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01/29/2006

「Respect Your Music」キャンペーン

 「Respect Your Music」キャンペーンを開いて、廃盤レコードの音源のデジタル音楽配信を請願する運動を組織的に行うという手もあるのではないかと思ったりもします。

 知的財産戦略本部や経団連なども、あっさり協力してくれるかも知れませんし。

 このあたりの話題についてですけど。

Posted by 小倉秀夫 at 11:14 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

プログラマの倫理と引き返す仕組み

 昨日、第1回P2Pインフラ研究会に出席しました(生・金子さんと、生・壇先生を初めて拝見しました。)。

 Winnyに限らず、利用者側の「倫理」次第では、社会に多大なる害悪をもたらしてしまう可能性のあるプログラムというのはままあると思います。当該プログラムを公開する前からそのプログラムが悪用されることによってもたらす害悪が、それが善用されることによって社会にもたらす利益よりも上回ることが予想できる場合もあるし、予想に反して、その悪用がもたらす害悪が善用のもたらす利益を大幅に上回ってしまう場合もあるでしょう。

 そのような可能性を内包するプログラムを改正するにあたっては、そのプログラムが社会的に許容される限界を超えて悪用による害悪を生み出してしまうものであることが実際の運用の結果明らかとなった場合には、そのプログラムの利用をできなくし、または悪用の原因となっている機能を削除または改善することができるようにするべきなのではないでしょうか。もちろん、そのプログラムを悪用して社会に多大な害悪をもたらしている一部の利用者が任意にそのプログラムの使用をやめたり、より悪用しにくバージョンにバージョンアップするとは考えがたいので、以前Netscapeがそうしていたように、各バージョンの使用期間を短く設定し、その時点でプログラムの作者が最適だと考えるバージョンしか使えなくする等の工夫をすることが、プログラマーの倫理として必要になってくるのではないでしょうか。

 そういうことをつらつらと考えていました。

【今日聞いた中でお勧めの1曲】

J'en sais rien
by Matthieu Mendes

Posted by 小倉秀夫 at 05:23 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

01/25/2006

「真理の道」も金次第

 ローマ教皇庁が、ローマ教皇の言葉や著作について印税をかける方針を採用したとのニュースが世界中で話題になっています(産経新聞TimesOnLine)。

 そんなときこそ、「世界の宝」の抗弁の出番かもしれません。

Posted by 小倉秀夫 at 07:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

01/24/2006

An intellectual propertyism is a religion?

 知的財産国家戦略フォーラムが提出した「知的財産基本法の施行状況に対する意見」がアップロードされています。まあ、なんといいますか、ここまで机上の空論ぽっさがにじみ出る意見書というのも珍しいのではないかという気分でいっぱいになります。

 例えば、いわく

コンテンツビジネスについても、iPod-iTunes の音楽配信サービスが世界で19番目と遅かった。日本の著作権ビジネスは世界トップクラスであるとはいえない。これは、知的財産推進計画のさらなる実施が必要であることを意味する。
というけれども、知的財産推進計画をさらに実施していったら、著作隣接権が競争制限的に使われることを抑止してくれるようになるのですか?というよりほかいないです。

 例えば、いわく

契約において弱い立場である発明者やクリエーターと対等に契約することを確約し、実行する企業は、多くの国民に告知されるようにする。具体的には、企業名の公的機関誌などでの公表や知財重視企業に対する税制優遇措置、金利補填などである。
とのことですが、契約において弱い立場の一方当事者を保護するためには、片面的強行法規を定めるのが立法の常道です。

 例えば、いわく

知財事件は経済事件であるから、裁判期間の上限を設定し、関係者が協力す る体制とする。裁判期間は以前よりは迅速になっているが、まだビジネスを阻害する期間になっていることが多い。特に、当事者の一方が中小企業や個人である場合、裁判時間の短縮が必要である。
とのことですが、通常の民事訴訟で裁判期間の上限を設定してうまくいった例というのは私は知らないのです。そういう仕組みになったら、主たる争点で立証責任を負わない側は時間切れを狙いますね。

