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06/29/2007

Lawyers in Love

 現在、事務所の後輩弁護士が海外挙式&新婚旅行で休暇中です。

 彼が帰国後の暑気払いの2次会で歌ってあげるべき歌はこんなところでしょうか?

 (って、カラオケボックスに入っているかわからないのですが)

 もっとも、タイトルに邦題が出てきたら、却って白けるかも。

Posted by 小倉秀夫 at 02:21 AM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

06/26/2007

企業が商品を売り惜しみすれば、闇市が栄える。

 私は、「ネット上に不正にアップロードされたコンテンツをダウンロードすることを違法とする(著作権法上の私的複製の範囲を見直す)」ことには反対です。でも、エイベックスの取締役になった岸博幸さんが仰るような「そんなことをしたら、インターネットユーザーが萎縮してしまう。ネット上は極力自由にすべきであり、余計な法改正はすべきでない」という理由からではありません。

 一つは、創作者が投下資本を回収するために通常行う営利活動と競合する行為を制限するという著作権の本質とは相容れないからです。

 一つは、違法コンテンツのダウンロードを違法とする場合には、権利者が権利行使を行うためには、特定の誰かがどのようなコンテンツを入手したかを調査することが必要となりますが、それは、憲法が保障する思想・良心の自由と大きく衝突することになるからです。アップロード者を規制する場合、その者がどのような作品を保有しているのかは、少なくともアップロードされた者に関していえば、本人が自主的に公開したのですから、著作権者ないし警察がこれを探知することがアップロード者の思想・良心の自由を侵害する程度は低いですが、ダウンロード者は、自分がどのような作品を入手しているのかを自主的に公開する意図がないのが通常ですから、思想・良心の自由を侵害する程度が高いのです。

 もう一つは、海外の情報を海外で(不正に)アップロードしたもののダウンロードが禁止されることにより、情報鎖国が実現してしまうからです。つまり、国内での正規商品の流通を禁止してしまえば、その作品に含まれるメッセージを日本国内の在住者が知る機会は著しく奪われることになるからです。

 岸さんは、「音楽を巡るいまの状況は、モノの世界で例えれば「企業が商品を作って店先に並べてもどんどん盗まれて闇市で格安で売られてしまうため、売り上げが伸びない」ということと同じである。」と仰るのですが、そうではありません。「企業が商品を店先に並べてくれないから、本来は正規商品を買いたい消費者も、闇市で探さなければいけない」というのが音楽を巡る今の状況です。この場合、企業がちゃんと商品を店先に並べることを優先的に推し進めることなく、闇市で商品を購入することを先に規制すると、結局消費者が飢えて死んでしまうだけのことです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:57 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (45) | TrackBack (0)

06/24/2007

平成18年改正についての岸博幸さん危惧

 さらに、岸博幸さんネタを。

 岸さんは、著作権法の平成18年改正に関して、次のように述べています。

 第1は、IPマルチキャスト放送を行う事業者のみならず、個々のユーザーの要求に応じて配信するストリーミングで映像コンテンツを流す者も、地域を限定すればこの特権の対象となり得る、ということだ。

 これは、著作隣接権を有する実演家にとっては大問題である。技術に詳しい人ならばストリーミング配信を行うことは簡単なので、極端に言えば、無数の人が実演家の許諾なしに映像コンテンツを流せるようになる。実演家は、それらをいちいち突き止めて報酬を請求しないといけなくなるが、そのようなことは事実上不可能だ。

 第2は、IPマルチキャスト放送に与えられる権利処理の特権の対象が、地上デジタル放送に限定されていない、ということだ。その結果、例えばCS放送の音楽チャンネルやラジオ放送などもIPマルチキャスト放送で再送信できるようになるので、特に音楽の実演家の立場からは、自分が演奏した曲が許諾なしで無制限に流され、そのたびに報酬を請求しないといけなくなる。

