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05/28/2006

著作権法学会2006春

 久しぶりに著作権法学会に行ってきました。

 今回のテーマは著作者人格権でした。

 一応パネリストに質問をしようと思って手を挙げたのですが、時間の関係で指してはいただけませんでした。

 伺いたかったのは、職務著作に関する著作者人格権の「主体」をどう捉えるのかということについて、当該著作物に化体された社会的評価の実質的な帰属主体を実質的な著作者人格権の帰属主体とすることの可否です。

 例えば、Xという法人のAというセクションにおいて同セクションの営業活動の一環として創作された著作物甲については、Aというセクションに実質的に著作者人格権が帰属するものとして取り扱ってみるというのはどうかなあということです。「Aというセクションに実質的に著作者人格権が帰属する」ということにより、Aというセクションの営業がXからYに譲渡された場合に、著作物甲についての著作者人格権は実質的にAに留保する(形式的にはXからYに移転する)とすることが、著作者人格権の一身専属性にもかかわらず可能とならないかとか、X内のAというセクションの名義で公表されている著作物甲について、X内の別のセクションが勝手に内容を改変したり、別のセクションが担当したかのように表示したりする行為を違法視できないかということを漠然と考えていたものですから。

Posted by 小倉秀夫 at 02:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

05/24/2006

間接侵害とカラオケ法理

 財団法人ソフトウェア情報センター「ソフトウェア開発・販売と著作権の間接侵害規定に関する調査研究」に「間接侵害とカラオケ法理」という文章を寄稿しました。

 これは、いわゆる「カラオケ法理」が果たして機能を、「適法行為への関与の違法化」「プロバイダ責任制限法第3条の免責の回避」「間接行為の差し止め」「法創造」等に分解しつつその功罪を検討した上で、そのうちのどの機能をどのような形で、今後立法において新設される間接侵害規定に継承しまたは継承しないかを論じたものです(前回のパブコメの元ネタの一部でもあります。)。

 興味がありましたらお読み頂ければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 11:05 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/23/2006

杉本と杉村

 今日は複数のテレビ局から、杉村太蔵議員のブログの件で取材を受けましたが、マスメディアで働く人々が「春の波濤」事件最高裁判決を知らないのはまずいのではないかと思いました。

Posted by 小倉秀夫 at 03:17 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

特別な人々が巨額の投資をして行う事業ばかりが尊いわけではない

 森・濱田松本法律事務所の齋藤浩貴弁護士は、「通信を利用した放送と著作権法の課題」を読む限り、IPマルチキャスト放送と比べて、一般のインターネット放送を低くみておられるようです。

 例えば、著作権法第2条第1項第9号の2の定義規定を見ている限りにおいてはIPマルチキャスト放送は有線放送に該当するものと解釈することは十分可能であるとしながらそのように解釈すべきではないとする実質な理由付けとして、

IPマルチキャスト放送を有線放送と解釈する場合には、必然的に、インターネット放送も有線放送と解釈せざるを得ないことになる。そのような解釈が、実際上の不都合を生じることは明らかであろう
としています(同31頁)。また、IPマルチキャスト放送を一定の範囲で有線放送と同一の扱いにするような法改正を行う際の注意点として、
IPマルチキャスト放送を、インターネット放送を含めない形で定義しなければならない
としています(同34頁)。

 ただ、齋藤先生は、

インターネット放送は、それほどの投資もなく、誰もが行うことができる。インターネット放送で放送の再送信を非営利無料で行うことは、誰の許諾も得ることなくできるとしたり、インターネット放送による商業用レコードの配信については、実演家やレコード製作者には報酬請求権しか認められず、一時的固定も許されるとすれば、著作者等の権利が不当に害されることは明らかである
とおっしゃったり(同31頁)、
その定義を、単純に電気通信役務利用放送法の「電気通信役務利用放送事業者」の定義と同一としたのでは、その文言からして、インターネット放送を含むものととられかねず、また、公共性のないものも含まれるかのような文言になっているため、そのような考えでよいのかは慎重な検討を要するであろう
とおっしゃったり(同34頁)しています。

