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02/18/2007

貧せざるが貪す

 「仮処分の申請が認められたので本訴に移行する」ということはよくある(ex.ファイルローグ事件)のですが、「仮処分申請が最高裁でも認められなかったため本訴に移行する」ということは聞いたことがありません。もちろん、保全の必要性が認められず申立てが却下されたというのならばまだわからなくはないのですが、被保全権利がないとして申立てが却下されたにもかかわらず同一の事案に関して本案訴訟を提起する合理的理由というのは、通常ありません。

 日経新聞によれば、

フジテレビジョンなど民放キー局5社とNHKは、「まねきTV」の名称でインターネットによるテレビ番組の転送事業を手がける永野商店(東京・文京、永野周平社長)を相手取り、サービス停止を求める民事訴訟を3月にも東京地裁に起こす方針を固めた。「ソフトただ乗りを見過ごさない」(民放幹部)姿勢を明確にする狙い。最高裁への仮処分の申請が認められなかったため、本訴に移行する。
とのことです。

 もちろん、フジテレビジョンなど民放キー局5社とNHKには豊富な資金があり、たくさんの弁護士に多額の報酬を支払って訴訟遂行を委任することができます。これに対し、永野商店は、これらキー局と比べると遥かにちっぽけな会社であり、キー局との訴訟に応対するために捻出できる弁護士費用等はキー局らのそれを遥かに下回ります。すると、地裁から数えて第4審目の審理に応対するには、永野商店が無理を重ねて弁護士費用を調達するか、弁護士がただ同然で訴訟遂行を引き受けるより他ありません。まあ、この調子だと、本案訴訟において、地裁、高裁と永野商店が勝ち進んでも、キー局側は控訴、上告と繰り返すのでしょう。途中で、永野商店がその訴訟費用の負担に音を上げて商売を畳んでくれればキー局側は事実上勝利したのと同様の効果を得ることができますし、永野商店の訴訟代理人がボランティア同然での訴訟遂行に音を上げて辞任してくれれば、被告本人訴訟となりますから、逆転勝訴の可能性も見えてくる。ひょっとしたらその程度の狙いなのかも知れませんし、あるいは、両当事者の資本力の差や社会的地位の差を斟酌して結論を決めるタイプの裁判官にあたることにかけているだけなのかも知れません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:46 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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