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04/26/2007

新たなディープリンク違法論

 外国法共同事業ジョーンズ・デイ法律事務所編「Q&AでスッキリわかるIT社会の法律相談」(清文社・2007)148頁以下で、相変わらずのフレームリンク違法論が繰り広げられています。

 浅野絵里弁護士は同書の中で、

 フレームリンクにより、フレーム内に表示された他社ホームページの文書や画像については、リンク先のURLが表示されないことになり、リンク元である自社ホームページの文書であるという誤解を生じる可能性があります。画面上、リンク先の著作権表示がなされず、リンク元のURLや著作者のみが表示される場合には、氏名表示権(著19)を侵害するものと考えられます。

と述べておられるのですが、私が知る限り、URLがコンテンツの著作者の変名として一般に認識されているということはありません。従って、フレームリンクによりリンク先のURLを表示しないこととしたからといって氏名表示権侵害になるということは到底考えられないと言うべきでしょう。

 また、浅野弁護士は、

 画面上、自社ホームページ内部に他社ホームページがその一部であるかのように表示される形態となることは、他社ホームページの内容に変更、切除その他の改変を行ったものとして、同一性保持権(著20)を侵害することになると考えられます。
とも述べていますが、「他社ホームページ」の周辺に自社ホームページのフレームが表示されるにすぎないのに、 「他社ホームページの内容に変更、切除その他の改変を行った」ことになるという結論を説明抜きで押し切ってしまうのは凄いと言わざるを得ません。

 なお、浅野弁護士の凄さは、

 営業主体の誤認に関しては、たとえば他人のホームページのトップページではなく、そのホームページ内にある次の階層にある他ページ内の文書や画像に直接リンクをはる(いわゆるディープリンク)ことにより、そのページがリンク元の自社ホームページと営業主体の誤認混同を生じさせる場合、不正競争行為として問題が生ずることになります。
といっているところにも現れています。

 2007年に発行された書籍で「ディープリンク違法論」にお目にかかれるとは思っても見ませんでしたが、それ以上に、他社のコンテンツについて自社のものであるとの誤認を生じさせることを不正競争行為に含める見解があるというのも新鮮です。通常、不正競争行為としての誤認混同行為は、自社の商品又は営業を、他社の周知商標を用いて、当該他者の商品又は営業と誤認混同させることを指すのですが、浅野弁護士は逆のベクトルの誤認混同行為も不正競争行為に取り込むようです。いったい何号の不正競争行為なのでしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 01:56 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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