 しかし、「それほどの投資もなく、誰もが行うことができる」という理由で、インターネット放送を、「多額の投資が必要であり、それ故に巨大資本の助けがなければできない」IPマルチキャストと著作権法上区別して扱うことの正当性は問われるべきでしょう。放送・有線放送での商業用レコードの利用については、レコード製作者や実演家に許諾権(禁止権)を付与していない(米国では報酬請求権すら認められていない。)わけですが、その趣旨は、放送・有線放送に公共性があるからというよりは、いつ、どの楽曲を視聴できるかを視聴者がコントロールできない放送・有線放送はレコード・CD等との代替性が低く、むしろ、放送・有線放送でその楽曲を放送されることはレコード・CD等の販売促進効果があるということにあったりするわけで(実際、米国では、特定の楽曲が、ミニFMでヘビーローテーションで放送されたことがきっかけとなって大ヒットしたなんて話は幾らでも転がっています。)、別に放送・有線放送は大企業がもっぱら担うから公共性がある云々ということは全然関係のないことだったりするわけです。そしてそのこと自体は、IPマルチキャスト放送はもちろん、インタラクティブ性のないインターネット放送なんかについても同じように当てはまるわけですから、いつ、どの楽曲を視聴できるかを視聴者がコントロールできない楽曲のネット配信については、放送・有線放送と別異に取り扱うものとする合理性等ないということができます(だから、米国でネットラジオからはロイヤリティを徴収できるようにする法改正がなされた際には非難囂々だったし、ネットラジオの側とコンテンツホルダーとの間でロイヤリティについて合意が成立した後も、ネット側は、「ウェブ放送曲ばかりが多額のロイヤリティの支払いを義務付けられており、音楽を無料で放送できる地上波ラジオに対して競争上不利な状況は変わらない」と不満を述べていたりするわけです。)。

 そういう意味では、インターネット放送による商業用レコードの配信について、報酬請求権が認められていることだけでも実演家やレコード製作者はありがたいと思うべきなのであって、禁止権が認められなければ権利が不当に害されるのだと考えること自体がおこがましいというべきなのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 03:10 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/22/2006

カラオケ法理と刑事罰

 ライブハウスの経営者に有罪判決が下された事案が紹介されていますが、刑事法の分野でもカラオケ法理が適用された裁判例としては、大阪地判平成6年4月12日判タ879号279頁)があります。

 この事件でも、弁護人は、カラオケ法理を刑事法に適用するのは罪刑法定主義に反するとの批判をしていますが、これに対して裁判所は次のように判示しています。

弁護人は、カラオケの伴奏部分は適法とされているにもかかわらず、客等の歌唱の部分のみを取り上げて演奏権を侵害するというのは、犯罪構成要件明確性の原則、類推解釈禁止の原則を唱った罪刑法定主義に違反する旨主張するが、カラオケ伴奏自体はやはり歌唱に対して付随的役割を有するにすぎないとみざるを得ず、カラオケ店における客によるカラオケを伴奏とする歌唱が、店の経営者による演奏権の侵害になるという結論自体は前記の判例等から確定的であるといってよい。然るに、民事上は演奏権の侵害とされるのは仕方がないとしても、刑事上は罪刑法定主義の観点から演奏権の侵害にはならないかの如き解釈は、演奏権の概念を徒らに混乱させるものであって、到底採り得ない。演奏権の概念自体は民事上、刑事上を問わず一義的に明確であるべきものであり、また同一内容のものとしてとらえるべきものと解する。

 河上元康裁判長は、民事と刑事とでは、法解釈の限界に差違がないとの見解にお立ちなのではないかと思われます。

Posted by 小倉秀夫 at 11:37 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/15/2006

ネットベンチャーと共謀罪

事例1

 Aは、サイズの大きな電子ファイルを効率的に転送するシステム甲を開発した。Aは、これを公衆に提供すべく、ベンチャー企業X社を設立した。システム甲は、著作権付きの情報の転送に用いられることを防ぐ手段が備わっていなかったが、X社の経営陣および技術者たちは、ファイル転送システムにおいて著作権侵害に用いられることを完全に防ぐことは不可能だから多少のことは仕方がないとして、著作権侵害に用いられることを完全に防ぐ手段を実装しないままシステム甲を1ヶ月後に公衆に提供することを決定した。
 その後、X社は、顧問弁護士Yに、システム甲の利用規約等のチェックを依頼したところ、Yから、システム甲を公衆に提供すると、Xがシステム甲を用いた著作権侵害の主体と認定されるおそれがあるから、著作権侵害に用いられることを完全に防ぐ手段を実装するまでシステム甲の公衆への提供を控えるように忠告し、X社は、泣く泣くこの忠告に従ってシステム甲の公衆への提供を断念した。
 
問1
 共謀罪が政府案通りに可決成立した場合、Aは共謀罪に問われうるか。

Posted by 小倉秀夫 at 02:17 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)