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03/29/2006

投資すべき対象

 地上波デジタルへの転換のために放送局も一般の視聴者も新たな投資をしなければならないのだとすると、その投資を地上波デジタルではなく衛星放送に向けた方がよほど効率的なのではないかと思う今日この頃です。

 今後のテレビ放送のあり方というものを考えた場合に、「ローカルテレビ局が倒産せずに存続する」という要請は本来優先順位が低いものであるはずなのに、この要請の優先順位を高めてしまった(といいますか、これを至上命題にしてしまった)がために、東京キー局が制作したテレビ番組は東京キー局自身が日本全国に向けて放送するという当たり前のことを許さないのが現在の日本の放送行政です。その結果、地上波デジタルに対応するために相当の投資を行っても、東京圏外に居住している人々は、東京キー局が制作したテレビ番組を視聴できるか否かが専ら自己の居住地域をカバーしているローカルテレビ局がそのテレビ番組を再送信してくれるか否かにかかっているという不自由な状況から脱出できないのです。

 東京キー局は、東京圏内で地上波で放送している番組を衛星放送で日本全国に向けて放送するというのは今すぐにでも技術的には可能であるのに(東京キー局は、「BSデジタル」という不良資産を抱えており、おそらくこれを流用することが可能だと思います。)、ローカルテレビ局の既得権益に配慮してそれを行わず、その結果、中央と地方の情報格差を生じさせています。

 私は、地方在住者が何故もっとこのことに怒り、声を上げないのか、不思議でたまりません。

Posted by 小倉秀夫 at 08:30 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

パブコメ to 知的財産戦略本部 in March 2006

今回は、時間が余りなかったので、下記の内容で提出しました。


総論

 残念ながら、我が国のコンテンツホルダーは、権利保護の強化等の環境整備を行っても、これを適切に活用して「知財立国」を実現する意思も能力も乏しいことが、既に明らかとなっています。「知財立国」の推進役を、既存のコンテンツホルダーからITベンチャーや情熱的な個人へと移行させる方が効果的であるように思います。コンテンツの創作に人的又は物的な資源を投資した者に対し当該コンテンツの活用により生じた利益の一部を還元するシステムはなおも維持しつつ、ITベンチャーや情熱的な個人がコンテンツを活用することをコンテンツホルダーが妨害できない環境作りを行うことこそ、知的財産戦略本部が検討すべきことのように思います。
 また、近時、知的財産権(特に、著作権)を、コンテンツ等の流通を妨げるために活用する例が目立ちます。知的財産戦略本部におかれましては、そのようなコンテンツ等の流れを目詰まりさせるものを除去することにご尽力頂ければ幸いです。

日本の大衆音楽の世界への紹介の推進

 日本のレコード会社には日本の大衆音楽を世界に流布させる意思も能力も乏しく、その結果、レコード輸入権を創設しても、日本の大衆音楽は、そのレベルの高さにもかかわらず、世界的なヒットにならないまま空しく月日が過ぎています。日本のレコード会社は、自社が権利を保有する日本の楽曲を日本国外の人に聴いてもらう努力を十分に行っていないのだから、それは当然すぎる結果だと言えます。知財戦略本部では「世界への発信を強化する」ということを検討課題として掲げていますが、現行法の下でこれを最も簡単にできるはずのレコード会社がこれをしようとしないのですから、「世界への発信を強化する」との政策目標を実現するためには、レコード会社以外の者が日本の大衆音楽を世界に向けて発信できるような環境作りを行うことが有効です。
 そのためには、ITベンチャーや情熱的な個人が、世界中の人に聴いてもらいたいと思う日本の楽曲をインターネットラジオを通じて世界中に発信できるような環境作りを行うことが簡便です。そのためには、レコード製作者等の許諾を得なくとも行える「放送」「有線放送」の定義を条約上許されるぎりぎりの線まで拡張する等の法的整備を行うことが求められます(そしてそれは、「国際的な著作権制度の調和を推進する」「公共ネットワークを活用したコンテンツ流通を促進する」「コンテンツ流通のためのシステム整備を行う」ことに繋がります。)。さらに、インターネットラジオ放送局の支払うべき利用料が、広告・視聴料の有無・価格やアクセス数等から予想される収益から捻出できる範囲内に収まるように、著作権等の管理事業者等への働きかけを行うことが、知的財産戦略本部に求められます。
 また、日本語が得手ではない人々が世界中には多いと思われますので、日本の大衆音楽を世界中に紹介するためには、その歌詞を各国語に翻訳してオンライン上で掲載することなどが有益です。しかし、日本のレコード会社はそのような作業を自主的に行ってきませんでした。これでは、高い水準にある日本の大衆音楽に世界中の音楽愛好家が関心を持てないのは無理もありません。
 とはいえ、世界中にはたくさんの言語があるのでレコード会社で各国語の翻訳を用意するのは大変なことだと思います。だとすれば、歌詞の翻訳はレコード会社に委ねるのではなく、各国語を得意とするITベンチャーや情熱的な個人等に任せてしまうのが効率的です。
 現在、歌詞の翻訳については、日本音楽著作権協会等の管理の対象からもはずれており、個別に歌詞の著作権者を捜し出して許諾を得なければなりませんが、そのためのコストというのは全くの無駄です。各国語への翻訳を含めた利用許諾についての簡便なシステム作りを行うことが急務といえます。

