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01/06/2006

パブリックコメント Jan. 2006

知的財産戦略本部へのパブリックコメントですが、今回はこの程度でお茶を濁しました。


一 日本の音楽の海外での普及活動について

1  日本のポップミュージックを海外に普及させるためには、海外に住んでいる方々に日本のポップミュージックを聴いていただかなければなりません。それには、テレビやラジオなどのようにメディアの側で適宜楽曲をピックアップして流してくれる、いわゆるプッシュ型メディアに日本のポップミュージックを流すことが必要となります。

  そのためには、海外のテレビ局やラジオ局等に日本側で積極的に働きかけて、日本のポップミュージックを流してもらうという方法がまずあります。しかし、東アジア及び東南アジア以外では、そのような方法はほぼとられていないようです。

  もう一つは、日本側で日本のポップミュージックを含む音楽番組を世界に向けて発信するという方法があります。テレビやラジオなどの電波系のメディアは受信可能な地域が限定されていますので番組を世界に向けて発信することは困難なのですが、インターネット放送であれば、番組は原則として世界に向けて発信されます(例えば、英国のBBCは、ラジオ番組の大部分をインターネット経由で配信しており、その内容は日本でも聴取することができます。)。

  しかし、日本では、レコード会社等が自社が隣接権を有する楽曲についてインターネットラジオ等で放送することに対して許諾を与えないため、日本のポップミュージックはインターネット経由で海外に発信されることがほとんどないというのが実情です。

  日本のポップミュージックが世界の人々に受け入れられるようにするために、世界中の人々にまず日本のポップミュージックに触れていただくためには、インターネットラジオ等の放送局へ、その規模又は売上げに応じた合理的なライセンス料でインターネット放送についてのライセンスを付与するように日本のレコード会社等に対して指導をするとか、インターネット放送については、放送・有線放送と同様に、正規に収録された音源を用いる分には許諾をとる必要がないこととする(報酬請求権化する)ことが望まれます。

2 また、海外の人々が日本のポップミュージックを気に入り、これを購入したいと考えても、これを購入するのは楽ではありません。

 Amazon.comで購入可能な「Japan」カテゴリーの音楽CDはわずか3590点にすぎません(2005年1月1日現在)。しかも高い(2005年のオリコン・アルバムチャート年間1位の「MusiQ」(by Orange Range)が44.49ドル、同2位の「ケツメポリス4」(by ケツメポリス)が40.49ドルです。Amazon.comでは、アルバムCDが通常10〜15ドル前後で購入できることを考えると、通常商品の約4倍です。)。

 また、iTunes Music Store等の音楽配信サービスで日本のポップミュージックを購入しようと思っても、米国在住者がiTunes Music Storeを利用しても、「Japanese Pop」カテゴリーでアップロードされているのは、「The 5.6.7.8's」、「BoA」、「Haco」、「Pizzicato Five」、「Polysics」、「Puffy AmiYumi」、「Sakamoto Hiromichi」、「Utada」の8ユニットのみ、「Japan」カテゴリーでも「Buffalo Daughter」、「Cibo Matto」、「Cornelius」、「Kahimi Karie」、「Kawabata Makoto」、「Momus」、「Pizzicato Five」、「Puffy AmiYumi」、「Yoshinori Sunahara」、「Zoobombs」の10ユニットのみ(そのうち、「Puffy AmiYumi」と「Pizzicato Five」はだぶっています。)、「J-Pop」カテゴリーでも14ユニットにすぎません。

 上述のとおり、日本のポップミュージックの音楽CDはAmazon.comのような米国内の大手インターネット通販でもあまり扱われていませんし、扱われていたとしても非常に販売価格が高く、ごく一部のマニア以外は購入する気にはなれないと思いますので、iTunes Music Store等の音楽配信サービスを介して販売することは、音楽CDの販売を妨げることによる減収を招く危険は少ないといえます。したがって、レコード会社としては、もっと積極的に自社音源をiTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用して広く世界に向けて販売してもよさそうなものなのに、現実には、上記のとおり、日本のポップミュージックはほとんど日本国外の音楽配信サービスでは購入できないという体たらくぶりです。

 知的財産戦略本部におかれましては、日本のレコード会社に対し、国外の音楽配信サービスを利用して積極的に日本国外にて日本のポップミュージックを販売するように勧告することが肝要ではないかと思います。
二 音楽コンテンツの日本国内での利活用について

 iTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用していると、私たちは悲しい事実に気がつきます。日本の消費者だけが購入できない商品が多すぎるのです。

 iTunes Music Storeにおいては、クレジットカードのビリングアドレスの所在国毎に市場分割がなされており、日本国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の日本人は、日本国内向けに配信されている楽曲しか購入できません。その点に関しては、アメリカ国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の米国人は、米国国内向けに配信されている楽曲しか購入できないし、フランス国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通のフランス人は、フランス国内向けに配信されている楽曲しか購入できないという意味では対等であるとはいえます。ただ、米国国内向けに配信されている楽曲、フランス国内向けに配信されている楽曲、ドイツ国内向けに配信されている楽曲、スイス国内向けに配信されている楽曲etc.と日本国内向けに配信されている楽曲とが全く別物となっています。そのため、ほとんど国でダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲が日本ではダウンロードできないという事態が頻発しています(むしろ、英米仏独などの主要国の音楽配信サービスでダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲のほとんどは、日本国内ではダウンロードできないと言った方がより正確です。)。

