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04/25/2006

ジョン氏が来たなら伝えてよ

ゲームラボに載せた原稿の原文です(実際にゲームラボに掲載された文章は、ここから編集者によるチェックが入ります。)。

 「Original Confidence」の2006年4月6日号に、国際レコード製作者連盟(IFPI)会長兼CEOのジョン・ケネディ氏のインタビュー記事が掲載されています。

 この中でケネディ氏は、「モバイル向け配信では世界でナンバーワンなのに、PC向け配信ではかなり後ろの方という極端な状況」を生み出した最も大きな要因として「レンタルCD市場が存在する」ことをあげています(55頁)。洋楽については新譜のレンタルを禁止するようになって却って日本国内の洋楽需要が一気にしぼんだという経験を踏まえないあたりは、文化の違いかもしれません。

 それはともかく、レコード業界のトップが、「レンタルCD市場が存在する」ことを日本国内でPC向け配信が成功しない最も大きな要因と捉えているようでは、先が思いやられます。

 まず言えることは、「日本国内でPC向け配信が成功しない」のを「レンタル市場」に転嫁する前に、少なくとも欧米でPC向け配信をしている楽曲については日本でもPC向け配信を行うことが先決だということです。Bob DylanもJames Bluntも日本人にはダウンロードさせないくせに、他人のせいにするなといいたいところです。商品のラインナップが貧弱なサービスが顧客から見向きもされないのは当然だといえます。

 次に言えることは、日本国内でのPC向け配信を欧米並みに成功させたいのであれば、料金を欧米並みに引き下げるべきだということです。欧米並みの料金(1曲 99セント程度)であればCDシングル(1泊2日で150円程度)と十分価格で対抗できます(カップリング曲や、リミックスバージョン、インストゥルメンタルには関心がない人が多いですから。)。割高感のあるサービスが顧客から敬遠されることもまた当然のことといえます。

 さらに言えることは、日本国内でのPC向け配信を成功させたいのであれば、PCに高級な音響機器をつなげて音楽を楽しんでいる人向けに、音質劣化のない、非圧縮型のデータ配信をも行うことが先決です。住宅環境がそれほどよくない日本では、お金が惜しくて音楽CDを買えないわけではなくて、買っても置くところがないから音楽CDを買えないという人がそれなりにいます。彼らは、通常のCDの価格と同程度の価格であれば音源データを購入することは吝かではないのですが、残念ながらPC向け配信ですら音質劣化を伴う圧縮データしか配信していないので、これを購入することに躊躇を覚えてしまうのです。iPod等の携帯型プレイヤーで音楽を聴く場合は、静謐な環境下で聴くことを必ずしも予定していないので、mp3やAACでも我慢できますが、PCで音楽を聴く場合は、静謐な環境下で聴くことを想定している場合がしばしばあるので、mp3やAAC等では我慢できない音楽ファンも少なくないのです。

 もう一つ付け加えるならば、日本国内でのPC向け配信を成功させたいのであれば、利用者側のプラットホームをWindows XP以降に限定しないことが必要です。日本でもオフィス向けを含めたPC市場ではWindowsOSのシェアが圧倒的ですが、主として音楽配信を受信し再生することが予定されている家庭用PCではMacOSのシェアはそれなりにありますし、音楽愛好家にターゲットを絞ると、そのシェアはさらに上昇します。それなのに、MacOSに対応しているPC向け配信はiTMSだけ。これではPC向け配信の普及が思うように進まないのも宜なるかなというところです。

 最後に、ジョン・ケネディ繋がりで、次のような言葉をレコード業界に送りたいと思います。
 "Ask not what your consumers can do for you - ask what you can do for your consumers."  

Posted by 小倉秀夫 at 01:16 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

04/17/2006

Where does our money go?

 知財立国、コンテンツ立国を目指して法制度等の整備を行うにあたっては、現状の把握が不可欠です。しかしながら、各コンテンツ類型ごとに、通常、エンドユーザーが正規商品を購入するために支出した金銭を、どのような人がどのような割合で収受しているのかということについての資料が不足しているのではないかという気がしてなりません。

 優れたアーティストがアルバイトをせずに創作活動だけで生活できるようになるということは目標として持っていてもよいのですが、その目標を実現する手段として、各コンテンツについてエンドユーザーが支出する金額を高める方向に向けて幾ら法整備を行っても、エンドユーザーからアーティストにお金が流れていくまでに多段階に中間搾取が行われる仕組みが改善されなければ、結局アーティストが受け取るべきお金は(さして)増えないということだって、十分考えられるのです。そういう意味では、アーティストに届くお金を増やすためには、却って著作権等による排他権、独占権を緩和して、「中間段階」における競争を促した方がよいということだってあり得るのです。

Posted by 小倉秀夫 at 11:14 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/14/2006

第1回のゼミ

法学部の事務室には、大学の掲示板に貼って頂くようにお願いしたのですが、学生から問い合わせを受けたので、こちらにも掲示しておきます。


 第1回のゼミは4月18日に行います。

 第1回目は、著作権法の全体像について話を進めます。

 その際、抽象的に考えてもつまらないので、J-Fiveの「Modern Times」のプロモーション・ビデオを日本国内のウェブサーバにアップロードしてインタラクティブ配信をするためには、誰と誰からどのような権利について許諾を受けなければならないかを考えてみて下さい。

 なお、上記プロモーションビデオは、画面が小さくてもよければ、
http://www.jfivemusic.com/www/index2.phpにアクセスし、上部の「videos」と書かれたボタンをクリックすると表示されるページからアクセスすると、オンライン上で無償で視聴することが可能です。

Posted by 小倉秀夫 at 11:20 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)