「カラオケ法理」の特に「適法な利用行為への間接的寄与行為の違法化機能」の排除

 米国法でも英国法でも、第三者による著作物等の利用行為に間接的に寄与する行為が間接侵害(2次侵害)として違法とされるのは当該利用行為が違法である場合に限定されています。しかし、日本のいわゆる「カラオケ法理」は、第三者による著作物等の利用行為自体は適法な場合であってもこれに間接的に寄与する行為を違法としてしまいます。国際的な著作権制度の調和を推進するという観点からは、第三者による著作物等の適法な利用行為に寄与する行為について、間接寄与者を著作物等の利用者と擬制することによってこれを違法化することは許されないということを法文で明示することが望まれます。

日本国民を特定の情報から疎外するために施される技術的手段について

 著作権法の究極の目的は我が国の文化の発展です。したがって、著作権法が我が国の文化の発展を阻害するために活用されるとすれば、それはまさに本末転倒です。
 しかし、今日、我が国に在住する人々を欧米の文化から隔絶させ、我が国の文化の発展を阻害するために著作権法が活用されています。
 例えば、インターネットを利用した音楽配信やDVDソフトなどでは、欧米に在住していればわずかな対価と引き替えにこれを視聴することができるのに、日本に在住していたのではお金を支払っても視聴ができない場合が少なからずあります(といいますか、欧米諸国でのiTunes Music Storeでのダウンロード件数が上位にランクされている楽曲の大部分は、日本のiTunes Music Storeではダウンロードできません。)。コンテンツがアナログな媒体で流布されていた時代であれば当該媒体を並行輸入等してしまえばこのような民族差別を乗り越えて我々日本国民も先進的な情報を享受することができたのですが、コンテンツがデジタルな媒体で流布されることが広まると、コンテンツホルダーによる民族差別を乗り越えることが困難となり、我が国の国民だけが他の先進諸国の国民の間で広く享受されている情報から隔離されるという事態が現実的に発生し得ます。
 日本政府は、特定の情報を日本国民に対しては享受させないこととしている欧米のコンテンツ事業者等に対して強く働きかけてその是正を求めるとともに、是正に応じないときは、日本国民にそのコンテンツを視聴させないために施されている技術的手段を解除することを合法化するとともに、当該コンテンツについて強制許諾を行うような法律を制定すべきだと考えます。「お金をもらっても日本在住者になど自分たちが権利を保有している楽曲を聴かせたくない」等という権利者のよこしまな意図を法的に保障してあげる必要があるのか大いに疑問です。

