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07/26/2007

論理や実利ではなく感情ないし羨望の問題

 昨日のICPFセミナーに参加させていただきました。

 池田先生は三田さんの発言にずいぶんご立腹のようです。しかし、私が三田さんの講演内容やその後の質疑応答をお聞きして感じたのは、三田さんが著作権の保護期間の延長を実現しようとしているのは、まさに「欧米の作家たちが死後70年間著作権を保護されるのに、日本の作家たちは死後50年しか著作権を保護されない」ということが気に入らないのであって、三田さん自身、「欧米の作家たちが死後70年間著作権を保護されるのに、日本の作家たちは死後50年しか著作権を保護されない」と何が問題なのかということを必死に模索している最中なのではないかということでした。

 そういう意味では、この問題は三田さんにとっては「感情」の問題なので、これに対して、「著作権の保護期間を延長すべき理由」の変遷を追及して論理矛盾だといってみても、三田さんにとっては有効な反論になっていないとも言えそうです。

 そういう風に考えると、三田さんを説得するために最も有効なのは、その著作物の保護期間が切れた作家について、「青空文庫」という形でただ「ただで読める」場所を作るだけではなく、現代の知性及び感性を結集して最高の注釈及び解説を、出版社の軛から離れた形で実現し、「著作物が著作権から解放されると、こんなに幸せな取り扱いを受けるのだ」ということを見せつけてやることなのではないかと思ったりしました。

 そこまでして三田さんを納得させる必要があるのかという問題はありますが、そういう注釈や解説は読んでみたい気もします。

Posted by 小倉秀夫 at 01:58 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

07/20/2007

私的に録画してもらった方がテレビ局には安上がり

 江口靖二さんが次のように述べています。

 コピーが1回でも10回でも、関係者全員が納得できる公式を経済性も踏まえたうえで導き出すのはきわめて困難だ。それよりも「なぜ録画をしようとするのか」という点にもっと着目するべきだろう。

 それは「不安だから」である。何となく手に入らなくなりそうな気がするからである。だとすれば再放送、多チャンネル、VODなどで視聴機会を最大化して、録画という行為の意味をなくしていくことが権利者、放送局、メーカー、視聴者全員のメリットになるはずだ。

 規制緩和をすべき軸は接触機会の最大化に向けられるべきだ。ネットワーク上のどこかに番組が正規の手続きによって置かれていて、権利者との合意に基づいて公開非公開が決められればよいのだ。そうなれば究極の姿は「コピーネバー」、録画はできなくてもよくなるはずである。

 しかし、「採算」を考えると非現実的です。テレビ番組のタイムシフト視聴及び近時のスペースシフト視聴は、視聴者の側が自ら必要な機器を購入する等して自己負担でやってきたことです。これを放送局が全部自己負担で行おうとすると、かなりの費用負担がかかります。視聴者は、自分が見たい番組だけを録画すればいいし、見終わったらデータを消去すれば済みますが、テレビ局がこれを行うとなれば原則全部の番組を相当長期間にわたって視聴できるようにしておく必要があります。「放送終了後1週間でデータを消去する」なんてことにしたら、大変なことになりそうです。「1週間の海外旅行中に国内で放送されていた連続ドラマ」を見る機会を失ってしまいますから。また、タイムシフト視聴のために従前各家庭のビデオデッキに向かっていたアクセスが、一斉に、テレビ局の提供するVODサーバに向かうわけですから、当該サーバ及びサーバ周りの回線は、同時に数百万、数千万単位のアクセスに対応できるようにする必要があります。

 では、視聴料を別途徴収してシステムの維持費を賄うという選択ができるのかというと、一定期間内に視聴者が支払う再生視聴料が、そのような視聴をするために必要な録画機器等の購入費用を上回るようであれば、視聴者の怒りを買うだけの話です。したがって、2万円足らずでそれなりのビデオデッキが購入できる現状では、家庭内録画を禁止する代わりに提供される有償VODで許される年間視聴料はせいぜい数千円だと思います。それで上記システムにかかる費用を賄い切れるとも思いません。