 この2点はいずれも著作権法改正法案の第102条3項にからむもので、法案の文言を素直に読めばそう解釈できてしまう。

 改正著作権法102条3項で実演家の隣接権が制限されるのは、「著作隣接権の目的となっている実演であって放送されるもの」ですから、岸さんが仰るように「個々のユーザーの要求に応じて配信するストリーミングで映像コンテンツを流す者も、地域を限定すればこの特権の対象となり得る」とするためには、「個々のユーザーの要求に応じて配信するストリーミングで映像コンテンツを流す」行為が著作権法上の「放送」であることが必要です(普通に読めば、「有線放送」ではだめです。)。しかし、著作権法上の「放送」は、「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信」をいう(2条1項8号)ですから、「個々のユーザーの要求に応じて配信するストリーミングで映像コンテンツを流す」行為が著作権法上の「放送」となる可能性はないように思います。著作権法は経産省の所管ではないとはいえ、こんなところで条文の読み方を間違えていて大丈夫でしょうか?

 後段についていえば、次のようなことが言えます。

 IPマルチキャスト放送を行うためには、放送事業者の著作隣接権としての送信可能化権を侵害することができないので(改正102条3項但書)、IPマルチキャスト放送の主体は放送事業者かまたは放送事業者から委託を受けた者に限られます。だから、適法なIPマルチキャスト放送の主体を見つけ出すのは、少なくとも芸団協等の実演家団体に所属しているアーティストにとっては容易なことです。  そして、放送事業者は、実演家の許諾を得てCD等に収録した実演については、実演家の事前の許諾なくして放送することができる(92条2項)わけですが、その場合には、芸団協等の実演家団体を通じて二次使用料を支払わなければなりません。ですから、その放送をIPマルチキャスト放送する放送局に対しては、2次使用料を支払うための利用実績データに基づいて、IPマルチキャスト放送にかかる補償金を支払うように要求すれば済む話です(放送番組を制作する側からいえば、放送前に事前にすべての実演家から許諾を受けよといわれるとうんざりしますが、すでに放送した番組についてどの楽曲を使用したか報告せよといわれる分にはそれほどの手間ではありません。)。もちろん、立法技術としては、IPマルチキャスト放送の対価を「2次使用料」ではなく「補償金」扱いにしたのは稚拙だとは思いますが(「2次使用料」ならば、個々の実演家からの委任等がなくとも、芸団協等の実演家団体が一括して請求し、これを個々の実演家に分配することができたのに対し、「補償金」だと建前上は各実演家が権利行使をする必要があります。)、実演家団体として放送事業者側と上記のような交渉をすることにより、権利行使費用はさほどかけないことが可能です。

Posted by 小倉秀夫 at 04:26 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

「IT事業者対アーティスト」なのか?「IT事業者対レコード会社」なのか?

 岸博幸さんがエイベックスの特別顧問だということを考えると、経産省のOBであるにもかかわらず、岸さんが文化庁のOBのような発言をしていた理由も納得がいきます。

 法律の内容として、デジタルコンテンツに関する著作権の登録制度を設立すべきといった主張がすでに出ているようだが、もし、一部報道にあったように、デジタル流通のためにコンテンツを創作するアーティストの著作権や著作隣接権を制限するような内容となった場合、この法律は必ずや権利者の感情を逆撫でし、デジタル流通の優遇が結果的にコンテンツ制作に悪影響を及ぼすことになるであろう。

 コンテンツのバリューチェーンは、簡単に言えば“制作—流通(アナログ—デジタル)”である。その一部分であるデジタル流通の振興に目が行き過ぎて、肝心の制作のインセンティブが低下したら元も子もないのではないか。

 しかし、現在の日本の音楽業界の実務では、コンテンツを創作するアーティストは、作詞家、作曲家はもちろん、実演家だって、自分の作品をデジタル流通させるか否か、させるとすればどのメディアを用いてデジタル流通させるのかについて、これをコントロールする権限を有していません(著作権法上は、実演家にも送信可能化権が認められていますが、レコード会社のひな形を用いて契約すると、この送信可能化権を取り上げられてしまいます。)。

