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02/02/2008

「版面権」の例に倣う

 著作権審議会(現文化審議会)において最終報告書に本小委員会の結論として、……を著作権法上認めて保護することが必要であるとの意見が大勢を占めた。との記載が盛り込まれたのに報告書に沿った立法がなされなかったことが、過去に存在します。平成2年6月付の「第8小委員会(出版社の保護関係)報告書」で本小委員会の結論として、出版者に固有の権利を著作権法上認めて保護することが必要であるとの意見が大勢を占めた。と報告された「版面権」がそうです。

 これについては、「経団連が反対した」すなわち「いろいろな企業とか、あるいは研究所などでもってこういう自然科学系の雑誌などを大量にコピーして使って」おり、「したがって、そういったところが多額の経費負担をしなければならないということで抵抗」したために立法化が果たせなかったとされています。なお、その際には、「その版面権を主張されると、ある会社が、どの雑誌のどの部分をどのくらいコピーしているかということを調査されることによって、その会社あるいは研究所が何を今現在開発しようとしているのかということがバレてしまう。これは企業秘密なのにバレてしまう」ので困るとして反対がなされたそうです(以上、半田正夫「著作隣接権とは」83頁(第二東京弁護士会知的財産権法研究会編『エンターテインメントと法律』(商事法務・2005)所収))。

 企業機密と個人のプライバシーと比べたときに、後者は前者より劣ってなどいません。特に、どのような作品を入手し、視聴しているのかということを探知することは、思想・良心の自由とも緊張関係が生じます。だとすれば、「企業秘密の保護」が「版面権」を創設させない理由として有効だった以上は、個人のプライバシーないし思想・良心の自由もまた、私的ダウンロード行為禁止権を創設させない理由として有効に働くはずです。版面権のときは経団連の主張を容れずに版面権の創設に反対した人が、市民の主張を容れずに私的ダウンロード行為禁止権の創設に邁進したとすれば、その人の価値観は、「経団連>著作権関連団体>一般市民」というものであろうと理解することができます(そういう議員さんは、次回の選挙で落としましょう。)。

Posted by 小倉秀夫 at 06:27 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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