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05/18/2007

レコード製作者の著作隣接権の保護期間の延長問題

 Internet Watchの「著作権保護期間延長への反対意見が多く挙がる、文化審議会小委」という記事によれば、5月16日に行われた文化審議会著作権分科会において、

日本レコード協会の生野秀年氏は、楽曲の著作権保護期間は著作者の死後50年となっているのに対し、レコードの著作権保護期間は発行後50年となっており、レコードの保護期間の延長が必要だと考えると主張。世界では21カ国が50年を超える保護期間を採用しており、日本もレコード売上第2位の国として、第1位の米国(発行後95年)や映画著作物の保護期間(公表後70年)などを参考にしながら、レコードの保護期間に関する国際的潮流を主導すべき立場にあるとした。
とのことです。

 ただ、レコード製作者って現実にはほとんど法人その他の団体なんですよね(少なくとも隣接権を保護する必要があるほどの商業性のあるものについていえば)。すると、団体名義のものって、楽曲の著作権だって公表後50年しか保護されないわけだから、レコード製作者としての著作隣接権の保護期間が50年というのは、楽曲の著作権の保護期間との関係ではバランスを失してはいないといわざるを得ません。

 また、保護期間が50年の現状でも日本はレコード売上げが世界第2位なのであれば、これ以上レコード製作者の地位を保障して上げなくとも良いではないかと考えるのが普通なのではないかという気もします。著作隣接権って「正規品」を購入させる一つの有力な手段ではあるのですが、絶対的な手段ではないし(原盤を握っているレコード製作者の方が音質面では有利だし、「海賊版」業者よりも一般にブランド力はあるわけですし)、(公表後50年後も商業的価値があるレコードについていえば)公表後50年も経てば初期投資分は回収できているので、サードパーティと対等に競争させても(初期投資分を価格に反映させなければいけない分)正規品製造者が競争上不当に不利な立場に立たされるということは通常考えがたいのです。

 そう考えると、レコード製作者の著作隣接権の保護期間を延長する理由って輪をかけて乏しいような気がします。

 なお、「ORIGINAL CONFIDENCE」2007年5月21日号63頁でIFPIのジョン・ケネディ氏は「実際に今、日本より保護期間の長い国はたくさんあります」 とおっしゃっていたのですが、上記生野さんの発言によると、21カ国しかそういう国はないようですので、50年よりもレコードの保護期間を長くするというのは国際的潮流でも何でもないですね。

Posted by 小倉秀夫 at 11:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Voici les sites qui parlent de レコード製作者の著作隣接権の保護期間の延長問題:

Commentaires

いわゆる G8(-カナダ)の表がありました(2003年のものですが)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/03092501/002.htm
レコードを50年を超えて保護しているのはアメリカだけですね。wikipedia によればカナダの著作権保護期間は50年だそうですし、たしかに「国際的潮流」ではなさそうです。

Rédigé par: mohno | le 05/21/2007 à 12:28

取り敢えず、EUは2004年に隣接権延長を断念しているのでその21ヶ国とやらは中南米が大半だと推測されます。あと、シンガポールやオーストラリア(近く韓国も入る)は米国の圧力で著作権のついでに隣接権も延長したんでしたっけ?

Rédigé par: 謎工 | le 05/21/2007 à 04:07

保護期間の長い国と、そうでない国における著作物によるビジネス規模の違いを知りたいところですね。(調べてもわからなかったのですが)

Rédigé par: mohno | le 05/21/2007 à 02:09

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