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05/31/2007

イメージシティ事件について(続)

 イメージシティ事件の解説は、一般向けのものはゲームラボに、玄人向けのものはLexisNexis判例速報に、それぞれ掲載しようと思います(連載誌を大切にしなければ……。)。

 それはともかく、そもそも携帯電話を使わない私としては「ユーザが個人レベルで本件サービスと同様にCD等の楽曲の音源データを携帯電話で利用することを試みる場合、(中略)本件ユーザソフトを用いなくても、フリーソフト等を使って3G2ファイル化することは可能であるが、これを再生可能な形で携帯電話に取り込むことに関しては、技術的に相当程度困難である」という点が少々解せません(Googleでちょっと検索しただけでも、パソコンから携帯電話へ音楽データ等を転送することを可能とする商品はたくさん検出されるのですが。)。

 それはともかく、「ユーザーのパソコンの記憶装置に蔵置された3G2ファイル化をインターネット経由で携帯電話に取り込むことを可能とする」だけであれば、サーバに楽曲データを保存しない方式でもよかったのではないかという気がします。登録されたパソコンと携帯電話が共にインターネットを通じてサーバコンピュータと接続しているときに初めて、パソコン側に蔵置された3G2ファイルをサーバに向けて送信し、これをサーバ側でハードディスク等に蔵置することなく、そのまま携帯電話側に転送するシステムでも足りたのではないかという気がするのです(RAMを大きめにとれば可能でしょう?)。というのも、選撮見録事件大阪地裁判決がある(「1人でも公衆」はカラオケボックスに関するビッグエコー事件地裁判決が援用される危険が高いわけですし。)以上、音楽ファイルを実際に使用する者以外が所有又は管理するサーバに音楽ファイルを蔵置した場合は、サーバの所有者が複製及び自動公衆送信(送信可能化)の主体とされる危険性があることは明らかだったからです。

 サーバ側で一切「複製」を行わない場合、争点は、データを中継するだけのサーバが「公衆用自動複製機器」に該当するのか否かということと、ユーザーが自分のパソコンから自分の携帯電話へデータを転送するための中継を行うことが自動公衆送信に該当するのか否かということが争点となるとは思いますが、これらを肯定することのハードルというのはより高かったのではないかという気がします。

Posted by 小倉秀夫 at 09:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

05/30/2007

テレビ局と上映権侵害

 カラオケ法理を緩やかに適用していった場合、各家庭におけるテレビモニター上でのテレビ放送にかかる著作物の上映はテレビ局の管理のもとで行われ、かつテレビ局各社は有料又は営利目的でそれを行っているのであるから、著作権法の規律の観点からは、各テレビ局は各家庭のテレビモニター上での著作物の上映の主体と同視できるのであり、しかも各家庭のモニターで上映された著作物を視聴するものはテレビ局との関係では不特定人であるというべきであるから、テレビ局が放送及び複製、頒布等につき著作権者の許諾を得ただけで上映について許諾を得ていなかった場合には、上映権侵害になるのではないかという気がしてならないのですが、いかがなものでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 09:55 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

05/28/2007

イメージシティ事件

イメージシティ事件地裁判決の判決文がこちらにアップロードされています。

Posted by 小倉秀夫 at 09:46 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

05/27/2007

江差追分事件の射程範囲

 昨日は学部のゼミコンパ、今日は著作権法学会ということで、大忙しの週末でした。

 「翻案」って著作権絡みの予防法務ではカラオケ法理と並ぶ難所の一つだと私は常々思っています。私自身は、翻案というのは翻訳または編曲と並列され、かつ、変形、脚色、映画化を具体例として規定されている(27条)ものであるからして、同種の存在形式間では「翻案」というのは成立しない(翻案は翻訳等と並んで先行著作物とは必然的に異なる「表現」を具体的に用いることになるが先行著作物の著作権者に専有権を与えた方がよい、との考えが広く支持を集めたから特にそのように法定されたのであって、後行作品において先行著作物と異なる表現を用いることが必然ではない同種存在形式間では、「著作権法はアイディアを保護しない」というテーゼを貫いて、先行著作物の創作性のある部分と実質的同一性を有する表現が後行作品に存在しない場合に先行著作物の著作権者に後行作品の利用を禁止する権限を付与する意味を見いだせていません)ように思うのです。