 従って、自分の楽曲をデジタル流通させるか否か、させる場合にどのメディアで流通させるかをコントロールできなければアーティストが制作のインセンティブを低下させてしまうのであれば、実演家の送信可能化権につきレコード会社が譲渡を受けまたは排他的包括利用許諾を受けることを強行法規で禁止する必要があるのでしょうし、それ自体は制作のインセンティブを低下させないのであれば、「送信可能化」について禁止権から報酬請求権へと変更することによりデジタル流通側の権利処理コストを低下させても「元も子もない」ことにはならないということができます。

 実際には、音楽コンテンツのデジタル流通の阻害は、「レコード(CD)をプリントし頒布する」という方法でコンテンツを流通させていたレコード製作者がそれ以外の方法で音楽コンテンツを流通させることを禁止する権利を有していること、並びに、自社が資本提携している業者以外の業者によるデジタル流通を排斥する方向でこの禁止権が非競争的に運用されていることに由来しています。デジタル流通を促進するための著作権・著作隣接権の制限といっても、実際には、レコード製作者の強すぎる権限を少し緩和する程度の話で、コンテンツを創作する側の権限を実際に縮小する話ではないのです。

 しかし、岸さんの文章を読んでいると、あたかも、デジタル流通を促進するための著作権法改正が、「IT事業者対アーティスト」という利害対立問題だと思えてしまい、「IT事業者対レコード会社」という流通業者間の利害対立問題だということが視野から消えてしまいそうです。レコード会社の特別顧問としては良い仕事をしているというべきでしょうか。

PS.
  Blood Red Shoesの「Its Getting Boring By The Sea」はなかなかの作品です。


Posted by 小倉秀夫 at 10:49 AM | | Commentaires (2) | TrackBack (2)

06/23/2007

10年の懲役を持っている犯罪で親告罪というのは

 Copy & Copyright Diaryより。

久保田裕委員の5番目の発言より。
その中で、期間の延長の問題もあるのですが、著作権の刑罰も5年の懲役から10年に上がりました。10年の懲役を持っている犯罪で親告罪というのはありません。
これは結構重大な発言だと思います。私は法律の専門家でないので、「10年の懲役を持っている犯罪で親告罪というのはありません」という久保田委員の発言が本当かどうか分かりませんが、もしそうであるなら、昨年の著作権法改正における罰則の強化はすべきでは無かったのではないのでしょうか。

 まあ、久保田さんは法律の専門家ではありませんから。

 例えば、

(強制わいせつ)
第百七十六条  十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。  

(強姦)
第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。  

(準強制わいせつ及び準強姦)
第百七十八条  人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2  女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。  

(親告罪)
第百八十条  第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2  前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

(営利目的等略取及び誘拐)
第二百二十五条    営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(親告罪)
二百二十九条    第二百二十四条の罪、第二百二十五条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びに同条第三項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。

Posted by 小倉秀夫 at 10:45 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

日本の裁判所だったら

 前回のゼミの課題の一部です。興味のある方は考えてみてはいかがでしょうか。


問1
 「Come Together」がChuck Berryの「You Can't Catch Me」に関する著作権を侵害するとしてJohn Lennonが訴えられたことは有名ですが、日本の著作権法に基づいて日本の裁判所が判断していたらどうなっていたでしょうか。

問2
 「My Sweet Lord」がChiffonsの「He's So Fine」に関する著作権を侵害するとしてGeorge Harrisonが訴えられたことは有名ですが、日本の著作権法に基づいて日本の裁判所が判断していたらどうなっていたでしょうか。

問3
 KICK THE CAN CREWが「クリスマス・イブRap」を制作するにあたって山下達郎の許諾を得ていたことは有名ですが、仮に、山下達郎に無断で「クリスマス・イブ・ラップ」を制作して発表した場合、著作権法上問題があるでしょうか。

問4
 Sean Kingstonの「Beautiful Girls」が仮にBen E. Kingから訴えられたとして、日本の著作権法に基づいて日本の裁判所が判断したらどうなるでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 09:42 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (0)

エイベックスの特別顧問は、違法配信のネタもとがレンタルだと問題視?