 例えば、いわく

現在、最高裁では判決を公開しているが、裁判の傍聴に資するように判決言 い渡し日を知らせることが必要である。また、個人投資家が増えている現状を踏まえると、裁判の開廷日を広く公表することも必要である。
とのことですが、この意見を起草した人は日本の民事裁判を傍聴したことがあるのかはなはだ疑問です。

 例えば、いわく

知的財産による保護と文化の振興の調和を目指した政策を行う。例えば、国宝については所属を問わず、無料で商標登録を行うことによって国宝のイメージを守り、国宝の粗悪模造品の製作阻止の手段などに利用する。
とのことですが、誰を商標権者にするのでしょうか?商標権者による国宝の粗悪模造品の製作は阻止しなくともよいのでしょうか?「国宝の粗悪模造品の製作」を阻止したいのであれば、商標制度を経由せずに、端的に文化財保護法制の一貫として、国法の模造品の製造についての規制立法を行うのが常道ではないでしょうか。

 例えば、いわく

知的財産基本法の目的や理念を国民に周知するために、「知的財産週間」を制定するべきである。
世界知財憲章を制定する模倣品条約に続いて、「世界知財憲章」を日本からの発議で制定する努力を開始するべきである。
とのことですが、「は〜あ〜」と脱力してしまいます。

Posted by 小倉秀夫 at 02:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

01/20/2006

冒認出願の場合の立証責任

 私は、知財高裁平成17年(行ケ)第10193号審決取消請求事件【アルファグリーン審決取消請求事件】において被告側代理人を務めていたのですが、同事件について無事請求棄却判決が平成18年1月19日に下されました(原告側代理人は、ライブドアvsニッポン放送事件でライブドア側の代理人を務めていた新保克芳弁護士他というのが、なんともGood Timing! )。

 法律上の争点としては、「冒認出願を理由とする無効審判における主張立証責任の分配」をどうするのかということが大きかったのですが、この点について知財高裁は、「特許法が……『発明者主義』を採用していることに照らせば、同号注1を理由として請求された特許無効審判においても、出願人ないしその承継者である特許権者は、特許出願が当該特許に係る発明の発明者自身又は発明者から特許を受ける権利を承継したものによりされたことについての主張立証責任を負担するものと解するのが相当である」と判示してくれました。


注1 特許法第123条第1項第6号のこと

追記


 上記判決文が最高裁のウェブにアップロードされました。

Posted by 小倉秀夫 at 02:23 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/19/2006

第1回P2Pインフラ研究会

遅ればせながら、第1回P2Pインフラ研究会に参加申込みしました。

Posted by 小倉秀夫 at 12:07 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/18/2006

世界の宝

 著作権訴訟は、未だ裁判例の蓄積が十分でないこともあって、新しい法的主張が次々と当事者またはその代理人によって考え出されます。

 ある新興宗教団体の創始者(最高裁のHPでは「B」と記されています。)の講演の録音・録画物たるCD-ROM等を被告が当該宗教団体に無断でネット上で販売する行為が著作権侵害にあたるとして複製の差止、複製物の廃棄、損害賠償等を請求した事案(東京地判平成17年12月26日)において被告から出された抗弁もまた斬新です。

Bの講演記録は,世界の宝であり,一宗教法人が独断で封印すべきものではない。

 なお、裁判所は、判決理由の中では、この抗弁の当否について、何ら判断していません。

Posted by 小倉秀夫 at 07:40 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/17/2006

録音禁止著作物一覧

 JASRACには、「録音禁止著作物一覧」なんてものがあるようです。

 中には、ある条件の下では録音を許さないぞということで細かい条件がコメントに記されているのもあり、何があったのだろうかとつい思いを馳せてしまいます。

 例えば、「COLONEL BOGEY AND THE RIVER KWAI MARCH」については「"COLONEL BOGEY(ボギー大佐)"と"THE RIVER KWAI MARCH(クワイ河マーチ)"を結合させたいかなる新録音も認めない。映画『戦場に架ける橋』のサウンドトラックでミッチーミラー楽団が演奏した音源のみ使用可能」とのコメントが付されていますし、PADILLA, Joseの「VALENCIA」には「左記作品における高木四郎(筆名:高木史郎)の日本語訳の利用を禁ずる」とのコメントが付されています。

