« août 2006 | Accueil | octobre 2006 »

09/20/2006

「法制問題小委員会報告書(案)に対する意見」 on Sep. 2006

 9月25日締切りの「法制問題小委員会報告書(案)に対する意見」として下記の意見を提出しました。時間がないので30分程度で作り上げてしまったので、間接侵害等適当に流されているものについてはこちらも適当に流しました。


 私的複製に関する著作権法第30条第1項但書に関しては、企業活動等の一環としてなされるものではあるが、複製物自体は少人数の閉鎖的な範囲内でのみ使用されることが予定されている場合にも適用されることを明示されることが望ましく、今後この点についても検討されたい。

 著作権法による規制の目的を著作物創作のインセンティブの保護という点に置く場合、経済合理性という観点から見たときに通常創作のインセンティブを失わせない場合についてまで人や企業の活動を著作権法により規制することは本来許されない。
 このように著作権法による規制の正当化根拠に立ち返って考えたときに、複製物が少人数の閉鎖的な範囲内で使用されるにとどまり、正規商品と市場において競合するおそれがない場合には、人や企業が著作物を複製したとしても通常の創作インセンティブを阻害するとは認められず、これを著作権法により規制するのは本来許されないということができる。
 具体的に例を挙げるならば、例えば、ある程度著名な企業等においては、テレビ局が放送するニュース番組等を録画して、自社に関する報道がなされていればその内容を報告書にまとめ、当該テレビ局への抗議を行うか否かを含めた様々な検討資料としていることが少なくない。このような企業によるニュース番組等の録画行為は、市場において正規商品による代替が期待できないものであって、テレビ局等の著作権者ないし著作隣接権者の事前の許諾を得なければこれをなしえないとすると、企業としては、同時並行的に放送される複数のテレビ局を全てリアルタイムで視聴してその要点を書き留めるという作業を行わなければならない反面、このような録画行為を禁止する権限をテレビ局等の権利者に与えなかったからといって、テレビ局等の収入が低下する事態は想定しがたいのであって、創作のインセンティブを阻害するものとはなりえない。

 また、インターネット上では、英語を含む各国語の文献が多数入手可能であるが、これらの資料を基に企業戦略を練る際に、当該仕様言語が不得手な役員または従業員のために、自動翻訳プログラムまたは翻訳担当社員等により当該資料の日本語訳を作成することは少なからずある。インターネット上でコンテンツをアップロードしたということからキャッシュへの複製や紙へのプリントアウトまでは「黙示の許諾」で正当化できるが、「他言語への翻訳」まで「黙示の許諾」で正当化できるかは議論の分かれるところである。しかし、このような内部検討の資料として翻訳されることが、著作権者の創作のインセンティブを阻害するのかというと大いに疑問である。


 また、私的複製問題については、著作権法第30条の「公衆用自動複製機器」が共用サーバコンピュータを含まないことを明示することが望ましいので、検討されたい。

 選撮見録訴訟において、マンション内の共用サーバが「公衆用自動複製機器」にあたるか否かが争われた。しかし、「公衆用自動複製機器」を用いた私的複製を著作権法第30条第1項による著作権の制限の対象から除外した理由は、貸しレコード店等における高速ダビング機を利用した私的複製を禁止するためであって、正規商品の代替品としての複製物を複製者が持ち帰るような場合を禁止の対象として想定したのである。従って、持ち帰り可能な複製物を増製しない機器を著作権法第30条にいう「公衆用自動複製機器」に含めるのは過剰な規制であるというべきである。
 今日、各個人や企業がデータを保管するための手段として、外部業者が提供するオンラインストレージサービスを利用する機会が増えている。個人や小規模企業用のオンラインストレージサービスは、コストの関係から、1台のサーバコンピュータを多数の利用者で共用する形態をとるのが通常である。すると、公衆(=多数人)が用いることが予定されている複製機器=公衆用自動機器としてオンラインストレージサーバを捉える場合、このオンラインストレージサービスを利用して電子メールのバックアップをしたり、私的にリッピングして作成したmp3ファイル等のバックアップをしたりすることが禁止されてしまうし、そのような用途にも使用されていることを知りつつオンラインストレージサービスを提供し続ける事業者は刑事罰による制裁を受けることにも論理的にはなりかねない。
 地震大国日本においては、自宅または事務所の外にデータをバックアップしておくということは本来推奨されるべきことであるのに、保存しておくべきデータの中に他人の著作物が含まれたとたんにこれが違法となるのは不合理である。

Posted by 小倉秀夫 at 07:41 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

時代に取り残された人

 オーマイニュースが報道するところによれば、依田巽元日本レコード協会会長は、9月6日に行われた知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会「企画ワーキングチーム」の第1回会合において、

