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12/31/2007

2007年の私的Best10

 2007年に入手した楽曲での私的なベスト10です。

 これらの楽曲に出会ったきっかけの多くはInternet Radioのお陰ですし、楽曲を購入するにあたっては、公式サイトやTF1のサイトでPVをフル視聴させてくださるものの他は、YouTubeやDailymotionなどを利用させていただきました。

 「違法サイトからのダウンロード」を違法化すれば、日本のレコード会社が国内での販売権を押さえておらず従って日本国内向けのプロモーションを行っていない楽曲に、インターネットを通じて触れること自体が違法になるかもしれませんが、では、そのことによって海外の優れた楽曲を購入するために費やしてきたお金を邦楽の購入に振り向けるかというと、そういうこともないのではないかという気がします。


1Mademoiselle KÇa me vexeMademoiselle K - Et si on arr?tait d'?couter de la soupe - 2007 - ?a me vexe
2KwalExiléKwal - L? o? j'habite - Exil?
3MIKAGrace KellyMIKA - Grace Kelly - Single - Grace Kelly
4Bob Sinclar featuring Gary Pine & DollarmanSound of FreedomBob Sinclar featuring Gary Pine & Dollarman - Soundz of Freedom - My Ultimate Summer of Love Mix - Sound of Freedom (Featuring Gary Pine & Dollarman)
5ZazieJe suis un hommeZazie - Totem - Je suis un homme
6Magic SystemKi Dit Mié Magic System - Ki Dit Mie - Ki Dit Mi?
7Sean KingstonBeautiful Girls
8Vanessa HudgensWHATEVER WILL BEVanessa Hudgens - V - WHATEVER WILL BE
9RazorlightAmericaRazorlight - Razorlight - America
10The HollowaysDancefloorThe Holloways - So This Is Great Britain? ソー・ディス・イズ・グレイト・ブリテン? - Dancefloor

Posted by 小倉秀夫 at 12:25 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

知財分野では、訴え提起前の証拠保全は結構活用されている

 私的使用目的のダウンロード行為の違法化を推進したい人たちは、匿名での印象操作に忙しいようです。

 例えば、

しかし,そもそも,証拠保全の危険は,現在においても,現行著作権法に違反していると疑われる場合に存するのであり,他方,現在,各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われたという例は,あまり聞かない。

 法律論として,問題のファイルが当該PC上に存するという疎明が必要であるという問題もあるし,実際上,裁判所の運用の問題も関係しよう。

との指摘があります。

 現在,各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われたという例は,あまり聞かないのは当然です。現行法では、各家庭でのPC端末へのコンテンツのダウンロードは原則適法だからです。文化庁の狙いはこれを違法化することにありますから、これが実現した暁には、各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われない理由はありません。

 現在、PC端末の中身を確認する証拠保全は、企業内でのライセンス本数超インストールの疑いを持たれたときにBSAの加盟企業の申立てによりなされる例が頻発しています。その際に「問題のファイルが当該PC上に存する」ということについて確度の高い疎明を要求しているのかといえば、そうでもありません。また、「プライバシーや企業秘密が侵される」などの理由で証拠保全を拒絶できているかといえば、そういうことでもありません。

 企業内でのソフトウェアのインストールの場合、どのソフトが計何本インストールされているかが分かれば、あとは企業側に正規のライセンス本数を主張・立証させることで、超過インストール本数を算定することができますから、操作ログまで取得する必要はありません。しかし、個人のPC内のmp3ファイルについていえば、違法サイトからのダウンロード以外に、正規に購入したCDからリッピングしたものや、レンタルショップや友人から借りてきたCDからリッピングしてきたもの等があり得るのであり、正規にライセンスを受けたことを複製物の保有者が主張・立証できなければそれは違法サイトからダウンロードしてきたものである蓋然性が高いとは言えそうにありません。とすれば、操作ログの取得等まで裁判所が認める可能性がないとは言い切れません。

Posted by 小倉秀夫 at 02:07 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/29/2007

権利者は「アナウンス効果」では満足しそうにない

 「私的録音録画小委員会中間整理に関する意見募集の結果について」を見る限り、文化庁は、私のパブリックコメントをまとめの中に反映させるおつもりはないように思われます。

 それはともかく、このまとめを見ると、権利者団体の本音が分かります。

 例えば、日本俳優連合会は、既に違法行為助長に対する抑止力として、早急に罰則規定を法定すべきであると要請しています(同様に、罰則の適用を除外することには反対するものとして、日本国際映画著作権協会。)。

