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09/27/2007

文科省とダウンロード規制と思想統制

 INTERNET Watchの記事によれば、

 なお、YouTubeなどの動画共有サイトを視聴する際には、動画ファイルのキャッシュがPC内のHDDに一時的に保存される。この点についてIT・ジャーナリストの津田大介氏は、「違法ダウンロードが法制化された場合は、キャッシュとして保存することも複製と見なされ、違法行為になってしまうのか」と疑問を示した。
 この質問に対して川瀬氏は、「それが複製にあたるかどうかの知識はない」と前置きした上で、2006年1月に提出された文化審議会著作権分科会報告書の内容を紹介。それによれば、文化審議会著作権分科会に設けられた「法制小委員会」において、仮に現行の著作権法でキャッシュが「複製」と解釈されても、権利制限を加えるべきではないとする見解が示され、法改正事項として挙げられていると答えた。
とのことです。

 現在著作権法の専門家の中で、ハードディスクへのキャッシュを、「一時的蓄積」に過ぎず著作権法上の「複製」にはあたらないとするものは決して多くはなく、むしろ、世渡りのうまい人たちはRAMへの一時的記憶すら著作権法上の「複製」に含めるべきであるとの強く主張しています。従って、違法にアップロードされた著作物を受信して複製する行為について著作権法30条1項から除外した場合には、YouTubeの画像を視聴したに過ぎない人々も、ハードディスクにキャッシュを保存したことにより、あるいは、RAMにデータを一時的に記憶させたことにより、複製権侵害に当たるとされる虞が十分にあります。

 文化庁の川瀬氏は「それが複製にあたるかどうかの知識はない」としていますが、文化庁の著作権課の官僚さんが一時的蓄積に関する学説の状況を知らないとはにわかに信じがたいです。その上で、「仮に現行の著作権法でキャッシュが「複製」と解釈されても、権利制限を加えるべきではない」としているのは、裁判所が少なくともディスク上へのキャッシュについては裁判所がこれを著作権法上の「複製」とする可能性がそれなりに高く、その場合にはYouTubeでの動画視聴が違法とされることになることを十分に知りつつも、その場合には、これを適法なものとするような法改正は行わず、日本ではYouTubeの視聴自体をずっと違法なものということにしておきますよという趣旨ではないかと思います。

 YouTubeの視聴自体を違法なものとしておくことに成功すれば、JARSAC等の著作権管理団体に権利行使をさせることにより、日本在住者をかなりの程度「情報鎖国」状態に置くことができます。ベルリンの壁が壊れるにあたっては、西ヨーロッパのテレビ局やラジオ局等が放送する内容を東ヨーロッパの人たちが受信し、西ヨーロッパの真の姿を知ることができたことが大きかったわけですが、今後の日本は、西側諸国のメディアで報道された内容を、YouTube等を介して知ることが許されなくなることでしょう。

 また、JARSAC等に権利行使をさせれば、普通の家庭の普通のコンピュータについて訴訟前の証拠保全を掛けて、そのハードディスクの中身を調べることも可能となるかもしれません(といいますか、それができないとすると、どうやって違法受信者を摘発するのでしょうか。)。文科省の外局である文化庁が所管する社団法人であるJASRACが、一般市民の思想調査を行うことができることになります(なお、証拠保全で入手した情報については、特段の秘密保持義務を負いませんので、JASRACが行った証拠保全の結果、日本国政府に都合の悪い海外メディアの情報を視聴していた個人の情報をJASRACが文科省に報告することはとりあえず可能です。)。文科省は、日の丸君が代問題でも知られているとおり、思想調査・思想統制が好きな官庁ですので、そういう官庁に思想調査の道具を与えても大丈夫なのかいなという危惧がないわけでもありません。

 杞憂なら良いのですが、ダウンロード者規制なんていう経済的に割の合わないものを、なぜそこまでして推進するのかということを、疑って係る必要はあるのではないかという気もしたりします。

Posted by 小倉秀夫 at 02:03 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (6) | TrackBack (2)

09/22/2007

著作権政策形成過程の分析

阪大法学 57(2) [2007.7.31発行]の

著作権政策形成過程の分析(一)
—利益団体,審議会,官庁の行動による法改正メカニズムの説明—・・・・・京 俊介
はなんとなく面白うそうです。未入手ですが。

Posted by 小倉秀夫 at 11:31 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

09/21/2007

Johnのソロ楽曲

 John Lennonの楽曲がいまやiTunes Store for Japanでダウンロードできます。

 Johnのソロ作品の中で何が一番好きなのかという点に関しては、年を重ねるごとに変遷があったように思います。若いころは、New York City(→ John Lennon - John Lennon - Live In New York City - New York City )とかのボーカルの力強さに憧れますし(The Beatles時代のJohnのボーカルには遠く及ばないにせよ)、本来家庭を築くべき歳になるとGrow Old With Me(→ John Lennon - Milk and Honey - Grow Old With Me )のようなシンプルでロマンティックなものに惹かれます。段々年をとってくると、Menlove Ave.版のNobody Loves You (When You're Down and Out)(→ John Lennon - Menlove Ave. - Nobody Loves You (When You're Down and Out) )のような悟りを開きそうで藻掻いているような楽曲に親近感を抱きます。