 そういう意味で、江差追分事件最高裁判決の射程範囲についてはお聞きしたかったところです。

 それはともかく、Tokio Hotelの「Ubers Ende Der Welt」は結構格好いい仕上がりになっています。Tokio Hotelはドイツのバンドですが、フランスシングルチャートで初登場6位です。

Posted by 小倉秀夫 at 02:34 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/23/2007

高度の匿名性を謳った情報発信ツールを公衆に提供した者の幇助責任

 ジュリストの2007年6月1日号に、「連載・知的財産法の新潮流<IT法(3)>」として、「高度の匿名性を謳った情報発信ツールを公衆に提供した者の幇助責任」という文章を掲載して頂きました。

 ま、東大のコンピュータ法研究会でWinny幇助事件について発表したものを論文形式に取り纏めたものですが。

Posted by 小倉秀夫 at 01:58 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

今年の著作権法学会

 今週の土曜日に開かれる予定の著作権法学会のテーマは「翻案」なのですね。

Posted by 小倉秀夫 at 11:14 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

JASRACから請求が来たら

 今日は、葛飾弁護士倶楽部の研修会で、「JASRACから請求が来たら」という題で、比較的実務的な話をしてきました。

 私自身は、たとえばカラオケ等に関する使用料相当金の請求事件についても、被告としてもう少しできることがあると常々思っていたので、そういう話をちらほらとしてきました(対象はみな弁護士なので、「皆までも言わなくとも」といった感じです。)。

 従前、JASRAC案件等で、被告側代理人としてはどうすべきかという議論があまりなされてこなかったし、もちろん、被告側としてのマニュアルなりガイドラインなりというものはなかったわけですので、そういう議論というのを一度してみるというのもよいのではないかと思った次第です(請求棄却判決を狙うのだけが被告側代理人のお仕事ではなく、JASRACが訴訟外で提示する和解案よりも認容額を減額していくというのも立派なお仕事だったりしますし。)。

Posted by 小倉秀夫 at 01:37 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/18/2007

レコード製作者の著作隣接権の保護期間の延長問題

 Internet Watchの「著作権保護期間延長への反対意見が多く挙がる、文化審議会小委」という記事によれば、5月16日に行われた文化審議会著作権分科会において、

日本レコード協会の生野秀年氏は、楽曲の著作権保護期間は著作者の死後50年となっているのに対し、レコードの著作権保護期間は発行後50年となっており、レコードの保護期間の延長が必要だと考えると主張。世界では21カ国が50年を超える保護期間を採用しており、日本もレコード売上第2位の国として、第1位の米国(発行後95年)や映画著作物の保護期間(公表後70年)などを参考にしながら、レコードの保護期間に関する国際的潮流を主導すべき立場にあるとした。
とのことです。

 ただ、レコード製作者って現実にはほとんど法人その他の団体なんですよね(少なくとも隣接権を保護する必要があるほどの商業性のあるものについていえば)。すると、団体名義のものって、楽曲の著作権だって公表後50年しか保護されないわけだから、レコード製作者としての著作隣接権の保護期間が50年というのは、楽曲の著作権の保護期間との関係ではバランスを失してはいないといわざるを得ません。

 また、保護期間が50年の現状でも日本はレコード売上げが世界第2位なのであれば、これ以上レコード製作者の地位を保障して上げなくとも良いではないかと考えるのが普通なのではないかという気もします。著作隣接権って「正規品」を購入させる一つの有力な手段ではあるのですが、絶対的な手段ではないし(原盤を握っているレコード製作者の方が音質面では有利だし、「海賊版」業者よりも一般にブランド力はあるわけですし)、(公表後50年後も商業的価値があるレコードについていえば)公表後50年も経てば初期投資分は回収できているので、サードパーティと対等に競争させても(初期投資分を価格に反映させなければいけない分)正規品製造者が競争上不当に不利な立場に立たされるということは通常考えがたいのです。

