Q&Aのレベル
東京行政書士会の「著作権相談センター」がウェブサイトを開設していることを知りました。
そのウェブサイトには、「著作権よくある質問」コーナーが設けられていました。行政書士さんのところに著作権関係の相談を持ちかける人ってこういうことを聞いているのかと若干の驚きを持ってみてしまいました。
それ自体は「客層が違う」というだけの話なので大したことはないのですが、回答の方を見ると驚きは「若干」という範囲ではすまないように思いました。
大学の教員は「教え子」のことを「生徒」とは呼ばない(普通は「学生」と呼びます。)ということは些末的だからいいとして、学生の論文を「記念論文集」として出版する際に校正を行うことの著作権法上の問題を説明するにあたって、法政大学懸賞論文事件高裁判決(東京高判平成3年12月19日)を踏まえないというのはどうかと思ってしまいます。
生徒の論文を校正する行為は、正当な範囲内で許可されます。つまり、生徒の著作物の内容を著しく改変しない誤字、脱字等の校正は認められますが、意味内容に重大な変更をきたすものは、同一性保持権を侵害するものと考えられます。なんて説明だと、送りがなを変更したり、「等」の前の読点を削除したり、中黒を読点に変更したり、原文通りの改行を行わなかったりしても大丈夫なのだと勘違いされてしまいかねません。そもそも論でいけば、「正当な範囲内」であれば著作者の同意なくして著作物を改編すること許可されるという考え方がどこから発生してきたのかということ自体不思議でなりません(「やむを得ない」と「正当な範囲内」とはだいぶ異なる概念だと思います。)。
大学の教員が学生の論文を出版するにあたっては、出版することについて個別に許諾をとらざるを得ないのですから、その際に教員側で適宜校正を行うことについて事前に包括的な同意を得ておくか、校正を行った後に当該学生に校正結果を見せて同意を得てから出版することとするかのいずれかを選択させるというのがこの種の「Q」に対する正解なんだと思うのですけど、行政書士さんにこのような質問をしてしまった大学教授の方は大丈夫だったのでしょうか?
Posted by 小倉秀夫 at 12:23 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.
Commentaires