 こう書かれていると、却って高木史郎さんの日本語訳が見たくなります。

Posted by 小倉秀夫 at 09:59 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/08/2006

P2Pの合法化法案

 今月のゲームラボの連載は、フランスの著作権法改正問題について書きました。

 今回のこの問題で一つ面白かったのは、今回の修正案を発案したAlain Suguenot氏はUMP(民衆運動連合)所属の議員、つまりばりばりの与党議員だということです。

 消費者に有利な裁判例(どうも、昨年、モンペリエの控訴院で、商用目的がない限りP2Pを用いてのファイル交換を合法とする判決が下されたようです。)をすぐに条項化して法律に取り込むということも見習ってほしいです。

 Suguenot議員のインタビュー記事がここに掲載されているのですが、言っていることは極めてまともです。日本の与党議員の中にも、あまりにも消費者のことを蔑ろにする著作権法改正に対して修正案を突きつけるような方が現れないものでしょうか。

【今日聴いた曲の中でお勧めの1曲】

Et dans 150 ans
   by Raphaël

Posted by 小倉秀夫 at 12:30 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/06/2006

住友生命の音ロゴ

 巷では、住友生命の音ロゴの著作物性等が話題になっているようです。
 ただ、私的には、小泉今日子の「なんてったってアイドル」の出だしとよく似ているように思うので、この程度で著作物性を認めてしまうと、「なんてったってアイドル」の方が後行作品だったときには「なんてったってアイドル」が発禁になってしまうのかと思うと複雑な気分です(アクセス可能性は否定できないですし。)。

Posted by 小倉秀夫 at 02:47 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

パブリックコメント Jan. 2006

知的財産戦略本部へのパブリックコメントですが、今回はこの程度でお茶を濁しました。


一 日本の音楽の海外での普及活動について

1  日本のポップミュージックを海外に普及させるためには、海外に住んでいる方々に日本のポップミュージックを聴いていただかなければなりません。それには、テレビやラジオなどのようにメディアの側で適宜楽曲をピックアップして流してくれる、いわゆるプッシュ型メディアに日本のポップミュージックを流すことが必要となります。

  そのためには、海外のテレビ局やラジオ局等に日本側で積極的に働きかけて、日本のポップミュージックを流してもらうという方法がまずあります。しかし、東アジア及び東南アジア以外では、そのような方法はほぼとられていないようです。

  もう一つは、日本側で日本のポップミュージックを含む音楽番組を世界に向けて発信するという方法があります。テレビやラジオなどの電波系のメディアは受信可能な地域が限定されていますので番組を世界に向けて発信することは困難なのですが、インターネット放送であれば、番組は原則として世界に向けて発信されます(例えば、英国のBBCは、ラジオ番組の大部分をインターネット経由で配信しており、その内容は日本でも聴取することができます。)。

  しかし、日本では、レコード会社等が自社が隣接権を有する楽曲についてインターネットラジオ等で放送することに対して許諾を与えないため、日本のポップミュージックはインターネット経由で海外に発信されることがほとんどないというのが実情です。

  日本のポップミュージックが世界の人々に受け入れられるようにするために、世界中の人々にまず日本のポップミュージックに触れていただくためには、インターネットラジオ等の放送局へ、その規模又は売上げに応じた合理的なライセンス料でインターネット放送についてのライセンスを付与するように日本のレコード会社等に対して指導をするとか、インターネット放送については、放送・有線放送と同様に、正規に収録された音源を用いる分には許諾をとる必要がないこととする(報酬請求権化する)ことが望まれます。