コンテンツホルダーに長期的な視野を持たせるための教育や研修を実施する

 我が国の著作権等の保有者には、第三者に著作権等を利用させないことが著作権等を保護することだと勘違いしている人がまだまだ多く、そのために折角のIT技術の発展がコンテンツ産業の発展に繋がっていません。例えば、東京のキー局で制作されたテレビ番組が、衛星放送やインターネットを通じて、直接日本中の視聴者に届くようになれば、中央と地方との情報格差も小さくなりますし、東京キー局で制作した番組を転送するだけで距離を得ている系列ローカルテレビ局を中抜きすることができれば、優れた番組を制作したテレビ局やその番組に出演したタレント等の利益にも繋がるし、ローカルテレビ局が生き残りのために独自番組をたくさん作るようになれば、それだけアーティスト等の仕事も増えていきます。
 政府として、著作権等の保有者に対し、その著作権等を眠らしておくのではなく、活用することこそが大切なのだ、自分たちで十分な活用が果たせないのであればこれを上手に活用してくれる第三者に委ねるべきなのだということを十分に教育することが必要だと思います。

ファイル交換ソフトについて

 ファイル交換ソフト等が著作権侵害行為に用いられることを少なくするためには、ファイル交換ソフト等を頒布しまたは検索用中央サーバ等を運営しても適法となる条件を明確化することが有益である。どこまでの対策を取ったら適法となるのかが明示され、かつ、その基準が構成かつ遵守可能なものであれば、その基準を満たした商品・サービス等が開発され、その結果、ファイル交換ソフト等による著作権侵害行為が、ゼロにはならないとしても、相当程度減少することが期待できます(現状では、その基準が明らかではないので、著作権侵害等に使用される機会を減少させるために相当の投資を行うことを躊躇せざるを得ません。)。

取扱商品等の特定または広告のための利用の適法化

 オンラインを通じてコンテンツを流通させるためには、コンテンツの一部を試聴ないし試読させることが求められますが、これを実現するためには当該コンテンツの一部を送信可能化することが必要となります。また、オンラインを通じて登録商標付きのコンテンツや商品を販売するには、当該登録商標を当該コンテンツや商品の特定ないし広告のためにウェブサイト上に表示することが必要となります。このような種類のコンテンツ等の利用は当該コンテンツ等の流通を促進し、もって当該コンテンツ等の権利保有者の正当な利益を増大させることこそあれ、低下させることはありません。しかし、一部のコンテンツホルダー等は、コンテンツ等の流通を不当に自己の支配下におきたいがために、このような取扱商品等の特定または広告のために、例えば、オンライン通販事業者等が、取扱い商品等の登録商標をウェブ上に表示したりコンテンツの一部を試聴ないし試読させることの停止を求める例があると聞き及んでいます。
 著作権をはじめとする知的財産権は正規商品の市場での流通を阻害することまでも正当化するものでは本来ないので、正規商品をオンライン通販等により流通させるために必要または有益な著作物ないし商標等の利用については、権利侵害とはしない旨の立法が望まれます。

美術館等に収蔵されている美術品等の模写の機会を与える。

 芸術的な才能を磨くためには先人の作品をまねることがその近道であることは古今東西共通しています。そのため、欧州の美術館等においては、展示されている作品を入館者がその場で模写することが認められています。日本でも、クリエイターの育成のために、美術館等に収蔵されている美術品等を模写する機会を国民に保障するための施策作りが求められるように思います。
 
「著作物」の再販価格指定制度について

 「著作物」に関して例外的に再販価格を指定することが許容されている趣旨は、国民が多様な「著作物」に触れる機会を確保し、多様な「著作物」を市場に流通させることにあります。従って、「著作物」の再販価格指定制度を維持するのであれば、多様な「著作物」が市場に流通するのを阻害する目的で著作権(著作者人格権や、著作隣接権を含む。)を活用することを同時に許すことは相互矛盾であり許されるべきではありません。
 あるいは、著作物のオンライン配信についての許諾システムが整備されるのであれば、「著作物」の再販価格制度を維持せずとも、市場で流通する「著作物」の多様性を確保できるかもしれません。現在のシステムですら、発行部数の少ない学術書などを購入前に手に取ってみて確かめることができるのはある程度のレベルの大学周辺の書店や大都市に所在する大型店舗しかないのですし、ヒットチャートに上らないようなマイナーなCDについてまで視聴させてくれるレコードショップ等も滅多にないのですから、試聴・試読の機会を提供するための著作物等の利用を合法化した方が、国民が多様な「著作物」に触れる機会を確保し、多様な「著作物」が市場に流通するようにするという目的には合致しているとも言えるように思います。


