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08/05/2006

まねきTV事件地裁決定の肝

 本日の朝日新聞朝刊に掲載されたことでちょっとになっている「まねきTV事件仮処分却下決定」ですが、下記の事情に照らして、「ベースステーションにおいて放送波を受信してデジタル波を受信してデジタル化された放送データを専用モニター又はパソコンに送信するのは、ベースステーションを所有する本件サービスの所有者であり、ベースステーションからの放送データを受信する者も、当該専用モニター又はパソコンを所有する本件サービスの利用者自身であるということができる」と判示したところが肝です(いわゆる「カラオケ法理」の適否に関する応用問題なのです。)

  1.  それに使用される機器の中心をなし、そのままではインターネット回線に送信できない放送波を送信可能なデジタルデータにする役割を果たすベースステーションは、名実ともに利用者が所有するものであり、その余は汎用品であり、本件サービスに特有のものではなく、特別なソフトウェアも使用していないこと、
  2.  1台のベースステーションから送信される放送データを受信できるのはそれに対応する1台の専用モニター又はパソコンに放送データが送信されることは予定されていないこと、
  3.  特定の利用者のベースステーションと他の利用者のベースステーションとは、全く無関係に稼働し、それぞれ独立しており、債務者が保管する複数のベースステーション全体が一体のシステムとして機能しているとは言い難いものであること、
  4.  特定の利用者が所有する1台のベースステーションからは、当該利用者の選択した放送のみが、当該利用者の専用モニター又はパソコンのみに送信されるにすぎず、この点に債務者の関与はないこと、
  5.  利用者によるベースステーションへのアクセスに特別な認証手順を要求するなどして、利用者による放送の視聴を管理することはしていないこと

 ということで、
「ベースステーションによる放送データの送信は、1主体(利用者)から特定の1主体(当該利用者自身)に対してなされたものである」


「ベースステーションによる送信は、不特定又は特定多数の者に対するものとはいえず、これをもって『公衆』に対する送信ということはできない」

「本件サービスにおける個々のベースステーションは、『自動公衆送信装置』には当たらない」
ということになったのです。

 まあ、このサービスって早い話が「ベースステーションのハウジング」なので、「契約者がハウジングされているコンピュータを用いて行う行為の主体は、著作権法の規律の観点からは、ハウジング業者なのか契約者なのか」という問題に帰すると思っていたりはします(録画ネットの場合は、高裁の事実認定のもとでは、ハウジングではなく、ホスティングです。)。

【追伸】決定書がアップロードされたようです。

Posted by 小倉秀夫 at 05:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de: まねきTV事件地裁決定の肝:

» 微妙な境界線 de blog de ジロン
 朝日新聞(参考リンク)や AV Watch(参考リンク)で報道されていますが、SONY のロケーションフリーセットを使用したハウジングサービス「まねきTV」について、送信可能化権の侵害としてサービス停止の仮処分を申請していた放送各社に対し東京地裁が却下の判断を下しています。サービス形態としては”録画代行サービス”と認定されてサービス差止めに追い込まれた「録画ネット」と似ているのですが、今回の件で録画ネットと異なる点は... Lire la suite

Notifié: 7 août 2006 à 23:49:24

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