 そう考えると、レコード製作者の著作隣接権の保護期間を延長する理由って輪をかけて乏しいような気がします。

 なお、「ORIGINAL CONFIDENCE」2007年5月21日号63頁でIFPIのジョン・ケネディ氏は「実際に今、日本より保護期間の長い国はたくさんあります」 とおっしゃっていたのですが、上記生野さんの発言によると、21カ国しかそういう国はないようですので、50年よりもレコードの保護期間を長くするというのは国際的潮流でも何でもないですね。

Posted by 小倉秀夫 at 11:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

05/08/2007

何が著作物か──2007

 何が著作物かというのは実に難しい問題ではありますが、そこがわからないと著作権法の議論は先に進まないので、著作権法のゼミでは最初に取り扱わなければなりません。

 以下に示すのは、今年のゼミで出した課題の一部です。興味がおありの方は考えてみては如何でしょうか?

次に掲げるものは著作物ですか?著作物でないとしたら、著作物性のどの要件を欠きますか。

  1. 尾崎放哉の「せきをしてもひとり」という句
  2. 「(⌒▽⌒)ノ_彡☆」という顔文字
  3. 日本プロ野球育成選手統一契約書
  4. Google Map
  5. Bratisla Boysの「Stach stach」の歌詞
  6. ル・コルビジェの「サヴォア邸」
  7. 「シントミゴルフ」の音ロゴ

Posted by 小倉秀夫 at 12:16 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

05/02/2007

アソシエイト弁護士による蔵書の持ち帰りと貸与権侵害

 「「Theo(テオ)」のグランドオープン」というエントリーに対し、「大手法律事務所でも、図書室の本は誰でも(共有者であるパートナーはともかく、単なるアソシエイトでも)借りることができますが、そっちの貸与権との関係はどうなっているんでしょうか。」という質問が寄せられました。

 図書室の書籍を事務所外に持ち出すことができるシステムの場合、パートナー弁護士らで構成する共有者団ないし弁護士法人がアソシエイトに対して書籍を貸与したということになるのでしょう。これが「貸与権侵害」となるかは、このことにより著作物をその複製物の貸与により公衆に提供したといえるかにまず係ってきます(著作権法26条の3)。

 パートナー弁護士らないし弁護士法人にとってアソシエイト弁護士は「特定の者」にあたると言って差し支えないでしょう。ただし、著作権法上の「公衆」には、特定かつ多数の者が含まれます(2条5項)。ここで問題が起こります。もちろん、「何人から『多数の者』にあたるのか」ということも問題です。それ以上に問題なのは、「多数の者」といえるだけの人数のアソシエイト弁護士が特定の書籍を借り受けられるようになっていたが、実際にその書籍を借りてそこに収録されている著作物を知覚した場合に、その著作物は公衆(≒「多数の者」)に提供されたといえるのか、ということです。というのも、著作権法はもともと、映画の著作物以外の著作物について、複製物の貸与を禁止することを予定としていなかったため、「貸与」が絡むと条文がどうしても整合性を失う傾向があるからです(何しろ、原作品又は少部数の複製物を公衆に貸与することで著作物を流布する場合は、貸与の誘因の過程で展示する等の特段の事情がない限り、4条を文理解釈すると、著作物は「公表」の要件を満たさないわけですから。)。

 仮に、「多数の者」といえるだけの人数のアソシエイト弁護士が特定の書籍を借り受けられるようになっていたときには「著作物をその複製物の貸与により公衆に提供した」といえるとした場合、弁護士法人等は、その貸与を営利目的で行ったといえるのかが問題となります(38条4項)。プロボノではない弁護士業務をアソシエイトに手伝わせる過程で必要な文献を読了させるために特定の書籍をアソシエイト弁護士に貸与する場合、弁護士法人等の側に営利目的がないということは厳しいのではないかという気がします。

 私のところのように、弁護士9名(うち2人は法科大学院の教授と助教授で、教育活動にほぼ専念)、司法書士1名、弁理士1名の事務所では、「公衆」要件を明らかに満たさないのでよいのですが、100人を超えるような大規模事務所では、アソシエイトに蔵書を貸し出しすることも法的なリスクを伴うことになるので、大変ですね。

Posted by 小倉秀夫 at 01:44 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)