 岸博幸さんって、現在エイベックス・グループ・ホールディングスの特別顧問で、6月24日の定時総会で同社の非常勤取締役に就任予定の方だったのですね。それなら、少なくともエイベックスの特別顧問に就任していることくらいは略歴欄に書いておけばいいのに(特にこの話題だったら)とは思いました。ポジションによって党派性が生ずるのは仕方がないですが、それはそれで明示した方が、読者には親切です。

 それはともかく、問題の本質が「デジタルコピーして、ネット上で違法配信するのが日常茶飯事になった今、いかにアーティストが収入を確保して創作意欲を保ち続けられるようにするか」ということならば、「様々な個別論のなかでは、例えば私的録音録画補償金制度よりもレンタル市場の存続の可否という問題の方がよほど重要である」という認識は改めた方がいいのではないかと思うのです。デジタルコピーの大元が「レンタル店から安価で借りて」きたCD等か、CDショップで高価で購入してきたCD等か、業界関係者に無料で配布されたCD等かなんて、「最初の1枚に関しての収益の差」(定価3000円のCDアルバムだと、実演家で30円〜100円程度の差)でしかないのですから(よもや、「高額の代金を支払って購入したCD等からリッピングしたデジタルデータを無料でP2Pネットワークに放出するお人好しなどいるわけない」と思っていないでしょうね。P2Pネットワークでの音楽データの共有の本場アメリカ合衆国において、CDレンタル業者がほぼ存在しない事実を思い起こすべきでしょう。)。

 「デジタルコピーして、ネット上で違法配信するのが日常茶飯事になった今、いかにアーティストが収入を確保して創作意欲を保ち続けられるようにするか」という問題設定に対して、「CDレンタル事業を押しつぶすべき」という回答を出してくるシンクタンクなり特別顧問なりがいたら、私ならそういう人たちとは上手に縁を切るように会社にお勧めしますけど、レコード会社の上層部の人には、「CDレンタルがなくなれば、今までCDレンタルを利用してきた若者が、どこからかお金を調達してきて、その分新品CDを購入してくれるようになる」というストーリーの受けが良さそうだから、CDレンタル事業を悪者とする回答を提出した方が、出世の階段を上りやすいのだろうなということは思ったりします(そんなお金、どこから調達できるの?ってことを考えれば、非現実的な話でしかないことはすぐにわかるのですが。)。

 私ならば、「iPod等の大容量携帯型音楽再生機で音楽を楽しむことが日常茶飯事になった今、いかにアーティストが収入を確保して創作意欲を保ち続けられるようにするか」という問題設定をした上で、むしろ、流通部門の中間マージンが大きく、また返品リスクの高い新品CD販売部門の縮小と、音楽配信およびレンタル部門のてこ入れを図りますが、そういうことをいっていると受けが悪いようです。消費者が音楽データを入手するのに費やす金額が一定であれば、その金額の範囲内で消費者が入手する音楽データの数が相当程度増加したって、音楽産業は全体的には損をしない(ただ、特定の作品への収益の集中が分散される)のですけれども。

Posted by 小倉秀夫 at 09:36 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (2)

06/21/2007

新TLDを登場させる意味

 大野元久さんは、「ちょうど「もう .com ドメインでは、まともなものが取得できない」ために多くの新 TLD(.info、.biz、.name など)を登場させることにしたのに、いまだに .com ばかりが注目を集めているという状況に似たものを感じます。」と仰っています

 ただ、「×××.com」で成功した企業が現れると、「×××.co.jp」等のドメイン名を登録することがサイバースクワッティング扱いされる現状では、新TLDを登場させる意味はあまりなさそうです。

 「普通名詞+.com」と「普通名詞+co.jp」は、類似していないということにしないと、ドメイン名の枯渇の方が早そうです。後発企業がみな、無意味で覚えにくいドメイン名で我慢してくれれば、話は変わるのでしょうが。

PS.

AHORAの「 Les mains sales」、音的には格好いいですね。

Posted by 小倉秀夫 at 02:16 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

06/20/2007

IT PLUSに質問

日経新聞社のIT PLUSに気になる記事がありましたので、下記のようなお問い合わせをしようと思いました。

前略 当職は東京弁護士会に所属する弁護士であるとともに、中央大学法学部の兼任講師として著作権法のゼミを担当するものです。

さて、貴社のサイトにて掲載されております岸博幸氏の「「アップル」名乗るパブコメが提起した2つの問題【コラム】」(http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000019062007)において、「CDやDVDをレンタル店から安価で借りてデジタルコピーして、ネット上で違法配信するのが日常茶飯事になった今、いかにアーティストが収入を確保して創作意欲を保ち続けられるようにするか」ということなのである。」との記載がありますが、このようなことが「日常茶飯事」であることを示す資料というのはどこかにございますでしょうか?