2 また、海外の人々が日本のポップミュージックを気に入り、これを購入したいと考えても、これを購入するのは楽ではありません。

 Amazon.comで購入可能な「Japan」カテゴリーの音楽CDはわずか3590点にすぎません(2005年1月1日現在)。しかも高い(2005年のオリコン・アルバムチャート年間1位の「MusiQ」(by Orange Range)が44.49ドル、同2位の「ケツメポリス4」(by ケツメポリス)が40.49ドルです。Amazon.comでは、アルバムCDが通常10〜15ドル前後で購入できることを考えると、通常商品の約4倍です。)。

 また、iTunes Music Store等の音楽配信サービスで日本のポップミュージックを購入しようと思っても、米国在住者がiTunes Music Storeを利用しても、「Japanese Pop」カテゴリーでアップロードされているのは、「The 5.6.7.8's」、「BoA」、「Haco」、「Pizzicato Five」、「Polysics」、「Puffy AmiYumi」、「Sakamoto Hiromichi」、「Utada」の8ユニットのみ、「Japan」カテゴリーでも「Buffalo Daughter」、「Cibo Matto」、「Cornelius」、「Kahimi Karie」、「Kawabata Makoto」、「Momus」、「Pizzicato Five」、「Puffy AmiYumi」、「Yoshinori Sunahara」、「Zoobombs」の10ユニットのみ(そのうち、「Puffy AmiYumi」と「Pizzicato Five」はだぶっています。)、「J-Pop」カテゴリーでも14ユニットにすぎません。

 上述のとおり、日本のポップミュージックの音楽CDはAmazon.comのような米国内の大手インターネット通販でもあまり扱われていませんし、扱われていたとしても非常に販売価格が高く、ごく一部のマニア以外は購入する気にはなれないと思いますので、iTunes Music Store等の音楽配信サービスを介して販売することは、音楽CDの販売を妨げることによる減収を招く危険は少ないといえます。したがって、レコード会社としては、もっと積極的に自社音源をiTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用して広く世界に向けて販売してもよさそうなものなのに、現実には、上記のとおり、日本のポップミュージックはほとんど日本国外の音楽配信サービスでは購入できないという体たらくぶりです。

 知的財産戦略本部におかれましては、日本のレコード会社に対し、国外の音楽配信サービスを利用して積極的に日本国外にて日本のポップミュージックを販売するように勧告することが肝要ではないかと思います。
二 音楽コンテンツの日本国内での利活用について

 iTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用していると、私たちは悲しい事実に気がつきます。日本の消費者だけが購入できない商品が多すぎるのです。

 iTunes Music Storeにおいては、クレジットカードのビリングアドレスの所在国毎に市場分割がなされており、日本国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の日本人は、日本国内向けに配信されている楽曲しか購入できません。その点に関しては、アメリカ国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の米国人は、米国国内向けに配信されている楽曲しか購入できないし、フランス国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通のフランス人は、フランス国内向けに配信されている楽曲しか購入できないという意味では対等であるとはいえます。ただ、米国国内向けに配信されている楽曲、フランス国内向けに配信されている楽曲、ドイツ国内向けに配信されている楽曲、スイス国内向けに配信されている楽曲etc.と日本国内向けに配信されている楽曲とが全く別物となっています。そのため、ほとんど国でダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲が日本ではダウンロードできないという事態が頻発しています(むしろ、英米仏独などの主要国の音楽配信サービスでダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲のほとんどは、日本国内ではダウンロードできないと言った方がより正確です。)。

 最近は、音楽配信サービスでしか提供しない楽曲というのも徐々にではありますが増えてきました。そのような時代において、日本国内でのみダウンロードできない楽曲があるということは、とりもなおさず、日本国民だけが特定の音楽を聴くことができなくなるということを意味します。簡単に言ってしまえば、「日本人だけが仲間はずれにされている」というのが、音楽配信サービスの現状です。

