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01/24/2006

An intellectual propertyism is a religion?

 知的財産国家戦略フォーラムが提出した「知的財産基本法の施行状況に対する意見」がアップロードされています。まあ、なんといいますか、ここまで机上の空論ぽっさがにじみ出る意見書というのも珍しいのではないかという気分でいっぱいになります。

 例えば、いわく

コンテンツビジネスについても、iPod-iTunes の音楽配信サービスが世界で19番目と遅かった。日本の著作権ビジネスは世界トップクラスであるとはいえない。これは、知的財産推進計画のさらなる実施が必要であることを意味する。
というけれども、知的財産推進計画をさらに実施していったら、著作隣接権が競争制限的に使われることを抑止してくれるようになるのですか?というよりほかいないです。

 例えば、いわく

契約において弱い立場である発明者やクリエーターと対等に契約することを確約し、実行する企業は、多くの国民に告知されるようにする。具体的には、企業名の公的機関誌などでの公表や知財重視企業に対する税制優遇措置、金利補填などである。
とのことですが、契約において弱い立場の一方当事者を保護するためには、片面的強行法規を定めるのが立法の常道です。

 例えば、いわく

知財事件は経済事件であるから、裁判期間の上限を設定し、関係者が協力す
る体制とする。裁判期間は以前よりは迅速になっているが、まだビジネスを阻害する期間になっていることが多い。特に、当事者の一方が中小企業や個人である場合、裁判時間の短縮が必要である。
とのことですが、通常の民事訴訟で裁判期間の上限を設定してうまくいった例というのは私は知らないのです。そういう仕組みになったら、主たる争点で立証責任を負わない側は時間切れを狙いますね。

 例えば、いわく

現在、最高裁では判決を公開しているが、裁判の傍聴に資するように判決言
い渡し日を知らせることが必要である。また、個人投資家が増えている現状を踏まえると、裁判の開廷日を広く公表することも必要である。
とのことですが、この意見を起草した人は日本の民事裁判を傍聴したことがあるのかはなはだ疑問です。

 例えば、いわく

知的財産による保護と文化の振興の調和を目指した政策を行う。例えば、国宝については所属を問わず、無料で商標登録を行うことによって国宝のイメージを守り、国宝の粗悪模造品の製作阻止の手段などに利用する。
とのことですが、誰を商標権者にするのでしょうか?商標権者による国宝の粗悪模造品の製作は阻止しなくともよいのでしょうか?「国宝の粗悪模造品の製作」を阻止したいのであれば、商標制度を経由せずに、端的に文化財保護法制の一貫として、国法の模造品の製造についての規制立法を行うのが常道ではないでしょうか。

 例えば、いわく

知的財産基本法の目的や理念を国民に周知するために、「知的財産週間」を制定するべきである。
世界知財憲章を制定する模倣品条約に続いて、「世界知財憲章」を日本からの発議で制定する努力を開始するべきである。
とのことですが、「は〜あ〜」と脱力してしまいます。

Posted by 小倉秀夫 at 02:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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特許を受ける権利をお譲りします。 【公開番号】特開2004-303196(P2004-303196A) 【公開日】平成16年10月28日(2004.10.28) 【発明の名称】模倣品流通防止システム、模倣品流通防止方法、商品関連画像提供システム、商品関連画像提供方法、クライアント装置、サーバ装置、コンピュータプログラム、および記録媒体 【出願番号】特願2004-1014(P2004-1014) 【出願日】平成16年1月6日(2004.1.6) 【優先権主張番号】特願2003-806(P2... Lire la suite

Notifié: 25 janv. 2006 à 19:38:20

Commentaires

初めまして。
知財に興味をもつ学生です。

知的財産国家戦略フォーラムは法律家、実務家をそのメンバーに持ちながら、なぜこのような意見をだすのでしょうか?

Rédigé par: masa | 24 janv. 2006 à 04:02:49

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