セルCD・DVD等の発売日とレンタル解禁日との間にタイムラグがある場合にレンタル解禁日まで違法データは流通しないとの認識を有しておりませんので、ネット上で違法配信されるデータが「CDやDVDをレンタル店から安価で借りてデジタルコピー」したものであるとの岸様のご指摘はにわかには信じがたいものであります。しかし、上記コラムは日経新聞社の公式サイトに掲載されたものであること、また、岸様は元経済産業省のキャリア官僚であり、かつ、慶応大学助教授でもあられるので、さしたる資料もなしにそのような摘示をするはずもありません。従って、私が見落としていた調査研究等等の資料に基づいて上記のような摘示をされたのではないかと考えまして、それをご教示頂きたく、メールをさし上げた次第です。

ご多忙の折、大変不躾なお願いだとは存じますか、なにとぞ宜しくお願い致します。

草々

 しかし、問い合わせ内容は250字までとのことなので、次のような投稿をするに留めることにしました。

岸博幸氏の「「アップル」名乗るパブコメが提起した2つの問題【コラム】」によれば、「「CDやDVDをレンタル店から安価で借りてデジタルコピーして、ネット上で違法配信するのが日常茶飯事になった」とのことですが、そのことを示す資料がありましたら、ご教示下さい(なお、質問の趣旨の詳細等は、こちら(http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2007/06/it_plus_65a2.html)をご覧下さい。)。

Posted by 小倉秀夫 at 09:44 PM | | Commentaires (0) | TrackBack (2)

06/14/2007

選撮見録事件高裁判決

 今日は、大阪高裁で、選撮見録事件の判決言渡しがありました。

 結論からいうと、販売差止めの対象となる物件の範囲は大幅に狭まりましたが(例えば、「全局予約モード」機能がないものは差止めの対象外)、各利用者を複製等の主体とした上で、機械の販売者であるクロムサイズも規範的に利用主体と認められるとするもので、理論的にはまあ酷いものです。幇助者について112条1項を類推適用した原審の評判が非常に悪かったので、無理をしてクロムサイズを複製等の主体としたというところでしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 04:44 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

06/06/2007

著作権意識が強いからこその貸しレコード業

 mohnoさんは、そのブログの中

日本にしかないレンタルレコード(CD)は、著作権意識が弱いからこそ認められたようなものではないのだろうか。
とおっしゃっています。しかし、それは違います。

 レコードレンタル業が開始された当時は、正規に生産された商業用レコード等を業として貸与することは日本法では禁止されていませんでしたし、これを禁止することを義務づける国際条約はなく、これを法的に禁止している国も殆どありませんでした。実際、知的財産権の正規の実施品の業としての貸与を禁止する権限を知的財産権者に付与する例は、特許等の他の知的財産権にもありませんので、これが普通の姿であるといえます。

 その後著作権関連団体のロビー活動が功を奏し一旦は貸しレコード業を抑制する方向に向かいかけましたが、貸しレコード業者が消費者を巻き込む形でロビー活動を行った結果、商業用レコードを業として貸与する権限を著作権者や著作隣接権者に一定の限度で認めつつ、著作権者は利用料の支払いを条件として原則業としての貸与を許諾するということで落ち着きました。その結果──貸しレコード業者の営業努力もあって──貸しレコードもまた商業用レコードの利用実態として無視し得ない実態を確保していきました。

 この実態こそが、その後の国際条約が商業用レコードの業としての貸与を禁止する権利をレコード製作者等に認める方向に動いたのに、日本政府は、当該条項に留保宣言をつける等として、貸しレコード業を保護しなければならなかったのであって、決して著作権意識が弱いからではありません。