中間搾取者の排除

 日本のコンテンツ産業に関していえば、クリエイターとエンドユーザーの間に様々な人々が入り込み、その結果、エンドユーザーがコンテンツの対価として支払った金額のごく一部しかクリエイターに届かないのが現状です。知的財産戦略本部におかれましては、どのような中間者が介在しているのかを分析した上で、それらの中間者の介在をなるべく少なくし、エンドユーザーが支払った対価がクリエイターに届くまでの間で失われてしまう割合をなるべく小さくするような方策を考えて頂ければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:15 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/28/2006

「知的財産推進計画2006」の策定に向けた意見募集(途中)

総論

 残念ながら、我が国のコンテンツホルダーは、権利保護の強化等の環境整備を行っても、これを適切に活用して「知財立国」を実現する意思も能力も乏しいことが、既に明らかとなっています。「知財立国」の推進役を、既存のコンテンツホルダーからITベンチャーや情熱的な個人へと移行させる方が効果的であるように思います。コンテンツの創作に人的又は物的な資源を投資した者に対し当該コンテンツの活用により生じた利益の一部を還元するシステムはなおも維持しつつ、ITベンチャーや情熱的な個人がコンテンツを活用することをコンテンツホルダーが妨害できない環境作りを行うことこそ、知的財産戦略本部が検討すべきことのように思います。

日本の大衆音楽の世界への紹介の推進

 日本のレコード会社には日本の大衆音楽を世界に流布させる意思も能力も乏しく、その結果、レコード輸入権を創設しても、日本の大衆音楽は、そのレベルの高さにもかかわらず、世界的なヒットにならないまま空しく月日が過ぎています。日本のレコード会社は、自社が権利を保有する日本の楽曲を日本国外の人に聴いてもらう努力を十分に行っていないのだから、それは当然すぎる結果だと言えます。知財戦略本部では「世界への発信を強化する」ということを検討課題として掲げていますが、現行法の下でこれを最も簡単にできるはずのレコード会社がこれをしようとしないのですから、「世界への発信を強化する」との政策目標を実現するためには、レコード会社以外の者が日本の大衆音楽を世界に向けて発信できるような環境作りを行うことが有効です。
 そのためには、ITベンチャーや情熱的な個人が、世界中の人に聴いてもらいたいと思う日本の楽曲をインターネットラジオを通じて世界中に発信できるような環境作りを行うことが簡便です。そのためには、レコード製作者等の許諾を得なくとも行える「放送」「有線放送」の定義を条約上許されるぎりぎりの線まで拡張する等の法的整備を行うことが求められます(そしてそれは、「国際的な著作権制度の調和を推進する」「公共ネットワークを活用したコンテンツ流通を促進する」「コンテンツ流通のためのシステム整備を行う」ことに繋がります。)。さらに、インターネットラジオ放送局の支払うべき利用料が、広告・視聴料の有無・価格やアクセス数等から予想される収益から捻出できる範囲内に収まるように、著作権等の管理事業者等への働きかけを行うことが、知的財産戦略本部に求められます。
 また、日本語が得手ではない人々が世界中には多いと思われますので、日本の大衆音楽を世界中に紹介するためには、その歌詞を各国語に翻訳してオンライン上で掲載することなどが有益です。しかし、日本のレコード会社はそのような作業を自主的に行ってきませんでした。これでは、高い水準にある日本の大衆音楽に世界中の音楽愛好家が関心を持てないのは無理もありません。
 とはいえ、世界中にはたくさんの言語があるのでレコード会社で各国語の翻訳を用意するのは大変なことだと思います。だとすれば、歌詞の翻訳はレコード会社に委ねるのではなく、各国語を得意とするITベンチャーや情熱的な個人等に任せてしまうのが効率的です。
 現在、歌詞の翻訳については、日本音楽著作権協会等の管理の対象からもはずれており、個別に歌詞の著作権者を捜し出して許諾を得なければなりませんが、そのためのコストというのは全くの無駄です。各国語への翻訳を含めた利用許諾についての簡便なシステム作りを行うことが急務といえます。

