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10/01/2007

違法複製物のダウンロードを規制する法律案の効果

 現行の著作権法第30条第1項は、私的使用目的の複製であるにもかかわらず複製権侵害が成立する場合として、

  1. 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合
  2. 技術的保護手段の回避により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
の2つの場合を列挙しています。

 では、私的使用目的で「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製 」したとして損害賠償請求をされた事例があるか、あるいは、「技術的保護手段の回避により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行 」ったとして損害賠償請求をされた事例があるかというと、そのような話は未だ聞いたことがありません。「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」を拡大解釈してオンラインストレージサーバまで含めてしまうならばともかく、当初予定されていたような貸しレコード屋等に設置された高速ダビング機のようなものに関していえば、そのような機器を用いて私的使用目的の複製を行ったものを探し出して訴訟を提起することは手間と費用がかかり、予想される賠償額との関係で割に合わないからです。技術的保護手段の回避により可能となった複製を、その事実を知りながら行ったものを探し出して損害賠償請求を行う場合も同様です。

 では、これらの行為を違法な複製行為としたのはなぜかというと、前者についていえば、むしろ自動複製機器を設置して利用者に私的複製物の作成を許している業者を取り締まりたかったからであり、後者についていえば、技術的保護手段回避専用装置の譲渡等を行う業者を取り締まりたかったからです。とはいえ、適法行為の幇助行為を違法行為と規定するのは法技術的には好ましくないので、これらの機器・装置を利用した私的使用目的の複製を違法とした上で、これらの機器・装置の提供者を警察権力を用いて取り締まれるように刑事罰を用意したのです。そういう意味では、これらの機器・装置を利用して私的使用目的の複製を行う個人を積極的に取り締まる意図は最初からなかったということができます。

 違法にアップロードされた著作物のダウンロードを違法化しようという文化庁の狙いがこれらとは全く異なることは明らかです。そのような法改正をしなくとも著作物の無許諾アップロードはそもそも違法なものとして規定されていますし、違法にアップロードされた著作物の ダウンロードに専ら用いられる装置・プログラムなんて取り締まろうにもそもそもそんなものは殆どありません。したがって、今回文化庁が狙っている改正についていえば、そのような私的使用目的を行っている個人をやり玉に挙げて取り締まるのでなければ、改正する意味がないということになります。そういう意味では、従前の例外規定とは異なり、「違法にアップロードされた著作物のダウンロード については、私的使用目的でなされたものであっても、刑事罰の対象とせよ」ということに遠からずなっていくのだと思います。


Posted by 小倉秀夫 at 12:45 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Commentaires

そんなせちがらい世の中になっていくのも、匿名性をいいことにコンテンツを不正にアップロードしている輩がいるからですね。IDトレーサビリティを機能させて、どんどん不法投稿者を取り締まり、不正投稿が壊滅できれば、ダウンロード違法化なんて必要ないですね。

Rédigé par: mohno | le 10/01/2007 à 12:50

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