 では、なぜ貸しレコード業が日本でまず普及したのかといえば、一つは、ウォークマンの普及により、移動中に音楽を聴くというライフスタイルが早期に確立したということがあるでしょう。いずれにせよ、ビニールレコードやCDからメディアシフトさせるのであれば、ビニールレコードやCDを購入して保管しておくことは無駄でしかないのです。

 また、日本国民は比較的遵法精神が高く、海賊版の流通が少ないということも、貸しレコード業が日本で普及した理由の一つでしょう。よく考えれば分かることですが、「著作権意識が弱」く、国民の多くが海賊版の売買を躊躇しない国や社会では、貸しレコード業は成り立ちません。

 さらにいえば、旧郵政省の放送事業者保護政策との関係でミニFM等の数が少なかったことから、多様な楽曲を無料又は安価で聴取する他の方法が乏しかったということも、貸しレコード業を普及させた要因の一つであるといえるでしょう。

 日本以外の諸外国では新たな音楽を聴きたかったら皆何とかお金を工面して新品のCDを購入しているかというとそういうことでもなく、多くの人々は、新品CDを購入するよりも安価な手段を用いて、多様な音楽を聴く機会を確保しています。それらの手段の中では、貸しレコード業というのは、著作権者や著作隣接権者にお金を流している部類にはいるように思います。

Posted by 小倉秀夫 at 02:33 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (11) | TrackBack (0)

06/05/2007

館内での撮影に関する欧米基準

 自民党の議員立法である「映画の盗撮の防止に関する法律案」が可決成立したようですね。

 これ自体は、アメリカの映画産業のヒステリーに付き合う人達がこんなにいたのだと感心する程度です。

 ただ、どうせ欧米の基準に合わせるのであれば、美術館等での私的使用目的の写真撮影を、少なくとも国公立の美術館等については、作品の保護の観点からどうしても問題がある場合を除き認めるようにしてほしいものです。欧米の美術館では、原則写真撮影は自由であり、世界中の人々がそこに行った記念にとばしばし写真を撮っているのです(所詮アマチュアの撮る写真ですから、写真を撮って後で何度も鑑賞するという目的にはあまり使えません。)。しかも、モネやルノアール等の著作権切れの作品のみならず、ピカソなどのように著作権がまだ切れていない画家の作品についても、来場者による写真撮影は原則禁止されてないというのが欧米基準です。

 それに引き替え、日本の場合、殆どの美術館は、著作権の保護期間を経過したか否か等とは関係なしに、一律写真撮影を禁止しています。映画の撮影について市民に一定の譲歩を強いたのですから、市民の側に欧米基準の自由を与える程度のバーターをしても罰は当たらないように思うのですが、上記議員立法を推進された議員の方々には、市民の自由に配慮するという考えはあまりなかったのかも知れません。

Posted by 小倉秀夫 at 01:58 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

06/04/2007

Winny事件についての北岡弁護士の解説

 昔一緒に大阪FLMASKリンク事件の弁護人を務めた北岡弘章弁護士が、Winny幇助事件についての解説を書いておられます。

 Winny著作権法違反幇助事件の判決(1) ソフトウエアの開発自体は罪に問われていない

 Winny著作権法違反幇助事件の判決(2) 裁判所が認定している客観的事実

 Winny著作権法違反幇助事件の判決(3)著作権法違反幇助と技術的検証は両立すると判断

 Winny著作権法違反幇助事件判決(4) あいまいさ許容せざるを得ない幇助犯の成立条件

Posted by 小倉秀夫 at 03:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

著作権法30条1項の廃止論者はまず実証実験を!