「カラオケ法理」の特に「適法な利用行為への間接的寄与行為の違法化機能」の排除

 米国法でも英国法でも、第三者による著作物等の利用行為に間接的に寄与する行為が間接侵害(2次侵害)として違法とされるのは当該利用行為が違法である場合に限定されています。しかし、日本のいわゆる「カラオケ法理」は、第三者による著作物等の利用行為自体は適法な場合であってもこれに間接的に寄与する行為を違法としてしまいます。国際的な著作権制度の調和を推進するという観点からは、第三者による著作物等の適法な利用行為に寄与する行為について、間接寄与者を著作物等の利用者と擬制することによってこれを違法化することは許されないということを法文で明示することが望まれます。

日本国民を特定の情報から疎外するために施される技術的手段について

 著作権法の究極の目的は我が国の文化の発展です。したがって、著作権法が我が国の文化の発展を阻害するために活用されるとすれば、それはまさに本末転倒です。
 しかし、今日、我が国に在住する人々を欧米の文化から隔絶させ、我が国の文化の発展を阻害するために著作権法が活用されています。
 例えば、インターネットを利用した音楽配信やDVDソフトなどでは、欧米に在住していればわずかな対価と引き替えにこれを視聴することができるのに、日本に在住していたのではお金を支払っても視聴ができない場合が少なからずあります(といいますか、欧米諸国でのiTunes Music Storeでのダウンロード件数が上位にランクされている楽曲の大部分は、日本のiTunes Music Storeではダウンロードできません。)。コンテンツがアナログな媒体で流布されていた時代であれば当該媒体を並行輸入等してしまえばこのような民族差別を乗り越えて我々日本国民も先進的な情報を享受することができたのですが、コンテンツがデジタルな媒体で流布されることが広まると、コンテンツホルダーによる民族差別を乗り越えることが困難となり、我が国の国民だけが他の先進諸国の国民の間で広く享受されている情報から隔離されるという事態が現実的に発生し得ます。
 日本政府は、特定の情報を日本国民に対しては享受させないこととしている欧米のコンテンツ事業者等に対して強く働きかけてその是正を求めるとともに、是正に応じないときは、日本国民にそのコンテンツを視聴させないために施されている技術的手段を解除することを合法化するとともに、当該コンテンツについて強制許諾を行うような法律を制定すべきだと考えます。「お金をもらっても日本在住者になど自分たちが権利を保有している楽曲を聴かせたくない」等という権利者のよこしまな意図を法的に保障してあげる必要があるのか大いに疑問です。

 コンテンツホルダーに長期的な視野を持たせるための教育や研修を実施する

 我が国の著作権等の保有者には、第三者に著作権等を利用させないことが著作権等を保護することだと勘違いしている人がまだまだ多く、そのために折角のIT技術の発展がコンテンツ産業の発展に繋がっていません。例えば、東京のキー局で制作されたテレビ番組が、衛星放送やインターネットを通じて、直接日本中の視聴者に届くようになれば、中央と地方との情報格差も小さくなりますし、東京キー局で制作した番組を転送するだけで距離を得ている系列ローカルテレビ局を中抜きすることができれば、優れた番組を制作したテレビ局やその番組に出演したタレント等の利益にも繋がるし、ローカルテレビ局が生き残りのために独自番組をたくさん作るようになれば、それだけアーティスト等の仕事も増えていきます。
 政府として、著作権等の保有者に対し、その著作権等を眠らしておくのではなく、活用することこそが大切なのだ、自分たちで十分な活用が果たせないのであればこれを上手に活用してくれる第三者に委ねるべきなのだということを十分に教育することが必要だと思います。