 しかも、その場合、ビデオ機器メーカーからの広告料収入が途絶えるわけですし。

 したがって、テレビ局内部において経済的合理性を重んずる風潮が仮に強いのだとすれば、タイムシフト視聴については、利用者側で勝手にやってくれる現状をそのままにしておくことになろうかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 07:15 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (5) | TrackBack (0)

07/19/2007

「私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」ではない

 「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」が「コピーワンスの回数制限緩和には私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」との声明を発表したとのニュースが報じられています。

 しかし、ここで問題となっているのは、録画したデータの家庭内における転送回数をどうするのかという問題であって、それが1回から10回になったからといって、テレビ局のスポンサー収入を減少させる機能を有していませんので、「コピーワンスの回数制限緩和には私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」との点は経済的観点からはミスリーディングではないかと思われます。

 純粋に経済的なことを考えるならば、機器メーカー及び消費者の協力を得て、テレビ番組の録画再生視聴率の正確な把握を行うこととし、再生視聴されることがスポンサー料に反映するような仕組み作りをする方が有益なのではないかと思います。また、録画した番組データがネットにアップロードされる問題については、受信された情報がどの機械を経由したのかがデジタルデータに埋め込まれるようにする方式をとるべきなのではないかと思います。その方が手段としてより制限的でないからです。

 もっとも、

緩和の前提に「コンテンツへの尊敬」と「対価の還元」(椎名氏)を挙げており
という記載を見る限り、権利者団体の方々は、コンテンツがユーザーに享受されることをコンテンツに対する侮辱と考えている節があるので、この問題は多分に感情的な問題なのだろうと思います。もちろん、視聴者の側からするとこれは大変な誤解であって、リアルタイムで漫然と視聴するのに比べて当該コンテンツに対する尊敬の念があるからこそ、わざわざ再生視聴をするわけです。そういう意味では、権利者の方々には、「家庭内での複製が行われるということは、それだけ自分の作品が尊敬されている証である」と胸を張っていただきたいと思うのです。

cf.
 man vs himself "The Levy" man vs himself - man Vs Himself - The Levy

Posted by 小倉秀夫 at 08:23 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

07/17/2007

iTunes Storeのアフィリエイトに参加

 iTunes Storeのアフィリエイトに参加することにしました。

 まあ、気に入った楽曲のiTunes Store Japan登録率はそんなに高くないのですが。

Posted by 小倉秀夫 at 05:31 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

07/14/2007

ギルドと政府がいかに癒着しようともギルド特権は自然権とはなり得ない

 すでに述べたとおり、著作権法は、著作物の流通過程に一定の競争制限を加えて超過利潤を取得する機会を著作者等に与えることにより、多くの新しい著作物が創作され人々に享受されることによる文化の発展を図ろうとした、一種のギルド保護法制です。

 公的利益を実現するにあたって、公的部門が直接費用分担をするのではなく、民間部門が公的利益の実現を果たすことを期待して、一定の競争制限を行うことによって一定の民間部門に超過利潤を取得する機会を与えるという手法自体は珍しくはないし、それは一概に否定すべきものでもありません。ただし、ギルドが大きくなり、政治部門との関係が密接になると、ギルドを保護することが自己目的化し、過剰な競争制限が法制化されたり、ギルドに徴税権等の利権がもたらされたりすることになります。

 日本映像ソフト協会の酒井さんから、

 そして、平成4年にはタイムシフトやプレースシフトを含む私的録音録画について、立法府は補償金制度導入を必要と判断しています。

 わが国の立法府は、先生のご見解とは異なる立場で著作権法を作ってきているのではないでしょうか。

とのコメントを頂きました。

 これに対しては、平成4年改正については、著作権ギルドが大きくなりまた政治部門との関係が密接になったことによって一種の徴税権を著作権ギルドに付与したものということができます。そして、政治部門が著作権ギルドに付与した特権がそのギルド保護法制の究極目的からは合理的に説明できないものであった場合に、では、著作権ギルドに付与された一連の特権が「自然権」に転化するかと言えば当然そういうことはなく、単に不適切であり、かつ違憲の疑いがある立法がなされたに過ぎないということになります。

