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07/28/2006

著作権の保護期間延長の既存著作物への遡及適用における不公正性の緩和に関する一提案

 映画の著作物以外の著作物についても、著作権の保護期間を50年から70年へと延長することを求めることで、関係団体が一致したというニュースが流れています。

 著作権の保護期間の延長は、既に創作されている著作物について遡及的に適用される場合には、「既得権の擁護」以上の意味を持ちません(「新たな創作活動の障害」などのマイナスの意味ならもつのですが。)。なにしろ、創作のインセンティブは過去に遡ることはありませんから。したがって、「既得権益を打破して活力のある社会を作ろう」みたいなことを言っている新自由主義者が既存の著作物にも遡及する形での著作権の保護期間の延長論に賛意を示していたら、その人の「既得権益を打破しよう」的な態度はいわゆる「似非」だと言ってしまって差し支えないでしょう。

 また、著作権の保護期間の延長による利益が専ら現在の著作権者に帰属するというのはあまり公正ではありません。短かった保護期間を前提に著作権を譲渡しあるいは一括して許諾料をもらい受けた著作者は、保護期間が延長されたことによる著作物の経済的価値の増加分につき、現在の著作権者から更なる給付を受ける権利が認められて然るべきです。また、その著作物が第三者の著作物の二次的著作物であった場合、当該原著作物の著作権者(だった者)に対して、その原著作物についても延長された保護期間が適用されていたら保護されていたであろう期間分につき、使用料相当金を支払うのが公正なのではないかと思います。

 それらの負担を覚悟した者だけが、著作権の保護期間延長の既存著作物への遡及適用を主張できる(その意思を表明するための登録制度を用意する)ということにすれば、著作権の保護期間延長の既存著作物への遡及適用の不公正性は少しは緩和されそうな気がします。もちろん、それでも、「インセンティブ論」からの正当化の困難性という問題は残るわけですが。

Posted by 小倉秀夫 at 12:03 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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