 実演家著作隣接権センター(CPRA)の椎名和夫氏は、私的録音録画小委員会」の2007年第4回会合において、

権利者や消費者、メーカーの利害が調整されない場合には、私的複製を認める著作権法30条1項の廃止を求めるとした。
語ったとのことです。

 実演家著作隣接権センターは、国民全体に私的使用目的の著作物等の複製を行うことを要求する前に、その会員たちがまず私的使用目的の著作物等の複製を行わない生活を送ってみるとよいのではないかと思います。その結果、従前他の用途に支出してきたお金を節約してでも著作物等の利用に対する対価をより一層支払うようになるだけで済むのか実証実験をしていただけるとよいように思うのです。

 もちろん、その場合、実演家著作隣接権センターの会員は、テレビ番組を家庭用ビデオデッキで録画をするべきではないし、市販CDをパソコンにリッピングしてiPodと同期させるなどということはすべきではありません。また、ブラウザを用いてウェブにアクセスするときは、一切ディスク上にキャッシュを残さない設定にしていただきましょう(ネット上には著作者の意思に関わりなくアップロードされてしまっているコンテンツが少なからずありますから、黙示の複製許諾だけではディスクキャッシュを正当化しきれない可能性があります。)。

 また、原稿を書くにあたって資料をコピーして紙ファイルに一纏めにするなど言語道断です。参考文献はすべて丸一冊購入していただき、必要に総じてそれらすべてを持ち運んでいただくことにしましょう。あ、もちろん、1冊の本のうち必要な部分のみを切り裂いて紙ファイルに綴じる分には私的使用目的の複製をしたことにはなりませんから、許容範囲内です。

 実演家著作隣接権センターの会員の皆様が「私的使用目的の複製」を行わない生活を3年くらいして、その結果、著作物等の利用に対する対価の支払いがどの程度増えたのか、その間健康的で文化的な生活を送ることに支障が生じたか否かを報告していただければ、私的複製を認める著作権法30条1項の廃止の是非を具体的に論ずることができるようになるかと思います。

P.S. Mademoiselle Kの「Ca Me Vexe」、格好いいですね。

Posted by 小倉秀夫 at 02:13 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (3) | TrackBack (1)

06/02/2007

著作権侵害罪の非親告罪化

 著作権侵害罪の非親告罪化を推進する方々は、何を期待しているのでしょうか。

 著作権等を侵害する者に刑事的制裁を加えたいのであれば、著作権者等が刑事告訴をすればよいだけの話です。まあ、あえて、非親告罪化によって運用が変わるとすれば、次の2点くらいかなという気がします

 一つは、著作権者等自体は権利保全にさほど執着していないが、当該著作物等の活用による経済的利益の重要な一部を押さえている第三者が権利保全に執着している場合に、当該第三者が刑事告発することで侵害者の処罰につなげることができるようになるということです。もちろん、独占的利用許諾を受けていれば刑事告訴をなし得るのですが(最判平成7年4月4日刑集49巻4号563頁)、しかし、非独占的利用許諾契約を受けたに過ぎない者が刑訴法230条の「犯罪により害を被った者」といえるかは難しいところです。

 もちろん、著作権者が許諾をしてしまえばそもそも犯罪とはならないのですから、実際には、著作権者が積極的にそのような利用を許諾するつもりもないけれども、かといって積極的に取り締まる気もないという場合に、その著作物により経済的利益を受けている第三者が刑事告発をすることにより侵害者の処罰が可能となるということなんだろうと思います。

 もう一つは、著作権者等自身が刑事告訴をしてファン等を敵に回すことを恐れている場合に、これを避けつつ侵害者を処罰することができるようになるということです。

 もちろん、著作権者等からの許諾を得ていないことは検察側が立証責任を負いますし、被告人の自白のみで有罪に導くことはできませんので、非親告罪化しようとも、黙示的にも明示的にも当該著作物について当該被告人または公衆に対して利用許諾を行っていない旨の調書を警察または検察が取っておく必要がありますから、著作権者等は「当該被告人が処罰されることにつき自分は何にも関与していない」とは言い難いのですが、とはいえ作家自らファンを告訴したというのと、警察の捜査に受動的に協力したというのとでは、ファン等からの評判も変わってくるだろうということなのでしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 01:12 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

格安CDとDVD

前回のゼミの課題の一部です。

興味がおありの方は考えてみてください。


問1 駅の広場等において、時折、洋楽CDが格安価格で販売されていることがあります。これが著作権法上適法となるための条件は何でしょう。

問2 大型書店等において、映画のDVDが格安価格で販売されていることがあります。これが著作権法上適法となるための条件は何でしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 10:49 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)