 なお、ジェイムズ1世による専業権付与の濫発に業を煮やした英国議会が国王による専業権の付与を禁止するとともに例外的に新発明について最大14年の専業権の付与を認めた1623年の専売法(Statute of Monopolies)において、「国内においても商品の価格を引き上げたり、取引を妨げたり、あるいはその他いかなる不都合を生ぜしめるなどして、法に反したり、国家に害を与えることがあってはならない。」(翻訳は、石岡克俊先生のものを使用)とされていたのは実に示唆的です。競争制限法としての知的財産権法を、価格の不当な釣り上げや流通の妨害等の、社会に不都合を生ぜしめる方法で活用してはならないということは、英国ではすでに1623年には共通理解が得られていたということができます。2007年の日本ではいかがなものでしょうか。

PS  Les Fatals Picards の"Bernard Lavilliers"はPVを含めてお勧めです。といいますか、この曲のさびの部分は結構耳に残ります。
 また、同じくLes Fatals Picards の"L'amour à la française"は、英仏混合の歌詞ですが、やはり聴いていて面白い曲です(こちらは公式サイトからPVがストリーミング配信を受けることができます。)

Posted by 小倉秀夫 at 07:38 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (7) | TrackBack (0)

07/12/2007

私的使用目的の複製が自由に行える理由

 日本映像ソフト協会の酒井さんから、「そもそもどうして他人の著作物を自由に複製できるのか、の説明をお願いできないでしょうか。」とのご質問を頂きました。

 まず確認しておかなければならないのは、我が国は自由を原則とする国だということです。 ですから、他人の著作物を複製することがこれによって実現される個人の幸福追求権に優越する利益・価値を不当に損なうおそれがある場合に、そのような事態を回避するのに必要やむを得ない範囲内でのみ、他人の著作物を複製することを法令で禁止できるということがむしろ言えます。

 で、他人の著作物をその創作者の許諾なくして複製することを禁止する理由としては、これを自由にさせておくと、複製物の市場価格は、複製物自体の製作・流通コストぎりぎりのところで均衡してしまい、著作物自体の創作コストを複製物の価格に上乗せして投下資本の回収を行うことができなくなってしまい、結果、コストをかけて著作物を創作することができなくなってしまうが、それでは新たな著作物が創作され人々がこれを享受することによりもたらされるはずの文化の発展が阻害されてしまうので、著作物自体の創作コストを回収するためにこれを複製物の価格に上乗せできるようにするために、その複製物を製造・販売についての参入規制を行うこととしたのだというのが一般にあげられます。

 このような伝統的な「インセンティブ論」を前提とするときは、著作権法に基づく競争制限期間は一般に創作コストの回収に必要な期間で足りるといえますし、創作コストを回収するために行われる正規商品の流通を不当に阻害しない行為についてはこれを著作権法で規制することは正当化され得ないということになります(例えば、試作段階の複製・翻案は、明文の規定はありませんが、完成品を流通させる際には必要な権利処理を行うことを予定している場合には、おそらく著作権侵害とはしないのではないかと思います。)。もちろん、司法権が比較的強い米国においては、正規商品の流通を不当に阻害するか否かという判断を司法府が個別の事案に即して行う割合が高く(cf.フェアユース)、他方、立法府が比較的強う日本においては、どのような行為類型について正規商品の流通を不当に阻害するといえるのかを立法府が判断して著作権法の条文に明記する傾向が高いということができます。その一例としていえば、我が国の司法府は、複製物を正規商品の競合商品として市場に流通させることを予定しない複製(私的使用目的の複製)について、複製権の対象から明文で除外しています(30条1項)。

 従って、当初の酒井さんの質問に立ち返ると、他人の著作物を私的使用目的の複製を自由に行うことが許されるのは、それが私的領域にとどまり市場に供出されない場合には、複製物の市場価格を複製物の製作・流通コストぎりぎりまで押し下げる機能を有しないため、複製物の製作・流通コストに著作物自体の創作コストを上乗せした価格を設定することを妨げないから、そのような複製を禁止すべき理由がないからであるということになります。