 罰則までは望まないにしても、当該利用行為が著作権法第30条の適用外となった後における違法複製を把握するための方法や、その撲滅・防止の具体的な方法については、今後の議論において十分な配慮を願う(日本音楽著作権協会)や違法な録音録画物や違法サイトからの私的録音録画を30条から除外し、権利者が権利を主張できるよう法律上の措置を講ずるべき(日本経済団体連合会知的財産委員会企画部会)としており、権利者たちは、「アナウンス効果」で満足するつもりはないようです。

 ところで、 当該利用行為が著作権法第30条の適用外となった後における違法複製を把握するための方法として、どのように「配慮」をして欲しいと日本音楽著作権協会は願っているのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 04:47 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

12/25/2007

私的ダウンロード違法化の問題点

 私的ダウンロード違法化の問題点という資料を作成してみました(作成自体はkeynoteを用いましたが、どうせMac Userにしか通用しないので、pdf化したものをアップロードしてあります。)。

Posted by 小倉秀夫 at 07:49 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (8) | TrackBack (3)

12/23/2007

ペンギンが踊るクリスマス

 文化庁のお陰ですっかりぎすぎすした年末ですが、クリスマスくらいはPigooのNoël Collectionでも見て楽しく過ごしてみたらいかがでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 12:52 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

より簡便で他害的でない方法を利用しない理由は?

 違法サイトからのダウンロード行為の違法化というのは、違法サイトの開設者への権利行使が功を奏しないという事実が大前提であり、ダウンローダーへの権利行使は功を奏するはずだという合理的予測が小前提となるはずです。

 しかしながら、著作権管理団体が違法サイトの開設者に対する権利行使をどの程度試みたのかというと、私が知る範囲内ではお寒い限りだということができます。WinMXユーザーについての発信者情報開示請求訴訟をレコード会社が提起したという報道はないわけではありませんが、この記事によれば、この記事が作成された2006年05月16日の時点で15人分しか発信者情報開示請求を受けていないわけであって、RIAAと比べて桁が2つから3つくらい違うといった感じです。

 Winnyについても、開発者についての刑事事件の地裁判決の事実認定が正しいならば調査機関の直近の転送者がアップローダーである蓋然性は非常に高いわけですし、仮に問題のファイル自体は知らないうちに「キャッシュ」されたものであったとしてもWinnyを使っている時点で過失があるわけですから、直近の転送者を相手に損害賠償請求でもかけられるはずなのに、Winnyのエンドユーザーについてレコード会社等が発信者情報開示請求を行ったというニュースに接した記憶がありません。

 アップローダーに対する権利行使は、アップローダーが不特定人に公開している情報を元に行使することが可能(ファイル共有ソフトの利用者は、匿名プロクシーを使用していないことが経験上多いので、名誉毀損系よりは発信者を簡便に突き止められる蓋然性は高いです。)ですが、ダウンローダーに対する権利行使は被疑ダウンローダーのパソコンを証拠保全等により「丸裸」にしなければ困難です。それなのに、著作権関連諸団体は、比較的簡単で、かつ、相手のプライバシーを侵害する度合いの低い前者をまともに行使してすらいないのに、比較的困難で、かつ、相手のプライバシーを完全に蹂躙する後者の権利行使をさせろと声高に主張するのはなぜなのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 03:15 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/22/2007

カナダからの知らせ

 Etan Vlessing氏のCanada delays copyright amendmentという記事によれば、カナダ政府は、2007年12月11日、消費者側の草の根反対運動に答えて、予定されていた著作権法改正案の議会への提出を延期する旨表明したそうです。

 その前の週に、何千もの手紙や電話で、全員の必要を満たすような、そして、教育や、消費者の権利、プライバシーや表現の自由を不当に害さないようなバランスのとれた著作権政策を採用するように迫ったということで、これが功を奏したということのようです。

 オタワ大学でインターネット及び電子商取引法を担当するMichael Geist教授のCopyright Delay Demonstrates the Power of Facebookによると、消費者たちがそのような反対運動を実践するにあたってはFacebookが活用されたとのことで、SNSがまさにSocialな力を持つ、2000年代型の消費者運動の幕開けを感じさせます。

 で、カナダでできたことが日本でできない道理はありませんね。

Posted by 小倉秀夫 at 06:05 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/21/2007