ファイル交換ソフトについて

 ファイル交換ソフト等が著作権侵害行為に用いられることを少なくするためには、ファイル交換ソフト等を頒布しまたは検索用中央サーバ等を運営しても適法となる条件を明確化することが有益である。どこまでの対策を取ったら適法となるのかが明示され、かつ、その基準が構成かつ遵守可能なものであれば、その基準を満たした商品・サービス等が開発され、その結果、ファイル交換ソフト等による著作権侵害行為が、ゼロにはならないとしても、相当程度減少することが期待できます(現状では、その基準が明らかではないので、著作権侵害等に使用される機会を減少させるために相当の投資を行うことを躊躇せざるを得ません。)。

取扱商品等の特定または広告のための利用の適法化

 オンラインを通じてコンテンツを流通させるためには、コンテンツの一部を試聴ないし試読させることが求められますが、これを実現するためには当該コンテンツの一部を送信可能化することが必要となります。また、オンラインを通じて登録商標付きのコンテンツや商品を販売するには、当該登録商標を当該コンテンツや商品の特定ないし広告のためにウェブサイト上に表示することが必要となります。このような種類のコンテンツ等の利用は当該コンテンツ等の流通を促進し、もって当該コンテンツ等の権利保有者の正当な利益を増大させることこそあれ、低下させることはありません。しかし、一部のコンテンツホルダー等は、コンテンツ等の流通を不当に自己の支配下におきたいがために、このような取扱商品等の特定または広告のために、例えば、オンライン通販事業者等が、取扱い商品等の登録商標をウェブ上に表示したりコンテンツの一部を試聴ないし試読させることの停止を求める例があると聞き及んでいます。
 著作権をはじめとする知的財産権は正規商品の市場での流通を阻害することまでも正当化するものでは本来ないので、正規商品をオンライン通販等により流通させるために必要または有益な著作物ないし商標等の利用については、権利侵害とはしない旨の立法が望まれます。

美術館等に収蔵されている美術品等の模写の機会を与える。

 芸術的な才能を磨くためには先人の作品をまねることがその近道であることは古今東西共通しています。そのため、欧州の美術館等においては、展示されている作品を入館者がその場で模写することが認められています。日本でも、クリエイターの育成のために、美術館等に収蔵されている美術品等を模写する機会を国民に保障するための施策作りが求められるように思います。

中間搾取者の排除

 日本のコンテンツ産業に関していえば、クリエイターとエンドユーザーの間に様々な人々が入り込み、その結果、エンドユーザーがコンテンツの対価として支払った金額のごく一部しかクリエイターに届かないのが現状です。知的財産戦略本部におかれましては、どのような中間者が介在しているのかを分析した上で、それらの中間者の介在をなるべく少なくし、エンドユーザーが支払った対価がクリエイターに届くまでの間で失われてしまう割合をなるべく小さくするような方策を考えて頂ければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:06 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (2)

03/16/2006

台湾におけるP2P

 台湾では、ファイル共有ソフトの提供者は、無罪になったり、共同正犯として有罪になったり、不安定な立場におかれているようです。
 http://d.hatena.ne.jp/OguraHideo/20060315/p1

Posted by 小倉秀夫 at 02:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

03/14/2006

Lexis判例速報2006年3月号

 Lexis判例速報2006年3月号に、録画ネット事件知財高裁決定と、ドトールコーヒーパンフレット事件地裁判決についての解説を載せました。

 興味がおありの方はお読み頂ければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 05:02 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/10/2006

Winnyの適法な用途

 2006年3月10日付日経新聞朝刊(第14版)の43頁によれば、

愛媛県警捜査一課の警部(42)の私物パソコンから捜査資料がネットの流出した問題で、警部が「捜査関連情報を入手するなど仕事に役立つと思いウィニーを取り込んだ」と話していることが九日分かった。
とのことです。

 すなわち、県警の捜査一課の警部という要職にある方ですら、Winnyは専ら著作権侵害行為にのみ用いられるソフトではなく、捜査関連情報を入手するなどの有益な用途にも実際に用いられるものであるとの認識を有していたということのようです。これで大手をふるって「侵害専用品ではない」ということができそうです。

 ところで、私は頑固なMacユーザーなのでWinnyは使用したことがないのですが、Winnyで入手できる「捜査関連情報」ってどんなものなのでしょう?