 知的財産戦略本部が目指す社会というのは、知的財産権が日本人だけを仲間はずれにすることに積極的に活用される社会ではないはずです。従って、知的財産戦略本部におかれましては、日本政府として、世界各国のレコード会社やレコード会社等が作っている組織に働きかけて、他の先進諸国向けに音楽配信を行っている楽曲については日本国内向けにも配信するように仕向けるか、彼らがそのような要求を聞き入れないようであれば、音楽配信サービスを行う場合には隣接権者の許諾を要しないとするような法改正を行っていただきたく思います。

三 貸与権
 一昨年の著作権法改正により、書籍・雑誌等の貸与も、無償・非営利でない限り、著作権者に無断で行うと著作権侵害とされることになりました。そのときは、貸与ビジネスを潰す意思は毛頭なく、貸与に関して権利集中処理機関ができるから、適切な利用料を支払えば適法に書籍・雑誌等を貸与することは可能であるという話であったと記憶しています。
 しかしながら、書籍・雑誌の貸与に関する権利集中処理機関は未だにできていません。一部の漫画については、そういうものを作ろうという動きはあると聞いていますが、一般の書籍や雑誌等に掲載された文章や挿絵、写真等の著作権者を含めて包括的に貸与権を許諾してくれる機関がないため、公立の図書館を補完するようなサービスを民間企業が行うことすらかなわないのが実情です。これでは、「官から民へ」という現政権の主要テーマとも矛盾しています。
 つきましては、知的財産戦略本部におかれましては、出版社や著作権者団体等に対して、期限を明示して上記権利集中処理機関による包括的な利用許諾サービスを開始するように要請するとともに、期限内に、まともな利用許諾サービスが開始されない場合には、貸与については、著作権(禁止権)ではなく、報酬請求権に留めるような法改正を国会に勧告して頂ければ幸いです。
 
四 著作権者不明の場合の裁定手続
 インターネット上には、誰に著作権が帰属しているのかは不明であるが、商業的に利用する価値がある作品がたくさんあります(昨年大ヒットした「電車男」などがその例です。)。これを商業的に利用したければ、著作権法が定める裁定手続を用いればよいのですが、裁定を受けるまでには相当の時間がかかるといわれております。
 ただ、裁定を受けるまでに相当の時間がかかるのは、法律でそれだけの時間をかけることが要求されているからではなく、単なる運用の問題ですから、この運用を改善して、「権利が誰に帰属しているかはわからないが優れた作品」が適切に利活用されるようにして頂ければ幸いです。
 例えば、その1案としては、著作権者及びその帰属先が一般的な検索エンジンを用いても探知できない作品については、これを利用したい人が文化庁に裁定の申し出をすると、文化庁が開設するウェブサイトに、そのような裁定申出がなされた旨及び著作権者に関する情報を求める旨の公告を行い、一定期間(2週間程度)が経過しても有益な情報が送られてこなかったときには、使用料の決定と同時に裁定を下すこととする等というものがあり得るかと存じます。
 
五 著作権等の保護期間
 クリエイターは、自分の死後50年後、75年後のことを考えて創作活動を行うか否かを決定しているわけではないし、企業だって、そんなに長い期間その作品が商業的価値を持ち続けることを前提にクリエイターないし作品に投資するわけではないので、著作権等の保護期間を延長することは創作のインセンティブを高めることにはなりません。他方、著作権等の保護期間を延長すると、本来パブリックドメインとなって新たな創作活動に自由に利活用できるはずのものが利活用できなくなり、却ってこれからの創作活動を阻害します。したがって、著作権等の保護期間を延長することには基本的に反対です。
 仮に、著作権等の保護期間を延長する場合には、既に創作されてしまった著作物等に関する権利保護期間を延長しても創作のインセンティブが過去に遡ることはありませんから、保護期間の延長を既に創作された著作物等にまで適用するのは不合理です。したがって、著作権等の保護期間の延長は、当該改正法の施行日以降に創作された著作物等に限定して適用されるようにすべきです。
 それはともかく、これまでの著作権法改正では何度か著作権法の保護期間が延長されており、その保護期間の延長は当該改正法施行時に著作権等の保護期間内にあった著作物等についてまで適用されています。しかし、当該著作物について著作者から著作権を買い受けた者(映画の著作物のように、著作者の参加約束を受けて、著作権を自己に原始取得させた者を含む。)は、以前の保護期間を前提に著作者に対価を支払ったにすぎません。したがって、彼らが著作権等を取得した時点での当該著作物等の保護期間を超える期間の当該著作物の利用によって得た利益を彼らが独占するのは、いわば不当な利得ということができます。つきましては、この利得部分については、著作者(またはその子孫)に返還するか、または、新しい創作者の養成のために寄付させるかして、現著作権者からはき出させるべきだと存じ上げます。 