2割 対 10割

 今週のオリコンシングルBest10のうち、iTunes Store for Japanでダウンロードできるのは何曲あるでしょうか。

 正解は2曲(BoAの LOSE YOUR MIND feat.Yutaka Furukawa from DOPING PANDA(6位)と、 清木場俊介のSAKURA(9位))です。

 これに対し、今週のBillboardのSingle Top10のうち、iTunes Store for USAでダウンロードできるのは何曲あるでしょうか。

 正解は10曲です。

 日本の有料音楽配信が栄えない原因は、まずここにあります。

Posted by 小倉秀夫 at 02:08 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/20/2007

ロビーの準備への協力のお願い

 著作権法第30条改正問題について今後与野党に働きかけるにあたっては事前の準備が必要ですが、それを私1人でやるのは荷が重すぎます。つきましては、有志の皆様にも、いろいろと手伝っていただきたいことがあります。

  •  この改正案の問題点を視覚的に理解できるようなプレゼン資料を作成してくださる方がおられると嬉しいです。私は、言葉の世界で生きてきたこともあって、これを視覚化するという作業がとても苦手です。A4で3枚程度にコンパクトに収まるような資料をどなたか作成していただけないでしょうか。
  •  現在の日本の有料音楽配信がこのレベルに止まっている理由が「違法サイトからのダウンロード」以外にあることを示す資料の収集に協力してくださる方がおられると嬉しいです。米国のiTunes Storeと日本のiTunes Storeとのカタログの違いの解析、米国の iTunes Storeで配信されているコンテンツが日本のiTunes Storeで配信されることを拒んでいるのは誰なのかを探る関係者インタビュー、私たち消費者がコンテンツのために支払ったお金は誰がどれだけ収受することになるのかを関係者のインタビューを踏まえて利用態様(パッケージ購入、レンタル、PC配信、形態配信等)ごとに図示等々です。消費者を悪者にする分には権利者団体は纏まることができるので、どうしてもいろいろな権利者団体が集まって方向を決める文化審議会では消費者悪玉論に基づく法改正が提案されがちですが、権利者団体にとって不都合な事実を含めて現状をまず認識しなければ、「創作のサイクル」を維持・発展させていくことなど期待できません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:12 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (3)

12/19/2007

はじめの一歩

 私が個人的に面識のある民主党の川内博史議員と公明党の山口那津男議員に、それぞれの党の知財政策担当者とユーザー代表との意見交換の場を設けていただけないか要請する電子メールを出してみました。

 もしOKの返事が出ましたら、ご協力の程お願いいたします。

Posted by 小倉秀夫 at 01:33 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

川瀬室長はオープンすぎます

 ITMediaの記事によれば、文化庁の川瀬室長はこのようなことをいっているのだそうです。

また法執行の面でも、ユーザーの一方的な不利益にはなりにくいと説く。「仮に、権利者が違法サイトからダウンロードしたユーザーに対して民事訴訟をするとしても、立証責任は権利者側にある。権利者は実務上、利用者に警告した上で、それでも違法行為が続けば法的措置に踏み切ることになる。ユーザーが著しく不安定な立場に置かれる、ということはない」などとする。

 これは不思議な発言です。特定の利用者が違法サイトから音楽ファイルをダウンロードしているかどうかを知る術は著作権者側にはないはずです。これはダウンローダーの氏名・住所が分からないというレベルではなく、ダウンローダーのIPアドレス等すら分からないわけで、「権利者がまず利用者に警告する」ということ自体が不可能です。

 他方、確かに著作権侵害に基づく損害賠償請求訴訟において侵害行為を行ったか否かについての立証責任は権利者側にあるわけですが、では、利用者側は白を切り通せば賠償義務を負わされないから著しく不安定な立場に置かれることはないということを規制立法を作る側が言ってしまうのはいかがなものかと思うし、実際そんな簡単な話なのかというとそうではありません。我が国の民事訴訟法は、訴訟提起前に証拠保全手続きを行うことを認めており(実際、医療過誤訴訟等において広く活用されています。)、著作権者側から「あいつは違法ダウンロードをしているに違いがない」と目をつけられたが最後、著作権者の訴訟代理人と裁判所の職員が自宅にわっと尋ねてきて、私たちの使用しているパソコンのハードディスクに記録されているデータ(パソコンの操作ログを含む)の全てを複写していく可能性だって十分あります(それ以外に、違法ダウンロードをしたということを立証する手段はないのですから、裁判所がその種の証拠保全を認める可能性はなくはないです。。)。

