではありません)にAVEXも即してモナーを利用したのなら、これほどの騒ぎには成らなかったのではないかと思います。

Rédigé par: COMAP | le 10/22/2005 à 20:04

AVEXを「インスパイア」させる程度には独創的だったんだろうと思うよ。だって、むこうは著作物を取り扱う大手なんだし。独創性を見抜く目をもっていないと商売にならないだろうから、アテにできると思うよ。

でも、このへんは著作権者を名乗る人が出てきて裁判してみないと難しいんじゃないかなあ。

Rédigé par: 金田真一 | le 10/22/2005 à 19:36

図柄としてのモナーが著作物として認められる可能性は低いと思いますが、それは他のキャラクターも同様ですよね?
ポパイの柄のネクタイが、著作権侵害にならなかった判例とか無かったでしたっけ?(うろ覚えです)
他方、それらのキャラクタは、ゲームや映画といった著作物の構成要素としては確実に認められるわけですよね。

掲示板やコメント欄の書き込みも、独創性が認められれば、(サービスプロバイダ規約などによって制限されない限り)認められるという見解をどこかで読んだのですが、例えば、モナーがネット上に誕生した時のログがどこかに残っていて、その書き込みに十分独創性があると判断された場合に、モナーの著作権が認められる可能性は無いのでしょうか?

Rédigé par: J2 | le 10/22/2005 à 19:07

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