 例えば、iTunes Storeでダウンロードした楽曲データをiPodに同期させる行為は、音楽CDの市場価格や音楽配信サービスの市場価格をその複製物自体の製作・流通コストぎりぎりまで押し下げる機能を有していないため、むしろ、これを法律で禁止する理由はないし、そのような同期が行われうるからといってiPodを製造・販売するApple社がJASRACやレコード会社に補償金を支払う合理的な理由はないということができます。また、タイムシフト視聴目的でテレビ番組を録画する行為もまた、当該番組に関する広告料を限界利益まで引き下げるものではありませんので、これを規制する合理的な理由はないということになります。

Posted by 小倉秀夫 at 02:05 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

07/10/2007

Preamble

 米国合衆国憲法の前文って「School House Rock」という番組の中で歌われた「Preamble」という歌の歌詞になっているのですね。

 YouTube等で検索をすると、アニメーションつきで映像を見ることができます。実は米国のiTunes Storeでは1.99米ドルを支払うことによりこの映像を購入することができるのですが、iTunes Store Japanでは購入できません。

 今は違法にアップロードされた映像データをダウンロードして個人的に視聴することは合法だから、YouTube等のおかげでこの映像を視聴することができるのですが、将来的には、「この歌を知っている人は違法にアップロードされた映像データをダウンロードしたとしか考えられない」として投獄される日が来るのかもしれません。

 そうなれば、著作権等管理団体としては、著作権や著作隣接権を通じて、日本在住者が聴いて良い音楽と聞いてはいけない音楽とをコントロールすることができるわけで、経済的な利益云々以前に、とても権力欲が満たされることでしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 02:16 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (10) | TrackBack (0)

07/09/2007

私的使用目的の複製によりいかなる経済的不利益が生ずるのかの説明がそもそもないのです。

 IT企業法務研究所の 国時大和さんが、次のようなことを述べています。

 その評価に当たっては、これを肯定又は否定する双方の意見が見られるが、上述の点を踏まえて考えて見れば、次のような見解には納得し得るものがある。

 「三つの調査(総理府調査、三団体及び工業会調査)によれば、録音機器の保有率は、最低66%以上となっており、録音機器は、本来音楽の著作物等を録音・再生するためのも機器であるということを考えあわせると、この事実だけからでも著作権者等の利益が侵害されているものと判断してよいのではないか。」

また、経済的不利益の立証の問題についても、いくつかの考え方が示されているが、次の見解が妥当するように思われる。

 「まず、録音・録画機器の普及により社会全体として大量の著作物や実演等が利用され、権利者がこれによって経済的に不利益を被るであろう可能性ないし蓋然性があれば十分であること、すなわち、経済的不利益をもたらす可能性のある機器が家庭内に普及している事実、例えば、全世帯における機器の普及率が 50%以上になっている程度の立証で十分であり、この状況により権利者の利益が不当に侵害されているものと判断して差し支えない。」

 このように、30条制定当時は民生用の録音機器の普及の程度は低く、現実的に私的使用のための録音の例はそれ程多くはなかったが、その後、録音録画機器の開発が進み、小型化、低廉化した複製機器が家庭内に入り込むことによって、30条に示された要件の適用には捉われずに、「例外的」に定められている自由利用の範囲が肥大化し、その結果、著作権法の目的でもある権利者の報酬を保証するための機能が果たせなくなってきていると判断できるのである。

 しかし、この議論は、録音・録画機器の普及により家庭内での私的録音録画が行われ、それらが累積することにより社会全体として大量の著作物や実演等が複製されることによって、権利者がいかなる経済的な不利益を被る蓋然性があるのかということを、説得的に示していません。そこの説明を抜きにして、「全世帯における機器の普及率が 50%以上になっている程度の立証」をしたところで、「権利者の利益が不当に侵害されているものと判断」されたり、「著作権法の目的でもある権利者の報酬を保証するための機能が果たせなくなってきていると判断」されたりしても、消費者の納得が得られないと言うべきでしょう。

