知財分野では、訴え提起前の証拠保全は結構活用されている
私的使用目的のダウンロード行為の違法化を推進したい人たちは、匿名での印象操作に忙しいようです。
例えば、
との指摘があります。しかし,そもそも,証拠保全の危険は,現在においても,現行著作権法に違反していると疑われる場合に存するのであり,他方,現在,各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われたという例は,あまり聞かない。
法律論として,問題のファイルが当該PC上に存するという疎明が必要であるという問題もあるし,実際上,裁判所の運用の問題も関係しよう。
現在,各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われたという例は,あまり聞かない
のは当然です。現行法では、各家庭でのPC端末へのコンテンツのダウンロードは原則適法だからです。文化庁の狙いはこれを違法化することにありますから、これが実現した暁には、各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われない理由はありません。
現在、PC端末の中身を確認する証拠保全は、企業内でのライセンス本数超インストールの疑いを持たれたときにBSAの加盟企業の申立てによりなされる例が頻発しています。その際に「問題のファイルが当該PC上に存する」ということについて確度の高い疎明を要求しているのかといえば、そうでもありません。また、「プライバシーや企業秘密が侵される」などの理由で証拠保全を拒絶できているかといえば、そういうことでもありません。
企業内でのソフトウェアのインストールの場合、どのソフトが計何本インストールされているかが分かれば、あとは企業側に正規のライセンス本数を主張・立証させることで、超過インストール本数を算定することができますから、操作ログまで取得する必要はありません。しかし、個人のPC内のmp3ファイルについていえば、違法サイトからのダウンロード以外に、正規に購入したCDからリッピングしたものや、レンタルショップや友人から借りてきたCDからリッピングしてきたもの等があり得るのであり、正規にライセンスを受けたことを複製物の保有者が主張・立証できなければそれは違法サイトからダウンロードしてきたものである蓋然性が高いとは言えそうにありません。とすれば、操作ログの取得等まで裁判所が認める可能性がないとは言い切れません。
Posted by 小倉秀夫 at 02:07 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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