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01/23/2008

中山先生の最終講義

 今日は、中山信弘先生の東大での最終講義を聴講してきました。

 私の「ボス弁」であった故伊東正勝弁護士が中山先生と高校・大学の同級生だった縁で、私の事務所が主催する知的財産権研究会に中山先生が中心メンバーとして参加してくださったこともあって、中山先生には、弁護士に成り立ての頃からいろいろとお世話になっておりました。ですから、中山先生の最終講義は何が何でも聴講しなければと思い、「日弁連コンピュータ委員会シンポジウム2008」よりもこちらを選びました。

 教室には、知的財産権法を得意とする研究者や実務家が大挙して入室しており、改めて中山先生の偉大さを思い知った次第です。中山先生の研究の歴史から知的財産権法学の未来に向けてのメッセージを含む集大成的な講義の中で、商業用レコードの還流防止措置の創設についての反対運動の盛り上がりを、知的財産権、とりわけ著作権について「権利を強化すればよい」という従前の流れとは異なる流れを象徴するものとして取り上げてくださったことには、この運動のために相当の時間と労力を費やし、相当の潜在的顧客を捨て去った者としては、光栄の限りといえそうです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:20 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (2)

01/20/2008

「Culture First」を実現するために(1)

 「Culture First」を実現するための方策を、私たちで考えて提案していくことも必要ではないかと思います。とかく消費者は、「『何でも反対』で対案がない」と批判されがちです。


 例えば、レコード会社とアーティストとの間の専属実演家契約において、公衆送信に用いるために新たに実演を行い媒体に収録させることをレコード会社の許可なく行う条項を盛り込むことを禁止してみてはいかがでしょうか。もともと、レコードに収録されていない実演の流通をコントロールすること自体はレコード製作者の著作隣接権の範囲外であって、それを「契約」で無理矢理コントロールしているに過ぎないのです。そして、この条項のお陰で、各アーティストがウェブ上で自由にプロモーションを行うことができないのですから。


 「Culture First」を呼びかけた著作権関係87団体の皆様、是非とも、レコード会社に対して、その経済至上主義を改めて、「Culture」の発展を阻害する条項を廃棄するように迫っていただければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:06 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (1)

日米の権利者団体の活動方向、あるいは志の違い

 「創造のサイクル」を守るために、創作者の収入を増やすためにはどうしたらよいでしょうか。


 米国の脚本家組合は、テレビ局に対し分け前を増やせと要求することにより、創作者の利益を増やすことを目指しました。このために彼らは、ストも辞さない覚悟を決めました(といいますか、実際ストライキ継続中です。)。これに対し、日本の著作権関係団体は、テレビ局に対し分け前を増やせと要求するのではなく、一般市民に対し、私的録音録画補償金という名の上納金をもっとよこせと要求してきました。彼らは、テレビ局とは闘わず、役人を味方につけて、一般消費者と機器メーカーを攻撃することにしました。テレビ局様には強くもの申せない分の鬱憤を、一般消費者と機器メーカー にぶつけているような気がして、その志の低さに感心することしきりです。


 著作権等の権利者団体がまずなすべきことは、テレビ局等と対峙して、標準的な契約条件等を自分たちに有利になるように改善していくことであり、そのためには、その権利者団体の構成員の中でも今なお市場において訴求力のある「超一流」の者たちが率先して闘うことが必要となります(ストライキをにらんだ交渉なんて、超売れっ子たちがこぞって参加しないのであれば、意味をなしませんから。)。例えば、

歌舞伎役者の市川團十郎さんは「改めて、知的財産を財産として、『おたから』と感じなくてはいけない」と話した。
とのことですが、この言葉は、タイムシフトやスペースシフトの範囲内でテレビ番組を録画しているに過ぎない「消費者」に向けて更なる上納金を支払えというために発するのではなく、これを安く買いたたいて巨万の富を楽して築いているテレビ局にこそ向けるべきなのです。

Posted by 小倉秀夫 at 10:55 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/19/2008

新しい「Culture」を作るのは、「挑戦者の皆さん」と、テレビ等の前の「あなたたち」です。

 「Culture First」キャンペーンに関する一連の記事を読み、一つ気になったことがあります。それは、「コンテンツ」を創作することで「Culture」は完成し、大衆はそれを消費するに過ぎないとの誤解をお持ちの方が少なからずいるのではないかということです。