 例えば、家庭用録画機器でのテレビ番組録画の主たる目的は、家庭内でのタイムシフト視聴です。では、仕事が忙しくて月曜日の午後9時までに帰宅することができないOLが月9をビデオに撮って、深夜0時過ぎに帰宅した後にこれを視聴することにより、権利者はいかなる経済的不利益を被るのでしょうか。深夜0時過ぎにしか帰宅できないOLは、家庭用録画機器がなければ、そもそも月9を見るという選択はできなかったのであり、そうなれば、F4層に向けたCMを流すために高い広告費を支払った広告主は却ってそのメインターゲットの一部にCMを見てもらう機会を失っていたはずです。その一方で、家庭用録画機器による録画がなくなることで、その番組を視聴する人がより増えることになる理由というのはどうもなさそうです。もちろん、テレビ番組に関する著作権者にとって「番組を視聴されること=経済的な不利益」ということであれば話は変わってきますが、そうであるならば、少なくともテレビ局が著作権者でもある番組については、番組宣伝をすることをまず控えるべきでしょう。

 あるいは、国時さんがiPodの例を出しているので言及すると、iTunes StoreからPCにダウンロードした音楽データを自分の手持ちのiPodに同期させることにより、権利者はいかなる経済的不利益を新たに被るのでしょうか。経済実態としては、一人の消費者が特定の楽曲を反復して視聴するために対価を支払ってApple社を介して音楽データを入手し、これを用いて当該楽曲を反復して視聴するというだけのことであり、入手した音楽データをiPodに同期するということは、その音楽データを再生するにあたってPCのみならずiPodも使用できるようになったということを意味するに過ぎないのであって、「特定の楽曲を反復して視聴するために対価を支払った人がその楽曲を反復して再生し視聴できる」という以上のことは何も生じさせていません。「iTunes StoreからPCにダウンロードした音楽データを自分の手持ちのiPodに同期させることが禁止されていれば、その消費者は当該楽曲が収録されている音楽CDを正規に購入していたであろう」とはもちろん言えないし、普通に考えれば、「iTunes StoreからPCにダウンロードした音楽データを自分の手持ちのiPodに同期させることが禁止されていれば、多くの消費者はそもそも当該音楽データを対価を支払ってまで「iTunes StoreからPCにダウンロードしよう」とすら思わなかった蓋然性の方が高そうです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (23) | TrackBack (2)

三田さんの要求を満たす著作権法の改正案を考えてみた。

 著作権の保護期間を延長すべきという方の延長すべきとする理由のうち、「欧米に従え」という部分を除くと、著作権法51条2項を次のように改正すれば足りるのではないかという気がします。

2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。本項及び次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。但し、著作権が、著作者(第十五条の規定により著作者とされた法人等を除く。)の遺族(死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう。)のみに引き続き帰属する限りにおいて、著作者の死後七十年を経過するまでの間、存続する。

 これなら、三田さんが時々取り上げる「著作者の死後50年以上生存する遺族」を悲しませる心配はありません。

 もちろん、著作権法53条は据え置きでも、「著作者の死後50年以上生存する遺族」との関係では何の問題もありませんので、構わないはずですね。

Posted by 小倉秀夫 at 01:14 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

07/07/2007

よく聴くNetRadio

 前回のゼミでインターネットラジオのことを扱った関係で、私がよく聴くインターネットラジオを紹介することとします。

 La Grosse Radio (→ こちらのウェブの「ECOUTEZ」の部分をクリックするとアクセス可)。

 英米の定番Rockからフランスのインディーズまで無秩序に送信されるところがすごいです。

 Frequence3 (→ こちらのウェブの「Ecoute」の部分にマウスカーソルをあわせるとプルダウンメニューが現れますので、そこでどの環境で聴くかを決めることができます。)。

 英米仏でそこそこ以上にヒットした曲が次から次へと流れてきます。

 Europe2 Nouvelles Scene (→ こちらから聴くことができます。)

 仏語圏の最新のRock, Popsを聴くことができます。

 Beatles-a-Rama!! (こちらのウェブから、環境を選ぶことができます。)