Posted by 小倉秀夫 at 01:37 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

09/15/2007

Pas Maintenant

 ずいぶん前に発注していたMademoiselle Kの"Ça Me Vexe"と、Axelle Redの"Face A - Face B"、Blood Red Shoesの"I'll Be Your Eyes"が、HMV Japanから送られてきました。

 これらはいずれも、iTunes Store for Franceではダウンロードできるのですが、iTunes Store for Japanでは、かろうじてMademoiselle Kのアルバムの表題曲である"Ça Me Vexe "(→ Mademoiselle K - Et si on arr?tait d'?couter de la soupe - 2007 - Ça me vexe )が、コンピレーションアルバム(→ Mademoiselle K - Et si on arr?tait d'?couter de la soupe - 2007 )収録曲としてダウンロードできるに止まります。

 Axelle Red の"Pas Maintenant"なんて、本当に人の心を打つ名曲なのに、YouTube等を利用しなければおいそれとは聴けないとは、残念です。

Posted by 小倉秀夫 at 12:17 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

09/12/2007

流しっぱなしのテレビを検証できた時代は短くて

 ジャーナリストの江川紹子さんが、「刑事弁護を考える〜光市母子殺害事件をめぐって」というエントリーで、次のように述べています。

 ……という報道を見て、インターネットで探したら、問題の番組を見ることができた。
 不二家を巡る「朝ズバ」でのみのもんたが話題になって時も、ネットでオンエアビデオを確認したが、こういう場合は画質はどうでもいいから、発言者の表情や声のトーン、スタジオの雰囲気が確認できるのは本当にありがたい。
 図書館に行けばいくらでも過去の記事を見ることができる新聞と違って、テレビは流しっぱなしで検証できない(させない)という難点があったが、インターネットのお陰で、ほんの一部は検証が可能になった。非常にいいことだと思う。

 しかし、そんな時代はもうすぐ終わるかもしれません。違法にアップロードされた著作物等をダウンロードする行為は、私的使用目的であっても、違法としようという著作権法の改正案が可決・成立すると、「ネットでオンエアビデオを確認」する行為自体が違法となるからです。この法改正がなされると、テレビ局としては、著作権法を笠に着て、流しっぱなしで検証させないことが可能となるおそれがあります。とりわけ、当該テレビ番組の放送対象地域外の者が当該テレビ番組の内容を批判的に評価した場合には、どのようにして当該テレビ番組の番組内容を知ったかを問いただした上で、仮に違法にアップロードされたものをダウンロードして視聴したことを批判者が認めた場合にはこの者を刑事告訴し、内容を又聞きしただけだとのことでしたら、又聞きのみで内容を批判する不誠実さをあげつらえばよいということになります。

 もちろん、レコード輸入権の時とは異なり、今は参議院は野党が過半数を占めているので、違法にアップロードされた著作物等をダウンロードする行為を違法化する著作権法案は与党政治家や政府等に対する批判の公開を封じるために活用され得る恐ろしい法案であることを、野党各党に示して理解を促すことが、そのような法案の可決成立を阻止する機能を有する可能性が大きくなってきています。文化審議会での議論の流れを見ただけで悲観し絶望してしまうのは、諦めが早すぎとも言えそうです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:12 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (4) | TrackBack (0)

09/10/2007

ゼミ合宿 in 2007

 9月8日から10日まで、札幌までゼミ合宿に行ってきました。

 学部のゼミの合宿ですから、レクリエーションの方が多いのですが、メインの行事としては、一定の立法提言について、肯定派と否定派に分かれて、競技ディベートを行ってもらいました。

 その際のテーマは、下記のとおりです。

テーマ1

映画の著作物に関する著作権を除く著作権の保護期間は、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。)五十年を経過をし、かつ、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまで、とする法改正を行うべきである。

テーマ2

「商業用レコードが最初に販売された日から六月を経過した場合において、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て当該商業用レコードに録音されている実演を録音してこれを送信可能化しようとする者は、当該実演につき第九十二条第一項に規定する権利を有する者又は第九十六条の二に規定する権利を有する者に対し送信可能化(送信可能化の手段として行う公衆送信用記録媒体への録音を含む。以下同じ。)の許諾につき協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を裁定の対象である権利を有する者に支払つて、当該送信可能化をすることができる。」とする法改正を行うべきである。

テーマ3

 「著作権者による著作物の利用の許諾が公正証書その他の文書により行われたときは、著作権者の許諾に係る著作物を利用する権利は、当該許諾の後に著作権の譲渡を受けた者に対しても対抗することができる」とする法改正を行うべきである。

Posted by 小倉秀夫 at 09:54 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)