パブコメ to 知的財産戦略本部 on Sep. 2006
知的財産戦略本部 コンテンツ専門調査会 企画ワーキンググループが意見募集をしていましたので、以下のとおり、具申しました。
コンテンツの振興のための施策として、下記のようなアイディアを上申致します。
・ 国外向けの音楽配信サービスでの日本のポピュラーミュージックの配信を進める。
これは、日本のレコード会社にやる気があれば今すぐにでも可能である。逆にいえば、この程度のこともできなくて、「海外市場への展開」など言ってみても片腹痛い。
・ 国外向け映像配信サービスでの日本のテレビ番組やVシネマ等の配信を推し進める。
・ 海外のDJ等を定期的に日本に招来し日本の音楽文化等に触れさせるとともに、海外のDJからの照会に答えて適切な楽曲を紹介するシステム及び人材を要請する。
・ J-Popの歌詞や楽曲の解説等を各国語に翻訳できる人材を養成するとともに、この者たちに翻訳を依頼する場合の翻訳報酬等に補助金を付ける。
・ 海外進出を望むJ-Popユニット(プロアマ問わず)を対象とするコンクールを年1回開き、その優勝者については、海外進出のために必要な各種費用(3〜5年の滞在費等を含む。)について補助金を付ける。
一種の国費留学だと思えば、出せない金額ではない。
・ 特定の番組の視聴時間・視聴場所をコントロールできれば、指定した時間・場所以外では、より魅力の劣る番組を視聴者に押し付けることができるという甘えをテレビ局及びラジオ局に対して許さない。
全ての番組が、制作局の場所や放送時間にかかわらず、横一線で競争することになれば、「その地域でその時間帯に放送している番組の中では一番ましだから仕方なく視聴する」というレベルの低い番組は淘汰されていくことが期待される。
・ 最初からオンラインでのみ配信することを予定している映像作品等についても、商用レコードに収録されている音源を適正なライセンス料で使用できるような枠組みを作る。
新たな映像クリエイターが作品を発表する場としてインターネットを活用することを現行の著作権法及びレコード会社等の隣接権者によるその運用が阻害しているので、これを取り除く。レコード製作者の著作隣接権についての包括的な許諾システムを構築できるのであれば強制許諾制度を導入しなくともよいかもしれないが、いずれにせよ、過去に放送した作品ないし同時に放送する作品のインタラクティブ配信に限定しない許諾システムが必要である。なぜなら、新進気鋭の映像クリエイターの作品については、ネット配信される前にあるいはネット配信されると同時に、テレビ等の電波メディアで放送されるというのはハードルが高すぎるからである。
・ 既存の著作物を利用したパロディ作品については、著作権及び著作者人格権侵害とならないような制限規定を設ける。
今や世界が日本に注目するサブカルチャー分野においては、パロディ等の手法は極めて有効であり、これを著作権法が阻害するのは、産業政策的に間違っている(パロディを自由に許したところで、パロディ作品は引用元の作品と代替性がないため、引用元の作品に関する著作権者の経済的な権益を侵すことがない。)。
・ 無償かつ非営利でなくとも、聴衆からの投げ銭等が一定水準(例えば、15万円/月程度)以下にとどまる場合は、ストリートミュージシャン等は、JASRAC等に許諾料を支払わずにJASRAC等の管理楽曲を実演することができることとする。
・ 公共の音楽ホール等で、アマチュアバンドやブレイク前のプロバンドが数組集まってライブを行う機会を増やす。その際、バンドからは料金を徴収せず、また、チケットノルマを課さない。
・ コンテンツ等に関連する各種の社団法人等は、理事や職員の報酬を引き下げ、その分をクリエイターへの分配に回す。
コンテンツビジネスの主役はクリエイターたちであって、間接部門の人間ではない。エンドユーザーが支出した金銭をなるべく多くクリエイターたちに届けるために、間接部門の人間は欲を控えるべきである。
・ コンテンツ事業者は、政治家や財界人の子息等をコネ入社させない。政治家や財界人も自分たちの子息等をコネ入社させるのを差し控える。
才能に乏しい者を、その強いコネ故に入社させてしまうと、その分才能の豊かな者がはじかれてしまうか、または、人件費が余計にかかる分本来製作に充てる資金が削られてしまう。コンテンツビジネスのように国が力を入れる分野には、才能の乏しい者をコネ入社させる余裕はないし、そのビジネスに国費が投入される場合、そのような者をコネ入社させることは倫理的にも許されないはずである。
・ ハードウェア産業やIT産業、流通産業の担い手を自分たちよりも一段低い者としてみる特権意識をコンテンツ事業者は捨て去る。
これらの産業との協力関係なしにコンテンツ産業のみが栄えることはないことを、コンテンツ産業はしっかりと認識すべきである。
・ 知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会のような審議会は、既に功成り名を遂げたクリエイターたちの意見ばかりを聴かずに、これからブレイクしてやろうという若いクリエイターたちの声を直に聞き、彼らが何を望み、何に困っているのかをきちんと認識する。
いくらパブリックコメントの機会を設けても、彼ら自身がその声をパブリックコメントとして知的財産戦略本部に届けるということは実際問題として期待薄であるが、だからといってそれを「自己責任」と切って捨てていたのでは、実際のクリエイターたちが力を発揮できる施策をはいつまでも実現せず、コンテンツ立国など夢のまた夢で終わってしまう。
知的財産戦略本部の委員の方々は、自ら現場の若いクリエイターたちに積極的に近づき、その声を聞き出すことに力を入れるべきである。
Posted by 小倉秀夫 at 08:30 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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