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06/24/2006

海賊党

 他人が著作権を有する作品を無断でコピーして販売する行為を「海賊」(pirate)行為ということがありますが、考えてみると不思議な命名です。illegalってだけなら「海賊」よりももっとふさわしいアナロジーがありそうなものです。山賊でも海賊でも「賊」というからには、暴力を背景にして他人の財物を奪い取るくらいの意味範囲が必要なのではないかとも思うのですが、海賊版の製作・販売にはそういう暴力的な要素は通常ありません。

 従前「海賊」行為がいかなる国の主権も及ばない公海上で行われそれゆえいかなる国もこれを取り締まれなかったように、海賊版の製作も、著作権条約非加盟国で行われ、それ故いかなる国もこれを取り締まれないということのアナロジーで「海賊」という語が用いられるようになったという見解もあるようですが、そうだとすると、日本国内で製作された違法コピーを「海賊版」というのは「海賊版」という言葉の射程範囲を広げすぎではないかという気がします。

 私たちは、「海賊」というとネガティブなイメージを強く持ちます(「小さなバイキング・ビッケ」のファンはそうでもないかもしれませんが。)から、著作権条約加盟国内で行われた無許諾コピーを「海賊」版と呼ぶのはある種のイメージ操作という側面もあるのかもしれません。

 もっとも、「海賊」という言葉がどの社会でもネガティブイメージで捉えられているのかというと必ずしもそうではないようです。たとえば、「小さなバイキング・ビッケ」の原作者であるルーネル・ヨンソンの出身国であるスウェーデンでは「海賊党」(Piratpartiet)が大まじめに作られ、しかも今年の選挙では得票率が4%を超えて議席を獲得しそうな勢いだと報じられたりしています。

 この「海賊党」の基本政策は3つです。Pro-Privacy、Anti-Copyright、Ant-Patentです。

 海賊党の提唱する著作権法に関する具体的な政策は、次の二つです。

The Pirate Party wants a right for every citizen to gather, use, derive from, and distribute any culture, knowledge and public information, as long as it is for non-commercial use.
Copyrights need to return to a fair and balanced level, so the creator can have a short but long enough time of protection - say, five years - to make money off creative works in commercial environments.
 まあ、特許制度についての基本政策
Patents are counteracting their original purpose, and need to be abolished completely.
と比べたら、商業的な環境において創作的な作品から収益を売るための保護を「5年も」認めてくれるだけましと言えなくはないのですが、かなり過激な提案です。

 wikipediaの記載によると、海賊党の勢いに押されて、スウェーデンの法務大臣であるThomas Bodström氏が、ファイル共有を違法とするために2005年に導入された法律の見直しに向けて協議を行いたい旨呼びかけたりするまでに至っているとのことであり、この「愉快な青年バイキング」*の蛮勇がスウェーデンにどのような著作権政策の変更をもたらすのか、9月の総選挙まで目が離せないところです。

*
 海賊党の党首であるRickard Falkvinge氏は1972年1月生まれの34歳とのことです。

Posted by 小倉秀夫 at 11:12 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

06/23/2006

実の著作権者は宇宙界にあり

 知財高判平成18年5月11日(平成18年(ネ)第10006号)事件の控訴人の主張はすごいです。

3 当審における控訴人の主張の要点
(1) 高橋信次の著作物は,宇宙界より降ろされた法であり,信仰者に伝えられるべく残されたものであるから,親族が著作権を主張すべきではない。実の著作権者は宇宙界にあり,多くの人々に伝えてこそ法である。

 立証は大変そうです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:37 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

06/10/2006

カラオケ音源の持ち込み

 若い頃はともかく、最近はカラオケ屋さんに行くことも年に数回しかないのですが、ここへきてまた洋楽を聴く比率が高くなってしまったものですから、直近でヘビーローテーションで聴いていた曲がカラオケ屋にある確率というのがどんどん低くなってしまっています。

 そういう私の立場からすると、カラオケ音源を収録したCDないしDVDを持ち込んで歌えるようなカラオケボックスがあるといいなあとついつい思ってしまいます。マキシシングルを購入すれば通常インストルメンタル・バージョンが頼まれもしないのに入っていますから、シングルカットされた楽曲については、カラオケ音源の確保は簡単です。シングルカットされていない楽曲については、インストルメンタル・バージョンをコピーしてお茶を濁すわけにはいきませんが、最近は安い音楽ソフトで結構高機能なものがありますから、耳コピで伴奏を作ってしまえば済んでしまいます(まあ、プロの耳コピと比べると質は劣ると思いますが、所詮は素人が歌うための伴奏ですから、それでも構わないように思います。)。

 で、洋楽カラオケにおいて客によるカラオケ音源の持ち込みが一般化していった場合、それでも客による歌唱の主体はカラオケ屋の経営者ということになるのでしょうか?

Posted by 小倉秀夫 at 02:40 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

06/05/2006

ELN 第3回シンポ

 6月3日、エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークの第三回シンポジウムが行われました。

 最初の報告でJASRACの北田暢也企画部長が「カラオケ『侵害』判例法理の解説」という題で報告をされていましたので、北田さんに、最近カラオケは諸外国でも流行っていますが、諸外国でもカラオケスナックやカラオケボックスの経営者を歌唱の主体としてライセンス料を徴収しているのですか、それともそれ以外の方法でライセンス料を徴収しているのですかというようなことをご質問させて頂きました。すると、北田さんは、アメリカは広いので、アメリカの音楽著作権管理団体は、カラオケについては未だライセンス料を徴収してはいないようだという旨のご回答をされました。

 なんだ!素人による歌唱についてライセンス料が支払われなくとも、創作のインセンティブは失われないではないか!

Posted by 小倉秀夫 at 01:12 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)