「超法規的な見地でゲームソフトの中古品問題をどうするか。最高裁で結論が出たからといってこのままいつまでも放って置いていいのかと思っています」と発言し、「この論議をするときに問題なのは、利用者、法律専門家の壁がございまして、業界のエゴという形で押し込められるケースが多いということです。そして、結果的に業界がどんどん疲弊していく」と問題提起した。
とのことです。

 これに対して、同調査会会長の牛尾治朗ウシオ電機会長は

「(コンテンツの分野は)非常に特殊な分野だから、と思い過ぎては絶対いけない」「既存のものの調整に終わろうとした瞬間にこの業界は終わってしまう」などと発言し、特別扱いを求めるコンテンツ業界の姿勢に苦言を呈した。
とのことです。

 レコード輸入権騒動では私たちは苦杯を飲みましたが、あれから少しずつですが、潮目が変わってきているわけで、利用者の利益を配慮しない形でコンテンツホルダの権益拡大というのは単純に通らなくなりつつあるというのに、「利用者の壁」を乗り越える手段として「知的財産戦略本部」という官邸直属の場を利用しようというのは、時代錯誤的だなあと思わなくもありません。

Posted by 小倉秀夫 at 01:45 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

09/19/2006

パブコメ to 知的財産戦略本部 on Sep. 2006

知的財産戦略本部 コンテンツ専門調査会 企画ワーキンググループが意見募集をしていましたので、以下のとおり、具申しました。



コンテンツの振興のための施策として、下記のようなアイディアを上申致します。

・ 国外向けの音楽配信サービスでの日本のポピュラーミュージックの配信を進める。

 これは、日本のレコード会社にやる気があれば今すぐにでも可能である。逆にいえば、この程度のこともできなくて、「海外市場への展開」など言ってみても片腹痛い。

・ 国外向け映像配信サービスでの日本のテレビ番組やVシネマ等の配信を推し進める。

・ 海外のDJ等を定期的に日本に招来し日本の音楽文化等に触れさせるとともに、海外のDJからの照会に答えて適切な楽曲を紹介するシステム及び人材を要請する。

・ J-Popの歌詞や楽曲の解説等を各国語に翻訳できる人材を養成するとともに、この者たちに翻訳を依頼する場合の翻訳報酬等に補助金を付ける。

・ 海外進出を望むJ-Popユニット(プロアマ問わず)を対象とするコンクールを年1回開き、その優勝者については、海外進出のために必要な各種費用(3〜5年の滞在費等を含む。)について補助金を付ける。

 一種の国費留学だと思えば、出せない金額ではない。

・ 特定の番組の視聴時間・視聴場所をコントロールできれば、指定した時間・場所以外では、より魅力の劣る番組を視聴者に押し付けることができるという甘えをテレビ局及びラジオ局に対して許さない。

 全ての番組が、制作局の場所や放送時間にかかわらず、横一線で競争することになれば、「その地域でその時間帯に放送している番組の中では一番ましだから仕方なく視聴する」というレベルの低い番組は淘汰されていくことが期待される。

・ 最初からオンラインでのみ配信することを予定している映像作品等についても、商用レコードに収録されている音源を適正なライセンス料で使用できるような枠組みを作る。

 新たな映像クリエイターが作品を発表する場としてインターネットを活用することを現行の著作権法及びレコード会社等の隣接権者によるその運用が阻害しているので、これを取り除く。レコード製作者の著作隣接権についての包括的な許諾システムを構築できるのであれば強制許諾制度を導入しなくともよいかもしれないが、いずれにせよ、過去に放送した作品ないし同時に放送する作品のインタラクティブ配信に限定しない許諾システムが必要である。なぜなら、新進気鋭の映像クリエイターの作品については、ネット配信される前にあるいはネット配信されると同時に、テレビ等の電波メディアで放送されるというのはハードルが高すぎるからである。

・ 既存の著作物を利用したパロディ作品については、著作権及び著作者人格権侵害とならないような制限規定を設ける。

 今や世界が日本に注目するサブカルチャー分野においては、パロディ等の手法は極めて有効であり、これを著作権法が阻害するのは、産業政策的に間違っている(パロディを自由に許したところで、パロディ作品は引用元の作品と代替性がないため、引用元の作品に関する著作権者の経済的な権益を侵すことがない。)。

・ 無償かつ非営利でなくとも、聴衆からの投げ銭等が一定水準(例えば、15万円/月程度)以下にとどまる場合は、ストリートミュージシャン等は、JASRAC等に許諾料を支払わずにJASRAC等の管理楽曲を実演することができることとする。

・ 公共の音楽ホール等で、アマチュアバンドやブレイク前のプロバンドが数組集まってライブを行う機会を増やす。その際、バンドからは料金を徴収せず、また、チケットノルマを課さない。