Posted by 小倉秀夫 at 12:06 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

01/02/2006

知財戦略本部へのパブコメ in 2006草稿(1)

 パブリックコメントの草稿(ただし書きかけ)です。
 匿名の陰に隠れて他人を攻撃することに対してネガティブであってはならないという方々のお相手をAnnexでしなければならなかったり、私のメールアドレスを騙って大量にメールマガジンへの参加申込みをしてしまう方々(この種の行動を「卑怯」と批判しても、この種の方々から攻撃されても自業自得とかいわれてしまいそうですね。「匿名さんの行動は批判してはならない。匿名さんの行動を批判したら匿名さんから何をされても自業自得なんだそうですから。)の後始末をしなければならなかったりして正月早々から時間がとれないので、どこまでパブリックコメントを書き上げられるか分かりませんが(そうでなくとも、49日法要の準備とかいろいろ忙しいのに!)、できる限り頑張ってみることにします。


一 日本の音楽の海外での普及活動について

1  日本のポップミュージックを海外に普及させるためには、海外に住んでいる方々に日本のポップミュージックを聴いていただかなければなりません。それには、テレビやラジオなどのようにメディアの側で適宜楽曲をピックアップして流してくれる、いわゆるプッシュ型メディアに日本のポップミュージックを流すことが必要となります。

  そのためには、海外のテレビ局やラジオ局等に日本側で積極的に働きかけて、日本のポップミュージックを流してもらうという方法がまずあります。しかし、東アジア及び東南アジア以外では、そのような方法はほぼとられていないようです。

  もう一つは、日本側で日本のポップミュージックを含む音楽番組を世界に向けて発信するという方法があります。テレビやラジオなどの電波系のメディアは受信可能な地域が限定されていますので番組を世界に向けて発信することは困難なのですが、インターネット放送であれば、番組は原則として世界に向けて発信されます(例えば、英国のBBCは、ラジオ番組の大部分をインターネット経由で配信しており、その内容は日本でも聴取することができます。)。

  しかし、日本では、レコード会社等が自社が隣接権を有する楽曲についてインターネットラジオ等で放送することに対して許諾を与えないため、日本のポップミュージックはインターネット経由で海外に発信されることがほとんどないというのが実情です。

  日本のポップミュージックが世界の人々に受け入れられるようにするために、世界中の人々にまず日本のポップミュージックに触れていただくためには、インターネットラジオ等の放送局へ、その規模又は売上げに応じた合理的なライセンス料でインターネット放送についてのライセンスを付与するように日本のレコード会社等に対して指導をするとか、インターネット放送については、放送・有線放送と同様に、正規に収録された音源を用いる分には許諾をとる必要がないこととする(報酬請求権化する)ことが望まれます。

2 また、海外の人々が日本のポップミュージックを気に入り、これを購入したいと考えても、これを購入するのは楽ではありません。

 Amazon.comで購入可能な「Japan」カテゴリーの音楽CDはわずか3590点にすぎません(2005年1月1日現在)。しかも高い(2005年のオリコン・アルバムチャート年間1位の「MusiQ」(by Orange Range)が44.49ドル、同2位の「ケツメポリス4」(by ケツメポリス)が40.49ドルです。Amazon.comでは、アルバムCDが通常10〜15ドル前後で購入できることを考えると、通常商品の約4倍です。)。