 Beatlesナンバーやそのカバー楽曲、あるいはBeatlesと同時代の音楽が流れます。

 BBC (こちらのウェブサイトから、いろいろな番組にアクセスできます。)

 ニュースから音楽まで多種多様な番組を聞くことができます。

Posted by 小倉秀夫 at 12:33 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

07/03/2007

BSAによる「違法コピー率」の算定方法

 今年報告された「第4回 BSA&IDC 世界ソフトウェア 違法コピー調査」では、「違法コピー率」の算出方法について、従前の報告書よりは詳細な記述がなされています。

 これによれば、

  1. 当該年度中に使用が開始されたパッケージソフトウェア数を算出
  2. 当該年度中に販売された、ないし合法的に取得されたパッケージソフトウェア数を算出
  3. 1の数字から2の数字を引いて、違法コピーソフトウェア数を算出

 違法コピーソフトウェア数が明らかになれば、インストールされている違法コピーソフトウェアの全体に占める割合である違法コピー率を算定することができます。

とされています(同報告書12頁)。

 すなわち、BSAが考える「違法コピー」には、現在多くのパッケージソフトにおいてメーカー自身も認めている「同時に稼働させない限度での複数台コンピュータへのインストール」はもちろん、「パソコンの買い換え等における旧パソコンで使用していたソフトウェアの新パソコンへのインストール」も含まれることになります。つまり、BSAとしては、「パソコンを買ったら、使用するソフトウェアは全て新規に買い直せ。さもなくばそれは違法コピーだ」と考えていることになります。

 もっとも、ある年にある国にあるパソコンに合計何本のソフトウェアがインストールされたのかについて正確な統計を取るためには、パソコンにソフトウェアをインストールするたびにその情報がどこかの集計センター等に送信される仕組みが必要ですが、そのような仕組みを私たちパソコンユーザーに無断で埋め込むことは西側先進国では概ね許されていません。従って、「該年度中に使用が開始されたパッケージソフトウェア数」については、その数字の根拠が問われます。

 この点について今回の報告書は、

「ハードウェア台数」×「ソフトウェアロード数」=「インストールされたソフトウェア総数」
という算定方法を明示する(13頁)とともに、「ソフトウェアロード数」は、
実態調査、アナリスト予測、在庫調査、その他現地調査の結果を使用するモデルから算出されました
と記載されています。もっとも、現地調査は、全ての国について毎年行われているわけではなく、2006年については21ヶ国で行われたに過ぎないようです。しかも、これらの現地調査の結果をそのままで「ソフトウェアロード数」としているのではなく、現地調査の結果は、「人口統計、コンピュータの高度化、同等国との比較など当該国の多様な統計に基づいて対象国のソフトウェアロード数を算出する際に使用され」谷過ぎないようです(16頁)。

 「現地調査」自体が、「アナリスト予測」のような不確かなもの、「在庫調査」のような「インストールされたソフトウェア総数」との関連が薄そうなものを元に行われている上に、「コンピュータの高度化、同等国との比較」などのような「インストールされたソフトウェア総数」との関連性がよく分からないファクターでその調査結果をさらに修正してしまうのですから、素人目に見ても正確な数字が出そうにないし、この程度の正確さの統計で、違法コピー率が増えたの減ったのといってみてもほとんど意味がないように思えてなりません。

PS.

 こういうジメジメした日は、Amadou & Mariam の Amadou & Mariam - Dimanche ? Bamako - S?n?gal fast food "Senegal Fast Food"なんかがお勧めです。

Posted by 小倉秀夫 at 09:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

07/01/2007

iTSJにJames Blunt登場

 気がついたら、James Bluntの"You're beautiful"がiTunes Store for Japanでもダウンロード可能となっていました。この曲は、日本版のCDが発売される前に目をつけていたのですが、iTunes Store for Japanでのみダウンロードできないという状況が続いていたので、意地でもCDなんか買ってやるものかということで買わずにいたので、ああ待っていて良かったなあと思った次第です。この間、「ビューティフル・ソングス~ココロ デ キク ウタ~」なんていう抱き合わせ販売が成功したので、単品販売が中心のiTunes Store for Japanには来ないのではないかとも心配はしたのですが。なお、James Bluntについていえば、"No Bravery"も良い曲だと思いましたが。