 訴訟前の証拠保全として認められなかったとしても、著作権者から あいつは違法ダウンロードをしているに違いがない」と目をつけられた、とりあえず訴訟を提起された上で、著作権法114条の3第4項により準用される同第1項により、私たちが使用しているパソコンを検証物として提出するように命じられるかもしれません。

 結局のところ、JASRAC等の著作権者等に、自分のパソコンのハードディスクにどのようなデータが保存されており、また、自分がどのサイトにアクセスしているのかということをまるまる知られることになってしまいます。それでも「ユーザーが著しく不安定な立場に置かれる、ということはない」といわれてしまうと、川瀬室長はどれだけ普段オープンに生きておられるのか知りたくなってしまいます。

Posted by 小倉秀夫 at 12:26 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (6) | TrackBack (1)

12/18/2007

「テレビ局のコンテンツのネット流通が増えないのは、実演家(著作隣接権者)の許諾を得られないから」なんて主張してる?

 エイベックス取締役の岸博幸さんは次のようなことを仰っています。

 例えば、「テレビ局のコンテンツのネット流通が増えないのは、実演家(著作隣接権者)の許諾を得られないから」といった主張がある。

 しかし、私は寡聞にしてそのような主張のあることを知りません。少なくとも局制作のテレビについていえば、番組を制作する段階で、制作した番組をネット流通させることを前提とした出演契約を結べば済むだけのことだからです。現在、アニメやドラマやお笑い系のバラエティなどに関して、番組を制作する段階で、制作した番組をDVD化して販売することを前提とした契約を結んでいるわけですから、別にできないわけではありません。

 むしろ、ネット流通に関してしばしば聞くのは、「商業音楽コンテンツのネット流通が増えないのは、レコード製作者(著作隣接権者)の許諾を得られないから」という主張です。少なくとも商業的な有料音楽配信サービスの大部分は「違法コピーが防止される一方で露出と収入を増大させられる」ものであるにもかかわらず、未だ有料音楽配信サービスを拒否するレコード製作者が少なくないというのが現実です。

 また、

日本ではネット上に流通させても、コンテンツを作る側が受け取る報酬は米国と比較して少ないと聞いている
とのことですが、本当でしょうか。iTunes Storeについていえば、米国の主流は1曲99セント。で、レコード会社の取り分は70セントだといわれています。これに対し、クリエイターへの「思いやり」が強制されている日本では1曲150円〜200円。70〜120円のお金はどこに消えているのでしょうか

Posted by 小倉秀夫 at 08:14 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

嗤っている暇などない

 ITmediaの「ダウンロード違法化」不可避にという記事についてのはてなブックマークコメントを見て思うのは、みなさん、結構諦めが早いなあということです。

 「著作権法は、文化庁で作っているのではない。国会で作っているのだ!」という原則論に立ち戻れば、まだまだ諦めたり嗤って自分を慰めるには早すぎることは明らかです。何たって、この間の衆議院議員選挙のお陰で、自民党か民主党のどちらか一方を味方につけることができれば、悪法の通過を阻止できるのです。

 そして、国会議員の著作権法についての意識が低かったレコード輸入権創設時と異なり、著作権関連団体の顔色ばかりを伺った法改正を推進することは多くの有権者を敵に回すことに繋がりかねないとの意識は、与野党の議員やそのスタッフの記憶にまだ残っているはずです。

 著作権関連団体と文化庁と政治家の関係を嗤うのは闘えるだけ闘って万策尽きてからでも間に合います。一有権者として政治家に要求し、団結してまた政治家に要求する。──これは、民主主義社会において自分たちの利益を法なり政策なり予算なりに反映させるための基本的作業であり、全く恥ずべき事ではありません。選挙による洗礼を受けない官僚が天下り先を用意できる著作権関連団体の顔色ばかりを伺うのであれば、私たちは、選挙による洗礼を受ける国会議員に、「こっちを向く」ように働きかけていくことが肝要です。

Posted by 小倉秀夫 at 07:12 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (4)

12/17/2007

角川歴彦さんの誤解

 角川歴彦さんの最大の誤解は、エンドユーザーによる著作物の享受を「著作物の利用」に含めている点にあります。しかし、歴史的にも、比較法的にも、あるいは国際条約との関係でも、著作物を享受すること自体は著作物の「利用」に含まれていません。'エンドユーザーが著作物を享受をしたことについて著作権者等に利益還元を行わない'という状況は、著作権システムとしてはそもそも正常なのです。例えば、書籍を借りて読んだ場合に、少なくとも借主は、営利目的であったか否かを問わず、その書籍を読んだことによる利益の一部を著作権者に還元などしてこなかったわけです。