Posted by 小倉秀夫 at 07:43 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (2)

03/04/2006

「カラオケ法理」は必要悪だったのか

 いわゆる「カラオケ法理」の主たる機能の一つに、適法な行為に間接的に関与する行為を違法化する機能があります(特別の規定がない限り適法な行為を幇助しても適法であることとは大違いです。また、米国の寄与侵害責任、代位責任、誘因責任とも、「違法な行為」にも関与していることが責任の前提です。)。

 この適法な行為に関与する行為を違法化する機能の嚆矢は、なんといってもクラブキャッツアイ事件最高裁判決です。カラオケスナックで楽しそうにカラオケを楽しんでいる客のほとんどは、「公衆に直接聞かせる」目的もなしに、無償かつ非営利目的で歌を歌っています。従って、客による歌唱自体は著作権侵害とはなりませんから、客による歌唱を幇助したということでカラオケスナックの経営者に幇助責任を問うことはできなかったのです。だからこそ、最高裁は、JASRACの要望を聞き届けるために、カラオケスナックの経営者を歌唱の主体と認定するという荒技を用いる必要があったのです。

 しかし、翻って考えてみると、最高裁判所はそのような禁じ手のような技法を用いてまでクラブキャッツアイ事件でJASRACを勝訴させる必要があったのかというと、それは大いに疑問だったりします。

 クラブキャッツアイ事件当時、音楽著作物(特にカラオケでの歌唱の対象となるような大衆音楽)の著作権者がその音楽著作物を経済的に利用する方法としては、主として、コンサートなどでプロの歌い手に歌ってもらい、レコード等に収録して広く頒布してもらい、テレビやラジオで放送してもらう等することであって、それらを通じてその音楽のファンになった大衆がその歌を口ずさむこと自体から収入を得るということはそもそも収入源としては想定されていませんでした。そして、その楽曲のファンがカラオケスナック等でその歌を気持ちよく歌うということは上記レコード等の売り上げやコンサート収入、テレビ・ラジオ等のスポンサー料等を減少させるものではなく(注1)、従って、著作権者の著作権収入を減少させるものではありませんでした。したがって、クラブキャッツアイ事件でJASRACを敗訴させた結果カラオケスナックにおける客の歌唱に関してJASRACが著作権使用料の支払いを受けられないということになったとしても、それにより作詞家、作曲家たちの創作へのインセンティブが低下するということはなかったということができます(所詮、現状維持なのですから。)。

 もちろん、作詞家・作曲家の創作へのインセンティブをより高めるために、カラオケスナックでの客の歌唱について作詞家・作曲家等が収入を得られるようにしようという政策論議というのはあり得ると思います。しかし、そのような新たな政策を実現するのは、裁判所ではなく、議会の役割であったはずです。従って、著作権法を改正したり特別立法をしたりなどしてカラオケスナックでの客の歌唱について作詞家・作曲家等が収入を得られるようにするというのはそれはありだと思うのですが、裁判所が過度に技巧的な解釈を行うことによって議会の承認を得ずしてカラオケスナックでの客の歌唱について作詞家・作曲家等が収入を得られるようにしてしまうというのは、やはりまずかったのではないかと思います。

 今後、著作権法についても間接侵害の規定を設けることの当否が議論されることになるかとは思います。その際には、適法な行為への関与を違法化する機能は「カラオケ法理」から継承しないようにしてもらいたいと思います。

注1
 その後しばらくして、むしろ、新曲をいち早くカラオケで披露したいがために音楽CDを購入することが広く行われるようになり、それが90年代前半の音楽CDバブルを牽引したことは記憶に新しいです。

【今日聴いた曲の中でお勧めの1曲】


The World Is Mine

    by David Guetta

Posted by 小倉秀夫 at 05:45 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)