 考えてみれば、このあたりに日本の音楽産業が今ひとつ波に乗れない原因があるのかなあという気がします。このコンピレーションアルバムはなんといっても上記"You're beautiful"とDaniel Powterの"Bad Day"の2曲が売りであって、あとは、「何でこの曲を、いまころ?」という曲を数埋めたという感じの構成です(悪い曲ではないんですが、現時点で顧客訴求力は高くないでしょう。)。 つまり、買う側の感覚としては、"You're beautiful"と"Bad Day"にそれぞれ1000円ずつ出しているような感覚になります(「ビューティフル・ソングス~ココロ デ キク ウタ~」の定価は2630円)。これだと、私の感覚でも「不当に高い」という感じがします。James BluntとDaniel Powterのアルバムを買うよりは安いこともあってそこそこヒットはしましたけど、特にほしくもない歌にお金を払わされれば、妥当な対価を支払ってもほしいと思った他の歌が変えなくなるのが世の習いなので、こういう「抱き合わせ販売強制」型ビジネスモデルというのは、長い目で見れば、消費者の音楽離れを促進させることになるように思います(コンピレーションアルバム自体が悪いといっているのではありません。単体での販売も行った上で、割安なセット販売をするのであれば、それは正当な商行為です。)。

 考えてみれば、商業用レコードに関して私的使用目的の複製はどのような目的で行われるのかというと、第1にメディアシフト目的であり、第2に連続して聴きたい楽曲を集約する目的です。だから、正規商品たる音楽CDを購入した利用者だって、その音楽CDを私的使用目的で複製します。これは、SonyがWalkmanを出荷して以来、「移動時間に音楽を聴く」というライフスタイルが定着したのだから仕方がないことです。

 レコード業界の戦略ミスは、このようなライフスタイルが提案されたときに、これにマッチした商品ないしサービスを提供しなかったことです。そこでは、可搬性の低い媒体を所有することのメリットが低下する一方、どの楽曲とどの楽曲をどの順番で可搬性の高いメディアに集約するのかということにつきイニシアティブを握りたいとの消費者の欲求が高まったのです。しかし、レコード会社は、ユーザーがお金を支払ってでも聴きたい曲とそうでない楽曲を1枚の媒体に収録して楽曲を抱き合わせ販売するという旧来型のビジネスモデルにこだわりすぎました。そのため、CDレンタルや音楽配信(合法、非合法とを問わない)が栄え、楽曲のMD販売等は(可搬性には優れていたのに)あまり普及しませんでした。楽曲のMD販売を行うときに、何をどの順番で収録するのかを(少なくとも特定のレーベルが原盤権を持っている楽曲の中から)顧客が自由に選べる方式が採用されていたら、状況はかなり違っていたかなと思います(同じことをするのに、CDレンタルを活用するより、安上がりとなりますから。)。

Posted by 小倉秀夫 at 12:39 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

ASP型着うたデータ変換サービスと著作権法

 前回のゼミの課題の一部です。「MYUTA」をもう少しASP的にしてみると著作権法上どうなるのかということで、興味のある方は考えてみてください。

 A社は、ユーザーが手持ちのmp3ファイルを着うたとして自分の携帯電話で使用できるようにするために、次のようなサービスを開始した。  

ユーザーがその使用するパソコンに蔵置されたmp3ファイルをインターネット経由でA社のサーバBに送信すると、A社のサーバBは、当該mp3ファイルをRAMに一時的に蓄積した状態で、A社が開発しサーバBにインストールされたコンピュータソフトウェアCの機能により、当該mp3ファイルを3G2形式に変換し、さらに、着うたとして使用できるようにヘッダ情報を2バイトほど書き換えた上で、当該データをインターネット経由で元のパソコンに宛てて送信する。

 A社の上記サービスは、著作権法上問題があるか。

Posted by 小倉秀夫 at 01:06 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)