 近年、エンドユーザーが著作物を享受する際に、著作物を自己使用目的で複製することが広く行われるようになりましたが、これとて、社会経済的に見ると、エンドユーザーによる著作物の享受の一態様でしかないので、そのことについて著作権者等に利益還元を行わないということは、著作権システムとしては正常の範囲にあると見ることが可能です。形式的に「複製」が行われているにせよ、その「複製」は頒布行為の予備的行為としての複製とは性質が異なるのです。その意味において、インターネットによる配信を「三次利用」と位置づけ、映像を閲覧したユーザーから、視聴料金とは別に料金を徴収する権利として「閲覧権」を創設せよとする 角川さんのご提唱こそ、従来的な著作権の概念を覆すものであるといえます。

 最もいけないことは、著作者がコンテンツの創作意欲をなくすことであるとしても、そのために、著作権システムとしてはいびつな料金徴収を行うことが果たして適切なのか、ということは大いに問題です。むしろ、「著作者がコンテンツの創作意欲をなく」さないようにするためには、出版社等の中間業者が、印税率等を引き上げたり、契約で必要以上に著作者の権利を吸い上げることをやめたりすることの方が先決なのではないかと思います。折角書籍について貸与権を創設しても、貸与権を有しない出版社がライセンス料の大半をせしめてしまうようでは、エンドユーザー側の譲歩は「著作者がコンテンツの創作意欲をなく」さないようにすることに貢献しないのです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:36 AM dans D'autre problème de droite | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/16/2007

ライブの復権とネットとレコード会社

 池田信夫先生のblogの「ネットはクリエイターの敵か」というエントリーのコメント欄では、レコーディングにかけるコストについての議論が行われていました。

 もちろん、技術の進展により機材等の価格が劇的に低下したとはいえ、一定以上の水準の機材を備えているスタジオを借りてレコーディングを行うには、ある程度のスタジオ使用料は支払わなければいけないわけで、そういう意味では、それなりのレコーディングコストは現在でも不可避だということはいいうるでしょう。ただし、そのようなレコーディングスタジオを借りる日数は、想定される売上げに合わせて、増減させることができます。The BeatlesのPlease Please Meがそうであったように、数時間のレコーディングで1枚のアルバムを作り上げることは可能です。

 確かに、それは今の日本では多分に非現実的です。というのも、The Beatlesの場合は、メジャーデビュー前に膨大な数のライブをこなしており、スタジオ入りしてから念入りに練習する必要もありませんでしたし、1曲演奏するのに何テークも費やす必要もありませんでしたし、パートごとに別収録する必要もありませんでした。今の日本のアーティストでそんなことができるのはごく一握りです。しかし、長時間のレコーディングと機械的な修正・編集によりレコード会社が作り上げた音源については、様々な流通経路(正規CDの新品販売だけでなく、CDレンタルや中古売買、合法・非合法の音楽配信等)が既にあり、正規CDの価格について独占的に価格を引き上げられる環境ではなくなってしまっています。また、CDの次世代を担うパッケージメディアであるDVDでは、前述のレコード会社が作り上げた音源よりは、特定のライブ会場においてアーティストが一瞬のうちに作り上げた音源が好まれます。また、アーティスト側も、レコード会社による搾取の大きいパッケージより、レコード会社の搾取の及ばないライブを収益の柱としていこうという意志が垣間見られるようになっています(Princeの1件は、その嚆矢といえましょう。)。すると、いずれにせよ長時間スタジオを借りなければレコーディングもままならないようなアーティストはいずれ淘汰されるようになるのではないかという気がします。

 そうなると、レコード会社はどのような役割を担うようになるのでしょうか。私は、特段レコード会社不要論に立つものではありませんが、とはいえ、アーティストの発掘、育成、プロモーションについでの主導権が、レコード会社からプロダクションに移行していく可能性は十分にあるとは思います。収益の核がパッケージからライブに移行すると、ライブでの収益の分配に預かることのできないレコード会社は投資のインセンティブを失っていくからです。もちろん、レコード会社が自社又は子会社を音楽出版社としてそのアーティストが実演する楽曲の著作権を管理することによりライブでの収益の分配に預かることも不可能ではないでしょうが、自作自演系のアーティストについていえば、自社系列の音楽出版社に著作権を管理させろと要求するレコード会社は回避しようということになっていくのではないかとも思います。