 最近は、音楽配信サービスでしか提供しない楽曲というのも徐々にではありますが増えてきました。そのような時代において、日本国内でのみダウンロードできない楽曲があるということは、とりもなおさず、日本国民だけが特定の音楽を聴くことができなくなるということを意味します。簡単に言ってしまえば、「日本人だけが仲間はずれにされている」というのが、音楽配信サービスの現状です。

 知的財産戦略本部が目指す社会というのは、知的財産権が日本人だけを仲間はずれにすることに積極的に活用される社会ではないはずです。従って、知的財産戦略本部におかれましては、日本政府として、世界各国のレコード会社やレコード会社等が作っている組織に働きかけて、他の先進諸国向けに音楽配信を行っている楽曲については日本国内向けにも配信するように仕向けるか、彼らがそのような要求を聞き入れないようであれば、音楽配信サービスを行う場合には隣接権者の許諾を要しないとするような法改正を行っていただきたく思います。

三 貸与権
 一昨年の著作権法改正により、書籍・雑誌等の貸与も、無償・非営利でない限り、著作権者に無断で行うと著作権侵害とされることになりました。そのときは、貸与ビジネスを潰す意思は毛頭なく、貸与に関して権利集中処理機関ができるから、適切な利用料を支払えば適法に書籍・雑誌等を貸与することは可能であるという話であったと記憶しています。
 しかしながら、書籍・雑誌の貸与に関する権利集中処理機関は未だにできていません。一部の漫画については、そういうものを作ろうという動きはあると聞いていますが、一般の書籍や雑誌等に掲載された文章や挿絵、写真等の著作権者を含めて包括的に貸与権を許諾してくれる機関がないため、公立の図書館を補完するようなサービスを民間企業が行うことすらかなわないのが実情です。これでは、「官から民へ」という現政権の主要テーマとも矛盾しています。
 つきましては、知的財産戦略本部におかれましては、出版社や著作権者団体等に対して、期限を明示して上記権利集中処理機関による包括的な利用許諾サービスを開始するように要請するとともに、期限内に、まともな利用許諾サービスが開始されない場合には、貸与については、著作権(禁止権)ではなく、報酬請求権に留めるような法改正を国会に勧告して頂ければ幸いです。
 
四 著作権者不明の場合の裁定手続
 インターネット上には、誰に著作権が帰属しているのかは不明であるが、商業的に利用する価値がある作品がたくさんあります(昨年大ヒットした「電車男」などがその例です。)。これを商業的に利用したければ、著作権法が定める裁定手続を用いればよいのですが、裁定を受けるまでには相当の時間がかかるといわれております。
 ただ、裁定を受けるまでに相当の時間がかかるのは、法律でそれだけの時間をかけることが要求されているからではなく、単なる運用の問題ですから、この運用を改善して、「権利が誰に帰属しているかはわからないが優れた作品」が適切に利活用されるようにして頂ければ幸いです。
 例えば、その1案としては、著作権者及びその帰属先が一般的な検索エンジンを用いても探知できない作品については、これを利用したい人が文化庁に裁定の申し出をすると、文化庁が開設するウェブサイトに、そのような裁定申出がなされた旨及び著作権者に関する情報を求める旨の公告を行い、一定期間(2週間程度)が経過しても有益な情報が送られてこなかったときには、使用料の決定と同時に裁定を下すこととする等というものがあり得るかと存じます。
 
五 著作権等の保護期間
 クリエイターは、自分の死後50年後、75年後のことを考えて創作活動を行うか否かを決定しているわけではないし、企業だって、そんなに長い期間その作品が商業的価値を持ち続けることを前提にクリエイターないし作品に投資するわけではないので、著作権等の保護期間を延長することは創作のインセンティブを高めることにはなりません。他方、著作権等の保護期間を延長すると、本来パブリックドメインとなって新たな創作活動に自由に利活用できるはずのものが利活用できなくなり、却ってこれからの創作活動を阻害します。したがって、著作権等の保護期間を延長することには基本的に反対です。
 仮に、著作権等の保護期間を延長する場合には、既に創作されてしまった著作物等に関する権利保護期間を延長しても創作のインセンティブが過去に遡ることはありませんから、保護期間の延長を既に創作された著作物等にまで適用するのは不合理です。したがって、著作権等の保護期間の延長は、当該改正法の施行日以降に創作された著作物等に限定して適用されるようにすべきです。
 それはともかく、これまでの著作権法改正では何度か著作権法の保護期間が延長されており、その保護期間の延長は当該改正法施行時に著作権等の保護期間内にあった著作物等についてまで適用されています。しかし、当該著作物について著作者から著作権を買い受けた者(映画の著作物のように、著作者の参加約束を受けて、著作権を自己に原始取得させた者を含む。)は、以前の保護期間を前提に著作者に対価を支払ったにすぎません。したがって、彼らが著作権等を取得した時点での当該著作物等の保護期間を超える期間の当該著作物の利用によって得た利益を彼らが独占するのは、いわば不当な利得ということができます。つきましては、この利得部分については、著作者(またはその子孫)に返還するか、または、新しい創作者の養成のために寄付させるかして、現著作権者からはき出させるべきだと存じ上げます。 

Posted by 小倉秀夫 at 12:06 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de: パブリックコメント Jan. 2006:

» 未だ間に合う?知的財産基本法の施行状況に対する意見募集 de Where is a limit?
う~~ん、ちと考えてみたのですが、正式には知的財産基本法の施行状況に対する意見募集の〆切は2006/01/06の17時が〆切なのですが、知的財産基本法の施行状況に対する意見募集をクリックすると未だ送信可能状態になっています。確かに、知的財産戦略本部のトップページを見る..... Lire la suite

Notifié: 9 janv. 2006, 12:04:19

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