「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集
「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に対して、下記のような意見を投稿してみました。
第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり I.世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する 1.ユーザー大国を実現する
a. インターネット放送や衛星放送等の新技術を活用することで、日本中のどこにいても日本中のどこかで放送されているテレビを視聴できるようにする。
現在の日本では、ローカルテレビ局のほとんどは、申し訳程度にしか独自番組を製作・放送しておらず、その放送するテレビ番組の大半は、東京キー局が製作したテレビ番組の再送信または再放送である。これは、テレビ局、とりわけローカルテレビ局が総務省による規制により守られているからである。しかし、この保護政策によって、国民は次のような損失を被っている。
1つは、東京キー局が製作した特定のテレビ番組を視聴したくとも、地元のローカルテレビ局がこれを再送信してくれなければ、これを視聴することができないということである。特に、地元ローカルテレビ局が5局に満たない地域では、必然的に東京キー局が製作した特定のテレビ番組を視聴できないこととなり、東京圏の住民との間にいわゆる情報格差ないし文化格差を生ずることになる。
2つは、ローカルテレビ局は、東京キー局が製作したテレビ番組を再送信するだけで莫大な広告収入が得られ従業員は楽して高給を得ることができること、並びに、東京キー局及び関西ローカル局以外は放送域内の人口が極めて少なく、ローカルテレビ局が独自に番組を製作して放送をしても、さほどの視聴者数を見込むことができず、それゆえ広告収入もさして期待できないことなどから、優れた独自番組を製作していこうというインセンティブが萎えているということである。
b.商業用レコードの音楽配信について強制許諾制度を設ける。
特定の地域に住んでいて特定の端末を利用しているユーザーに向けて既に音楽配信されている楽曲は、どこに住んでいてどんな端末を利用しているユーザーもこれをダウンロードし再生して視聴できるようにすることが望ましい。そのための手段として、欧州では、iTunes Storeで配信された楽曲をiPod以外の端末でも再生できるようにするようにApple社に義務づけようとする動きがある。しかし、この政策を日本に取り入れても、効果は薄い。なぜなら、レコード会社が出資している一部の音楽配信業者に対しては配信が許可されているがiTunes Storeには配信が許可されていない楽曲が少なくないこと、iTune Storeにしても日本国内在住者に対する配信は許諾されていない楽曲が少なくないなどの事情があるからである。
したがって、上記政策を実現するためには、特定の地域(日本国外を含む。)に住んでいて特定の端末を利用しているユーザーに向けて既に音楽配信されている楽曲については、一定のプロモーション期間(数ヶ月程度)については猶予を認めるとしても、一定のDRMを使用している配信業者からの申立てにより、既存の配信許諾契約と同様の対価での許諾を強制する制度を設けるべきである。
2.クリエーター大国を実現する (1)クリエーターが適正なリターンを得られるようにする ①契約慣行の改善や透明化に向けた取組を奨励・支援する
a.テレビ局又はその関連会社である音楽出版社がタイアップ楽曲の音楽著作権を所有ないし共有することを、優越的な地位の濫用として禁止する。
ドラマ等のタイアップ楽曲は相応のヒットが見込めるため、テレビ局は、タイアップ楽曲を定めるに際して、その楽曲の音楽著作権を自社の関連会社である音楽出版社に所有ないし共有させることを求めることが少なくない(これによりタイアップ楽曲がヒットした場合には、その収益の一部をテレビ局のグループ会社に帰属させるのである。)。しかし、テレビ局が有する「タイアップによる楽曲の売り上げ増大機能」は、テレビ局が免許制の下で厳しい競争を免れていることに大きく負っているのであるから、それを本業以外の収入の増大に活用することは、免許制のおかげでテレビ局が取得した優越的な地位の濫用と言うべきである。
(4)利用とのバランスに留意しつつ適正な保護を行う ①国内制度を整備する
a.パロディとしての使用等、諸外国で認められている権利制限規定を日本の著作権法にも積極的に導入する。
b.商業用レコードに収録された音楽著作物の実演の複製ないし自動公衆送信のように、複数の権利者の許諾を得ることが義務づけられている場合に、当該利用を許諾を行うことについて他の権利者から同意を求められたときには、正当な理由がない限り、これを拒むことができない旨の規定を創設する。
c.他人による著作権侵害に関与した者が民事上又は刑事上の責任を負う場合及び負わない場合を明確化する。
Winny事件でその開発者が著作権侵害の幇助犯として有罪判決を受けたことで、ソフトウェア開発者の間には不安の声が渦巻いている。また、いわゆる「カラオケ法理」の止まることを知らない拡大解釈が裁判所により行われることにより、知的財産権に関して専門的な知識を有する弁護士もまた、IT事業者からの相談に対して、どうすれば著作権侵害を行ったとして事業の中断を迫られ又は莫大な賠償金の支払いを余儀なくされることなく新規事業を立ち上げることができるのか、確実なアドバイスをできない状況下にある。著作権法が新規ビジネスを不当に萎縮させないようにするためには、他人による著作権侵害に関与した者が民事上又は刑事上の責任を負う場合及び負わない場合を立法により明確化することが必要である。