 いうまでもなく、新たに発見されまたは生み出された、「コンテンツ」とも呼ばれる一連の情報群は、行動様式としてあるいは鑑賞の対象としてその社会の構成員に受け入れられることにより、その社会の「Culture」に組み込まれます。すなわち、一連の情報群を「Culture」たらしめているのは、その情報群の発信者ではなく、それらを「Culture」として受け止める、「消費者」とも呼ばれる、社会の構成員たちです。その意味で、NHKの爆笑オンエアバトルで司会が〆に新しい笑いを作るのは挑戦者の皆さんと客席の皆さん、そしてテレビの前のあなたたちです。と宣言するのはかなり良いセンスをしています。そうです。新しい「Culture」を作るのは、「挑戦者の皆さん」と、テレビの前の、スクリーンの前の、モニターの前の、スピーカーの前の、あるいはiPod片手にヘッドフォンをした「あなたたち」なのです。

 従って、「Culture First」との標語を、「Culture」の担い手の一端である「発信者」が「Culture」の担い手の一端である「消費者」から更なる財貨の移転を求めるために用いれば、「消費者」の反発を買うのは当然です。何たって、「Culture」を築きあげてきた手柄を「発信者」側で独り占めしようというのですから。

Posted by 小倉秀夫 at 12:17 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/16/2008

Culture First

 ある情報が「文化」の一端を担うためには、その情報が広く大衆に共有されることが必要となります。狭い領域に囲い込まれた情報は、その社会を構成する人々の共通認識や共通の行動様式に組み込まれないが故に、「文化」の一端を担うことができません。したがって、情報の自由な流通を阻害するものは、その情報が私たちの精神世界を豊かにしてくれる度合いないし蓋然性が高いものであればあるほど、「文化」にとって「敵」であるということができます。

 ITmediaによれば、日本音楽著作権協会(JASRAC)や実演家著作隣接権センター(CPRA)など著作権者側の87団体は1月15日、「文化」の重要性を訴え、「Culture First」の理念とロゴを発表したとのことです。その上で、「文化が経済至上主義の犠牲になっている」とし、経済性にとらわれない文化の重要性をアピールしたとのことです。

 私も、私たちの精神世界を豊かにしてくれる情報が広く大衆に共有されることを阻害する、禁止権中心の著作権制度には問題があると常々思っていたので、「Culture First」という理念には賛同したいと思います。「知財戦略」という考え方自体、我が国の国際競争力を高めるとか、個々の企業の収益を増大させる目的のために、我々の社会が生み出した知的所産を利用しようというものであり、いわば「文化」を「経済至上主義の犠牲」にする政策ということができます。このような近視眼的な考え方が00年代も終盤にさしかかったこの時期に終焉を迎えるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 02:39 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/14/2008

<海賊版>の思想

 最近話題の山田奨治「<海賊版>の思想」を読むと、「著作権」という法技術自体が、そのそもそもの発端において、流通業者のギルド的利益の保護と、流通業者を通しての情報統制を目的として生み出されたものなのだなあということを改めて思い起こします。このころから、現実には著者の利益など二の次とされていたというあたり、現代の著作権法にも通ずるところがあって面白いです。

 著作権法は、著作権者による恣意的な運用に対抗する手段を組み込み、その手段を実際に発動させていかなければ、却って情報の流通を阻害し、文化の発展を阻害するシステムになってしまいます。18世紀のイギリスで既に知られていたこのような著作権法の宿痾を21世紀の日本で未だに克服できていないというのは、現代の法律家として、忸怩たる思いです。

Posted by 小倉秀夫 at 12:58 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/06/2008

they don't own this government, we do

オバマ氏の1月3日の演説より。

you have done what the cynics said we couldn't do.
You said the time has come to tell the lobbyists who think their money and their influence speak louder than our voices that they don't own this government, we do; and we are here to take it back.

 これらの言葉を、今この時期だからこそ、la_caussetteではなく、こちらに転載しようと思いました。

Posted by 小倉秀夫 at 02:27 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

01/05/2008

「創造のサイクル」を維持するためにテレビ局にできること

広告料収入ベースのストリーム配信の場合、JASRACに支払うべき著作権料は、広告料収入の2.5%が基本です(音楽コンテンツ主体の場合3.5%、スポーツ・ニュース主体の場合1.0%という例外はあるにせよ。)。

 これに対し、地上波テレビ局がJASRACに支払うべき著作権料は、年間包括契約を結んだ場合には、放送事業収入の1.5%です(衛星放送も基本的に一緒。ただし。音楽コンテンツ主体の場合2.25%、スポーツ・ニュース主体の場合0.75%という例外があります。)。

 テレビ局が支払うべき著作権料収入を現状の1.5%から広告料収入ベースのストリーム配信と同じ2.5%に引き上げるとどうなるでしょうか。

 平成18年度の「放送」からのJASRACの著作権収入が17,010,444(千円)であり、1.5%→2.5%だと66.6...%増ということになりますから、単純計算で、17,010,444(千円)の収入増が見込まれるということになります。