 あとは、メジャーレーベルが持つラベリング機能が、Web2.0時代にどの程度生き残るのかというところです。ただ、欧米の例を見ると、「目利き」的な機能こそ、ネットがレコード会社を凌駕してしまう部分なのです(Kaminiなど典型ですが。)。

Posted by 小倉秀夫 at 07:35 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

Casse comme du verre

 現役のフランス人歌手で最も美形ではないかと思っているPriscillaのアルバムUne fille comme moiが知らない間にiTunes Store for Japanでダウンロード可能になっていました(→ Priscilla - Une fille comme moi )。この種のアイドル歌手の場合、ソングライター陣を含む裏方さんの力量が試されるのですが、Priscillaはその意味ではずっと恵まれてきています。Jalousie(→ Priscilla - Jalousie - EP - Jalousie )やToujours pas d'amour(→ Priscilla - Une fille comme moi - Toujours pas d'amour )などのダンサブルな作品から、Toi c'est moi...(→ Priscilla - Une fille comme moi - Toi c'est moi... )のようなメロディアスな作品まで揃っていて、おすすめです。もちろん、音楽配信ではなくCDを購入した方がジャケット写真等が入手できる分お得ではあるのですが、日本のレコードショップの「フランス」コーナーを探しても、Priscillaのような「現在人気のあるアイドル」のCDはまず置いてありませんので、CDを買うためにはオンライン通販頼みということにならざるを得ません(私は、わざわざAmazon.frを使って購入しました。)。それにしても、いつまで「昔人気のあったアイドル」の作品を置き続けるのでしょうか?>日本のレコードショップの「フランス」コーナー。

 もっともフランスメディアでは、PriscillaのNew AlbumCasse comme du verreの話題で持ちきりです(「持ちきり」というのはちょっと言い過ぎかも。)。バラエティ番組に出て、下らないインタビューやらコメディアンの異常行動につきあって、アルバムの宣伝をしてもらうというのは、日本と同じですね。Chanteについては Priscillaの公式サイトでプロモーションビデオがフル視聴できます(こちらにアクセスして、「Vidéo」という部分をクリックすると見れます。)が、なかなかかっこいい仕上がりになっています。

Posted by 小倉秀夫 at 12:29 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/06/2007

流通であることと不要であることは結びつかない

「レコード会社が流通でしかない」とか言う話って、鏡に映った自分の顔もよく見えないぐらいぼんやりした二日酔い頭で書いたのか、レコード会社不要論のために単純化したおもしろ話か、どちらかだとしか思えない。
なんて言い方をされてしまっているようです。

 著作隣接権保護の根拠に関する一連の議論を前提知識として知っていれば「レコード会社が『流通』でしかない」という話は理解しやすいと思うのですが、なかなか難しいことでしょうか。準創作的な要素のある実演家は別として、それ以外の隣接権者については著作物を含む情報の伝達行為を、一定の独占権及び報酬請求権を付与することにより投下資本回収の機会を付与することで、奨励することにあります(実演家以外の隣接権者の行為についても準創作的な要素のあることを隣接権保護の根拠とする見解もありますが、中山信弘「著作権法」422頁が述べるとおり、「レコード製作者や放送事業者に創作的要素が皆無であるとはいえないが、この程度の創作的要素であればほとんどの企業に見られることであり、これだけでは保護の理由としては不十分」だと思います。)。そういう意味で、レコード製作者は、著作物等の情報を広く公衆に伝達する「流通」業者であって、ネット企業との間に本質的な差異はないのです。

 それにしても「レコード会社が流通でしかない」とか言う話 を「レコード会社不要論のために単純化したおもしろ話 」と思ってしまうのは、流通を低き見過ぎなのではないかという気がします。私はなにしろ、中古品を含むゲームソフト販売店の訴訟代理人をやっていましたから、流通業者の話を生で聞く機会が結構あるわけですが、流通ってプロの仕事ですよ。自分たちをクリエイティブの側に位置づけている企業の方々って、流通業者をフリーライダーだと本気で勘違いしていて、準備書面等で流通業者に対する差別心を露骨に文章化されることがままあるのですが(まあ、厳密に言えば、実際に文章化しているのは、その種の企業についた弁護士ですけど)、あれっていかがものかと思っています。

Posted by 小倉秀夫 at 02:16 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)