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11/15/2005

デジタルコンテンツ・ワーキンググループにおける意見 in 2005

政府・知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会デジタルコンテンツワーキンググループが「デジタルコンテンツ・ワーキンググループにおける意見募集」をしていましたので、次のような意見を投稿しました。



1 禁止権から報酬請求権へ


  デジタルコンテンツの利活用を図るためには、デジタルコンテンツに特定の利害関係を有している者に与えられる権利を禁止権から報酬請求権に移行することが望まれます。なぜならば、禁止権を有する利害関係者全てから許諾を得るというのは過大なコストと時間がかかる上に、IT革命の恩恵を消費者に与えることを望まない守旧派的なコンテンツホルダーは合理的なライセンス料を提示してもそのデジタルコンテンツの利活用を許諾しない傾向が明確にあるからです。

  日本が各種国際条約に反することなく法改正により報酬請求権化できるものとしては、

  • 同一コンテンツ同時再生型のインターネットラジオ/テレビ

  • 歌詞のネット上へのアップロード

  • 歌詞の翻訳および翻訳された歌詞のネット上へのアップロード

  • 書籍等の内容を組み入れたデータベースの作成および公衆への提供

 ポッドキャスティング等のダウンロード型の音楽配信サービスについては、国際条約上報酬請求権化できないとの見解が有力です。ただし、そのような条約自体、現代のようなIT革命が進化した社会を想定したものではありませんので、ダウンロード型の音楽配信サービス等を報酬請求権化できるように国際条約の改廃を加盟国に働きかけることはとても有意義です。

(なお、情報の流通が、CD等のパッケージによる時代から、インターネットなどのオンラインによる時代へと移行した場合、特定のコンテンツについての送信可能化を報酬請求権化するか強制許諾制度を設けるかしないと、日本在住者のみ特定の情報から疎外される危険が生じます。)。

2 私的領域での利活用の保護


 IT革命の成果として、デジタル化されたコンテンツ(ユーザーがデジタル化した場合を含む。)を様々に加工しまたは転送したりしてユーザーがそのライフスタイルや美的感覚に合わせてこれを利活用することが技術的には容易になりました。しかし、そのようなエンドユーザーによるコンテンツの利活用を可能又は容易にする機器又はサービスを公衆に提供することについては、そのような機器等の提供者をコンテンツの利用主体と擬制することによりこれを違法とする裁判例が続出しています(ex.録画ネット事件、選撮見録事件)。しかし、一般のユーザーはそのような機器等を自ら開発し運営することは困難なので、そのような機器等を業者が提供できないとすると、エンドユーザーはIT革命の恩恵を享受できないことになります。

 つきましては、エンドユーザーによるコンテンツの適法な利活用を可能又は容易にする機器又はサービスの好手への提供者をコンテンツの利用主体と擬制してこれを違法とすることができないような法改正が望まれます。

 

 また、私的使用目的でのコンテンツの改変が著作物の同一性保持権侵害となるかについては学説上争いがありますが、改変されたコンテンツが改変を行った人の私的領域内にとどまる限りにおいては、当該コンテンツに係る著作者の名誉・声望等の人格的価値が害されることはないので、私的使用目的でのコンテンツの改変については同一性保持権侵害に該当しないということを明文で規定して頂ければ幸いです。

 

3 クリエイターとコンテンツホルダー等との間の契約の労働基準法的な規制


  漫画家と出版社、実演家とテレビ局・レコード会社等、クリエイターとコンテンツホルダー等との契約は、特に当該クリエイターが一定の名声を築く前に締結されたものについて言えば、しばしば衡平をあまりに失しています(そもそも、一般に出回っている雛形自体、ひどいものです。)。それは、力関係についていえば企業と労働者の関係に近いにもかかわらず、法的には雇用関係にはないがために、労働基準法等による保護を受けられないからです。

  つきましては、クリエイターにとっても過酷ではない標準契約雛形を公的に作成するとともに、クリエイターが保障されるべき最低限の権利・地位を法律(強行法規)で定めることが必要なのではないかと思います。

  

4 リージョンコード回避機器の適法化


 市販のDVDソフトなどには、いわゆるリージョンコードが付されているものが少なくありません。

 リージョンコードに反応しない機器の製造・販売は現在適法であるものの、リージョンコードに反応する機器を反応しない機器に変更することおよびそのような変更を容易に行えるようにする機器等の提供が適法であるかについては争いがあるところです。

 リージョンコードを付することにより日本国民だけが特別に高い対価を支払わなければコンテンツを享受できないというだけでも屈辱的ではありますが、コンテンツによっては、そもそもリージョンコードが日本に対応した商品が製造・販売されていないということもしばしばあり、この場合、リージョンコードに反応しない機器を使用しない限り、日本在住者は当該コンテンツを享受できないということになり、そのコンテンツにより提供される情報を知る権利すら侵害されることになります。

 現状では、リージョンコードというのは我が国にとって百害あって一理なしの存在ですので、リージョンコードに反応する機器を反応しない機器に変更することおよびそのような変更を容易に行えるようにする機器等の提供を明文で適法とするような法改正が望まれる次第です。  

Posted by 小倉秀夫 at 11:54 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de: デジタルコンテンツ・ワーキンググループにおける意見 in 2005:

» 自民党改憲案 de 月よお前が悪いから
昨日あった自民党大会で、大々的に改憲案が発表されて、早速http://www.jimin.jp/jimin/shin_kenpou/shiryou/pdf/051122_a.pdf (PDFです!!)で改憲案全文と現行憲法との比較が掲示されていますが、9条云々以外にも色々とまずい所があります。 例えば、 (以下、青太字は改憲案で変更・もしくは新規に出来た所) 第12条 この憲法が国民に保証する自由及び権利は、国民の不断の努力によって保持しなければならない。国民はこれを濫用してはならないのであっ... Lire la suite

Notifié: 23 nov. 2005, 23:21:48

Commentaires

> この場合、リージョンコードに反応しない機器を使用
> しない限り、日本在住者は当該コンテンツを享受で
> きないということになり、そのコンテンツにより提供
> される情報を知る権利すら侵害されることになりま
> す。

はて、「コンテンツにより提供される情報を知る権利」とは何のことでしょう。法律によって定められてるのでしょうか?

そして、誰がそれを侵害してるのでしょうか?


海外の企業が日本向けにコンテンツを出そうが出すまいが、そんなのは先方の自由やと思うんですけどねぇ。
それとも、うちは国際法に疎いから知らないだけで、「すべてのコンテンツ提供者はすべての国にコンテンツを提供しなきゃいけない」という国際法か条約でもあるんですかねぇ?

Rédigé par: 朱 苗牟 | 27 nov. 2005, 16:29:25

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