 これだけで、平成12年から平成18年にかけてのレコード・CDからの著作権収入減少分13,497,673(千円)を軽く取り戻してしまいます。したがって、「創造のサイクル」を維持するために著作権者の収入を確保という目的のためには、JASRACは、一般市民に対し闇雲に訴訟を提起して違法サイトから音楽ファイル等をダウンロードしていたことを発見したらその分の著作権使用料相当金の賠償を求めるという非効率的なことをするより、テレビ局等から徴収する著作権料の料率をストリーミング配信と同レベルにする方がよいのではないかと思ったりします。

 例えば、フジテレビ単体の平成18年4月1日〜平成19年3月31日の広告料収入は2916億円であり、JASRACに支払う著作権料を1.5%から2.5%に引き上げても約29億円の負担増となるに過ぎません。同期間のフジテレビの純利益は、約239億円ですから、問題なく負担できる金額です。フジテレビの従業員数は、平成19年3月31日現在で1423名ですから、この負担増分を従業員の給与を引き下げることにより賄ったとしても1人あたりの負担は約200万円。フジテレビ社員の平均年収は1572万円ですから、約200万円ほど引き下げたところで、まだまだ平均月収100万円以上を維持できているわけです。

 テレビ局の皆様であれば、「創造のサイクル」を維持するために一定の負担増を覚悟することに賛同してくださるのではないかと思いますので、一般市民に負担増を求めるより政治的にも楽なのではないかとも思いますし。

Posted by 小倉秀夫 at 12:10 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

01/04/2008

正規レコード・CDの代替商品は何だったのか

 平成12年と平成18年のJASRACの収入を比較してみて、レコードやCDの売上減少分のうち適法な代替サービスに向かったと思われるものがどの程度あるのかを予想してみることにしました。


 平成12年のオーディオディスクからのJASRAC収入が37,749,723(千円)なのに対し、平成18年のそれは 24,252,050(千円)ですから、この間の減収分は、13,497,673(千円)ということになります。ここから、ビデオグラム増加分4,780,484(千円)、着うた分2,189,716(千円)、その他音楽配信分2,167,863(千円)を差し引く(さすがに、「着メロ」は音楽CD等の代替とはならないでしょうから計算に含めていません。)と、残りは4,359,610(千円)となります。これは、オーディオディスクからの著作権料の減収分の約32.30%に過ぎません。


 では、この残りの約32.30%は、違法ダウンロードにより生じたものなのでしょうか。ここで考えなければいけないのは、着うたにせよ、その他音楽配信にせよ、通常1曲単位で購入することが可能だという点です。レコードにせよ、音楽CDにせよ、特定のヒット曲のみを購入したと思っても、1個のパッケージに収録されている楽曲(シングルCDですら、カップリング用の楽曲に加えて、カラオケバージョンやリミックスバージョン等が含まれているのが通常です。)全てを購入しなければならなかったわけで、それら「特に欲しかったわけではない」楽曲についての著作権料も消費者は間接的に負担してきたわけです。それが、着うたにせよ、iTunesのようなその他音楽配信にせよ、欲しい楽曲のみを購入できるわけです。したがって、1曲あたりの著作権料が変わらないとした場合、消費者が楽曲データを購入する手段を音楽CDから音楽配信に代替させた場合、抱き合わせ分を買わなくともよくなった分だけ、JASRACに間接的に支払うべき著作権料が減少することになります。


 仮に、このように抱き合わせ分を購入しなくとも済むようになったことにより購入する楽曲数がマキシシングル(5曲)から1曲に減少したと仮定した場合、着うた及びその他音楽配信による著作権収入分を5倍したうえで、オーディオディスクからのJASRAC収入の減少分からビデオグラムからの著作権収入の増加分を差し引いた金額からさらにこれを差し引いた数字が、「レコード・音楽CDから他の正規商品への代替」以外の要因によりオーディオディスクからのJASRAC収入が減少した分ということになります。


 ただ、困ったことに、

13,497,673-4,780,484-2,189,716×5-2,167,863×5=-13,070,706(千円)

ということで、むしろ、正規に楽曲を購入する手段がレコード・音楽CDからビデオグラム・着うた・音楽配信へと移行するに伴って、却って消費者はまじめにお金を払うようになっているという結論すら導き出されかねない状況です(といいますか、貸しレコードからの著作権収入の減少分10,724,434(千円)を補ってなお余りがあります。


 このように考えてみると、著作権管理団体が「違法アップロード」により収入が減少したと考えている分の多くは、実は、抱き合わせ販売ができなくなったことによる収入減少に過ぎないのではないかという気がしてなりません。そして、それは、コンテンツビジネスにおいて、むしろ正常な姿に近づいているといってもよいのではないかとも思えたりしてきます。

Posted by 小倉秀夫 at 07:58 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

01/01/2008

2008年賀状

 明けましておめでとうございます。

 今年の私の賀状の裏面はこちらのとおりです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:01 AM dans L'organisation nouvalles | | Commentaires (0) | TrackBack (0)