・ コンテンツ等に関連する各種の社団法人等は、理事や職員の報酬を引き下げ、その分をクリエイターへの分配に回す。

 コンテンツビジネスの主役はクリエイターたちであって、間接部門の人間ではない。エンドユーザーが支出した金銭をなるべく多くクリエイターたちに届けるために、間接部門の人間は欲を控えるべきである。

・ コンテンツ事業者は、政治家や財界人の子息等をコネ入社させない。政治家や財界人も自分たちの子息等をコネ入社させるのを差し控える。

 才能に乏しい者を、その強いコネ故に入社させてしまうと、その分才能の豊かな者がはじかれてしまうか、または、人件費が余計にかかる分本来製作に充てる資金が削られてしまう。コンテンツビジネスのように国が力を入れる分野には、才能の乏しい者をコネ入社させる余裕はないし、そのビジネスに国費が投入される場合、そのような者をコネ入社させることは倫理的にも許されないはずである。

・ ハードウェア産業やIT産業、流通産業の担い手を自分たちよりも一段低い者としてみる特権意識をコンテンツ事業者は捨て去る。

 これらの産業との協力関係なしにコンテンツ産業のみが栄えることはないことを、コンテンツ産業はしっかりと認識すべきである。

・ 知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会のような審議会は、既に功成り名を遂げたクリエイターたちの意見ばかりを聴かずに、これからブレイクしてやろうという若いクリエイターたちの声を直に聞き、彼らが何を望み、何に困っているのかをきちんと認識する。

 いくらパブリックコメントの機会を設けても、彼ら自身がその声をパブリックコメントとして知的財産戦略本部に届けるということは実際問題として期待薄であるが、だからといってそれを「自己責任」と切って捨てていたのでは、実際のクリエイターたちが力を発揮できる施策をはいつまでも実現せず、コンテンツ立国など夢のまた夢で終わってしまう。
 知的財産戦略本部の委員の方々は、自ら現場の若いクリエイターたちに積極的に近づき、その声を聞き出すことに力を入れるべきである。

Posted by 小倉秀夫 at 08:30 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

地域団体商標に関する相談に対応可能な弁護士リスト

 松本好史=伊原友己=石津剛彦「農林水産事業者のための知的財産法入門」(経済産業調査会)末尾の「地域団体商標に関する相談に対応可能な弁護士リスト」に私も載せて頂きました。

 私の場合、どうしても著作権法のイメージが強いとは思いますが、実は工業所有権法関係でもマニアックな裁判例を導き出しているなど結構色々対応していたりするのです(どうしても被告側が多いので、地裁の段階でほぼ勝ち同然になっても、リスク分散のために和解に応じたりしてしまうため、勝ち試合が判決として実を結びにくいのですが。)。

Posted by 小倉秀夫 at 06:15 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

09/18/2006

海賊党、敗れる。

 今日はスウェーデンの総選挙だったのですが、事前の世論調査での人気の高さに反して、海賊党は議席をとれなかった模様です。

 スウェーデンの英字新聞「The Local」によれば、選挙結果はこの通りとのことです。

 やはり、4%条項の壁は大きかったと言うべきなのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 11:09 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

09/16/2006

「ムービー」とか「テレビ番組」も日本にいる私には無用の長物

 最近、iTunesを更新しました(といいますか、気が付いたら更新されていました。)。

 新しいiTunesでは、「ムービー」とか「テレビ番組」とかというボタンが用意されているのですが、これって私には無用の長物です。そういう機能は利用したくないからということではなく、日本にいる限り、利用したくとも利用できないからです。

 もちろん、MacもiPodも基本的に世界共通企画ですし、日本の通信インフラは世界に冠たるものですから、日本では、ハードウェア的に「ムービー」とか「テレビ番組」をiTunesで提供できないというわけではありません。

 ただ単純に、日本の著作権法はコンテンツホルダーの保護に異常に手厚く、このコンテンツホルダーたちがコンテンツの有効活用を望まないからというだけの理由で、日本国民は、iTunesの新しいサービスを実質的に利用することができないのです。

 「放送と通信の融合」といってみたところで、近々行われるであろう著作権法改正は、結局、テレビ局がテレビ番組を同時にネットでIPマルチキャスト方法する場合には権利処理を簡単にしてあげるというだけの話であって、テレビ塔を建てるのが面倒くさい難視聴地域についてのみ既存の通信事業者が敷設したインターネット回線を利用したIPマルチキャスト放送を行ってあげるという程度にしかテレビ番組のインターネット送信を用いないとテレビ局が決定してしまえばそれだけの話です。何のことはない。テレビ局のためだけの改革です。日本国内に在住する一般市民にテレビ番組の新しい楽しみ方をもたらすものでもなければ、新興勢力が独自の番組を制作してインターネット経由で配信するための権利処理をテレビ局並みに簡便にするものでもありません。

Posted by 小倉秀夫 at 01:03 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)