d.一部の権利者が正当な理由なく利用許諾を拒むばかりにコンテンツの再利用が阻まれるというのは文化の発展という著作権法の究極目的に反する。従って、許諾権を有する権利者が複数いる場合に、著作権が複数人に共有されている場合に関する著作権法65条3項と同様の規定を設けるべきである。
②国際的な著作権制度の調和を推進する
a.著作権の保護期間が長すぎることにより著作物の再利用が困難となっている現状に鑑み、著作権の保護期間の最低限を短縮するように、ベルヌ条約加盟国に働きかける。
3.ビジネス大国を実現する (2)コンテンツを輸出する ③コンテンツ関係情報提供のためのポータルサイトを創設する。
a.国内アーティストに関する商業用レコードについて作成されたプロモーションビデオを網羅的にストリーミング配信するサイトを創設する。
プロモーションビデオというのはその楽曲のCD等の売り上げを増大させるために製作され、公開されるものである。従って、日本国外に音楽コンテンツを輸出するに際しては、日本国外の音楽ファンに、日本のアーティストの楽曲に係るプロモーションビデオを視聴させることが有益である。なお、プロモーションビデオのネット配信については、JASRAC等の音楽著作権管理団体等がこれに対してもライセンス料の徴収を行うため日本国内ではあまり普及していないが、プロモーションビデオが公開されることで音楽CD等の売り上げが増加すれば音楽著作権収入の増加を見込めるのであるから、JASRAC等は、レコード製作者から許諾を受けたプロモーションビデオのストリーミング配信に関してはライセンス料の徴収を控えるべきである。
b.日本のポピュラーミュージックを専門的に流すインターネットラジオ放送局を創設する。
海外の音楽ファンに日本の音楽コンテンツを購入してもらうためには、プッシュ型のメディアでも日本の音楽コンテンツを流すことが有益である。インターネットラジオであれば、流している楽曲の曲名とアーティスト名が端末ソフト上に表示することが可能であるから、未知の楽曲をインターネットラジオで聞いて気に入ったら、楽曲名とアーティスト名を頼りに、インターネット通販でCDを取り寄せたり、音楽配信サービスで楽曲を購入したりすることが可能である。
Posted by 小倉秀夫 at 07:44 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Commentaires
なお、SHF波(TVch割当)による全国放送は既に実用化されています。単に難視聴対策用に留保されてスクランブル放送されているだけです。少しはWikipediaくらいを調べてから意見をまとめたらよろしいのではないかと思います。
>1996年から江東区青海にあるテレコムセンターにて東京タワーから発射されるNHKや民間放送の放送を受信し、それらの電波を通信衛星JCSAT-3号にSHF波(Ku-band)に変換した後、信号のスクランブル化を施し、デジタル圧縮を行いアップリンクを行っている。
>地上波をわざわざスクランブル化とデジタル圧縮を施す理由は、衛星回線を使用している為小笠原地域以外(本土など)でその電波を傍受される可能性があり、再送信目的の放送を他地域で視聴されるのを防止するためである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%AC%A0%E5%8E%9F%E8%AB%B8%E5%B3%B6#.E9.80.9A.E4.BF.A1.E7.AD.89
>日本のテレビ放送用チャンネル番号と周波数の対応 C13~C22チャンネルはCATVのミッドバンドチャンネル。
>C23~C63チャンネルはCATVのスーパーハイバンドチャンネル。
>1~12チャンネルはVHFテレビチャンネル。
>13~62チャンネルはUHFテレビチャンネル。
>63~80チャンネルはSHFテレビチャンネル。(難視聴地域用。12GHz付近が割り当てられている。表では省略)
http://wpedia.search.goo.ne.jp/search/%A5%C1%A5%E3%A5%F3%A5%CD%A5%EB_(%A5%C6%A5%EC%A5%D3%CA%FC%C1%F7)/detail.html?LINK=1&kind=epedia
Rédigé par: BSCS | 24 mars 2007, 21:37:50
>a. インターネット放送や衛星放送等の新技術を活用することで、日本中のどこにいても日本中のどこかで放送されているテレビを視聴できるようにする。
BSデジタルやCSで東京大阪キー局配信の番組は既にほとんど見られると思いますが?
http://tv.yahoo.co.jp/vhf/shimane/realtime.html
http://tv.yahoo.co.jp/bs_digital/shimane/2007032419.html
http://rd.yahoo.co.jp/media/tv/mainnavi/cs/?http://tv.yahoo.co.jp/cs/index.html
それにインターネット放送で全TV番組を流してTV視聴者がTV替わりに見たら、ラストワンマイルでトラフィック容量を超える輻輳状態になって、下手をすれば最終的にバックボーンすら飛んでしまうと思いますが?
Rédigé par: BSCS | 24 mars 2007, 21:11:50