 また、iTunes Music Store等の音楽配信サービスで日本のポップミュージックを購入しようと思っても、米国在住者がiTunes Music Storeを利用しても、「Japanese Pop」カテゴリーでアップロードされているのは、「The 5.6.7.8's」、「BoA」、「Haco」、「Pizzicato Five」、「Polysics」、「Puffy AmiYumi」、「Sakamoto Hiromichi」、「Utada」の8ユニットのみ、「Japan」カテゴリーでも「Buffalo Daughter」、「Cibo Matto」、「Cornelius」、「Kahimi Karie」、「Kawabata Makoto」、「Momus」、「Pizzicato Five」、「Puffy AmiYumi」、「Yoshinori Sunahara」、「Zoobombs」の10ユニットのみ(そのうち、「Puffy AmiYumi」と「Pizzicato Five」はだぶっています。)、「J-Pop」カテゴリーでも14ユニットにすぎません。

 上述のとおり、日本のポップミュージックの音楽CDはAmazon.comのような米国内の大手インターネット通販でもあまり扱われていませんし、扱われていたとしても非常に販売価格が高く、ごく一部のマニア以外は購入する気にはなれないと思いますので、iTunes Music Store等の音楽配信サービスを介して販売することは、音楽CDの販売を妨げることによる減収を招く危険は少ないといえます。したがって、レコード会社としては、もっと積極的に自社音源をiTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用して広く世界に向けて販売してもよさそうなものなのに、現実には、上記のとおり、日本のポップミュージックはほとんど日本国外の音楽配信サービスでは購入できないという体たらくぶりです。

 知的財産戦略本部におかれましては、日本のレコード会社に対し、国外の音楽配信サービスを利用して積極的に日本国外にて日本のポップミュージックを販売するように勧告することが肝要ではないかと思います。

二 音楽コンテンツの日本国内での利活用について

 iTunes Music Store等の音楽配信サービスを利用していると、私たちは悲しい事実に気がつきます。日本の消費者だけが購入できない商品が多すぎるのです。

 iTunes Music Storeにおいては、クレジットカードのビリングアドレスの所在国毎に市場分割がなされており、日本国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の日本人は、日本国内向けに配信されている楽曲しか購入できません。その点に関しては、アメリカ国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通の米国人は、米国国内向けに配信されている楽曲しか購入できないし、フランス国内にしかクレジットカードのビリングアドレスがない普通のフランス人は、フランス国内向けに配信されている楽曲しか購入できないという意味では対等であるとはいえます。ただ、米国国内向けに配信されている楽曲、フランス国内向けに配信されている楽曲、ドイツ国内向けに配信されている楽曲、スイス国内向けに配信されている楽曲etc.と日本国内向けに配信されている楽曲とが全く別物となっています。そのため、ほとんど国でダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲が日本ではダウンロードできないという事態が頻発しています(むしろ、英米仏独などの主要国の音楽配信サービスでダウンロード件数が上位10位以内に入っている楽曲のほとんどは、日本国内ではダウンロードできないと言った方がより正確です。)。

 最近は、音楽配信サービスでしか提供しない楽曲というのも徐々にではありますが増えてきました。そのような時代において、日本国内でのみダウンロードできない楽曲があるということは、とりもなおさず、日本国民だけが特定の音楽を聴くことができなくなるということを意味します。簡単に言ってしまえば、「日本人だけが仲間はずれにされている」というのが、音楽配信サービスの現状です。

 知的財産戦略本部が目指す社会というのは、知的財産権が日本人だけを仲間はずれにすることに積極的に活用される社会ではないはずです。従って、知的財産戦略本部におかれましては、日本政府として、世界各国のレコード会社やレコード会社等が作っている組織に働きかけて、他の先進諸国向けに音楽配信を行っている楽曲については日本国内向けにも配信するように仕向けるか、彼らがそのような要求を聞き入れないようであれば、音楽配信サービスを行う場合には隣接権者の許諾を要しないとするような法改正を行っていただきたく思います。

 

Posted by 小倉秀夫 at 07:12 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (2)